臆病な『赤龍帝』が冒険都市にいるのは間違っているだろうか? 作:黒牙雷真
近頃、外の気温が熱くて滅入ってしまって指に気分が乗りませんでした。今章は、章の半分以上を完成させてから投稿したかっですが中途半端になってしまいました。
因み、今章の前半は少しネタバレになりますがグロシーンが含まれておりますのでご了承ください。
それでは、新章【憤怒×因縁×価値観】をどうぞ!
第百五十二話
〈Sideケンマ〉
「それでぇ?レフィーヤにあないなこと仕出かしておいて、ウチの前にどの面さげて来たんや、ケンマァア?」
「何故、レフィーヤにあのような醜態を晒すようなことを強要したのかも説明してもらうぞ、ケンマ」
「ケンマのスケベ!変態!二代目おっぱいドラゴン!」
「その件に関しては色々と人の命も関わっておりましたので、誠に申し訳ありませんでした!!」
春姫が俺たち【ヴィクトリア・ファミリア】に改宗した翌日、俺と春姫は先日の【イシュタル・ファミリア】との抗争で俺たちに勝利をもたらしてくれた影の立役者であるレフィーヤに感謝とその際に彼女のエルフとしての尊厳を著しく害してしまったのでその謝罪も込めて【ロキ・ファミリア】に訪れていた。
そして俺は絶賛般若顔のロキと額に青筋を立てているレフィーヤとリヴェリアさんに土下座中です。フィンさんとガレスさんは我関せずのスタンスで、春姫に関しては状況が今一理解出来ずに後ろでずっとオロオロとしている。
「そんなら詳しく説明してもらおうか?いつまでも土下座のままやと、話が始まらん」
「分かりました。えーっと、今回の件は隣にいる春姫の魔法を巡っての抗争になります」
「一体、どんな魔法や?」
「名前は【ウチデノコヅチ】でまたの名を『階位昇華』、効果は対象者のLV. を一時的に一つ上げる【ランクアップ】の魔法です」
『階位昇華』の話を打ち明けると俺たち以外の全員が目を見開いて驚く。
「それをイシュタルは、殺生石という禁忌の魔道具で春姫の命と引き代えに『階位昇華』と同じの効果が使える魔道具を量産、そして【イシュタル・ファミリア】の戦闘娼婦全員に与えて【フレイヤ・ファミリア】と戦争をするつもりだったみたいです」
「【フレイヤ・ファミリア】と戦争やと……バカなことを考えおったなイシュタルのアホめ……」
「けど、ケンマの言った通りに一時的とはいえ【ランクアップ】が可能になる魔道具を量産されたとなればかなり厄介なことになっていたのは間違いないね。そう思うとケンマが神イシュタルの目論見をご破算にしてくれたことには、僕らも感謝するべきかな」
「えーっと、【ロキ・ファミリア】も【イシュタル・ファミリア】との間に何かあったんですか?」
フィンさんの口振りから『殺生石』を止めたことで、【ロキ・ファミリア】にもメリットが生まれたというように聞こえるのは俺の勘違いかと思い、念のため彼に聞き返す。
「そういえば、ケンマは知らなかったね。僕たちは【イシュタル・ファミリア】が闇派閥と裏で繋がってると判断している」
「ッ───本当ですか、それ!?」
「僕らの中では【イシュタル・ファミリア】ならば、闇派閥へ資金援助して例の人造迷宮の建設及び拡張を可能にしていたんじゃないか、そう思っている」
「資金援助………歓楽街か!」
確かに酒池肉林が犇めく歓楽街を支配圏に置いていた【イシュタル・ファミリア】ならば多額の資金を影でそれも闇派閥に資金援助することも可能だ。
もしも本当に【イシュタル・ファミリア】が闇派閥と繋がっていたとしたら……そこまで考えてヤバい想像をしてしまった。
「やっぱり、春姫を助けて正解だったな。これが現実になってたらオラリオはヤバいことになってたはずだ」
「ケンマ、そのヤバいことを聞かせてくれるかい?」
「これはあくまでもはあり得たかもしれない未来の一つです。もしも『階位昇華』の魔道具が完成してしまった場合、それを闇派閥が察知して【イシュタル・ファミリア】からその魔道具を奪い、独占した場合のそんな最悪のオラリオの未来です」
「「「「ッ!!」」」」
俺の思い描いた最悪の展開に春姫を除いた全員が顔を青くして息を飲んだ。それほどに『階位昇華』の魔道具はヤバいし、闇派閥の手に渡ってはいけない物だと再認識した。なので今回は、このあり得たかもしれない可能性を詰むことが出来たので偶然とはいえどファインプレーと言わざるを得ない。
しかし、それは今回が上手くいっただけでアイシャにも言って頼んだが第二第三の『殺生石』がオラリオに持ち込まれ、そのうちのいずれかが闇派閥の手に渡った場合も同じ最悪の未来に繋がる。
「フィンさん、【ロキ・ファミリア】に個人的なお願いがあります」
「一応、内容は聞こう」
「もしも俺たち【ヴィクトリア・ファミリア】に何かあった時は、何としてでも春姫は保護してください」
「こんっ!」
「何故、そのような答えに………いや、なるほど、そういうことか」
「はい。多分、フィンさんの考えている通りです。今回は何とかなりましたけど、第二第三の殺生石がオラリオに持ち込まれても、完成した魔道具が闇派閥の手に渡るのは最悪の未来と変わらない。ただ、時期が変わっただけに過ぎない」
「「「…………」」」
「幸いにも春姫の『階位昇華』を知っているのは元【イシュタル・ファミリア】の中でも戦闘娼婦だけだと思います。念のためそのうちの一人で腕が立つ戦闘娼婦には、都市外から殺生石が入って来ないかの監視をしてもらうために【ヘルメス・ファミリア】に移籍してもらうように頼んであります」
「以外と用意周到じゃないか、ケンマ」
「いえ、フィンさんから【イシュタル・ファミリア】が闇派閥と繋がってるかもしれないだなんて話を聞くまでは、また春姫を危険な目に合わせないようにするための予防策としか考えていませんでしたよ」
当初は今述べた通り、春姫が狙われないようにするための予防策だった。しかし、それが巡り巡ってより重要な予防策に繋がるとは思ってもみなかった。偶然とはいえ、数十分前の俺ってばナイスファインプレー。
「まぁ何にせよ、そこの狐人が闇派閥の手に渡るのはあかんちゅうことやな?」
「そういうことになります」
「であれば、僕らもケンマのお願いを聞き入れない訳にはいかないね。これもオラリオのためだ。その代わりだけど、レフィーヤのエルフとしての尊厳を犠牲にして得たという新しい力を僕らに見せてくれないか?」
「んー、まぁそれくらいならいいですよ」
「よし、なら前に使っていた鍛練場に行こうか」
「分かりました」
十中八九こうなることは予測していたのでフィンさんたちに真『女王』を披露することに【ファミリア】として支障はない。これは自惚れでも過信でもなく、それほどまでに赤龍帝の力は冒険者としての能力から逸脱しているのだ。
ただ単純に『ダンまち』と『ハイスクールD×D』では、パワーインフレの基準が違い過ぎて脅威にならないのだ。それこそ、アンタレス級でない限りは相手にならないだろう。
そんな訳で久しぶりに鍛練場に到着すると、当たり前だけど壁や石床が綺麗になっている。あの時はガレスさんに勝ちたい一心で鍛練場を酷い有り様にしてしまったが、今回はそうならないように気を付けよう。
「それじゃあ、ケンマの新しい力を見せてくれ」
「分かりました」
早速、フィンさんたちに真『女王』を披露するためにまずはブーステッド・ギアを具現化、それだけでもレフィーヤと春姫を除いた四人は驚きを隠せていなかった。
そこへ禁手を発動させることで更に驚きを重ねてもらうことにした。
「禁手化ッッ!!」
『Welsh Dragon Balance Breaker!!!!』
突如として、俺の身体から沸き上がった赤いオーラが今度は鎧となって身体を包み込むことに、四人は口を開けたまま言葉を発することなくまた驚く。
しかし、これで終わりではない。ここからもう一段階、俺は強くなる。そのためにはイッセーに声をかけてから【プロモーション】または【転生悪魔化】のスキルを使って『女王』へと昇格した状態で詠唱を唱える必要がある。
なので、今回は【転生悪魔化】のスキル検証も兼ねてスキル効果で『兵士』から『女王』に昇格してから詠唱を唱える。
(今回も頼むぜ、イッセー!)
『仕方ねぇな!』
「『我、目覚めるは王の真理を天に掲げし、赤龍帝なり!』」
『汝らは、王の真理を天に掲げし者なり!』
「『無限の希望と不滅の夢を抱いて、王道を往く!』」
『無限の希望と不滅の夢こそ、汝らが刻む王道なり!』
「『我、紅き龍の帝王と成りて────』」
『汝らは赤を超越せし、真紅の帝王なり!』
「『汝を真紅に光り輝く天道へ導こう───ッ!』」
『汝らは、我らを真紅の天道に導く龍帝なり!』
「『カーディナル・クリムゾン・プロモーション!!』」
『Cardinal Crimson Full Drive‼‼』
詠唱を唱え終わると、ブーステッド・ギアから真『女王』へと変身する音声が鳴り、『赤龍帝の鎧』の色と形が紅の鎧へと変化する。
それからこれはベルに聞いた話なのだが、真『女王』の状態の俺からは他の禁手よりも圧倒的な存在感を感じるらしい。なので、下手にその存在感をぶつけられると恐くて仕方ないと言っていた。
「お待たせしました。これがレフィーヤの尊い犠牲によって得た姿であり、例のアンタレスを倒した奥の手に匹敵する『真紅の赫龍帝』です」
「なんという存在感だ。まるで深層の階層主を……いや、それ以上の相手を前にしている感じだな」
「これには僕もちょっと予想外かな………」
「ガハハハ!これがあのアンタレスを倒した奥の手に匹敵する姿か!!」
「な、なんですかそれぇー!!」
「…………ぁが」
真『女王』をその目に映したリヴェリアさん、フィンさん、ガレスさん、レフィーヤの順でそれぞれの感想を述べる。ロキは俺から放たれるあまりの存在感に白眼を剥いて気絶してます。春姫は、真『女王』の俺を見るなり頬を赤くしながら忙しなくケモ耳と尻尾がピコピコブンブンと動いている…………もしかして、発情期かな?
「どうだ、レフィーヤ。お前の尊い犠牲のお陰でこいつが使えるようになったんだぜ?」
「た、確かに驚きましたが鎧の形と色が変わっただけじゃ………」
「所がどっこい!さっき話した春姫の『階位昇華』を受けて一時的にLV.6 へと【ランクアップ】したあのフリュネを一方的にボコボコにできるくらいにこいつは強いんだぜ?」
「えっ!ケンマの言っているフリュネって、もしかして【男殺し】のフリュネ・ジャミールのことですか!?」
「そうそう、あのヒキガエルのこと。最初は回し蹴りで鼻の骨をへし折って、それからこいつの特性を使って攻撃力と防御力を上昇させてからフリュネのがら空きだった贅肉に腹パンしたら、あいつ軽く吹き飛んで腹を抱えて悶絶してた」
「LV.6 を悶絶させる一撃って………」
「そのあとは、心身共に俺に勝てないことを理解させるために治癒魔法で怪我を治してやってからフリュネの攻撃を敢えて無抵抗で浴びて、自分の攻撃が全く通用しないことに怯え始めてきたと思ったらあのヒキガエル、とんでもないことを口走りやがったから少しキレちゃってさ」
「ち、因みにどんなことを?」
「あのクソヒキガエル、言うに事欠いてアタイを抱かせてやるとか抜かしやがった」
「そ、それは……」
「災難じゃったなケンマよ……」
同じ男であるフィンさん、ガレスさんは、もし自分もフリュネにそんなことを言われたら嫌悪感から吐き気を催しそうだと共感してくれた。
「それで、あまりにも気持ち悪いもんだがら元同じ派閥だった春姫のことを話に持ち出して「てめえみたいな下手物よりも俺は春姫みたいな女が好みなんだよ!」って叫びながら───」
「こんっ!わ、私ですか!?」
「──怒りを込めて師匠直伝の体術でフリュネの顔が一見誰だが分からないように原形を留めないくらいに拳と足でボコボコにしてから思い切り蹴り上げて、最後はレフィーヤを呼び出した【イシュタル・ファミリア】の宮殿の屋上より高い場所から蹴りをめり込ませながら一階にダイブアタックを決めて倒した」
ジェスチャーを交えながらフリュネとの戦いを説明すると、途中で春姫のことが出てきたのでそれを聞いた彼女はまさか自分のことが出てくると思ってもみなかったのかケモ耳と尻尾をビンッ!と逆立てながら顔を赤くして驚いていた。
またフリュネとの戦いで春姫のことを話に持ち出したことを話すと、当の春姫と気絶しているロキ以外の皆様は呆れたような表情を向けてくる。まぁ、理由は分かってます。
「言っておきますけど、春姫のことを話に持ち出したのは同じ派閥のやつなら簡単に自分と比較できると思ったからで、他に深い理由はない。あったとしても、それは春姫がレフィーヤに続いて俺の推しになっただけのことだ」
「ケンマ、一人の男として忠告しておくよ。キミはいつか背中から刺されるかもしれないから気を付けておくんだ」
「い、一応、これでも気を付けては─────」
そこまで言いかけると突如として鍛練場の扉が物凄い音を立てて吹き飛んだ。何の騒ぎだと思い振り返るとそこには顔を俯かせたアイズの姿があった。
そんなアイズからは明らかにいつもと異なる様子が漂っている。そう思っているとレフィーヤが彼女の名前を呼ぼうとした刹那、明確な殺意と共に俺へ目掛けて、アイズは抜剣して俺に突っ込んできた。
「あ、アイズさ───」
「ッッ──────!!」
LV.6 の身体能力をフルに使って突っ込んで来たアイズに驚きながらも俺も真『女王』のポテンシャルを生かして、アイズが突き出してくる《デスペレート》を人差し指と中指で挟んで止める。
「何の真似だ、アイズ」
オリ主たちの新本拠地候補
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第六区画 『竈火の館』の近く
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第七区画 元ヘスティア廃教会
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西地区 豊穣の女主人の近く
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北地区 適当に