臆病な『赤龍帝』が冒険都市にいるのは間違っているだろうか?   作:黒牙雷真

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第三十六話 ※【ステイタス更新】

 

 

 

〈sideケンマ〉

 

 

 

 

──────

 

石黒ケンマ 

 

 

 

Lv.1

 

 

《基本アビリティ》

 

 

力  : C624→SS1001

 

耐久 : A796→SSS1195

 

器用 : C606→S904

 

敏捷 : D569→S934

 

魔力 : A799→SSS1275

 

 

 

《魔法》

 

 

【プロモーション】

 

・『騎士』、『戦車』、『僧侶』、『女王』に昇格できる。

・昇格した物によって、一定時間アビリティ能力超高強化補正。

 

 

詠唱:【プロモーション・────!!】

 

 

【】

 

【】

 

 

《スキル》

 

 

【赤龍帝を宿し者】

 

・早熟、進化する。

・想いの丈によって効果向上。

・想いの丈によって効果持続。

 

 

【魔力操作】

 

・イメージによって対象魔法の行使が可能。

・対象魔法分の体力、魔力、精神力のいずれかを消費。

・効果、威力はイメージに依存。

・任意発動。

 

 

【言語和訳】

 

・全ての言語を和訳。

 

 

─────────────────────────

 

 

 

 

「あ、相変わらず驚異的な成長ね……」

 

 

『二属性回復薬』の冒険者依頼から数日。今朝の早朝鍛練後、俺はヴィクトリアに頼んで一週間溜めていた【経験値】を『豊穣の女主人』の二階にある一部屋で【ステイタス】へと更新してもらっている。

 

そして、一週間分の【経験値】は凄まじい成長をもたらしてくれたようで【ステイタス】を映した羊皮紙を見ている二人で見ていると、隣にいるヴィクトリアがワナワナと震える。

 

 

「き、基本アビリティオールS………加えてあり得ないはずのSSが三つ。日頃から無茶な特訓をしてるのは知ってけど、これは異常よ、い・じょ・うッ!?」

 

「自分でも分かってるさ。一番数値の高い『魔力』は、ちゃんと理由があるし叫ぶほどの異常性はないぞ」

 

「因みにどんな理由?」

 

「夜寝る時は普通に寝るんじゃなくて、精神枯渇にさせてから寝てたんだよ」

 

「は?」

 

 

『魔力』の基本アビリティが著しく成長している理由を話すとヴィクトリアは俺のことを信じられないような目で見てくる。

 

 

「いやだってさ、昼間は鍛練やダンジョンで魔法を使ってるから成長するけど寝てる時は成長しないだろう。だから、普通に寝るんじゃなくて精神枯渇で気絶するように寝ればよくね? って思い至った訳だ」

 

『ヴィクトリアよ、相棒の破天荒ぶりはこれが始まりではない。なんせ、相棒はイッセーと同じく相反する赤龍帝と白龍皇の力を一つの鎧へと纏め上げようと考えているほどだからな。ガハハハハ!!』

 

「はぁ………。その方法は、ケンマみたいな精神力を自由に操れる特別な『スキル』を持ってないと絶対に出来ないやり方よ!」

 

「当たり前だろう、だからこそ試したんだよ。それに俺はイッセーを越える。そのためには普通の鍛練だけじゃあ足らないんだよ」

 

 

そう。俺の最終目標は、原作のイッセーを越えることだ。例えオーフィスやグレードレッドの協力がなくてもいつかは越えられるはずだ。神器は宿主の強い想いによって無限に成長する特性を持っているのだから。

 

 

「ところで、基本アビリティがオールSになったけど【ランクアップ】はするの?」

 

「んー………」

 

 

凄い悩ましいところである。『怪物祭』の翌日に【ステイタス】を更新した時に【ランクアップ】が可能だとヴィクトリアから聞いて、その時俺は「全ての基本アビリティがSかSSになるまで待ってくれ」と頼んだ。そして、それが今、達成されているのだ。

 

ここで【ランクアップ】すれば今日出会うであろう強化種のミノタウロスを何とかギリギリ倒すことは可能性になる。しかし、ギリギリまで基本アビリティを成長させるというハイリスクハイリターンな選択肢もある。

 

本当に悩ましい。けれど、ここは臆病になろう。

 

 

「ヴィクトリア、【ランクアップ】を頼む」

 

「分かったわ。発展アビリティは…………あれ、 なにこれ?」

 

「どうしたんだ?」

 

「それが、前あったはずの『治力』と『精癒』がなくなってて、代わりに見たことも聞いたこともない『超回復』っていう発展アビリティが新しく出てるの」

 

「『超回復』………もしかして、複合型の発展アビリティか?」

 

 

『治力』は怪我の回復速度向上の発展アビリティ、『精癒』は精神力の回復速度向上の発展アビリティ。そして『超回復』、言葉だけなら前世の保健体育で激しい運動したあとに疲労を回復させようとする身体の働きだと学んだ覚えがある。

 

しかし、発展アビリティとなると話が違ってくると思うが俺の読み通り、複合型の発展アビリティであるのならば間違いなくレアアビリティだ。

 

そして今の俺には『狩人』と『超回復』しか選択肢がない。ならば、迷うことはない。一度も倒したこともないミノタウロスに『狩人』の発展アビリティは愚策。それならば、まだ『超回復』の方が堅実的だろう。

 

 

「ヴィクトリア、『超回復』で頼む」

 

「いいの?」

 

「ああ、これからダンジョンに潜るんだ。回復手段は多くあって困りはしないだろう」

 

「それじゃあ、やるわよ!」

 

 

改めてベッドの上に半裸で寝そべる。そして、あっという間に【ランクアップ】の作業は終わった。

 

 

 

 

───────

 

 

石黒ケンマ

 

 

 

Lv.2

 

 

《基本アビリティ》

 

 

力  : SS1001→I0

 

耐久 : SS1195→I0

 

器用 : S904→I0

 

敏捷 : S934→I0

 

魔力 : SS1275→I0

 

超回復 :I

 

 

 

《魔法》

 

 

【プロモーション】

 

・『騎士』、『戦車』、『僧侶』、『女王』に昇格できる。

・昇格した物によって、一定時間アビリティ能力超高強化補正。

 

 

詠唱:《プロモーション・────!!》

 

 

【】

 

【】

 

 

《スキル》

 

 

【赤龍帝を宿し者】

 

・早熟、進化する。

・想いの丈によって効果向上。

・想いの丈によって効果持続。

 

 

【魔力操作】

 

・イメージによって対象魔法の行使が可能。

・対象魔法分の体力、魔力、精神力のいずれかを消費。

・効果、威力はイメージに依存。

・任意発動。

 

 

【言語和訳】

 

・全ての言語を和訳。

 

 

─────────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

○●○

 

 

 

 

「はああああ!!」

 

『ギギィッ!?』

 

 

【ランクアップ】を果たしたあと、俺はベル合流して本日の目標である10階層にたどり着くまでの間にLV.1 とLV.2 の身体能力の差を確認しながら久しぶりに《エクス・デュランダル》をモンスターに振るっている。

 

何故、自分で決めた四つルールのいずれにも当てはまらない状況で《エクス・デュランダル》を振るっているのかと問われれば強化種のミノタウロスがいつ、どこで襲いかかって来ようが対応できるためだ。よくある少年バトル漫画では奥の手を最後に取っておいて、危機的状況で御披露目するのがセオリーだが現実でそれをやってはポックリと殺されてしまう。

 

そのため、最初から出し惜しみ無しで俺は奥の手の一つである《エクス・デュランダル》を異空間から引き抜いているのである。

 

 

「ケンマ様、今日は一段と凄い武器を使っておられますがどうしたのですか?」

 

「うん、凄い切れ味だよね、その剣」

 

「ああ、ちょっと訳ありでな。今まではこいつに振り回されててまともに使えなかったけど、今日は今の段階でどのくらい使えるのか試してるんだ」

 

 

身体能力の差を確かめながら振るっていて分かる。この世界に転生して冒険者になった頃よりも《エクス・デュランダル》をしっかりと扱えている気がする。けれど、まだまだ武器に振り回されているので鍛練が足らない証拠でもある。

 

安易に気を抜けば、無意識に一番適合している《破壊の聖剣》の能力が発動して、軽く振るっただけで刀身が当たらずともモンスターを屠り、地面を粉砕してしまう。以前にも思ったがこれを人に向けることは到底できない。出来る頃には俺のLV. はいくつに上がっていることだか。

 

そのため、いつも以上に一振一振を意識しながら丁寧に振るっているとダンジョンに違和感を覚えていたると、途中でとある冒険者にすれ違った。

 

その冒険者とは─────

 

 

「…………【猛者】オッタル」

 

「…………」

 

 

俺の呟きにオッタルは気にしていない様子だったが、すれ違い様に俺とベルを一瞥したように感じたので、今日が美の女神フレイヤによる最初の洗礼なのだと確信することができたのと【ランクアップ】をしておいて良かったと心底自分の判断は間違っていなかったのだと自画自賛する。

 

また、オッタルの横を通り過ぎただけでやつの力量の差をビリビリと痛感してしまった。俺を海に泳いでるグッピーだと例えるならば、オッタルは北極グマのイメージが脳裏に浮かび上がった。

 

 

『相棒、あの男、鎧を纏っていないサイラオーグより強いぞ』

 

(分かってる、すれ違っただけでビリビリ感じた。もしも、あの場にヴァーリがいたら絶対に戦いになってるに違いない)

 

 

ドライグが俺を通してオッタルの力量を図ってくれたようで、やつの大体の強さを把握することができた。そして、鎧を纏っていないサイラオーグより強い───つまりは『真紅の赫龍帝』と同じ力に目覚めることができれば勝てる可能性も見えてくるはずだと分かったので、少しだけ希望が見えた気がする。

 

そう思っていると変身魔法で獣人族へと変身しているリリが偶然にも俺の呟きを聞いていたようでオッタルについて訪ねてくる。

 

 

「あのケンマ様、先ほど【猛者】オッタルと呟いていましたが……まさか、あの冒険者様が」

 

「そうだ。オラリオの最大派閥の一角である【フレイヤ・ファミリア】の現団長の【猛者オッタル】、到達LV. は7。オラリオ最強の冒険者だ」

 

「あの人がオラリオ最強…………アイズさんよりも上のLV.7の冒険者」

 

 

俺たちは全員でオッタルの姿が見えなくなるまでやつの背中を眺めていた。その後、9階層まで降りたところでベルがリリへ装備の返還を求める

 

 

「リリ、ここで装備を取り換えちゃっていいかな?」

 

「あ、は、はい」

 

 

オッタルという存在に出会って普段とは違う緊張したのか、リリも慌てて背中に担いでいるベルのプロテクターと《バゼラード》を渡す。そして、バックパックに詰めていた見慣れたライトアーマーを装備すれば、いつのベルの姿が完了する。

 

 

「ねぇ二人とも、やっぱりちょっとおかしくない……?」

 

「おかしい、ですか?」

 

「いつもよりモンスターの数が少くなすぎる」

 

「確かに、この階層に降りてから数える程度のモンスターとしか鉢合わせていませんが、それは先ほどの【猛者】様が通られたからではなくてですか?」

 

「いや、それにしてもこれは異様だ。これじゃあ、まるであの時の…………」

 

 

わざとらしく初めてミノタウロスと出会った時のような伏線を匂わせてやると、ベルも同じくことを考えていたようで誤魔化すように先へ進むよう提案してくる。

 

 

「………行こう、10階層へ」

 

 

ベルがそう口にしたのを皮切りに忘れもしない奴の唸り声がダンジョンの壁を反響して聞こえてきた。

 

 

『───ヴ───ォ』

 

 

その声を捉えたベルは足が止まり、リリは困惑し、俺は覚悟を決めながらブーステッド・ギアを具現化する。

 

 

「い、今の………」

 

「来やがったか、ブーステッド・ギア!」

 

『Boost!!』

 

 

そして、三秒もしないうちに俺たちの前後から外皮の色が通常の茶色とは異なる色をした二体のミノタウロスがルームに姿を表す。

 

 

『『……ヴゥゥ』

 

 

前には青い外皮をしたミノタウロス、背後には赤い外皮をしたミノタウロス、どちらも間違いなく強化種。しかし、それだけはない。何故なら、奴らの手には天然武器とは全く違う物が握られているからだ。

 

それは明らかに人間の鍛冶師が金属や鉱石を鍛錬した武器、片手剣と見間違えてしまいそうなほどの血濡れた大剣が二体のミノタウロスには握られている。

 

 

『『オオオォオオオォオオオォオオォォオ………』』

 

「な、なんで9階層にミノタウロスが………それも二体だなんて………」

 

「やべぇな、これは予想してなかったわ」

 

 

もしかしたら二体のミノタウロスが現れることまでら予想してた。しかし、まさかルームで前後の出入口から挟み撃ちするように現れるだなんて、そこまで予想できるはずもなかった。

 

これでは、アニメ通りにリリを逃がすことは困難を極めることになってしまった。どうにかして、リリを逃がす方法を頭の中で思考錯誤していくと約六割の確率でリリが助かる方法が見つかった。

 

 

「にっ、逃げましょう、ベル様、ケンマ様!? 今のリリたちでは太刀打ちできませんっ!早くここからっ………ベル、様?」

 

 

ミノタウロスにトラウマがあるベルは、恐怖のあまり石像のように固まって動かないことにリリが不思議に思っているなか、俺は魔力を込めた足でベルの尻を強めに蹴る。

 

 

「痛ッ!?」

 

「目が覚めたかよ、ベル」

 

「け、ケンマ?!」

 

「いいか? 俺とベルはミノタウロスを相手にしながら時間を稼ぐ。んで、リリはその間に上の階層にいるはずの【ロキ・ファミリア】の上級冒険者に助けを呼んでくれ」

 

「駄目です!先ほども言いましたが、リリたちではミノタウロスに太刀打ちできません!?」

 

「悪いがこの状況で太刀打ちできるとか、できないとかの話じゃなくて誰かが相手をしなくちゃいけないんだよ。でないと全員、ミノタウロスになぶり殺されるだけだ!」

 

「そ、それは………」

 

 

リリも今の状況を分かっているがそれでも全員で逃げるという理想と現実が葛藤しているのだろう。しかし、そんな葛藤に決着が付く前に二体のミノタウロスは動き出した。

 

 

『『ヴヴォオオオオオオオォオ!!』』

 

「横に避けろッ!!」

 

 

俺の叫び声で二人とも横の地面へ飛び付くようにミノタウロスが振り下ろす大剣から生じる衝撃波から躱わす。それでもアニメと違って二体分の衝撃波によって砕かれた地面の一部がリリの額にぶつかったようで、血が流れていた。まるで、そうなる運命のように感じた。

 

 

「り、リリ………?」

 

「クソッ!リューさん、借ります!【今は遠き森の歌。懐かしき生命の調べ。汝を求めし者に、どうか癒しの慈悲を】」

 

 

額に傷を負ったリリを治療するためにリリを抱えて【魔力操作】による回復魔法を行使する。行使するに当たってのイメージは師匠であるリューさんが以前使ってくれた【ノア・ヒール】、その魔法を更に強くイメージするためにも詠唱文もしっかりと詠唱する。

 

そして、イメージが確かなものになるとリリを抱えている腕が淡い黄緑色の光を放ち初める。

 

 

「【ノア・ヒール】ッ!」

 

「あれは…………回復魔法?」

 

 

【ノア・ヒール】の魔法と今まで溜めていた倍加の効果でリリの怪我は完全回復する。

 

 

「ケンマ様………いつの間に回復魔法を?」

 

「話は後だ!作戦通り、助けを頼むぞリリ!」

 

「えっ、きゃあああああ!?」

 

 

先ほどミノタウロスが剣を降るため俺たちへ近付いて来たことで前後の出入口には誰も立っていない状況になった。なので、誰もいない出入口を目掛けてリリを放り投げた。

 

ベルは何をしてるのか視線を向けると、ベルもベルで赤いミノタウロスに【ファイアボルト】を連発して自分に注意を引き付けていた。

 

 

「行け、リリ!」

 

「ですが…………!」

 

「行って、リリ!」

 

「でも…………!!」

 

「「いいから早く行けぇええええッ!!」

 

「ッッ、うわああぁぁぁん!」

 

 

俺たちの叫びを聞いたリリは、涙を溢れさせてくしゃくしゃになりながらルームの外へと走り出した。





発展アビリティ『超回復』


ぶっちゃけるとダンメモに出てくる『息吹』の上位互換を想定。※作者はダンメモをやったことがありません。


効果は怪我の治癒速度上昇、精神力の回復速度上昇、体力の回復速度上昇、オーラの回復速度上昇とあらゆる回復速度の上昇。

そのうち桁が上がっていけば、某仮面ライダーの如く精神枯渇に陥っても三十分で全快するしれません。

ただし、異常状態は適応外のため普通に専用の回復アイテムを使うか、魔法、時間経過を持つ他ない。

オリ主たちの新本拠地候補

  • 第六区画 『竈火の館』の近く
  • 第七区画 元ヘスティア廃教会
  • 西地区 豊穣の女主人の近く
  • 北地区 適当に
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