臆病な『赤龍帝』が冒険都市にいるのは間違っているだろうか?   作:黒牙雷真

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第百二十七話

 

 

 

 

 

 

〈Sideケンマ〉

 

 

 

 

 

嗚呼、せっかく言葉による攻めで怪我人を減らして『戦争遊戯』に勝とうと思ってたのに、やっぱり世の中には救えない盲信者や狂信者がいるものだ。

 

 

「いいぜ、来いよ。ここからは本気で───斬る!」

 

 

ここからは丁寧な戦い方ではなく、某死神代行の内なる力のような荒々しい戦い方の方が良いだろう。せっかく《斬月》を使っている訳だし。

 

そんな訳で俺は《斬月》の持ち手に巻かれている帯を握り、ぶんぶんと《斬月》を高速で回転させる。すると、狂信者たちは身の丈程ある大剣をまるで独楽のように回転させる俺を見て動揺が走る。

 

 

「どうした、怖じ気付いたか?ま、剣を向けたのはてめえらだ。精々、死ぬんじゃねぇぞッ!!」

 

 

某内なる力のような汚い口調で忠告してから《斬月》を勢いよく投擲、それだけで古城の壁が弾け飛び、そこから更に俺が帯を引くことで《斬月》は横へと軌道を変えて、横に転がるように回避した狂信者Aの一人へと迫る。

 

本来ならあり得ない軌道で迫りくる《斬月》に狂信者Aは恐怖を抱いたのか、絶叫をあげながら必死に自分の得物で《斬月》の刃を防ごうする。

 

 

「う、うわあああああ!!?」

 

 

しかし、その程度でLV.3 である俺が操る《斬月》が止まるはずもなく。狂信者Aの得物ごと狂信者Aを派手に吹き飛ばして、ニ~三回ほど地面の上を跳ねて沈黙した。一応、せめてもの情けとして刃は潰してあるので怪我は最悪、複雑骨折か粉砕骨折程度で死にはしないと思う。

 

 

「まずは一人、残るは二人。さぁ、続きといこうぜ!」

 

 

次の標的を決め、《斬月》を手元に引き寄せてから再び高速回転させながら【瞬歩】で一気に距離を詰めて、狂信者Bには当てずに《斬月》を地面へと叩き込むことでその爆風に吹き飛とばされ、《斬月》で開けた壁の穴へとホールインワン。

 

 

「ィィイイハアアーッ!!」

 

「──────!?!」

 

「残るは、てめえだけだな?」

 

「ば、化物ぉおおおお!!」

 

「化物?まぁ、確かに戦い方は化物みたいな奴を参考にしてるが、人を化物呼ばわりとはひでぇな。せめて、ドラゴンとかにしろよ」

 

 

最後の一人である狂信者Cは、人を化物呼ばわりして逃げ出したので【瞬歩】で近付いて、足を引っ掻けて転ばして、転んだ所で顔の真横に《斬月》を振り下ろして、そのまま刃先を顔へと向けて、地面を裂きながら横にスライド。最後は寸止めで止めるはずが、なんとほんのわずかに刃先が狂信者Cの顔に触れてしまった。

 

その所為か、狂信者Cは絶叫を上げたあと白目を向いて気絶してしまい。仕舞いにはお漏らしまでする始末。

 

 

「やべっ、寸止めが少し当てちまった。まぁ、刃は潰してあるし大丈夫だろう」

 

 

自分の未熟さを反省しつつ、狂信者Cの顔が《斬月》で切れていないのを確認してから《斬月》を肩に担いで次はどう動くか考えると俺が破壊した城門からベルとヴェルフがやってきた。

 

 

「よう、派手にやったみたいだな」

 

「リリには悪いが、LV.3 の実力を試したくてな」

 

「あははは………」

 

 

ヴェルフは俺が派手に地面や壁を壊しながら何人か敵を倒したことを確認しながらニヤリと笑みを浮かべ、ベルは俺が力試しをしていることに苦笑いを浮かべる。

 

 

「さて、リリの情報通り内側から行くか?それともショートカットするか?」

 

「ケンマ、お前、まさか………!?」

 

「どうする、ベル。俺たちの大将は、お前だ」

 

「リリのルートで行こう!せっかく僕たちの為に考えてくれたんだもの!」

 

 

やっぱり、お前はそっちの道を選ぶか。俺は効率を考えて、『魔剣創造』による最短ルートを選ぶだろう。しかし効率的な半面、『神の鏡』を通して俺が隠し持っている神器の能力が少なからずオラリオ中の冒険者に知れ渡る危険性も秘めている。

 

リスク・リターンを考えたらベルの選んだ、アニメ通りルートの方が俺個人としては有り難い。別段、超短期決戦でもいいのでアニメ通りで問題はない。

 

 

「敵大将は塔の上だ。先に行け、ベル、ケンマ!」

 

「うん!」

 

「ああ!」

 

 

古城の廊下を走る中、ヴェルフが先に行けというので俺はベルの速度に合わせて駆けていく。その際、チラリとベルの顔を一瞥すると殆ど同じ頃に冒険者となったはずなのに、いつの間に自分よりも先に【ランクアップ】を果たした俺に対して嫉妬心と対抗心が入り交じったような熱い眼差しを向けていた。

 

それを見て、俺は内心で「すぐにお前も【ランクアップ】するさ」と思いながらベルには見えないように笑みを浮かべる。

 

そして、俺たちの先には詠唱を唱え終わっている【アポロン・ファミリア】の魔導士たちと弓兵たちが待ち構えていた。それを知っている俺は、《斬月》を盾代わりにしながらベルに魔法や矢が当たらないように風避けのような役割を担う。

 

 

「ケンマ!?」

 

「迷うな、行くぞ!」

 

「うん!」

 

「放て!」

 

 

【アポロン・ファミリア】所属、ダフネ・ラウロスの駆け声で魔導士と弓兵が一斉に攻撃を仕掛けようとするが、それよりも先に後ろにいるヴェルフの方が一歩速い。

 

 

「【燃えつきろ、外法の業。ウィル・オ・ウィスプ】!!」

 

 

超短文詠唱からなるヴェルフの唯一の魔法。それが唱えられると彼の手から目には見えずらい陽炎のような物が魔導士たちに向かって伸びる。

 

そして魔導士たちの周りの空気が歪んだ刹那、魔導士たちが爆発した。ヴェルフの魔法は、魔法に対するカウンター魔法。つまり、相手の魔法をタイミングよく利用して爆弾へと変える魔法だ。その威力は、相手の魔法に込められた精神力が高ければ高い程に増していく。ザ・魔導士殺しの魔法である。

 

ヴェルフのお陰でダフネを除いて空中廊下にいる【アポロン・ファミリア】の魔導士と弓兵が壊滅したので、俺とベルは彼女の横を抜けて疾走する。

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

〈Sideレフィーヤ〉

 

 

 

 

「───すごい、すごいね、アイズ!?アルゴノゥトくんとケンマが大将のいる塔まで来ちゃった」

 

「うん」

 

 

『神の鏡』に映っているベル・クラネルとケンマが敵大将が待ち構えている白い塔へと到達したことに、ティオナさんがはしゃぎ、アイズはそれに静かに頷く。

 

 

「確かによくやるけど………魔剣があるならあの覆面とケンマで正面から叩き潰せばいいのに」

 

「兎野郎は、自分であの変態野郎にケリをつけてえんだろうよ。イシグロのガキもそれが分かってるからわざと先行して雑魚を蹴散らしてやがる」

 

「つまり、ケンマはベル・クラネルに【太陽の光寵童】と一騎打ちをさせるため、余計な体力の消費をさせないようにしているってことですか?」

 

 

ティオネさんのアマゾンらしい考えにベートさんは否定して、少し分かり難いけどケンマがベル・クラネルを守るようにして先んじて敵を倒していっている理由を述べた。

 

それを聞いた私は、私なりの解釈をベートさんに聞き返す。けれど、答えは教えてくれずに顎で『鏡』を示す。

 

 

「見てれば分かる」

 

 

その返答を聞いて、私は再び『鏡』へと視線を戻すと二人は足を止めていた。そして、二人が何をしようとしているのかが既視感によって理解出来た。

 

 

「あれって、18階層で黒いゴライアスとの戦いで使ってた白い光?!」

 

「レフィーヤ、お前はベル・クラネルの右手に集まっている白い光について何か知っているのか?」

 

「あまり詳しいことは知りませんが、あの白い光がベル・クラネルに集まると何故か鐘の音が聞こえるんです」

 

「鐘の音?」

 

「はい。そして、その鐘の音が大きければ大きほど、これから放つであろうベル・クラネルの攻撃は飛躍的に威力が向上するんです」

 

「なら、ケンマの右手に集まってるあの赤い炎みたいな物は?」

 

「それは私にも分かりません」

 

 

ベル・クラネルの未知の力についてリヴェリア様のお答えして、ケンマの右手に収束されている赤い炎のようなものについて団長が質問されるけど私には答えられるものがなかった。

 

 

『撃て、ベル!俺が合わせる!!』

 

『わかった。行くよ!』

 

 

二人は何かを仕掛ける打ち合わせを手短にすると、それぞれ天井に向かって魔法を放つ。

 

 

『【ファイアボルト】!!』

 

『撃龍拳!!』

 

 

放たれた二人の魔法は、私たちエルフや魔法を使う魔導士に衝撃を与えた。何故なら二人の全く異なる魔法が融合したからです。

 

ベル・クラネルが放った雷炎をケンマが放った赤い飛龍が呑み込み、雷炎をその身に纏う赤き飛龍となって咆哮を上げながら天井を突き破り、どこまでも天高く飛んでいくのでした。

 

 

「ま、魔法が………」

 

「「「「混ざった!?」」」」

 

 

前代未聞の出来事に私たち一同は同じことを口にする。

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

〈Sideアルテミス〉

 

 

 

 

「何だ今のおおおおおおおおッ!?」

 

 

ケンマとベルがやってみせた前代未聞の出来事にバベルは絶叫に包まれていた。

 

 

「無詠唱!?」

 

「呪文唱えてないのにあの威力とかー!!」

 

「それよりも魔法の融合とかありえねぇだろう!?」

 

「なにゾン・レイドだよ!?」

 

「あのヒューマンたち欲しいいいいいいッ!?」

 

 

広間の中で沸きに沸く全ての神々。

 

無詠唱で放たれるベルの特大の雷炎。同じく無詠唱で特大の雷炎を喰らう赤き飛龍。二つの魔法が魔法が融合して、雷炎を纏う飛龍が神々の興味の眼を釘付けにした。

 

そう言う私やヴィクトリア、ヘスティア、ヘルメス、アポロンまでもがベルとケンマのやってのけた『未知』に釘付けになっている。

 

 

「ヘスティアにヴィクトリア、キミたちはあの二人の未知の魔法について知っているか?」

 

「いや、知らない」

 

「わたしも知らないわ」

 

「じゃあ、まさか、ぶっつけ本番………即興で?!」

 

「いえ、それは違います」

 

 

ヘルメスがヘスティアとヴィクトリアに、あの未知の魔法について尋ねたが彼女たちは何も知らなかった。そのことからケンマとベルがやったのは即興なのではとヘルメスは考えたがそれを彼の眷属であるアスフィが否定する。

 

 

「先ほどケンマは、合わせると言っていました。そのことからあの未知の魔法は、即興ではないことが伺えます」

 

「じゃあ、最初から………」

 

「ええ、恐らくは」

 

 

この場にいる神々とアスフィでケンマたちの未知の魔法について、色々と考察してみるも『戦争遊戯』は最終局面を迎えようとしていた。

オリ主たちの新本拠地候補

  • 第六区画 『竈火の館』の近く
  • 第七区画 元ヘスティア廃教会
  • 西地区 豊穣の女主人の近く
  • 北地区 適当に
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