転生ヒスイ人のガラル紀行 作:はっぱ
「はははははは! 見ろルカリオ! キテルグマチームの誕生だァ!」
いやー楽しいなぁ! なんといっても集団発生の群れ一つ全てをボールに収めたんだからな。いわゆるアニポケのサトシがケンタロスの群れを全部ボールに入れた感じである。数えきれないほどたくさんいるキテルグマがこちらをじーっと見ているのは圧巻である。
前にいるのがボスだろうか。大きくて強そうだ。あとレントラーが付けた傷痕が頬に残っている。まるで歴戦の勇者っぽいな。キテルグマだけど。
「グルゥ……」
「そう呆れた顔するなよルカリオ。さてキテルグマ。お前たちはこれから俺が育て上げグハァ!?」
「ウォウッ!?」
────何やってんだご主人ッ!?
そんな声が聞こえるぐらいにはルカリオが驚いた顔をしていた。よく見ればキテルグマが俺に抱き着いている。ミシミシという骨が死を直感したので慌てて離すように命令。キテルグマに種族の違いによっては死ぬ可能性があるからむやみやたらと抱き着いちゃいけない。力加減を覚えてほしいと説得。それに落ち込みながらも頷いたので根は素直なようだ。キテルグマ全員がそれに頷いたので良しとしよう。
主な力加減担当はルカリオに任せている。もちろん俺も一緒に指導する。
そこら中に木があったし、大岩もあったので利用しようと思う。俺が手を持って握ったその力加減で大木に抱き着く。ルカリオも何かしら言ってはキテルグマ達をぶん投げて説教し指導する。なんだかんだ兄貴肌だからかとても楽しそうだ。
ルカリオが『ついて来い!』とでもいうように鳴き声を上げるとそれに『アニキー!』みたいな感じで両手を上げて向かっていくキテルグマ集団。はたから見るとルカリオが襲われているようにも見える。まあ楽しそうならそれでいいがな。
そう思いながらもキテルグマ集団を目撃し慌てて逃げて行ったトレーナーが落としたカレールーを運よく拾いあげ、それを使って食べることにした。
このワイルドエリアで事故死したトレーナーって多そうなんだよなぁ。
ポケモンが自然体のままに暮らしているせいだろうか。最初の頃は俺達に喧嘩を売ってくるポケモンもいた。でもキテルグマ集団との事件があった後襲撃はなくなったのだ。
ここはゲームとは違う。現実世界だ。
野生動物が明らかに危険だと分かる場所に近づかないように、周りにいるポケモンたちも俺達が動くことでその対応も変わる。
キテルグマ集団を仲間に引き入れてから周りのポケモンたちがこちらの行動を注目するようになったなという空気を感じるし。たぶん危険視されているから喧嘩を売ってこないんだろう。
数日は様子を見られて、喧嘩を売らなければ特に問題はないと分かってからはいつもの緩んだ空気に戻ったが。まあそれでも俺が近づけばこちらをじっと見つめ遠ざかるまで警戒するようになってしまったがな。木の実を分け与えたらすぐに『こいつら強いし喧嘩売ってきたらやばい意味で反撃されるけど何もしなければ安全だし木の実くれる』と認識されたと思う。共存できているはずだ。いろんな意味で。
しばらくはガラルに居て、駄目ならシンオウ地方へ行ける手段を見つけるつもりだが……。
「ええと、君は……」
「兄貴じゃないのか?」
きんのたまなど売れるようなものが増えたのでちょっと金稼ぎと腹ペコダイケンキがカレーを食べてから「もっと食わせろ!」と催促するようになったのでカレーの具材などを買いに行くためワイルドエリアから離れたせいなのだろう。
服の裾を掴んだ少年は、小さなウールーと共に俺を不可解そうな目で見上げてきた。
いつも読んでいただきありがとうございます。
今回は少なめですが次から多めになるよう頑張ります。ちなみに感想くれたらやる気出るよ!