臆病な『赤龍帝』が冒険都市にいるのは間違っているだろうか? 作:黒牙雷真
どうも、黒牙雷真です。
今回も何とか二ヶ月という期間で書き終わることができました。あと何故か没話でアポロンが善神化(※私事)してしまう流れを書いてしまったりと三~四回ほど書き直すことになりました。
何故、アポロンが善神化したのかと聞かれたら、とある作者様のダンまちのクロスオーバーを読んでから指が乗り始めたらこうなりました。最終的には書き直しましたが。
さてさて、長くなりましたがアポロン編の後半をどうぞお楽しみください。
あと、注意点が一点。戦争遊戯ということもあって、色々な視点(Side)があってごちゃごちゃしているかもしれませんが、どうかご理解ください。
〈Sideリヴェリア〉
ケンマから語られた神アルテミスの冒険者依頼、その物語はあまりにも壮大で、まるで古代の英雄たちの英雄譚に匹敵するであろう物語だった。そして、私たちは確信した。ケンマは必ず近いうちに私たちと同じ高みへと登って来る。
なにせ、ケンマは自覚していないだろうが神を喰らった古代のモンスターから神を救い出し、そのまま古代のモンスターまでも討伐し、偶然とはいえど世界を救って見せた『偉業』を成したことは聞ている側からしたら『英雄』以外の何者でもないだろうと思わせるほどだ。
そこまで考えたところで、私はハッと気付いた。古代のモンスターである『アンタレス』を討伐したのであれば、ケンマは【ランクアップ】が可能なのではないかと。
「ケンマ、もしかしなくともお前は【ランクアップ】が可能なのではないか?」
「ええ、まぁ……」
私の問いに、ケンマはバツが悪そうに答える。
「嘘やろ!?ケンマはLV.2 に【ランクアップ】してまだ一ヶ月も経ってへんやん!!どないなっとんねん!?」
「恐らくだけど、成長促進系のレアスキルだろうね」
「…………」
ロキは前回ギルドから発表されたケンマの【ランクアップ】からまだ一ヶ月も経っていないことに驚き、フィンはケンマが成長促進系の『レアスキル』を持っているのではないかと言うと、ケンマは無言を貫いた。
つまり、無言の肯定だ。
成長促進系の『レアスキル』を持っているケンマは、この話からは逃げられないと思ったのかおもむろに溜め息を吐いてから語り始めた。
「はぁ……フィンさんの言う通り、俺は成長促進系のレアスキルを持ってます」
「マジで成長促進系のレアスキルを持っとるんか!?」
「ただ、俺の成長促進系のレアスキルには多分……いや、間違いなくデメリットがあります」
「成長促進系のスキルなのにデメリット?」
「普通の冒険者たちのような、自分より少し強い敵を倒すだけじゃ『偉業』としては認められないんですよ」
普通の『偉業』では、ケンマは『偉業』としては認められない?
一体、どういうことだ?
「まだ確信が得られている訳じゃないんで自信を持っては言えないですけど、多分俺の場合は普通よりも『偉業』の難易度が高くなってるんだと思います」
「『偉業』の難易度が高い?」
「LV.2 に【ランクアップ】が可能になったのは『怪物祭』で出現した食人花を不意打ちで単独撃破したからです。つまりLV.1の状態でLV.4相当のモンスターの撃破が初めての『偉業』として認められた訳です」
LV.1 がLV.4 相当のモンスターを単独撃破、確かに普通に考えればこれは『偉業』として認められるだろう。だが、これだけではケンマの言う『偉業』の難易度の話には繋がらない。
「次に、俺はLV.2に【ランクアップ】して直ぐに強化種のミノタウロスを単独撃破。続いて、ベルたちの協力もあって十七階層で階層主のゴライアスを何とか撃破。更に続いて、ヘルメスの所為で出現したイレギュラーの黒いゴライアスをリヴィラの冒険者たちと共に撃破。これだけでも普通なら『偉業』として認められてもおかしくはないですよね?」
「ああ。普通のLV.2 冒険者であれば、ケンマの言ったモンスターたちを倒していれば『偉業』として認められてもおかしくはない」
「でも、アンタレスを討伐するまで俺は次の【ランクアップ】をするための『偉業』が足らなかったんです。加えて、強敵が俺に引き寄せられているような気もするんです」
「ふむ。そう聞いてみると、ケンマの言う成長促進系のレアスキルを発現したとしてもアビリティの上がりはいいが『偉業』の難易度が跳ね上がり、強敵を引き寄せるという危険性も兼ね備えている。あまり良いスキルとは言えんな」
強敵を引き寄せるという点については私もガレスに同意だ。ケンマの場合、強敵────つまり強化種や階層主、古代のモンスターが引き寄せられているのだろう。これでは、成長促進系の『レアスキル』がうちの団員の誰かに発現したとしても返って危険だ。
特に、強くなることに執着があるアイズに成長促進系の『レアスキル』が発現した場合、最初こそ基本アビリティの上がりが良いからと普通にモンスターを倒していくが上がり値が頭打ちになり、【ランクアップ】をするために強いモンスターを求めた場合、思わぬ強敵と対峙してしまい死んでしまう可能性の方が高いだろう。
「強くなることに執着があるアイズに、このスキルが発現しなかったことが幸いと思った方がいいのだろうか?」
「どうだろうね。現に、成長促進系のレアスキルが発現していなくても、ケンマが言っていた通りアイズは強くなることに執着して単独で階層主と戦ってしまうくらいだし」
「どちらにせよ、アイズは変わらんということだ」
「……………違いないな」
成長促進系の『スキル』があろうと無かろうとアイズのあの強さへの執着に変化はないだろうと、私たちの中で結論付いた。
「リヴェリアの機転で思いがけず、ケンマが【ランクアップ】可能であることと成長促進系のレアスキルを持っていることが判明したけど、今もケンマが僕たちに鍛練を付けて欲しいということは基本アビリティを限界まで上げる認識でいいのかな?」
「はい。LV.3 に【ランクアップ】することはいつでも出来るので限界まで基本アビリティを上げておきたいんです」
フィンの言う通り、LV.3へ【ランクアップ】が可能であるケンマが私たちに鍛練を付けて欲しい理由、それは基本アビリティを限界まで───オールSまで上げること。【ランクアップ】が可能な時点で基本アビリティの何れかは評価値がDを越えており、成長促進系の『レアスキル』があるためそう時間は掛からないだろう。
これは【アポロン・ファミリア】も『戦争遊戯』を仕掛ける相手を間違えたな、とこの場にいる私を含めた全員が共通して思っていることだろう。
「となると、ケンマの要望通りに僕たち【ロキ・ファミリア】の幹部との鍛練だけど、まずアイズとティオナはベル・クラネルの鍛練に回してしまうから除外するとして、ベートは…………難しいだろうね」
「だろうな。あやつは態々他派閥の者の鍛練に付き合うことはせんだろう」
「私も同感だ。ベートよりもフィンが指示を出したティオネが妥当だろう。あるいはケンマと少なからず交流があるレフィーヤ辺りを鍛練相手に当てるのはどうだろう?」
「そうだね。取り敢えず、僕たち三人は可能であればケンマの鍛練に参加。ティオネは僕が指示を出しておくとして、残りはレフィーヤを筆頭にラウル、アキの四人でケンマの鍛練に当たらせよう」
幹部でLV.6 のティオネにLV.4 のラウルとアキ、そしてケンマと同じく【ランクアップ】が可能なLV.3 のレフィーヤか。妥当といえば妥当だろう。
ティオネは怒りが振り切れてしまうと裏の顔が出てしまうが、そうでなければパーティーリーダーを任せられるくらいに統率力があり、故郷で嫌という程に対人戦をやって来ているので今回のケンマの鍛練には打ってつけだろう。
ラウルはオラリオでも珍しい魔法以外なら何でも卒なくこなせる前衛のオールランダー、それも武器に拘りがないため多種多様な戦闘スタイルを持っているもあってこちらも対人戦の鍛練には打ってつけだろう。
アキは猫人族特有のしなやかな動きに冷静な性格も相まって、敵の隙を狙って着実に仕止めようとする。力押しではなく『技』を持って戦うため、こちらも対人戦の鍛練には打ってつけだろう。
そして、我が弟子レフィーヤ。魔法ならば私をも上回るほどの才を持っており、ケンマと出会ってからあの子は色々と成長を遂げている。先日の【ステイタス】更新でも『魔力』の基本アビリティがAに突入しており、私を除いて平行詠唱を使ってくる魔法戦闘での鍛練を任せられるのはこの娘以外にいないだろう。
◇◆◇
〈Sideケンマ〉
アルテミスの冒険者依頼の話を終えると思いがけないことにリヴェリアさんに、俺がLV.3への【ランクアップ】が可能であることに気付かれてしまい、神であるロキの前で『嘘』は付けないので渋々であるが【ランクアップ】可能であることを打ち明けるとフィンさんの名推理で成長促進系の『レアスキル』を持っていることもバレてしまった。
これは流石にヴィクトリアに叱られることを免れないなと思いながら、ちょっとした曲解させる言葉を混ぜながら成長促進系の『レアスキル』は良いこと尽くめではないと認識させるようにした。
正確には俺の身体に宿るドラゴンの特性を利用して、成長促進系の『レアスキル』には『偉業』の難易度がバカ高くなる事と強敵を引き寄せる特性があること誤認させたのだ。そうすることで、もしも仮にベルの【憧憬一途】のスキルがバレたとしても俺のような副作用があるのではないかと神々は思うだろう。
「ケンマの鍛練相手の選出は決まった。あとは、ケンマの寝床だね」
「そうやな………男性側に空き部屋は何処かあったかな?」
「どうじゃろうな。ここ最近は新人も入団しておらんかったし、よく覚えてないのう」
「ならば、これを機にそれぞれ男女の空き部屋状況を確認して置くのはどうだ?今まではラウルとアキに任せ切りだったしな」
「そうだね。リヴェリアの提案通り、僕たちも一度空き部屋を確認して置いた方がいいかも知れない」
トントン拍子で進んでいる俺の寝床の話について行けずにいると、慌てて話に参加することにした。
「あ、あの!俺の寝床って、もしかして鍛練期間中は【ロキ・ファミリア】のホームで寝泊まりをさせてもらえるんですか?」
「僕たちはそのつもりだったんだけど、もしかして宿を取ってたりするかい?」
「いえ、まだ宿の準備はしてないです。ぶっちゃけ、そこら辺で雨風の凌げる場所で寝泊まりすればいいと思って寝袋を持参してたんですけど………」
【アポロン・ファミリア】との『戦争遊戯』になることを想定して、予め早いうちからそれなりに良い寝袋を購入して置いたのだ。他には数日分の着替えなどをバックパックに詰め込んで『黄昏の館』へとやって来ていたのだ。
食事は『豊饒の女主人』で取ればいいし、風呂はバベルのシャワールームで汗を流すかちょっと手間ではあるが『中層』の温泉まで行けばいいかと思っていた。
なので、寝泊まりをさせてもらえるのはとても有り難いことだ。しかし、他の団員からの反応が怖いのでお断りしようと思っていると────
「偶然とはいえ、同族と下界を救ってもらった『英雄』にそんないなことはさせられへんよ。せやろう、フィン、リヴェリア、ガレス」
「ロキの言う通りだ。ケンマがアンタレスを討伐してくれなければ、私を含めた世界中のエルフたちは皆滅びていた。一族を代表して、礼を言わせてくれ」
「僕もだよ、ケンマ。僕は、小人族の『光』となるためにオラリオにいる。キミのお陰で今後もそれを成すために明日を迎えられる。小人族を代表して、礼を言うよ」
「いけ好かないエルフと生意気な小人族がこう言っておるのだ。ドワーフとして、儂もお主に感謝せねばな。ケンマよ、お主のお陰で今後も熱き闘いを求めることができる。礼を言う」
ロキを筆頭に何故かフィンさんたちは俺に頭を下げて礼を述べてくる。寝泊まりの件をお断りするつもりが、何故こんな展開になってしまったのか困惑しながらフィンさんたちに頭を上げてもらうとするが三人は一向に頭を上げようとはしない。
「…………わかりました。フィンさんたちの感謝は受け取ります。その代わり、もしも俺が挫けそうになったら、どんなことでもいいので俺を支えてくれませんか?俺は臆病者なので、一人だと直ぐに心が折れてしまいますから」
「もちろんだよ、ケンマ」
「無論だとも」
「任せておけ」
ダンクロの新アルテミスかわいい。
ログイン画面のアルテミス微笑みかわいい。
バトル勝利の頬染め笑みのアルテミスかわいい。
皆さんはどうですか?
オリ主たちの新本拠地候補
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第六区画 『竈火の館』の近く
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第七区画 元ヘスティア廃教会
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西地区 豊穣の女主人の近く
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北地区 適当に