臆病な『赤龍帝』が冒険都市にいるのは間違っているだろうか?   作:黒牙雷真

54 / 176



どうも、黒牙雷真です。

いやー、今章も難産であり、書いて行くうちに一つの章で20話近く書いてしまいました。なので、ここで予定を変更させていただきまして、次章はゴライアス戦後の後日談などを投稿させていただきます。

誠に勝ってながら申し訳ありません。m(_ _)m

さて話を戻して、前章から出していた劇場版でのアルテミスに関するアンケートですが9月27日を21時30分を持って終了とさせていただきました。

アンケート結果は数多くの読者様によって…………超ご都合展開でオリ主がアルテミスを救出してヒロイン化させる方向となりました。いやー、200票超えはちょっと驚きました。

読者様の皆さんには、アンケートの投票をしていただいて感謝感激でしかないです。

さてさて、長々と前書きを書かせていただきましたが、これより新章『激戦!ブラック・ゴライアス!!』の始まりです。


誹謗中傷以外の純粋な感想やコメントなどは私のモチベーションにも繋がりますので、どしどしお待ちしております。


激戦!ブラック・ゴライアス!!
第五十四話


 

 

 

 

 

〈sideベル〉

 

 

 

 

 

「ん、んん~……ハッ!ヴェルフ、リリ、ケンマ!?」

 

「よう、起きたかベル」

 

「無事、お目覚めになられて何よりです、ベル様」

 

 

沈んでいた意識が浮上して、微睡みから解放され、意識を失う前の光景を鮮明に思い出し、僕は跳び跳ねるに身体を起した。三人の仲間たちの安否を確認しようとすると辺りを見渡すとヴェルフとリリは直ぐ側で携帯食料を食べていた。

 

それによく周りを見れば、どうやら僕たちは何処かの天幕の中にいるようだ。

 

 

「二人とも無事で良かったよ。ところで、ここはどこ?ケンマは?」

 

「少し落ち着けよ。ここは遠征帰りの【ロキ・ファミリア】の天幕の一角だ。ケンマは、お前の隣でぐっすりだ」

 

「本当だ、良かった……」

 

 

ヴェルフの言う通り、隣を見れば規則正しい呼吸をしながら固く目を瞑って眠っているケンマの姿がそこにはあった。

 

 

「ベル様が精神疲弊で意識を失われる前、ケンマ様は強制的に精神疲弊への陥る魔法で最後の一撃に全身全霊をかけたようなので当分は目覚めないかと思います」

 

「そっか……それにしても、本当に来ちゃったんだね。18階層に……」

 

「そうだな。最初は15階層でリリスケとケンマが18階層まで降りるだなんて言い出した時は、思わず二人の神経を疑ったぜ……」

 

「ですが、こうして何とか生きて目的の18階層まで降りて来られたではないですか!?」

 

「ま、そうだな。だが、それと同時にほとんどケンマにおんぶに抱っこだった自分が情けなく感じる」 

 

「それは、ヴェルフだけじゃないよ。僕も同じ思いだよ。ケンマがいなかったら僕たちは今頃、もっと酷い怪我をしてたはずだもの」

 

「そう……ですね。13階層での崩落、縦穴からの落下、ゴライアス。思い当たるところを言い出したら切りがありません」

 

 

13階層で起きた『怪物進呈』から始まった逃走劇。ほとんどケンマが後ろから僕たちのことを支えていてくれた。『魔法』を使い過ぎて、自分でも精神力が消耗していることに気付かなかったり。ナイフの援護や終盤では完全に前衛を任せてしまった。

 

他にも、僕が仲間の命を預かる時に、その重責で押し潰されそうになった時に奮い立てるようにアドバイスをくれたり。

 

 

「やっぱり、ケンマは凄いや」

 

「だな」

 

「そうですね」

 

 

三人でどれだけケンマが凄いかを笑顔で改めて認識すると、天幕の入り口からとある人たちが入ってくる。

 

 

「失礼します。御加減は如何ですか?」

 

「失礼します。あっ、目が覚めたんだね。良かった」

 

 

一人は、僕の憧れで想い人であるアイズ・ヴァレンシュタインさん。もう一人は、名前を知らない山吹色の髪をしたエルフの女性だけど、以前アイズさんとの早朝鍛練の時に追いかけ回された苦い思い出がある。

 

 

 

「あ、あああアイズさん!? それに、貴方はあの時の………」

 

「ええ、あの時以来ですね。白髪のヒューマン、いえ、ベル・クラネルううぅぅ!!」

 

「ひっ!?」

 

 

その所為か、何故か僕に敵対心を向けてくる。

 

エルフの人が睨んでくることに怯えているとアイズさんから身動きが取れるかを問われる。

 

 

「もう、動けそう?」

 

「あ、はい。それからありがとうございます……助けて頂いて、本当に……」

 

「フィンに……私たちの団長に、連絡するように言われてるから、付いてきて。隣にいる小人族のあなたも」

 

「わかりました」

 

「なら、お呼びじゃない俺はケンマとここで待ってるぜ」

 

「うん。ケンマのことを頼むね、ヴェルフ」

 

「行こう、レフィーヤ」

 

「あっ、はい、アイズさん!」

 

 

アイズさんに言われるがまま、僕とリリは彼女たちの後を追うように天幕を出る。すると、天幕で遮られていた光が僕の顔に降り注ぐ。その光に思わず目を細めてしまう。

 

光に馴れて、最初に目に入って来たのは森の中で視界一杯に広がる大規模な野営風景だった。ヒューマン、エルフ、アマゾネス、ドワーフ、獣人族、小人族と多種多様な種族が集まっていた。

 

 

「わ……!【ロキ・ファミリア】の野営地……すごい……」

 

「圧巻ですね……」

 

「それでは、アイズさん。私は、持ち場に戻りますね」

 

「うん、また後でね」

 

 

【ロキ・ファミリア】の遠征隊に目を奪われていると、レフィーヤと呼ばれた彼女は自分の仕事があるようでアイズさんに一礼して、僕を睨み付けてから僕たちから離れて行った。

 

レフィーヤさんの姿が見えなくと、今度は武器の整備や炊き出しの準備をしている皆さんからも彼女と同じ明確な敵意が混じった眼差しを向けられる。

 

 

(もしかして、アイズさんに甲斐甲斐しく付き添われているのが原因なんだろうか!?)

 

 

そう思った僕は、身体を恐怖でぶるり震わせながら皆さんが殺気だっていることに不思議そうな顔をしているアイズさんへ、ここから離れるために失礼ながら催促することにした。

 

 

「ア、アイズさん!? い、行きましょう!? なるべく早く!」

 

「ベル様?」

 

「ん、わかった。それじゃ、付いてきて」

 

 

催促をして申し訳なく思いながらアイズさんの後を追うと枝と沢山の緑葉で出来た天然のドームの下をくぐり、隙間から差し込む木漏れ日から咄嗟に手で顔を守り、何故ダンジョンの中でここまで明るい光があるのか疑問に思って立ち止まってしまう。

 

 

「もしかして、空? でも、ダンジョンで18階層だし………」

 

「どうかした?」

 

「あ、いや、その……」

 

「【剣姫】様、ベル様はダンジョンの中なのに地上と変わらない光があることを不思議に思っておられるようです」

 

「そうなんだ。それから私のことはアイズでいいよ。皆、そう呼んでるから」

 

「では、アイズ様と呼ばせていただきます」

 

 

ダンジョンの中なのに、地上と同じような光があることに動揺している僕の代わりにリリがアイズさんへ質問をしてくれた。

 

エイナさんに前もって、ダンジョンの中にこんな明るい場所があることなんて説明はされない。さすがに中層へ入って初日で、18階層まで来るなんて、あの人も思っても見なかっただろう。

 

そう思うと、ケンマが元冒険者とはいえ派閥間を越えてお師匠さんから色々なことを学んでいることに少し羨ましく感じるのと同時に、冒険者として僕の足りていない部分が見えて来る。

 

 

「……少し、寄り道する?」

 

「ッ……は、はい!」

 

「リリもお願いします」

 

 

少し物思いに耽りすぎて、アイズさんからの誘いに僅かに遅れて反応する。

 

目的地から一度進路を変え、野営地からも離れていく。人の手が入っていない鬱蒼と生い茂る森の中は、木々の身長が高く、間隔も空いていることもあってか、ダンジョンの中で感じるはずの閉塞感とは逆の開放感が強かった。

 

 

「ベル様、あれを見てください!」

 

「あれは……水晶?」

 

「はい!所々に生えています!」

 

 

リリに呼ばれて、指が指し示す方をみれば透明な蒼い輝きを宿す、美しいクリスタルが地面から生えていた。良く辺りを観察してみれば、足もとから生える小さなもの、まるで巨人の短剣のようなもの、僕を丸々呑み込んでしまいそうなほど大きなものまである。

 

大きさも形状も様々な青水晶が、森の至るところに点在している。顔を左右に振ること止められないでいると、僕の耳にせせらぎのような音が聞こえてきた。

 

ダンジョンの中にも川がある。そんな当たり前のようなことが僕にはとても新鮮に感じられた。よくよく考えれば、ダンジョンに川や湖など水を補給する場所が無ければ長期の遠征時の飲み水はどうする? という自然な問題に浮かび上がる。

 

そのため、ダンジョンにも飲み水を補給できる川や湖があるのだということはとても勉強になった。

 

 

「森を抜けるよ」

 

 

そして、森を抜けた。

 

木々が薄れぽっかりと半円状に空いた出口、白い光に満ちるその先へとアイズさんは迷わず進んでいく。薄暗い森との境界線、それを越えるとたちまち目が眩んでしまうような明るさに包まれ、反射的に瞼を閉じてしまう。

 

光に慣れて、瞼を開けるとそこには大自然が広がっていた。

 

 

「うわぁ………」

 

「これはスゴい……」

 

 

ダンジョンの中とは思えない大自然に僕たちは目を奪われる。

 

最初に飛び込んで来るのは、雄大と言うに相応しい大草原。地上でも中々お目にかかれないような緑一色に広がる大地だった。

 

左手側の方角には大きな湖と呼べる規模の大きな水溜りがある。その水溜りを見れば、思わず喉を鳴らしてしまうほど水面は穏やかな紺碧色に染まり、その中心には鴻大な岩石のような島がある。

 

 

「ベル様ベル様、上を見てください!」

 

「上? ッッ!?」

 

 

リリに促されるままに上を見上げると天井一杯に生い茂る水晶がそこにはあった。

 

 

「……あ、あれって」

 

「うん、全部、クリスタルだよ」

 

 

呆然とする僕たちにアイズさんが答えてくれる。

 

 

「時間が経つと光は消えて、ここには『夜』がやってくる」

 

「…………」

 

「冒険者たちは、ここを迷宮の楽園、『アンダー・リゾート』って呼んでる」

 

 

18階層の別名を聞きながら、僕たちはこの壮大な光景をしばらく眺めるのであった。

オリ主たちの新本拠地候補

  • 第六区画 『竈火の館』の近く
  • 第七区画 元ヘスティア廃教会
  • 西地区 豊穣の女主人の近く
  • 北地区 適当に
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。