店を出ると、辺りは暗くなりはじめていた。
ここでも夜はくるし朝日も昇る。それは限りなく本物なのに、どこまでいっても偽物なのだ。
アルンが言っていた、もう一つの現実ということ、理解はできてもやっぱり納得出来ないな。
だって私は、此処に何かをしにきた訳じゃないんだもん。
でももう進むしかない。
怖いからこそ闘って、闘って進んでいかないと此処から出られないんだもの。
「淘汰されたくないから、私は闘う…アルン、一緒に戦ってくれますか?」
アルンに手を引かれて、一歩目を手伝ってもらった。
そして今、私自身で二歩目を踏み込むんだ。
0を1にする事は誰にでも出来ることじゃない。私は1から2も怖かった。
でも、アルンが1を…始まりをくれたから。
「始まりの一歩はアルンがくれた、私は今二歩目を歩いた、だから……」
そこまで言って自分の右手を前に、お臍の少し上辺りに、向き合って立っている私とアルンの真ん中にもっていく。
「だから……」
ここから。
ずっと考えていた。
沢山貰ったあの時、アルンが助けてくれたあの時から。
助けて貰ってばかりじゃダメ、もう大丈夫だと言いたい。
アルンにも、私自身にも。
「だから、ここから先を、一緒に歩いてください」
「喜んで!…シャルロット、今凄くいい顔してるね!」
アルンはしっかりと私の右手を握り返してくれた。
漸く言えたと思った瞬間、力が抜けた。
崩れかけた私を、咄嗟に支えてくれるのは流石。
こんな事で一々緊張してしまう、まだまだ泣き虫の私。だけどきっと大丈夫。
私は漸く始まった。
目標は変わらないよ。
此処から出ること……それと出来れば記憶と泣き虫を直したい。
その為に、アルンの後を着いて歩くのではなくて、一緒に、二人で一緒に歩いていきたい。
そしていつか、アルンが崩れそうになった時、今度は私が支えてあげられるように。
「ありがとうアルン、一緒に頑張っていこうね」
「うん、これから先もずっとよろしくね、シャルロット」
その後は夜の街を歩いて、アルンと今までのことやこれからのことを話し合った。
それと、いつの間にか呼び方がシャルロットに戻っていたけれど、でもアルンがコッチの方がいいと……。
ロットだった期間はかなり短かったね。
少し前の私は泣いているはず
怖くて、苦しくて、どうしたらいいか分からなかったから
怖くて、苦しくて、泣きそうなのは変わらない
でも進みたいと思う方向は見えたよ
だから大丈夫
どうか差し出されたその手を、振り払わないで、離さないで
そして次は、私の番だよ