『拝啓、お母様、お父様、お元気にお過ごしですか。
私目は山奥にあるこの刑務所の様な場所での監禁を余儀なくされ娯楽と言った物もなく自分を律する規則正しい生活を送っています。辛うじて食事、睡眠等などに支障はなく今、1番の困り事は性よ……』よし辞めよう。こんな気色悪い文通を送ったら家族から絶縁されるかもしれない。まぁ、この環境、
「センタリング行ったで!」
「マーク! マーク! て、早っ!?」
「ドンピシャ」
右側。やや後方から放たれたボール。相変わらず凄い軌道してんな。俺はそのアシストに足を出すだけ。前傾姿勢からの足での飛び込み。俺は勢いに逆らえずボールごとゴールに飛び込んだ。相変わらず
「ゴールへのパスはシュートと呼ぶ。お前のは味方への
「何いーうてんねん。良いシュートやったやろ」
「センタリングてのはなんなんだったんですかね。お前シュート打つ時、自分でシュートて叫ぶ奴なんか?」
俺がそう言うと氷織は腹抱えて笑い出した。
「ははは! そんな馬鹿な奴おらんわ! シュートてもんはドフリーの時に打つもんやて。それ自分からアピールするなんて阿呆やろ」
「それ小学生の頃やらんかった? 必殺ナンチャラシュートて叫ぶ奴」
「それやったわ。未だにパス技が存在せんの解せん。……まぁ、どうやった? 僕の必殺アシスト?」
「膝擦り剥いたわボケェ。まぁナイスアシスト」
「こっちもサンキューやでナイスゴール」
そう言って氷織は掌を前に差し出してきた。俺はその意味を汲み取り力強く叩くのだった。
「握手ちゃうん!? 痛いわ」
「俺の膝小僧の痛み」
俺はこのブルーロックに適応し始めていた。
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【ブルーロック】
2018年W杯。サッカー日本代表は接戦、熱戦を繰り広げ日本中を歓喜の渦に包んだサッカーの祭典。ただ結果は決勝トーナメント敗退。ラウンド16となり日本代表の優勝は無くなった。そこで日本フットボール連合はある一大プロジェクトを始動した。それが【ブルーロック】。高校生FW300人を
急な告知に急な収容。通知書を馬鹿2人に見せたら「トレセンじゃね?」「それか合宿か」
「「まぁ、お前は大好きな家と何日間かのお別れだ!!」」
と、ゲラゲラ笑ってきたアイツらを俺は許さない。家とのお別れは何日間どころではなく未だ現在、帰路の目処は立たない。こんな山奥で監禁され電子機器の全没収。脱走した所で自宅まで道が果てしなく遠い事ぐらいは分かった。……やってる事グレーじゃね? 年行かない若者を強制施設にぶち込む。国に訴えてやるぞこの野郎。……あ、国が運営しているブルーロックだった。
今いる食堂もお国のお金だろう。ご飯と味噌汁がとても美味しい。食後にコーラとポテチが有れば最高だけど。人間の生活は簡単には変わらないんだなと適当に感じた。
「隣お邪魔。暇だしなんか話せよ氷織」
「
食堂に居た氷織を見つけて隣の席に座り暇を潰す。娯楽と言った物もがないと人間は人を使って時間を潰すんだなとここの生活で学んだ。この生活は共同生活。寝床を共にし一緒に釜の飯を食う仲間も出来た。空いた時間は他の仲間と雑談交わし交流を深め、チームメイト10人の名前と顔ぐらいは覚えられた。そんな中で今、氷織が発した話題は深く喋った事がなかった。と言うのも。
「完全に絵心に話に夢中になった。サッカーをする為だけの環境。夢中になれる物を探してた俺が見つけた場所みたいだったから」
「なるほど。今はサッカーに夢中になれなくとも、やっていたら夢中になると?」
「ま、そうゆうこと。てかこの施設だぜ? サッカーが全ての空間だったら嫌でもサッカーの事考えるしかないだろ。けど、期間が無期限で共同生活で娯楽が無いなんて聞いてなかったけど」
「ま、そうやなぁ。僕もブルーロックでの生活に期限とか考えずに飛び込んだし完全にゲーム感覚やったわ」
「だよなぁ。でも俺はサッカーしてる時に【点を取りたい】だけ考えてる。だから絵心が言った世界一のストライカー論に納得出来るような気がした。日本で1番熱い場所てのは
「せやな。299人の屍の上やし。最後の踏み台には日一君になってもらおかな」
「言ってろ。アシスト王」
「ストライカーにそれは最高に皮肉やな。今度からパス出さんで得点王。日一君の動き合わせられんのが僕なだけやで」
「ふ、これだから生粋のストライカーは困り者だぜ」
俺の吹かした決め台詞に氷織は横目もくれない。箸を動かしご飯粒を摘んでいる。味噌汁を一口呑んで氷織は喋り出した。
「【合わせられんのが僕だけ】て意味わかる? 君の場合、毎回ポジションがオフサイドギリギリなんや。だから他の皆んながパス出したがらん」
「え、まじ?」
「まじ。初心者あるあるやなぁ。オフサイド分からん人。ゴール前に居たい=オフサイドや。反則ギリギリの人にボール出したくないやろ。日一君、一応サッカールール分かるやんな?」
馬鹿野郎。俺はサッカー部だぞ。それにブルーロックはサッカー講義もある。人の学習能力を舐めちゃいかん。だからコイツに断言しよう。
「……えっと多分分かる。それよりも俺、皆んなから嫌われてんの?」
「沈黙が気になるけど言及しんとくわ。日一君は好かれてんで。初心者が居てくれて自分の身が安全やって」
それ好かれてる嫌われてる以前に人畜無害と言うか無関心と言う事では? 見てろよ。いつか氷織含め見返してやる。
「京都人て嫌味多いらしいな。けど氷織、相談に乗って欲しい事がある」
「なんや?」
「【どうしたらもっと点が取れる】」
俺の真剣な悩みに氷織は箸を置いた。手を顎に当てて考える仕草をし話し始めた。
「日一君のプレーは初心者も良いとこや。最初、強豪校出身て事で警戒してたけど蓋を開けてみたら、基礎やルールを理解しとらん」
「……言いたい放題だな」
「【けど君の強みはそこや】何をするか分からない不気味さ、出し手の意味を汲み取ったポジショニング。そこに走り込む貪欲さや一瞬でDFを躱す瞬発力や前線からの守備も出来るスタミナやなぁ」
「なんやねん、急に褒めるやん」
「褒めてないで事実や。君には良さはあるけど、まだ下手な部分の方が多いのも事実や。なんやねん今日のトラップは。ようやくバックパス覚えたけど。あと全ゴールがワンタッチて順序が逆や」
氷織がまた橋を進めた。話していると消灯時間も近づいて来た。一先ずわかったのは俺のプレーは【予想できないプレー】。それは俺自身が初心者の部分がでかいがブルーロックで生き残るには大きな武器になる。あの強豪校出身てのもあるのか。
「氷織はあんのか自分の武器とか?」
「キック、パス、キープ力」
「即答」
「なんで自分の武器も分からん奴が人の武器が分かると思うねん。即答出来て当たり前やろ」
「それもそうか」
氷織が味噌汁冷めてもーたとか呟いている。時計の針は進む。俺達は残ったご飯を掻き込みお盆を持って席から立ち上がった。
「まぁ、ともあれ君はジョーカーみたいなもんや。他のもんは学校名聞くだけで警戒してくんで。明日は宜しゅうな」
「了解。ミスせず堂々と。それが俺の初心者セオリー」
明日はブルーロック始まっての勝敗戦の始まりだ。
奪敵決戦チーム
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二子、氷織
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士道、糸師凛
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時光、蟻生、
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剣城、我牙丸
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烏、乙也