やぁ、上我だぜ!
プレシアさんが紅茶を淹れるのを手伝ってから、
席についたのだが、空気が重苦しい。
紅茶もゆっくり飲めやしない。
え?あぁ、膝組んで香りを楽しんでますよ?
「いぃ紅茶ですね、いやわかんないけど。」
「...用件は何かしら?」
あら?スルーですか。
じゃあ、単刀直入に聞こうか。
「娘使ってなにしてるんですか?」
「....何のことかしら?」
「フェイトから聞きました、事情まではわかりませんが。」
プレシアの眉がピクリと動く。
そして、フェイトに怒りの混じった眼差しを向けた。
フェイトの肩がビクッと震えた。
「...フェイト。」
「ごめんなさぃ...」
見るからにしょんぼりしてる。
多分犬耳と尻尾があったら垂れ下がってるな。
「フェイトを責めるのは見当違いっす、で、
言い逃れをしようと考えるなよ....?」
全力の殺気。
フェイトが震えている、ご愁傷様です。
プレシアが魔法陣を展開してる、まぁ、殺気は引っ込めるがね。
フェイトがほぅ、と息をついた。
まさか「ここまで効果があるとは」。
「茶髪の少年、貴様、見ているな!?」
紅茶で念写してやった。
そう、「隠者の紫(ハーミット・パープル)」を使ったのだ。
今朝起きたら発現していた。
多分、俺の中にはまだ幾つかのスタンドが隠れている。
そして、何らかのスイッチが発動して、目覚めるのだろう。
「まさか、気づいていたか...」
「てめぇ、何者だ?」
「新手のスタンド使いか!?」
「...私はwelt様の命を授かり、貴公を殺しに参った。
名乗らせて頂きたい...」
ポルナレフのように少年は言う。
見たところ転生者では無さそうだ。
転生者は原作に出てきたスタンドしか持てないらしい。
少年のスタンドは、鉄で出来た簡素なヘルメットを被り、
皮で出来たような鎧をきた、痩せ形の男のスタンドだった。
「我が名はクライロ・シャッハ、スタンド名はマウンテン・チェス。
能力は、「変わる」能力だ。」
「...変わる?」
「実際に見たほうが早い、マウンテン・チェス・クイーン!」
マウンテンの姿が女王のような女性を象った機械に変わる。
その両腕には機関銃が取り付いていた。
「撃てぇ!」
「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァ!」
吐き出された銃弾を叩き落とす。
そのまま世界を入れ替え、キラークイーンに変える。
地面を一回蹴り、抉れた破片を殴って飛ばす。
「第一の爆弾。」
-KILLER・QUEEN-
スイッチを押し、点火する。
大きな客室に大きな爆風が鳴り響く。
この手応えはーーーー
「浅いッ!?」
「チャリオット!」
マウンテンは巨大な塔が頭についた大きな蛇だ。
大体、大人の二倍くらいでかい。
キラークイーンをしまい、キング・クリムゾンを出す。
「チャリオットの能力は!」
「帝王のーーーー!?」
「高速移動ッ!お前の時間を消し飛ばす動作より速い!」
「ぐぉお!」
床に転がされる。
キング・クリムゾンは反動で消えてしまった、多分強制的にスタンドを仕舞わせた
のだろう、しかし、無駄無駄。
「ハーミットによる吸引ッ!」
ハーミットを打ち出し、足に巻きつけておいた。
吸血鬼だから波紋なんて代物使ったら溶けちまう。
だから、引き寄せる。苦し紛れだろうか、クライロはマウンテンの
姿を西洋の、チャリオッツより薄そうな鎧と、フルフェイスメットをつけた
騎士に変えた。
「ナイト!」
空中に浮かぶ状態で正確にこちらにスタンドが叩き込まれる。
かなり上に飛んだはずだ、そこに叩き込まれる。
回避出来ない速さの剣捌きに一瞬驚愕した。
しょうがない、ハーミットを解除して、世界で受け流した。
しかし、さすがナイトというべきか、一瞬で体制を立て直し、
拳を叩き込む前に逃げられた。そのまま、走り込んでくる。
「こいっ!」
ーーーーどっちみち、数ミリだ。
「数ミリメートルで決着がつく」。
やつの射程距離は約十メートルと八ミリ。
そう、やつの射程距離内に正確かつ素早く、回避できる距離を保ち。
ラッシュを叩き込む。
「ポーン!能力は、防御を無視した、全てを斬る一撃ッ!」
「オオオオオオオッ!無駄ァ!」
刹那の一撃。
空間を削りながらはなたれた攻撃は、ゼロ秒間の間の
百発に吹き飛んだ。
「ゲホッ!...まさか。」
まさか。
「停止、した...世界でも...攻撃のみは、止まらねぇとかよ、
驚いた...ぜ。」
左腕を大きく抉られた。
時間停止という世界の中にはその時間の影響を
受けない一撃が必要だ、
どうやらゼロ秒間の速さに迫る攻撃に削る力を加えたことで
時間停止ごと削ったのだろう。
「ぐはっ、私の負けだ、好きにしろ。」
「そうさせてもらう。」
世界を使い、クライロの額を打ち抜いた。
いや、肉の芽を、だが。
「...殺さない、のか?」
「人様の子供にトラウマを植え付けろ、と?」
「...お前は、おもしろいな。」
「よく言われる。」
しかし、welt、何を企んでる?
暗闇の一室。
一筋の月の光のみが射し込んでいる。
開け放たれた窓には、DIOが腰掛けていた。
その近くに置かれたテーブルで、二人の人間がチェスをしている。
別段、可笑しい光景ではない、そのそばに。
死体が無ければ、の話だが。
「二人め、だ。」
「あぁ、ゆっくりと、変化が見える。」
「顔つきが違ってきたね。」
こと、と小さく音がなり、黒のクイーンが倒れた。
敵陣の真ん中に晒された黒のナイトは動けない。
「チェックメイト、だ。」
「...僕の負けだな...」
キングは、倒れた。
白のキングが。