臆病な『赤龍帝』が冒険都市にいるのは間違っているだろうか?   作:黒牙雷真

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第十六話 ※【ステイタス更新】

 

 

 

 

 

〈sideケンマ〉

 

 

 

 

 

──────────────

 

 

石黒ケンマ

 

 

 

Lv.1

 

 

《基本アビリティ》

 

 

力  : H176→G256

 

耐久 : G277 →D595

 

器用 : I94 →G204

 

敏捷 : H138→G246

 

魔力 : G107→E403

 

 

 

《魔法》

 

 

【プロモーション】

 

・『騎士』、『戦車』、『僧侶』、『女王』に昇格できる。

・昇格した物によって、一定時間アビリティ能力超高強化補正。

 

 

詠唱:【プロモーション・────!!】

 

 

【】

 

【】

 

 

《スキル》

 

 

【赤龍帝を宿し者】

 

・早熟、進化する。

・想いの丈によって効果向上。

・想いの丈によって効果持続。

 

 

【魔力操作】

 

・イメージによって対象魔法の行使が可能。

・対象魔法分の体力、魔力、精神力のいずれかを消費。

・効果、威力はイメージに依存。

・任意発動。

 

 

【言語和訳】

 

・全ての言語を和訳。

 

 

─────────────────────────

 

 

 

 

 

 

【ロキ・ファミリア】のホームである『黄昏の館』にて『怪物祭』に現れた新種モンスターこと、花人花と諸々の話を終えて、俺たちのホームにて帰ってきて早速【ステイタス】の更新を行ってみたがエグいくらい成長している。

 

 

「また『耐久』と『魔力』が桁を越えたわね」

 

「三日も更新してなかったし、『怪物祭』で死にかけたからからな。それに見合った成長がなければ、やってられないぜ」

 

「まぁそうよね。それとおめでとう。【ランクアップ】可能よ」

 

「ふぁっ!?」

 

 

ヴィクトリアの口から「【ランクアップ】が可能」だと伝えてられて変な奇声を上げてしまった。

 

普通、【ランクアップ】するには前提条件として【ステイタス】の基本アビリティのいずれかがDに上がっていなければならない。俺は場合は、『耐久』がDになっているのでクリアだ。あとは、神々が認めるような『偉業』を成し遂げること。簡単に言えば、格上のモンスターを倒すこと、とどのつまり下克上である。

 

その下克上を俺が成し得たとすれば、ブーステッド・ギアの倍加で三十六倍した状態で《エクス・デュランダル》から放った疑似【月牙天衝】で屠ってみせた食人花以外には【ガネーシャ・ファミリア】から色ボケ女神ことフレイヤがベルを見定めるために逃がした俺が到達していない階層のモンスターたちくらいで、思い当たることはそれなりにある。マジで、ブーステッド・ギアと《エクス・デュランダル》様様である。

 

 

「どうするの? このまま【ランクアップ】するの?」

 

「いや、まだしない。基本アビリティが全てオールSかSSに成長するまでは待ってくれ」

 

「まったく、ロキの言う通り欲深いわね」

 

「これでも前世では、かなりのゲーマーだぜ? RPGゲームみたいに【ステイタス】が上がるなら限界まで上げたいのがゲーマーの性ってやつさ」

 

 

取り敢えず、【ランクアップ】できることはわかった。あとは、地味に基本アビリティを上げて行くだけなので、ベルに置いていかれると思って行き急ぐ必要はなくなった。

 

なにより、【ランクアップ】したあとの潜在的な基本アビリティは高ければ高いほど同じLV. の冒険者であっても差が生まれるということをヘルメスかロキ辺りが言っていたはずだ。であれば、それに越したことはないだろう。

 

 

「あっ、そういえば発展アビリティは何があるんだ?」

 

「発展アビリティは、まず『狩人』、『精癒』、『治力』の三つね」

 

「『精癒』は日頃、【プロモーション】やドラゴンショットを使ってるからだな。『治力』も日頃の鍛練でリューさんにボコられてるのと食人花にやられて死にかけたからだな。基本アビリティがオールSになった頃には発展アビリティが増えたりすると思うか?」

 

「さぁ? わたしもケンマが初めての眷属だから未知数ね」

 

「だよなぁ。仕方ないな、エイナさんに聞いてみるか。ヴィクトリア、【言語和訳】のスキルだけ残した【ステイタス】の羊皮紙を作ってくれ。明日、エイナさんに渡して相談する」

 

「わかったわ」

 

 

改めて、見せていい『スキル』だけを残した【ステイタス】の紙を作ってもらい確認すると、ベルのようなレアな発展アビリティが出ていなかったと、ふと思ってしまった。

 

 

「無い物ねだりしても意味がない。オールSになった時のお楽しみにしておくか」

 

 

 

 

○●○

 

 

 

 

翌日、日課になり初めている『豊饒の女主人』での早朝鍛練で、今日、俺を指導してくれるのは【黒拳】の二つ名を持つ、ルノアさんだ。

 

 

「今日からこの曜日の鍛練は、私が担当するからよろしくねケンマ」

 

「よろしくお願いします」

 

「さてさて、それでケンマはリューとは、どんな鍛練をしてたの?」

 

「基本的には、剣と素手での鍛練をしてました。なので、今日は素手でやろうかと」

 

「なるほどね。素手での肉弾戦は、私が最も得意な戦い方だから教え易いね。それじゃあ、始めるよ」

 

「はい!【プロモーション・ルーク】!!」

 

 

鍛練を始める前に、いつも通り【プロモーション】の魔法で『力』と『耐久』にアビリティ補正がかかる『戦車』へと昇格して、ファイティングポーズを構える。

 

 

「なるほど、それがリューの言ってたアビリティに補正をかける魔法ね」

 

「これを使わないでLV.4 の攻撃を受けたら直ぐにやられちゃいますから」

 

「いつでも掛かってきなさい!」

 

「行きます!」

 

 

まずは、地面を蹴ってルノアさんに迫る。拳が届きそうな間合いに入ったら右拳で、彼女の鼻先を狙うように正拳突を放つが完全に当たる前に握り拳を解いて、腕の軌道を右に凪払う。某忍者の漫画で仙術を会得した主人公のやった戦い方だ。

 

ルノアさんの視線が右に凪払う手に釣られたのを見計らってから更に一歩前に出て、左拳を下から腹部に狙って打ち込むが、楽々肘と膝に左腕を挟まれて止められてしまった。

 

 

「んー、右手で殴ると見せかけて視線を誘導させる囮にして、その隙に間合いを更に詰めてからの左から一撃は凄く良かったよ。これはリューに習ったの?」

 

「いえ、故郷にある少年向けの娯楽に出てきた技を見よう見真似ただけです。誰かに教わったとかではないです」

 

「見よう見真似ただけって、普通にそれって凄いことだからね!?」

 

 

正確には動きを真似ただけで本家と比べたら汚水と天然水との違いだ。まずもって、狐を身体に宿している忍者は仙術を会得しているので同じ技へと昇華させるには何十年かかるか分からない。

 

アニメ技にルノアさんが驚いたあと、即座に流れが彼女の方へと流れて行き、一撃一撃がかなり重くて『戦車』に昇格しているのにも関わらず攻撃を受け止る度に腕の骨がギシギシと軋んでいるのが分かる。

 

 

「ほらほら、余計な考えごとをしてないで、しっかりと拳の軌道を観察して捌きなさい」

 

「は、はい!」

 

 

俺の動きが少しでも悪くなると声をかけて、意識を集中させようと促してくれるので助かるのだが不意に蹴りを放つのは止めて欲しい。

 

 

「うぐっ!?」

 

「ほら、脇が甘くなってる。実戦なら良いの喰らってるよ」

 

「は、はい…………」

 

 

不意にルノアさんの蹴りが守りの甘くなっていた脇腹へと諸に突き刺さり、痛みで思わず膝を着いてしまうがリューさんと一週間鍛練したお陰で痛みに耐えながら臨戦態勢を解かず、相手から視線を外すなんてことがなくなり始めていた。

 

最初の頃は、痛みを感じるところに視線を向けてしまい怪我の具合を確かめているうちにリューさんの木刀を頬に何発も受けていた。その都度「痛くても臨戦態勢は解いてはダメです。ましてや、視線を敵から逸らしてしまうのは自殺行為だ」と叱られていた。

 

そんなことがあったなと脳裏に過るが、即座に通り過ぎて行き、脳内では次の動きやルノアさんの攻めをどうにかしようとする思考で一杯になる。

 

更にルノアさんの打撃を受け止めると、ずっしりとした重みのある痛みがジワジワと身体を蝕んで行き、明らかにリューさん以上に一撃一撃の威力が高い。そのため、防御姿勢を力付くで抉じ開けられ、無防備な腹部にルノアさんの掌底が打ち込まれて、後方へと吹き飛びながら肺の空気が押し出されて、息が苦しくて踠く。

 

 

「ゲホッ、ゲホッ、ゲホッ、ゲホッ!!」

 

「ごめん、ケンマ。力の加減をちょっと間違ちゃった」

 

「へ、平気………ゲホッ……です」

 

 

正直、めちゃくちゃ痛いし苦しい。

 

 

「今日はここまでにしようか、本格的な素手の肉弾戦は、今日が初めてでしょう?剣で斬られるのと違って、打撃は身体の奥にまでダメージが浸透するから馴れないうちは危ないわ」

 

「わかり……ました。ありが、とう………ございます」

 

 

地面を這いずりながら何とか起き上がろうと試みるがルノアさんの言葉通り、打撃によるダメージが思いの外、身体の奥まで浸透しているようで上手く力が入らずに立ち上がることすらままならない。

 

他にも、気付けば両手に痺れを感じているのを今になって実感するほど、限界だったようだ。

 

 

「動けるようになったら、野菜の皮剥きお願いね」

 

「了解です」

 

 

本日の早朝鍛練が終わると少し離れたところで、自主鍛練の素振りをしていたリューさんが心配になって、様子を見にやってきた。

 

 

「随分、ルノアの打撃をもらっていたようですが、本当に大丈夫ですか?」

 

「大丈夫なようで大丈夫じゃないです。その証拠に、両手が痺れてます」

 

「では、僭越ながら回復魔法を使いましょう」

 

「ありがとうございます」

 

「【今は遠き森の歌。懐かしき生命の調べ。汝を求めし者に、どうか癒しの慈悲を】」

 

 

リューさんは、俺に回復魔法をかけてくるようで、片手を俺に向けながら短文詠唱を唱える。詠唱が終わり、魔力の収束が完了。

 

 

「【ノア・ヒール】」

 

 

魔法名と共に魔力が解放されると、木葉のような鮮やか緑の光が、俺の身体を包み込むと、ジワジワとではあるが痛みと疲労感が回復していくのを感じる。

 

思わず、この魔法はリューさんの優しさから生まれた回復魔法なのではないだろうかと勝手に思ってしまうほどに、痛みと疲労感が回復していくのが優しく、心地良い。

 

痛みと疲労感が大分抜けてきたところで、ミアさんとの約束通り、籠に入れられている大量の野菜たちに魔力を流し込んで指パッチンを鳴らして皮を剥く。

 

 

「野菜の皮はこれでよし。明日は、誰が鍛練の指導してくれるんだろう」

 

 

前世の世界で、インドア派だった俺が痛くて辛い鍛練に耐えられているだなんて信じられない。前世なら、三日と持たずに部屋でゴロゴロしていたはずだ。

 

けれど、今は自分が強くなることへの欲が出ている。まるで、自分自身がゲームのキャラクターとなって、育てているような感覚で面白しくて、楽しくて仕方がないのである。

 

 

 

○●○

 

 

 

早朝鍛練、野菜の皮剥きを終えて、ベルと共に『怪物祭』の事前準備で声をかけることができなかったアドバイザーのエイナさんに話があるので、ギルドへ立ち寄ることにした。

 

 

「おはようございます、エイナさん」

 

「ちわーっす、エイナさん」

 

「おはよう、二人とも。これからダンジョン?」

 

「はい。それで、『怪物祭』の前のダンジョンの帰りにケンマと話して、そろそろ防具をちゃんとした物を揃えた方がいいんじゃないかなって。それで、アドバイザーのエイナさんの意見も聞きたくて」

 

「なるほどね。確かに、キミたちの装備はギルドから支給された物だから心許ないのは間違ってないわね。そ・れ・に、ケンマくんは先日死にかけたみたいだしね」

 

「うぐっ!」

 

 

あの時、逃げ遅れて屋台の影に隠れていた子供をエイナさんに任せていたからレフィーヤを食人花から庇ったのも見ていたのだろう。

 

 

「その説は大変ご心配をおかけしました」

 

「まったくだよ。反省しなさい」

 

「すみません。あと、個別でエイナさんに相談したいことがあって、個室借りれますか?」

 

「少し待っててね」

 

 

エイナさんが個室を用意している間、ベルからは死にかけたことについて訪ねられたので『怪物祭』で逃げ出したモンスターにやられたと答えた。ベルの方も『怪物祭』の騒動で、ダイダロス通りにてシルバー・バックを単独で撃破したと《ヘスティア・ナイフ》を見せながら話してくれた。

 

お互いに『怪物祭』の騒動で何があったのかを報告し合っていると個室の用意が出来たようで、エイナさんから声がかかったので、ベルには待合ブースで待っててもらうことにした。

 

 

「それで相談って?」

 

「進出階層を増やす相談です。その相談に当たって、今の俺の【ステイタス】でソロとパーティー、両方の意見を教えて貰いたいんです」

 

 

そう言いながら昨年更新した【ステイタス】が写されている羊皮紙を裏側にしながら、向かい側に座っているエイナさんへ差し出す。エイナさんも差し出された物が何なのか察しているようで、こんなことを言ってきた。

 

 

「ケンマくんの考えはわかったわ。キミの【ステイタス】を見る前に、これだけは約束する。今から見る物は私は誰にも話さないと約束する。もしもケンマくんの【ステイタス】が明るみになることがあれば、私は相応の責任を負って、キミに絶対服従を誓うよ」

 

「もしもその時は、うちの【ファミリア】に入ってください。エイナさんみたいな人は、どの【ファミリア】でも貴重ですから」

 

「因みに、それはどういう意味で?」

 

「無論、ギルドで培ってきた膨大なダンジョンの知識ですよ。俺の故郷には、『筆は剣よりも強し』という諺があります。それを曲解して、いくら【ステイタス】が強かろうが知識がなければダンジョンでは生き残れないと、俺は思ってます」

 

「はぁ、他の冒険者もキミみたいに慎重派になってくれれば、私たちギルド職員も楽を出きるのになぁ…………」

 

 

本音の籠った愚痴を述べながらエイナさんは、差し出された羊皮紙を手に取り、確認する。すると、「ピシリッ」と石になるような効果音と共にエイナさんが固まる。

 

けれど、直ぐに石化から解放されて【ステイタス】について訪ねられる。

 

 

「ど、どどどどいうこと!? キミ、冒険者になってまだ一週間だよね?! なのに、この【ステイタス】の値は…………」

 

「冒険者になって二日目からうちの主神の伝で、とある【ファミリア】に所属してたLV.4 の元冒険者に、早朝から日が登るまでずっと鍛えてもらってるんです。今日からは、週五日でLV.4 が四人、LV.6が一人、計五人の元冒険者の方々に指導してもらうことになったんです」

 

「元とはいえ、LV.4 が四人、LV.6が一人。それも週五日って、キミは凄い神様の眷属になったね。普通、出来たての新参【ファミリア】じゃあ、到底ありえないことだよ」

 

 

エイナさんは、こめかみを抑えながらそう言った。

 

 

「俺も運や機会に恵まれたと思ってます」

 

「キミの【ステイタス】を見た上で、言わせてもらうとソロなら8階層、パーティーなら10階層まで。無論、これはちゃんとした防具を装備することが前提だからね」

 

「わかってます。防具に付いてもちょっとした縁で、近内にとある【ファミリア】の上級冒険者の人と買いに行く予定です」

 

「はぁ、まったくキミとキミの主神の交友関係はどうなってるのよ…………」

 

 

今度は両手で頭を抑えてしまうエイナさんには申し訳ないが、防具に関してはフィンさんが引き下がってくれなかったが悪いと個人的には思っている。

 

進出階層の相談が終わり、ベルと合流したら7階層まで探索して良いと太鼓判を押されたことを報告するとハイタッチして喜ぶのであった。

オリ主たちの新本拠地候補

  • 第六区画 『竈火の館』の近く
  • 第七区画 元ヘスティア廃教会
  • 西地区 豊穣の女主人の近く
  • 北地区 適当に
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