臆病な『赤龍帝』が冒険都市にいるのは間違っているだろうか? 作:黒牙雷真
いやー、新投稿が遅れてしまって読者の皆様には申し訳ないのです。ぶっちゃけ今章は毎回難産が続いております。それ故に今回は生存報告として新しい章を一話だけ投稿させて頂きました。
マジで、難産で頭が禿げ散らかしそう………………あと、久しぶりのモンハンダブルクロスSwitch版タノシイ!!
さてさて、私事とはここまでにして新章『出会います、「異端児」!?』をお楽しみください。
第百七十八話
〈sideケンマ〉
「はあああああッ!!」
「おーおー、今日は珍しくやけ張り切ってやがるな、ダフネのやつ」
「まぁ【ランクアップ】間近だからな。そりゃあ張り切るわなぁ」
ベルたちが無事にオラリオに戻ってから三日が経った今日。俺たちはいつもよりも足を伸ばして19階層を少し探索してから『リヴィラの街』で休息を取り、地上へと戻るつもりだったのだ。ダンジョンではイレギュラーが起こるのは冒険者としては常識、ということで19階層で『ファイアーバード』という名前の通り火炎攻撃を仕掛けてくる鳥型の稀少種が異常事態な大量発生が起こってしまい、それを討伐する冒険者依頼を街の頭目であるボールスのおっさんから街にいる上級者に全員に申し込まれた。
冒険者依頼ということで依頼内容と報酬内容を聞いてから、俺たちは一度それぞれの【ファミリア】でボールスのおっさんから冒険者依頼を受けるか否かを相談した結果、両【ファミリア】は一部のメンバーだけでおっさんからの冒険者依頼を受けることにしたのだ。
そのメンバーとは【ヴィクトリア・ファミリア】から俺とダフネ、【ヘスティア・ファミリア】からはベルとヴェルフが今回の冒険者依頼を受けることになった。そして冒頭に戻り、前報酬として受け取った『サラマンダー・ウール』を纏った上で【赤龍帝からの贈り物】、【リジェネガ】、【リベホイム】、【ブバーハ】、【マジックバリア】のスキルと魔法を施した炎メタ自動回復状態で縦横無尽に炎鳥や他に遭遇したモンスターを悉く屠って行くダフネを見ながらヴェルフは驚嘆し、俺も彼女が張り切っている理由を呟く。
「ふぅ……これで全部かな」
「お疲れ、ダフネ。水はいるか?」
「まだ大丈夫かな。それより……【リトル・ルーキー】は?」
「「え?」」
ダフネからベルは何処だと尋ねられて俺とヴェルフは思わず後ろを振り返ると、ずっと後ろに居ると思っていたはずのベルの姿がなかった。最初こそ俺も「マジか」と思ったがよくよく考えばアニメ知識からこのタイミングでベルはウィーネと遭遇するのだと思い出す。
しかし、そんなことを知るはずもない隣にいるヴェルフは本当にベルがいないことに慌て出す。
「Oh……」
「おい、ふざけろ!マジでベルのやつ居ねぇじゃねぇか!!」
「はぁ……ウチらの団長もそうだけど、【リトル・ルーキー】も大概トラブルに巻き込まれる体質だよね」
呆れながら言うダフネの言葉に反論したいがブーステッド・ギアを宿している性質上、トラブルに巻き込まれる体質なのは間違いない。なので、反論出来ない。
「取り敢えず、一度18階層に戻って命をパーティーに加えてからベルのやつを探そう。ダフネはともかく、俺とヴェルフはまだ19階層に慣れてないし、下手に探し回って二次遭難なんて笑えないからな」
「だね。命がいない以上、団長の言う通り【リトル・ルーキー】一人をこの『大樹の迷宮』の中から無闇に探し出すのはかなり危険が伴う。それと出来れば、治癒師のカサンドラと【ウチデノコヅチ】を使える春姫も連れて行きたいかな」
「なら、一層全員でベルのやつを探そうした方が良くないか?」
「確かに……リリたちも加えて19階層を下見兼ベルの捜索をした方が後々のことを考えるとそっちの方が効率的か。よし、それじゃあ急いで18階層に戻ってリリたちと合流、その後直ぐに19階層に降りてベルを捜索する。異論はあるか?」
「ないよ」
「俺もだ」
「んじゃ、行こう!」
『大樹の迷宮』で遭難したベルを探すため、俺たちはまず索敵系のスキルを持っている命と合流するために急いで18階層へと戻ることに決定。途中で遭遇するモンスターを一々相手していては時間が掛かるので『天鎖斬月』で回収が面倒な魔石を粉砕して瞬殺。ヴェルフとダフネの二人にはドロップアイテムの回収だけを任せて、あとは俺の後をただ着いてきてもらうことにした。
そうして最速で18階層に戻って来た俺たちは、予定通りにリリたちと合流、ベルが遭難したことを伝えてからカサンドラたちをパーティーに加えて再度19階層へと降りてベルの捜索が始める。
「全くベル様は……本当にケンマ様と同じくらいトラブルに巻き込まれる体質で困ります。ヘスティア様から監視するように言われてるリリの身にもなって欲しいです!」
「と言いながら一番ベルを心配しているリリなのであった。ツンデレ乙!」
「眉間にバリスタ撃ち込みますよ、ケンマ様」
「止めとけ、リリスケ。矢の無駄だ」
自分が一番ベルのことを心配しているのを否定せずにバリスタへ矢を装填するリリをヴェルフが宥めていると、二人の傍らでずっと索敵スキルの【八咫白鳥】を発動し続けている命がベルを探知したようで声が掛かる。
「ベル殿を見つけました!ここから南西の方角です!」
「やっぱり命が居ると早く見つかるな」
「気になってたんだけど、団長も命の索敵スキルみたいなことをあのスキルで出来そうな印象があるけど、もしかして出来ないの?」
「いやぁ……出来はするけど、命のスキルみたい周囲にバレることなく索敵するのはまだ難しくてな。俺の場合は、普段目に見えない魔力を自分を中心として円形状に尚且つ広範囲で伸ばして索敵を行う方法なんだ。だから、魔法を使える冒険者や魔力に長けたエルフなんかには簡単に感ずかれたり、モンスターを刺激する可能性もあるからまだ慣れていない19階層でやるのはリスクが高いんだ」
「なるほどね。だから団長はあの時自分でやらず、モンスターたちに刺激せず感ずかれることもない索敵スキル持ちの命をパーティーに加えることを選択した訳か」
ダフネはベルがいないことに気付いた時点、何故【魔力操作】でイメージ通りの魔法を使える俺が索敵魔法でベルを探さないのかとずっと疑問に思っていたようで、俺が使う索敵魔法のデメリットを聞いてなるほどと納得してくれたようだ。
そんなことを話している内に進行方向からベルとベルが纏っていた『サラマンダー・ウール』を頭からすっぽりと被り、素性を隠しているウィーネの二人が歩いて来た。
「ベル様!」
「ベル殿!」
「ベル!」
「ベル様!」
ベルを見つけると、一番ベルのことを心配していたリリを筆頭に命、ヴェルフ、春姫がベルに駆け寄る。俺たちも名前こそ叫びはしなかったが早足で駆け寄る。
「みんな……」
「ったく、探したぞ。はぐれた時はどうなることかと心配したが無事でよかった」
「この19階層で単独行動は危険です、ベル様!」
「なにはともおれ、ベル殿がご無事でなによりです」
「……?あの、ベル様、そちらのお方は……?」
ヴェルフ、リリ、命の順でベルが無事でなによりと安堵の言葉を述べるなか、春姫がベルの隣にいる素性を隠しているウィーネについて尋ねる。それによってベルは顔が強張るが、直ぐに今いる場所よりも比較的安全な18階層へと戻ることを提案してくる。
その提案に誰も反対はしないので、俺たちはベルと素性を隠したままのウィーネをパーティーに加えて、正規ルートを辿り18階層へと帰還する。そして18階層に戻って来た俺たちは、厄介事になることを避けるように『街』から離れた水晶と木々が生い茂る森の奥へとしばらく進んで行く。
そんな中、俺はベルにバレないように命へ小声で指示を出しておくことにした。
「命、お前は春姫を守れる位置で居合いの構えだけ出来るようにしてくれ。いいか、構えだけだぞ」
「ケンマ殿、それは一体どういう?」
「いいから任せたぞ」
命に指示を出した後、俺たちは完全に人気のない青水晶の薄い輝きだけに囲まれた開けた空間へと辿り着いた。
「それで、ベル様?どこの誰なのですか、この方は?まーた面倒事と一緒に、誰とも知れない女性を助けて来たのですか?」
完全にリリは、素性を隠しているウィーネをベルに助けられて魅了されてしまった恋敵と認定しながらウィーネの顔を見ようと『サラマンダー・ウール』を覗き込む。すると、それに驚いたウィーネが後ずさり、踵が地面の凹凸に引っ掛かり、そのまま後ろへと倒れそうになると拍子で『サラマンダー・ウール』のフードが滑り落ちる。
刹那、空気が一気に一触即発の緊張に包まれながら俺とベル、春姫の三人以外の全員が即座に臨戦態勢へと入る。それもそのはず、先ほどウィーネが倒れそうになった拍子に彼女の『ウィーヴル』としての素顔が露になってしまい、『異端児』という存在を知り得ない今のリリ達からしたらウィーネはモンスター以外の何者でもないのだから敵意を剥き出しにして仕方がない。
「……どういうことだ、ベル!!」
「ま、待って、みんなっ、この娘は……!」
「離れてください、ベル様!!一体なにを考えられておられるんですか!?」
「冗談は止してよ!?」
アニメ知識でウィーネのことを知っている俺とは別に、ベルは皆の敵意からウィーネを守ろうと咄嗟に彼女の前へ出て両手を広げる。しかし、その行動は『冒険者』として最も愚かな行動であり、リリも思わずベルにこの世界に置ける最大級の罵倒を浴びせてしまう。
「ま、待って、みんなっ!この娘は……!」
「綺麗な顔をしているから連れて来たとのでも!?そらではまるで、モンスターに欲情する『怪物趣味』ではありませんか!!」
「ち、ちがっ………!?」
「ベル様ッ、モンスターはモンスターです!!人類の敵です!!」
「ベル、そこを退けッ!!」
「ベル殿!!」
「ベル様!!」
リリ、ヴェルフ、命はベルが守っているウィーネを完全にモンスターとして、人類の敵として認識してしまっている。事情をしている一人としては、悲しい光景だとそう静観視していると、ベルに対して何も言わない俺へダフネから声が掛かる。
「団長も何か言ってよ!」
「そうだな……取り敢えず、全員そのままで深呼吸しろ。そうすれば、違和感に気付くはずだ」
「違和感?」
俺の言葉を聞いて、ダフネたちは臨戦態勢のままで深呼吸をするとこの状況の違和感に春姫とカサンドラが逸早く気が付く。
「ねぇ、命ちゃん」
「ねぇ、ダフネちゃん」
「どうして、あの方は……」
「どうして、あのモンスターは……」
「一番近くにいるベル様を───襲わないのですか?」
「一番近くにいるベルさんを───襲わないの?」
「「え?」」
春姫とカサンドラ、両名に名前を呼ばれた命とダフネは二人の指摘を聞くと確かに違和感を感じ始めた。
それもそうだろう。普段倒し慣れているモンスターたちは、どれもが本能的に俺たちへ襲い掛かる。なのに、あんな至近距離で無防備に背中を晒しているベルに襲い掛かることはおろか威嚇することすらウィーネはしていないのだ。
そして終いにこれが決定的な違和感となった。
「ぁ……ぅ……ベ、ル?」
「「「「!!」」」」
「……ベル?」
「あ、う、うん……僕の名前だけど……」
「ベル……なまえ……名前はベル?」
まだ産まれてまもないウィーネは、カタコト交じりでベルの名前を言葉にした。それまるで、刷り込み覚えさせられたのように何度もベルの名前を口にする。
「モンスターが……喋った」
「冗談だろ……」
下界の『未知』に俺を除いた全員が言葉を発したウィーネを見て唖然しながら、みんなに迷いが生じる。目の前にいるウィーヴルは本当に自分たちの知っているモンスターのウィーヴルなのかと。
フィンさん辺りなら体制を保つために団員の迷いを払うような言葉をかけることができるだろう。しかし、ベルはそういった団員の迷いを払い去るだけの言葉を持ち合わせていないし、ここで俺が何かを言えば今後の展開に不安要素が生まれる可能性が高いので静観する。
静観を続けていると、意を決したように春姫がベルにウィーネのことについて尋ねる。それは彼女の勇気と優しさの証明だった。
「ベル様……その方とは何があったのですか?」
「19階層で見つけたんです。冒険者に追われて、モンスターにも襲われて、震えながら泣いていたんです」
ベルがウィーネを見つけた経緯を俺たちに説明すると、先ほどの春姫のように勇気を出して『英雄』ではなく『道化』の片鱗を見せる発言を口にしてしまう。
「僕は……この娘を助けたい」
「いけません、ベル様!モンスターを保護しているなんて知られたら【ヘスティア・ファミリア】は終わりです!!」
「それでも、見捨てたくない」
情けない顔をしながら、ベルはリリの目を逸らさない。
それからややあって、リリはどうあってもベルは引かないと悟ったのか到頭がっくりと項垂れる。
「だぁ……もう、好きにしてください……」
副団長であるリリがバリスタを下げるとそれに続くように、ヴェルフと命も自分の得物を降ろし、ダフネも周りの流れに合わせて武器を降ろす。
「ごめん、みんな。ありがとう」
「これからどうするのです。地上に連れて帰るのですか?」
「はい。ダンジョンに居たら、この娘はまた襲われる……本拠地に戻って神様の意見も聞きたいです」
命の問いにベルは答えながら【ヘスティア・ファミリア】としての今後の方針を決めた。ならば、俺も一つ【ファミリア】の団長として決断するとしよう。
それが例え、親友と剣を交える未来に繋がるとしても。
「ベル……いや、【ヘスティア・ファミリア】団長ベル・クラネルに告げる。俺たち【ヴィクトリア・ファミリア】は今回の件に関しては不干渉とさせてもらう」
オリ主たちの新本拠地候補
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第六区画 『竈火の館』の近く
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第七区画 元ヘスティア廃教会
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西地区 豊穣の女主人の近く
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北地区 適当に