約束だ、姿が見えなくても君達を見守っている。   作:クソザコぎつね

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戦闘シーン短めです。元からあまり長くありませんが。


見つめる者

 

「赤い……巨人。あれもバーテックスなの?」

 

拳を握り締め、アーストロンに向かってファイティングポーズを取るマックス。

トドメを邪魔された事に怒ったのか、アーストロンがマックスに向かって、三日月上の一角を突き立てながら突進をしてきた!

それに対してマックスは正面から挑み、その白い角を右手で捉える。空いた左手で首を掴み、暫く組み付いたまま力比べへと移る。

 

「ッ⁉︎」

 

アーストロンの鋭利な角がマックスの喉のを突き刺そうと、何回もこちらを押し出してくる。やはり片手では無理か。そう悟ると、今度は左手を後ろに回し、ヘッドロックの姿勢に入った!

首の骨がギシギシとなり、だんだんと呼吸が浅くなるアーストロン。気管支が窄められた彼は、それを振りほどこうと尻尾をマックスに精一杯叩きつける!

 

「‼︎」

 

だがマックスは右腕でその尻尾を受け止めて見せた。そしてマックスは角へと向き帰り、暴れるアーストロンの角目掛けて膝蹴りを何度もお見舞いする。

これにはアーストロンも応えたであろう。液体に沈む脳がぐわんぐわんと揺さぶられ、視界が狭まっていく。

 

六回ほどだろうか、遂には角がパキッと根本から折れ、アーストロンはたちまち弱ってしまう。アーストロンにとって角は大事な武器であり、また弱点である。炎の温度調節を司るその器官が壊れてしまっては、もう光線も吐くことが出来ない。

 

「デヤッ!」

 

悶えるアーストロンを地面へとそのまま投げ飛ばし、距離を取るマックス。

アーストロンがその揺れる頭で状況を理解すると、それは既に手遅れだ。既に鼻先が触れる距離にマクシウムカノンが迫っていたのだ!

 

そのまま悲鳴を上げながら爆散するアーストロン。辺りに塵と化した肉片が飛び散り、灰の雨を降らす。

 

「バーテックスを、倒した?」

 

爆破の衝撃波にかき消されたそれはマックスの耳に届くことはなく、だがマックスは依然として動じず、そこに立っている。

1分ほど経っただろうか、鷲尾がその顔を上げると、橙色に染まった瞳がこちらを見つめていた。巨人は何故現れたのか、何が目的なのか、そんな思考は浮かばず、鷲尾の心にあったのは後悔であった。何も出来ず、役目を十分に果たせない自分への失望。

自分は何も出来なかった。彼女の心は、それでいっぱいであった。

それでも優しさを帯びた様な目でこちらを見つめる赤い巨人。この赤い巨人は何なのか。なぜああも簡単に打ち倒して見せたのか。

そんな事が考えつくと同時に、辺りは眩い光に包まれた。

 

ーーーーーー

 

「学校に戻る訳じゃ無いんだ〜」

 

「何はともあれ、感謝だな。感謝感謝」

 

そういう三ノ輪の体は所々赤くなっており、今すぐにでも病院に行ったほうがいいだろう。

あの光の後、樹海は解け、三人とも大橋前の小さな慰霊碑に出現していた。

 

「あっ、樹海撮ったんだった〜♪。え⁉︎」

 

ポケットからスマホを取り出すと、確かに撮った筈の写真が別の風景に置き換わっているでは無いか。これではどのように戦っていたのかもわかるまい。撮れても、ちゃんと写るわけでは無いのだ。

 

「お〜い、鷲尾さん。すみちゃん。須美助」

 

乃木があだ名で呼んでも、全く返事を返さない鷲尾。その目は大橋の先、つまりはアーストロンが来た方角を睨んでおり、乃木の呼びかけにも応じない。

 

「あっ!来た来た」

 

暫くすると、銀色のワゴン車がボロボロの三人を迎えに来た。まずは三ノ輪を病院に送らなくてはいけないが。

それから三人とも乗り込んだのを確認すると運転手はアクセルを踏み込み、車が前進する。

揺られながら、外をぼんやり見つめる三人の少女達に、助手席の人が一言、声を掛けてくれた。

 

「よく頑張ったな」

 

受け取り方は三者三様だが、その言葉をしっかりと噛み締め、小さな勇者達はそのうち、深い眠りについた。

 




大赦職員

ワゴン車で迎えに来た二人組。ボディーガードも兼業しており、三人のプライベートを見守っている。
運転手はおっさんで、助手席の方は青年に見える。
仮面と白装束を纏った者が多い大赦職員の中では珍しく、黒いスーツに身を包んでいる。
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