あぁ、あそこの鎮守府の話ね…   作:お手元ポテト

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飯テロ?


深夜番組ビストロシップバトル

 

 

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『さあ今週もこの時間がやってまいりました!

「ビストロシップバトル」!!』

 

スポットライトに照らされた青葉が高らかに宣言する。

 

『今回の挑戦者は〜っ!この方です!!』

 

「第一航空戦隊、赤城!宜しくお願い致します」

 

スポットライトが赤城を照らした。

 

ビストロシップバトル−−至高の料理人同士のガチンコ料理バトル番組である。

 

照明が一気に点灯し、スタジオの全貌が明らかになる。

キッチンをメインに据えられたスタジオの中央にマイクを持った青葉と鳳翔、エプロンを装着した赤城が立っていた。

 

 

 

 

『はい、司会進行を務めます青葉と』

 

『解説役を賜りました、鳳翔です。宜しくお願い致します』

 

『えー、赤城さん、ようこそいらっしゃいました!自信の方はいかがですか?』

 

「はい、ベストを尽くしたいと思います」

 

『今回、赤城さんの挑戦を受ける番組のスペシャル料理人は〜!』

 

カメラワークがスタジオ奥の舞台に移る。

控えめなスモークが焚かれ、軽快なBGMと共に舞台の幕が上がった。

 

そこには腕組みをして立つ、コックコートにT字の意匠のされた覆面姿の男がいた。

 

『謎の覆面料理人!「丁督(TEITOKU)」ぅ!!』

 

 

 

 

丁督はやがて舞台からゆっくりとスタジオ中央の三人の横まで歩いてきた。

 

『しれ、…丁督、コメントをお願いします』

 

「クカカカッ!今回もオレが勝つ!」

 

「提督、なんすかそのキャラ…」

 

『それでは今回の料理テーマの発表です、今回のテーマは……丼ッ!!』(ドドンッ!)

 

スタジオのモニターに丼の文字が大きく表示された。

 

『丼…、それは米と具が一杯一体となった芸術、食の理想郷、お二方はその一杯にどんな表現を見せてくださるのか楽しみですね』

 

「鳳翔さん、なんすかそのキャラ…」

 

『先攻、スペシャル料理人「丁督」!スタート!』

 

 

 

 

丁督の調理がスタートした。

 

『さっそく丁督が手にしたのは伊勢えびっ!軽快に下処理を進めております』

 

『準備された調理器具、下拵えを見るに天ぷら…、つまり丁督は天丼を作るようですね』

 

『伊勢えびの天丼!豪華なものになりそうですね!』

 

「クカカカッ!オレが只の天丼を作ると思うなよっ!!」

 

『おっとぉ!ここで丁督が剥き終わった殻を集めて鍋に入れていきます!っいや!!殻ぁ!?』

 

『!あれは…まさか!』

 

「クカカカッ!」

 

『鳳翔さん、丁督は伊勢えびの殻を炒め始めました!!あれはどういうことでしょうか!?』

 

『ビスク…いや、あれは、ソースアメリケーヌ!?』

 

『ソースアメリケーヌとは?』

 

『海老の殻を強火で炒めて、白ワイン、セロリ、玉ねぎ、トマトピューレを加え煮詰めたものを濾して作る海老とトマトの旨味を凝縮させたフレンチのソースです。それを伊勢えびで…』

 

『フレンチのソースと和食の天丼…これは完成形が読めません!!』

 

丁督はやがてアメリケーヌを完成させた。

 

『くぅ~、芳醇な海老の薫りがスタジオに充満しております!』

 

「コイツに醤油、砂糖、水、昆布と鰹とハマグリの合わせ出汁を加えて……特製割り下の完成だぜぇ!!」

 

『なんとアメリケーヌを割り下に使用!』

 

『伊勢えびを余すことなく使い尽くした逸品になりそうですね』

 

『続けて丁督は白飯に何かを混ぜこんでいます』

 

『細かく刻んだ生姜のようですね』

 

『さあ丁督、白飯を丼によそい終わり、いよいよ伊勢えびを揚げていくようです!』

 

丁督は豪快に衣をまとわせた伊勢えびを油を張った鍋にぶち込んでいく。

 

「クカカカーーッ!!(ジュワ〜)そして揚がった伊勢えび天は白飯に盛り付けていくぜ!最後に特製割り下をかければ……完成だっ!!」

 

『遂に丁督の天丼ができあがりました』

 

『豪勢な伊勢えび天の盛り付けが圧巻です』

 

 

 

 

『ここで、審査員の紹介を致します』

 

スタジオの審査員席にカメラワークが移る。

 

『陽炎型十二番艦磯風だ。たとえ司令が相手でも容赦なぞしない』

 

『軽巡、大淀です。提督、まだ書類が山のように残ってます』

 

『戦艦長門だ、提督との殴り合いなら任せておけ』

 

『金剛型二番艦、比叡です。司令、私のカレーから逃げるな』

 

『軽空母龍驤や。よろしくなぁ』

 

審査員が軽く挨拶をした。

なぜか丁督は審査員達からの視線を受けて俯いていたがやがて立ち直り自分の料理をサーブした。

 

「丁督特製伊勢えび天丼、付け合わせのハマグリ出汁のお吸い物だぜ!さあ審査員共、喰らいなっ!!」

 

 

 

 

審査員達の審査がはじまる。

 

『うむ、美味いぞっ!!』

 

磯風は一言。

 

『あ、美味しい…!海老の薫りが凄くて、ゴージャスなのに上品』

 

大淀が評する。

 

『うーむ、飯に混ぜ込まれた細かく刻んだ生姜の爽やかさで海老味がくどすぎることもなく調和しているな』

 

長門が唸る。

 

『ふむ、殻をしっかり焼いたことで生臭さが全くなく、燻製のようなスモーキーさも感じられます』

 

比叡は頷く。

 

『伊勢えび天も衣はさっくり、中はぶりっとしてて揚げ加減もばっちりや!』

 

龍驤が丁督の確かな料理の腕を褒める。

 

 

 

 

再びカメラワークがスタジオ中央に戻りモニターを写していた。

 

『審査員の皆さん、とても好評のようです。青葉も食べてみたいです』

 

『それでは採点結果の方をよろしくお願いします!』

 

ドラムロールが鳴り、やがてモニターに点数が表示された。

 

 

『95点っ!これはいきなりの高得点だー!!』

 

 

「クカカカーッ!!」

 

『審査員席20点が並んでおります!しかし、比叡さんは17点!磯風さん18点!ではコメントをお願いします』

 

『司令の天丼、について…そうですね、高級な伊勢えびを余すことなく使いこなし天丼として味も完璧に仕上げた腕に20点…ですが、美味い食材に美味い調理法。確かに美味いものはできますが味の想像も出来てしまいました。

…恐縮ながらその点で−3点とさせていただきました。それでも大変美味しかったです。

司令、後で私のカレーも召し上がってくださいね』

 

「比叡さん、なんすかそのキャラ…」

 

『なるほど、美味い食材で美味い既存の料理を作るとそりゃあ美味いものが出来る、といった訳ですかね』

 

『付け加えるなら、高コスパなものだと食べられる機会は多くないといったところだな。

後で司令にはサンマを焼いてやろう』

 

比叡、磯風の感想に対してスタジオが、おぉ、と沸き立つ。

しかし丁督はこの二人からまともな料理の評価をされるのに対して若干モヤっとした気持ちを抱いた。

 

「…ク、クカカカーッ!!まぁこんなところか!さあ次は赤城、オメェの番だぜ!!」

 

『続きまして、後攻!赤城さん!!』

 

 

 

 

赤城が調理を開始した。

赤城が食材庫から取り出したのは、

 

玉子

お◯め納豆

鰹削り節

わさび海苔ふりかけ

天かす

 

であった。

 

『おっとぉ、赤城さんいきなり丼に白飯をよそっていく!白飯の中央に窪みを付けた!』

 

『あれは玉子ポケットですね』

 

 

〜玉子ポケットに君が乗せるまでこのCMはやめません〜

 

 

『玉子ポケットに生卵を落とし、充分に混ぜ混ぜしたおか◯納豆を追加!これは間違いない!』

 

『玉子かけ納豆ごはん(TKNG)ですね』

 

『そしてTKNGにわさび海苔ふりかけをかけた!更に天かす、削り節をトッピング…!これで完成か!?』

 

『いや、赤城さんをみてください、懐から何か取り出しましたよ』

 

赤城が懐から取り出したのは、

「アウトドアスパイスほり◯し」であった。

 

『で、出たぁ~!!アウトドアスパイスほ◯にしっ!!トッピングの上に振りかけていくぅ!』

 

最後に僅かに薄口醤油を垂らして、赤城は調理を終了させた。

 

「出来ました、TKNGカツブシ海苔天かすです」

 

『早い!!あっという間に完成させてしまいました』

 

『さっそく審査に移りましょう』

 

 

 

 

審査員の前に赤城のTKNGカツブシ海苔天かすが置かれる。

白飯の中央に生卵、それを囲うように納豆、そしてその上にわさび海苔、天かす、削り節がトッピングされた堂々たるTKNGであった。

 

『…ゴクリっ!』

 

誰かの生唾飲み込む気配がした。

 

『っハ、料理番組にTKNGやてぇ?(混ぜ混ぜ)……赤城よ、なめとったらあかんでぇ!(パクり)……っ!!』

 

丼を混ぜ混ぜして一口食べた龍驤が雷に打たれたかのように固まった。

 

『…ウマ、ウマイッ…!ウマイ……』

 

龍驤はぼそぼそと口にした後、無言で丼をかきこみはじめた。

それをみた他の審査員達も後に続く。

 

『おいひぃ、おいひぃよぉ!』

 

磯風はボロボロと泣きながら食べている。

 

『……いやいや、大げさな……っ、めちゃくちゃ馬鹿ウメェっ!』

 

大淀が絶賛。

 

『うおぉぉ!200点!2000点じゃあぁ!!!!』

 

比叡は採点ボタンを連打し。

 

『…はぁ?……なんこれ、…ウマ、…いやこわぁ…』

 

長門は戦慄していた。

 

 

 

 

『なんだこれは、たまげたな』

 

『はい……今までに見たことない審査員の様子に驚きを隠せません』

 

『それでは採点をお願いします!』

 

スタジオのモニターに点数が表示される。

その得点、

 

 

『100点っ!!番組史上!初ぅっ!100点が出ました!』

 

 

「バカな!このオレの特製天丼が敗れるなんて……あり得んっ!」

 

「こちらは提と…丁督さんの分です、召し上がってみてください」

 

赤城が差し出したTKNGを丁督はおもむろに口に運ぶ。

瞬間、赤城のTKNGの味の暴力が丁督を襲った。

それはまさしく旨味の暴風雨(ストーム)、たちまち丁督の衣服はこま切れになり吹き飛んだ。

なおお茶の間の映像には丁督の大事なところは「大破」マークで隠されて届く。

 

「グ、グワーッ!!(大破)」

 

大破した丁督は妖精さん達に運ばれてスタジオ裏に消えた。

 

『審査員達は夢中になってTKNGをかきこんでおります』

 

『これが、TKNGの可能性というものですか』

 

『しょ、勝者!挑戦者赤城っ!』

 

 

 

 

番組のクライマックスに入る。

スタジオの中央に勝者の赤城と司会進行の青葉、鳳翔が並ぶ。

 

『おめでとうございます。勝者の赤城さんには番組スペシャル料理人の称号とビストロシップ四天王への挑戦資格が与えられます』

 

鳳翔から赤城へ勝者の盾と記念品の丼(非売品)が手渡された。

 

「ありがとうございます」

 

『なお副賞として間宮券10枚が贈呈されます』

 

「称号とか挑戦資格とかいらないので間宮券100枚くださいなっ!」

 

赤城がペカーッ!!と眩しい顔でそうのたまう。

 

『赤城さん…?』

 

鳳翔の額に浮かぶ青筋。

 

「ヒェ……!」

 

『さあ今回のビストロシップバトルはここまでです。番組をご覧の皆様お付き合いくださりありがとうございました!来週もまたお会いしましょう!!』

 

『それではまた』

 

 

〜〜〜ビストロシップバトル〜〜〜

 

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番組を見終わった島風はふぅと一息つく。

時刻は現在23:57。

やがて立ち上がり部屋を出て、島風は食堂に向かった。

 

 

そして、深夜の食堂は「なんか小腹が空いた」とのたまう艦娘達でいっぱいになり、食堂の玉子はお無くなりになったという。

 

提督と間宮さんにはクソ叱られた。

 

 





こういうのが美味いんすね〜。
なお、ほり◯しはマキ◯マムでも黒瀬のス◯イスでも何でも良い模様。
丁督さんの天丼はテキトーに考えたもので実際美味いかは知りません。
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