臆病な『赤龍帝』が冒険都市にいるのは間違っているだろうか?   作:黒牙雷真

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どうも読者の皆さん、黒牙雷真です。

突然ですが、とある読者様より直接メッセージをいただき。とある設定について、修正をすることにしました。

それは、聖剣の攻撃を受けてもモンスターの身体から煙が出ていない設定についてです。これは私も凄く悩みました。当初の設定で『ダンまち』のモンスターは『D×D』の魔物や悪魔とは別ものとして考えていました。

しかし、それでは聖剣の意味とは? と考えが至りましたので、三十八話から聖剣に切られたら煙が出るように修正を致しました。

突然の設定変更で、申し訳ありません。

また本章を公開するよりも先駆けて、先の章とその展開についてアンケートがございます。アンケートの期限としまして、未確定であり、私としては次章の下書きが終わる頃にはアンケートを締め切りさせていただきたいと思っていますのでご了承ください。

それでは、これより新章『決死の強行軍!目指せ、「迷宮の楽園(アンダー・リゾート)」!!』の始まりです。


決死の強行軍!目指せ、『迷宮の楽園(アンダー・リゾート)』!!
第三十九話


 

 

 

 

〈sideケンマ〉

 

 

 

 

「はああああッ!!」

 

「シッ!」

 

 

剣と木刀が激しく衝突する。

 

 

「体は剣で出来ている───トレース・オン!」

 

 

疑似詠唱を唱えながら『魔剣創造』で魔剣たちを頭上で創造して、リューさん目掛けて射出する。

 

 

「これはっ!? ですが、まだ粗い!」

 

 

射出された魔剣たち見て、リューさんは珍しく感想を溢すも即座に俺から距離を取りながら魔剣たちから回避または木刀で破壊していく。

 

 

「まさか剣を飛ばせるとは、少しだけ驚きました」

 

「飛ばすだけじゃありませんよ!」

 

 

『魔剣創造』で木場佑斗がコカビエルに使った敵の周りをぐるりと囲むように魔剣を創造して、まるで黒髭危機一髪のごとく一斉に敵へ迫る技をリューさんに仕掛ける。

 

 

「効果範囲が手元からかなり広がっていますね。これはかなり厄介だ」

 

「一斉突撃!」

 

 

俺の意思に従って魔剣たちはリューさんに迫るが、高速の斬撃で悉くをリューさんは切り捨てる。合計十二本の魔剣が全て破壊されることは想定内なので次の攻撃へと移る。

 

 

「降り注げ!」

 

「今度は上ですか、やりますね」

 

 

三度目の攻撃はリューさんの頭上から雨のように魔剣たちを降らせる。さすがに数が多いと思ったのかリューさんはその場から飛び退いて、魔剣の雨から躱す。

 

二日前に青いミノタウロスを倒したことで『魔剣創造』と『聖剣創造』が成長して、今のような遠距離からの攻撃が大分楽に行えるようになったがそれでもLV.4のリューさんには届かないようだ。

 

 

「イシグロさん、少しお聞きしますが………【ランクアップ】を果たされましたか?」

 

「!!」

 

 

やっぱりバレてるぅぅぅ!? 下手にここで誤魔化すとリューさんの場合というよりも『ダンまち』のエルフは面倒だということを前世から知っているので白状することにした。

 

 

「はい、二日ほど前に【ランクアップ】しました。あっ、でもまだギルドには報告してませんし、まだしませんよ。下手に目立つのは面倒なので」

 

「そうですね、私もいくら何でも早すぎると思います。あの【剣姫】でさえ、【ランクアップ】するのに一年かかりましたから」

 

「知ってます。それを大きく塗り替える一ヶ月弱と聞いて、未知や娯楽を求めている神々が食い付かない訳がない」

 

「わかりました。このことは他言無用にしておきます」

 

「ありがとうございます」

 

 

【ランクアップ】したことをリューさんは黙っていてくれるようで安心した。堅物のイメージがあったが何とかなって良かった。

 

 

「さて、お喋りもここまでにして【ランクアップ】したのであれば、もう少し強めに行きますね」

 

「えっ?」

 

「行きますッ!」

 

「ちょっ!?」

 

 

問答無用でリューさんから放たれる威圧感が増したので、身体中にオーラの膜を張って臨戦態勢に入るとようやく見慣れて来たいつもの速度より更に速い速度で懐へリューさんは潜り込んでくる。

 

それは、戦国アニメの剣客を彷彿とさせるほどの低い体勢からの抜刀術の構えだったので、これは普通の防御も回避も間に合わないと判断して、できるだけリューさんの木刀が当たる箇所を視界で捉えながらオーラでその箇所を守ることを選んだ。

 

ミノタウロスと戦う一週間とちょっと前から寝る前にやっていたオーラ循環の鍛練のお陰で、某オーラの四大行のアニメキャラクターには到底及ばないがそれなりにオーラの循環速度が速くなっていたお陰で何とか、リューさんが振るってくる木刀の箇所にオーラを集中させることができた。

 

 

「はああっ!」

 

「い“づッ!?」

 

 

オーラによる防御で木刀によるダメージを軽減できたがそれでもかなり痛いし、軽く身体が横に飛んだ。浮いた足が地面に着くとリューさんが変な顔をしながら俺に質問をしてきた。

 

 

「イシグロさん、今の一撃には違和感を感じました。一体何をされたのです?」

 

「ノーコメントで」

 

「【ステイタス】の詮索は御法度。ですが、今のが今後も使えるなら同じ力加減で続けても問題ないということですから続けます」

 

「えっ、ちょっとまたですか!?」

 

「行きますよ!」

 

「だから、人の話を────!!」

 

 

その後は、初めてリューさんに鍛練を付けてもらった日のように木刀と只管ボッコボコに扱かれるのであった。

 

 

 

 

○●○

 

 

 

 

「痛てて…………ミノタウロスの打撃よりリューさんの一撃の方が痛てぇよ」

 

 

『超回復』でLV.1 だった頃よりも明らかに速く痛みが和らいでいるがまだ痛みが残る。絶対に手加減を間違えている。これがリューさんが口癖にしている「やり過ぎてしまう」というやつなのだろうか?

 

他にも痛みが残る理由はある。それは戦闘衣の磨耗である。普段のダンジョン探索に加えて早朝鍛練でも使っているフードパーカーの戦闘衣、それだけ頻繁に使っていれば磨耗していてもおかしくない。

 

 

「とはいえ、同じ物を買えるかと言われたらNOなんだよなぁ………」

 

 

俺の貯金は約十万ヴァリスほど、その他に六十万ヴァリスほどあるがそれは【ファミリア】の運営資金のために積み立ているため、明らかなな資金不足である。

 

それでも、駆け出し冒険者で団員が一人だけという零細【ファミリア】にしては金がある方だとは思う。毎度のことながら『魔剣創造』で創造した耐久力のある魔剣で金儲けすればあっという間に富は得られるという浅はかな悪魔の考えがチラ付くがそこは我慢である。リスク・リターンが伴っていない。

 

例え売るにしても探索【ファミリア】が売っているとなると【ヘファイストス・ファミリア】や【ゴブニュ・ファミリア】の連中が黙っていないだろう。

 

 

「ん? 【ヘファイストス・ファミリア】? そうか、それだ!」

 

 

【ヘファイストス・ファミリア】にはヴェルフがいるではないか。ヴェルフが作る防具は、主人公であるベルが愛用している作品。その防御力は、どんな強力な攻撃を受けても毎度病院送りになる程度にダメージを抑えられるほど強力な防具で尚且つお値段もお手軽価格なのがこれまた良いところである。

 

頭の中で今日の予定決めると、野菜の皮剥きを終わらせて【ヘファイストス・ファミリア】のテナントでヴェルフを探そうと【武具破壊】であっという間に終わらせる。

 

 

「ついでにベルの見舞いに行くか」

 

 

赤いミノタウロスとの死闘の果てに勝利をもぎ取り、精神枯渇で立ったまま気絶したベルを【キュア】の魔法で一応治療はしたが、意識が戻らずに今も【ディアンケヒト・ファミリア】の医療施設にベルはいる。

 

俺は自分の足で帰れたので検査入院は無しである。マジでLV.2 に【ランクアップ】して置いて良かった。

 

 

「よし、じゃがいもの皮剥き終了。次は、ニンジンだな」

 

 

皮剥きを終えた野菜たちを綺麗な藁籠へと移し変えて、その藁籠を持って『豊饒の女主人』の厨房へと持っていき、次に剥く野菜が入った藁籠を持って中庭へと移動する。それを数回繰り返すと今日の仕事はおしまい。

 

野菜の皮剥きが終われば、ヴィクトリアが作ってくれたお手製の弁当を持ってからベルのところへ見舞いに行くと言うとシルが笑顔でベル用の弁当箱を差し出してくるが、本人は入院中なので栄養が管理されている病院食があると話すと落ち込んでしまった。

 

それを見たリューさんが今にも襲い掛かってきそうな鬼の血相で懐から小太刀を抜こうとしているのを同僚であるクロエさんとルノアさんに抑えてくれている間に全力で逃げることにした。

 

 

 

 

○●○

 

 

 

 

「ちわーす、ベル元気にしてるか?」

 

「あっ、ケンマ!」

 

 

【ディアンケヒト・ファミリア】の医療施設の中に設けられたベルの病室に入ると、そこには入院中のベル以外にも主神であるヘスティアがいた。

 

 

「ほい、ベル。見舞い品のリンゴだ」

 

「わぁー、ありがとうケンマ」

 

「態々悪いねケンマくん」

 

「友人の見舞いくらい来ますよ」

 

 

そう。前世では、友人と呼べる存在はいなかった。けれど、『ダンまち』の世界に転生してからベルとリリという掛け替えのない友人が二人も出来たのだ。そのうちの一人が入院しているのであれば、見舞いに来るのは当たり前のことだ。

 

籠に入ったリンゴをベルが寝ているベッドの横にあるサイドチェストに置いてから自分の椅子を取りに行き、ベルをヘスティアと挟め込むように座る。

 

 

「そうだ、ケンマ。ケンマにお礼を言うのを忘れてね。あの時、僕のお尻を蹴って我に還らせてくれたり、回復魔法で治療してくれて、ありがとう」

 

「ボクからもお礼を言わせてくれて、ケンマくん。ありがとう」

 

「さっきも言いましたけど、ベルは俺にとって大切な友人ですから当たり前のことをしただけですよ」

 

「それでもだよ。キミがいなかったら、ベルくんは例のミノタウロスに殺されていたかもしれない。だから、心から感謝してるよ」

 

「わかりました、その感謝の言葉を受けとります」

 

 

そう言うとヘスティアとベルは嬉しいそうに微笑む。

 

 

「そうだ、俺もベルに話があるんだ。前に話した俺たちのパーティーに加わりたいっていう【ヘファイストス・ファミリア】の鍛冶師のことなんだが、どうする?」

 

「へぇ、ヘファイストスのところの子か……因みに名前はなんて言うんだい?」

 

「ヴェルフ・クロッゾです。神ヘスティア」

 

「ヴェルフ・クロッゾ………それってたしか、あの赤いミノタウロスに壊されちゃったライトアーマーの作成者だったはず…………」

 

「多分、同じ奴だろうな」

 

 

間違いなく、同一人物です。

 

 

「それで、このあとヴェルフのところへ行こうと思っててな。俺もベルと同じで青いミノタウロスとの戦いで戦闘衣が少し破けてな、そのついでにな」

 

「あっ、なら僕のライトアーマーも作ってくれるように言って置いて欲しいな。もちろん、代金は自分で払うよ」

 

「わかった。で、パーティーの話はどうする?」

 

「ケンマが入れても大丈夫だと思うなら僕は平気だよ。あっ、でもリリには何て説明しようか」

 

「そこはリリには悪いけど、事後報告にさせて貰おうぜ。一応、前に話はしたしな」

 

「んー、それでいいのかな?」

 

「多分駄目だろうな」

 

 

ヴェルフのパーティ加入についての話をしたあと、他愛のない会話を少しだけしてからベルの病室を後にする。

 

 

 

 

○●○

 

 

 

 

予定通り【ヘファイストス・ファミリア】のテナントにある以前アキさんとラウルさんと来た、フード付きパーカーの戦闘衣を売っていたお店に赴き、戦闘衣の補修を頼んでみたのだが…………。

 

 

「んー、これなら補修よりもいっそ買い換えた方がいいかもしれないね」

 

「えっ、そんなにですか!?」

 

「ああ、どういう使い方をしたのかは知らないけど、この戦闘衣の繊維の細かいところがかなりダメになってる。製作者としては、ここまで使い切ってくれて嬉しい限りだよ」

 

「そうですか………」

 

 

思っていた以上に戦闘衣の磨耗が激しかったようで、製作者である目の前の鍛冶師も何重にも重ねて見る虫眼鏡でフード付きパーカーの戦闘衣をあちこち観察しながら磨耗状態を説明してくれた。

 

 

「それでどうする、 買い換えるかい?」

 

「すみません。予算が十万ヴァリスくらいしかなくて………」

 

「それは仕方ないね」

 

 

残念ではあるが、買えない物は買えないので無理にお願いして今ある戦闘衣を補修して貰うことにした。しかし、補修にも限界があって本来の防御力までには戻らないらしい。

 

更に、鍛冶師から布製の戦闘衣の上にライトアーマーなど軽装を装備して足りない防御力を補う方法もあると教えてもらった。戦闘衣を鍛冶師に任せて、その間に俺はヴェルフを探すべく【ヘファイストス・ファミリア】のテナントをあちこち探して回る。

 

すると、名前がまだ売れていない駆け出し冒険者ならぬ駆け出しの鍛冶師たちの店を開いているフロアの中にあるとある店からヴェルフの声が聞こえてきた。

 

 

「よう、親爺。新作が出来たからまた店に置かせてくれ!」

 

「好きにしな。どうせ、ここは売れない物が集まる店だからな」

オリ主たちの新本拠地候補

  • 第六区画 『竈火の館』の近く
  • 第七区画 元ヘスティア廃教会
  • 西地区 豊穣の女主人の近く
  • 北地区 適当に
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