臆病な『赤龍帝』が冒険都市にいるのは間違っているだろうか? 作:黒牙雷真
今日から五日間の連休ということで数少ない書き留めを放出することにしました。実はこれでもまだ章の半分にも満たないんです。
その原因はズハリ、〈ガンダムSEED Destiny〉と〈インフィニット・ストラトス〉の新しい二次小説を書いていたり、書き留めして未公開の物をちょくちょく見直してみたりなんかしたり、モンハンXXをやったりと時間があっという間に消えて行きます。
ぶっちゃけた話、あり得ないNARUTOの影分身が欲しいレベルで時間が消えて行きます。仕事に行く自分、二次小説を書く自分、ネタのために原作小説を読む自分、色々の方の二次小説を読む自分、末クリアのゲームをクリアする自分、これだけの項目をこなす分身が二倍ずつ欲しいです。
さてさて愚痴はここまでにして、ここからは【異端児編】の本格的なスタートになりますのでどうぞお楽しみください。
〈Sideケンマ〉
「痛ってて……」
「大丈夫でございますか、ケンマ様」
「大丈夫大丈夫。偶々、今日の鍛練がいつもよりも厳しかっただけだから」
本当、今日に限ってはマジで厳しかった。その為、『豊饒の女主人』の一室を借りて、春姫に【赤龍帝の姫巫女】のスキルでたん瘤が出来た頭を治療してもらってるいる。
こうして何故態々春姫に治療してもらう程に怪我をしたのかの詳細を語ると、どういう気まぐれか今日の鍛練担当であるミアさんはいつもの木製お玉ではなく、自前の得物であるスコップを握って鍛練の相手をしてくれたのだ。あくまでも得物が変わっただけで彼女がガチの本気で相手してくれている訳ではないので大丈夫だろうと思っていた過去の俺を殴りたい。
例え本気じゃなくとも、ミアさんの得物は紛うことなき第一級武器のスコップ。矛先の面を俺の身体に押し当て少し強めにスイングするだけで俺の身体は宙に浮き、そのまま蹴られたサッカーボールの如く地面を跳ね転がったり、壁に激突したり、聖剣で守りを固めても真冬の池に張れた薄い氷のように力で簡単に砕かれたりと手も足も出なかった。
そうして春姫に治療してもらう状況へと至った訳である。
「ケンマ様は、毎朝あのような厳しい鍛練を続けておられるのですか?」
「毎日じゃなくて週に五日、一日毎に相手を変えて鍛えてもらってる。モンスターとの戦闘経験ならダンジョンに挑めば簡単に手に入るけど、対人戦となればそうじゃない。それに信じられないだろうけど、俺まだ冒険者になって三ヶ月半ちょっとなんだぜ?」
「えっ……さ、三ヶ月半、でございますか?」
「そう、三ヶ月半。だから、ヴィクトリアに【恩恵】をもらった翌日にはここで働いている元冒険者の師匠たちに弟子入り、んで今に至る。今もそうだけど、最初の頃は痛みで脂汗や涙、鼻水なんかで顔面ぐちょぐちょになるのが日常だったな」
まだ半年も経っていないのにLV.1 だった頃の自分が懐かしく感じるのは、前世と比べて日々の出来事が濃密過ぎて感覚がバグっているからなのだろう。しかし、その濃密な日々はこれからも続いて行くのがこの『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』という異世界だ。
加えて言うと、そろそろ俺が覚えているアニメ知識も半分がその意味を消費し切ってしまっている。残り半分のアニメ知識までストーリーが進んでしまえば、そこからは俺も知らない完全な未知の物語と化してしまうがこれに関してはどう足掻こうがどうにも出来ないので、既に始まっている『異端児』編と同様に行き当たりばったりに任せながら出来るだけの対策をしていく他ないだろう。
「んー、大分痛みが引いてきたな。ありがとう、春姫。もう大丈夫だ」
「お役に立てて何よりです」
「さて、この後は野菜の皮剥きをしないとな」
「野菜の皮剥き………それも鍛練の一環なのですか?」
「ああ。普通に皮剥くんじゃなくて、スキル───魔力で皮を剥くんだ。まぁ、見せた方が早いだろう」
そう述べながら俺は借りていた部屋から出て、一階にある厨房から今日の営業で使う野菜たちがいつもよりも入った籠を受け取り、中庭で野菜たちの皮を剥き始める。それを傍らで眺めながら自分もナイフでジャガイモの芽を取り除いている春姫は、俺の皮の剥き方について何かに気付く。
「あのケンマ様……その剥き方は、もしや……」
「そう。イッセーが使ってた洋服崩壊の魔法だ。こいつを使うと野菜の皮剥きがナイフとかでやるよりも綺麗に剥けるし、なにより魔力の基本ステイタスを上げるにも持ってこいなんだよ」
「本当にナイフなどで皮を剥くよりも綺麗に剥けておられます。これほど綺麗に皮を剥くには刃物では不可能ではないでしょうか?」
「んー、どうだろうなぁ。それこそ某グルメの漫画に出てくる『食義』でもマスターしていれば出来なくはないかもな」
「しょく、ぎ……でございますか?」
「食事の食に、礼儀作法の義で『食義』。これは自分が食べる物への感謝だけでなく、この世のあらゆる万物に対して感謝と敬意を常に心の中で据えておかなけれらならないというもので、『食義』を極めた料理の達人は生きた魚を捌いても捌かれた魚は自身が捌かれたことにすら気付くこともなく、そのまま頭と骨だけで泳ぎ続けられる程の神業を会得することが出来たとされている」
「そんなことが……!?」
「あくまでもそういう設定だから、実際に俺たちがそれをスキルと発現出来るかと問われたら極めて不可能に近いだろうな」
春姫に言った通り『食義』のスキルを身に付けるのは極めて不可能に近いだけであって不可能ではない。何故なら俺たち冒険者には神々から授かった【恩恵】という名の可能性が背中には刻まれているのだ。その極僅かな可能性によって春姫が『食義』をスキルとして身に付けた場合、どんなスキル内容になるのだろうか?
やはり一番イメージしやすいのは某狩猟ゲーの猫飯とかだろう。肉・魚・穀物・野菜・乳製品・酒といったの食材の組み合わせに、炒める・煮込む・蒸す・揚げるの調理法によって基本アビリティに補正が掛かり、スキルとはまた別の特殊効果が色々と付与されるやつで────そこまで考えた所で『食義』のスキルが発現した場合、また新たに春姫が狙われる要素が一つ増えるだけだと結論行き着いた。
○●○
春姫と共に野菜の皮剥きを終えていつも通りにダフネとカサンドラの二人と合流した後、ベルたちを待っていると数日前のベルとヘスティアが痴話喧嘩を引き起こした時のように護身用の武器しか所持していない命が走って来た。
「すみません、遅れました!」
「遅れたのは分かるが、ベルたちがいないってことは昨日の件が関係してるのか?」
「はい。今朝、例の未知の少女───ウィーネ殿の情報を集めるようにヘスティア様から自分たちは指示を受けました。なので、自分たちはしばらくの間はケンマ殿たちとダンジョン探索には行けそうにありません」
「そうか、事情は分かった。態々、情報を伝えに来てくれてありがとうな」
「それでは、自分はこれで失礼します」
ベルたち【ヘスティア・ファミリア】の状況を俺たちに伝えた後、命はそのまま足早に立ち去って行く。恐らく、元主神であるタケミカヅチの所へでもウィーネの情報を聞きに向かったのだろう。
「さて、【ヘスティア・ファミリア】が来ないという点に置いては前と似たような状況だが、今回は全く別だ。命とはウィーネと呼んでいたが、間違いなく例の異端の少女にベルたちがそう名前を付けたんだろう。いつまでも種族名だと面倒臭くなりそうだからな」
「それでどうするの?昨日、団長は【ファミリア】としては今回の件で下手に【リトル・ルーキー】たちに協力はしないって言ってたけど」
「ああ。だから、今日から三日くらい休みにしようと思う」
「は?」
「「え?」」
俺の口から今日から三日は休みだと聞いたダフネ、カサンドラ、春姫は何故か呆けた顔をする。
「なんだよ、せっかくの臨時休日なのに嬉しくないのか?」
「いや、そうじゃないけど……団長なら何かしら考えてるとばかり……」
「まぁ、考えてはいるけれど今回はダフネとカサンドラは相性が悪いから休み。春姫には悪いがこの後、俺と一緒に新しい本拠地の進捗状況を確認しに行くついでに【ヘスティア・ファミリア】に着いてきてもらいたいんだが、いいか?」
「はい、春姫は何も問題はありません。それに今日は元々家政婦の冒険者依頼の日ですから」
「そういえばそうだったな」
春姫の『竈火の館』での家政婦として冒険者依頼は、週五日で受けてもらいながらその内の三日間は【ヘスティア・ファミリア】と共に俺たちとダンジョンへと潜り、残りの二日間の午後からタケミカヅチに神楽舞を十六時頃まで『竈火の館』の中庭で稽古を付けてもらうのが彼女の週五日の日程となっている。あと残っている一週間の内の二日は【ファミリア】の方針で完全休日。
そんな訳で春姫は、今日は冒険者依頼の日なので俺と共に『竈火の館』へと行くのは問題ないと応えてくれた。これでアニメ通りに春姫とウィーネが絆を育むことが出来る。
そうすることで後のリューさんの冤罪事件調査の最中にイレギュラーで出現する階層主『アンフィナ・バエナ』との激戦を乗り越えた後、ウィーネたち『異端児』たちが『下層』に出現する……確か『ヴォルトメリア』とかいう水棲モンスターの大群から疲労困憊の春姫たちを救ってくれるはず。なので、今の内からアニメ通りあるいはそれ以上に絆を育んで置くのは悪いことではないはずだ。
「それからカサンドラ、もしも何かしらの予知夢を見たら早朝にここへ来て内容を教えて欲しい。今回は事が事だけに、万が一に備えて予知夢に頼るかも知れない」
「わ、わかりました」
今回、カサンドラの『予知夢』に求めるのは不足の事態を想定しての謂わば保険だ。いくらこれまで起きた出来事をアニメ通りに寄せていたとしても、春姫たちがアニメと違う【ファミリア】に所属している時点でこれなら先はアニメと全く同じ通りとはいかないだろう。
間違いなく所々でアニメとは異なる展開が生まれる。そのために、保険としてカサンドラの『予知夢』を利用して寄せられる部分は出来るだけアニメに寄せつつ、寄せられない場面は行き当たりばったりに任せるしかない。
それにどうせ、あと少しで俺のアニメ知識は品切れなのでアドリブを覚えておいて損はないだろう。
「はぁ、まだその時ではないけど先の事を考えると不安で胃がキュッとなりそうだ」
「何か仰いましたか?」
「いや、なんでもない。心配しなくて大丈夫だ」
○●○
「大分出来上がってなぁ……」
「はい。春姫は初めて家の骨組みという物を見ました。建物とはあのように建てられて行くのですね」
ダフネとカサンドラと分かれた後、新しい本拠地の進捗状況を確認すると一週間と少しという短い間で既に三階までの骨組みと足場が出来上がっており、更には先程見た限りでは一階の外壁も半分以上が出来上がっていて明日辺りには二階の内壁と外壁を作り始めるのだろう。
前に【ゴブニュ・ファミリア】で主神であるゴブニュから新しい本拠地が完成するのは約一ヶ月だと聞いた時は、前世の知識から到底信じられなかったがあのペースで作られて行けば本当に一ヶ月で新しい本拠地が完成しそうで心強い。しかし、その反面で本拠地の完成するタイミングが恐らく三期の終盤、ダイダロス通りから『異端児』たちをダンジョンへと逃がす時に被りそうで不安が募る。
何故なら三期終盤には、ベルとアステリオスの一騎打ちがある。そしてその戦場は、ここオラリオの街のど真ん中であり、アニメでは詳しい場所までは分からず、劇中の描写から何処かのメインストリートで戦っていたのだと推測できる。なので、南区のメインストリートの近い位置する場所に建設中の新しい本拠地がベルたちの戦いに巻き込まれないか心配せずには居られない。
「最悪の場所、俺が真『女王』で何とかするしかないかもなぁ……」
「赤龍帝の力で何かなされるのですか?」
「ああ、ちょっとな。マジでちょっと心配なことがあって、万が一にもその心配が現実になるようなら俺がなんとか対処しなくちゃいけないかもって思ってな。なんも起きなければそれでいいんだけど……マジでちょっと不安」
アステリオスの戦いは、ベルにとってLV.4 に【ランクアップ】するために必要不可欠な戦いだ。そんな重要な戦いに俺は水を差し込むようなことはしたくない。けれど、両者の死闘はオラリオの街で行われる。それは即ち、周りには多くの冒険者や一般市民がベルたちの戦いを見ているということである。
仮に俺が真『女王』でアステリオスを殴り飛ばしたりなんかした暁には、周りの市民から凶悪なモンスターを倒せる冒険者がまた一人増えたとしか映らず、ベルと共にアステリオスの討伐を求められる。そうなれば、冒険者とした俺はベルたちの戦いに参加せざる負えなくなり、結果的にベルが得るはずだった上位の【経験値】を少なからず奪ってしまうことになる。
それによって万が一にも【ランクアップ】に必要な上位の【経験値】が足りなくなるようなことがあれば、『深層編』は地獄と化すだろう。それは一対一アステリオスとの戦いを邪魔する事と共に、何がなんでも回避しなければならない重要な事だ。
「俺にもライバルみたいな奴が現れてくれれば、そっちに集中するしかなくなるんだけどなぁ……」
そう愚痴を溢しながら脳裏に浮かぶライバルは、赤き龍の帝王と対を成す白い龍の皇王を宿す青年で、公式作ったあのチートなキャラクターだった。
オリ主たちの新本拠地候補
-
第六区画 『竈火の館』の近く
-
第七区画 元ヘスティア廃教会
-
西地区 豊穣の女主人の近く
-
北地区 適当に