臆病な『赤龍帝』が冒険都市にいるのは間違っているだろうか? 作:黒牙雷真
〈sideケンマ〉
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石黒ケンマ
Lv.1
《基本アビリティ》
力 :I28→ H176
耐久 :I58→G227
器用 :I19→I94
敏捷 :I34→H138
魔力 :I31→G107
《魔法》
【プロモーション】
・『騎士』、『戦車』、『僧侶』、『女王』に昇格できる。
・昇格した物によって、アビリティ能力超高強化補正。
詠唱:《プロモーション・────!!》
【】
【】
《スキル》
【赤龍帝を宿し者】
・早熟、進化する。
・想いの丈によって効果向上。
・想いの丈によって効果持続。
【魔力操作】
・イメージによって対象魔法の行使が可能。
・対象魔法分の体力、魔力、精神力のいずれかを消費。
・効果、威力はイメージに依存。
・任意発動
【言語和訳】
・全ての言語を和訳。
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「冒険者三日目にして熟練度上昇値トータル550オーバー、上がり過ぎでしょうあなた!? 最早、上昇じゃなくて進化よ、進化!?」
「やっぱり、ブーステッド・ギアを使いながら戦ってたからじゃないか?」
「特に『耐久』の上昇がおかしいわ!桁を一つ飛ばしてGよ、G!?」
「ウォーシャドウの大群を一掃するために倍加が完了するまで籠手でカードしたからだな」
「いいことケンマ。今日もダンジョンに行っては駄目よ。明日までは、身体を休めることに専念しなさい。もしも、眠れないなら散歩くらいは許可するわ。昨日、一晩潜って集めた魔石とかの換金もあるだろうし」
「了解。今日も休みにするよ」
「それじゃあ、わたしはバイトに行くからね」
「ああ、いってらっしゃい」
『豊饒の女主人』のバイトへと出かけるヴィクトリアを見送ったあと、彼女の言う通り、今日は身体を休めるためにベッドの上で身体の力を抜いて、全てをベッドに委ねるとあっという間に夢の中へと堕ちていった。
次に目が覚めた時は、外は夕暮れ時だった。
「明らかに寝すぎたな」
一人でそう呟きながら外へと出かける用意をする。
昨日、朝方までダンジョンに潜っていた時に受けたモンスターの攻撃で、今着ているジーンズやパーカーはボロボロになってしまったので他に替えの服もないため、新しく服を買いに行くのと共に魔石をギルドで換金もしておくことにした。
ギルドで魔石やドロップアイテムなどを全て換金して、それなりのお金を懐にしまい、オラリオの街の北側にある服屋を目指すことにした。
その道中、街を行き交うヒューマン、エルフ、ドワーフ、獣人、アマゾネス、小人族という色々な種族に目が行ってしまう。前世ではあり得なかった光景に思わず、少年心がワクワクしている。ここへ更に街で出稼ぎに来ている演奏団の演奏をBGMに街を歩けたら、アニメやゲームみたいな世界だと思っただろう。
「さて、どこの店にするかな」
この世界に転生してからまだ三日目のため、全くオラリオの街を把握できていない。前世であれば、スマホやGPSなんかで店の情報が手に取るように分かるのだが、それも今はない。
なので、店頭に並んでいる服を見て、どういった人種、どういった年齢、どういったコンセプトで、どういった客層に狙いを定めている店なのかを把握する必要がある。
「どれもこれもだな」
やはり、どの店にも俺が今は着ているようなパーカーやジーンズといったラフな服は売っていないようだ。売っているのはどちらかといえば、チノパンやハーフコートが多い。あとは種族に限定した服などである。
無い物ねだりも出来ないので、仕方なく慣れないチノパンとハーフコートから好き物を探そうとヒューマン向けの店に入ると、ある服が目に入った。
「これは…………ジャージ?」
ジッパーの付いた見慣れた服が並んでいたので思わず手に取ってしまう。このゴワゴワしていながら少しツルツルとした感じの質感は間違いなくジャージだ。
そういえば、『ダンまち』の第三期に出てきた神イケロスの服装はジャージに似ていた。なら、ジーンズとパーカーも探せばあるのではないだろうか。
「取り敢えず、このジャージは買いだな」
目の前にあるジャージの値札を見ながら好きな色と柄が付いているものを上下三着購入して、店主にジーンズとパーカーもないかと尋ねたが、この店にはないと返ってきた。なら、取り寄せはできるかと尋ねると今の俺には値段がアホみたいな金額だったので断念することになった。
てか、ジャージを上下三着購入しただけでも値段が三五八◯◯ヴァリスってのは高過ぎるだろう。昨晩の稼ぎがジャージだけで殆ど飛んだわ。心内でお金がチャリンチャリンと消えて行ったことに泣いているとホームに帰る。
○●○
翌日の早朝。ホームで少し早めの朝食を食べてからヴィクトリアと共に『豊饒の女主人』へと赴く。すると、店の前で運動をしやすそうな格好で木刀を持って誰かを待っているリューさんの姿があった。
「おはようございます、リューさん」
「おはよう、リュー」
「おはようございます。イシグロさん、神ヴィクトリア」
挨拶が交わすとヴィクトリアだけが店の中へと入って行った。
「今日からよろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いします。しかし、私は今まで誰かに戦い方を伝授したことがありません。なので、イシグロさんの戦い方を見ながら先達冒険者として、アドバイスを出させてもらいます」
「分かりました。まずは、【プロモーション・ルーク】!」
「いきなり魔法ですか、それも速攻魔法とは驚きました!?」
「これから戦い方を教えてもらうリューさんだから教えますが、今の魔法は基本アビリティに補正をかける魔法で、今は『力』と『耐久』に補正がかかってます」
「その口振りからするに、その魔法は他にもアビリティ補正をかけられるようですね」
「その通りです。訳あって使えないですけど、最終的には全ての基本アビリティに補正がかかります」
「それは凄い」
「では、そろそろ始めましょう」
「何処からでもかかって来なさい!」
お互いに得物に持って、間合いをかける。俺の得物は、鍛練用として頑丈さに極振りして創造した木剣二本、対してリューさんが持つ得物はリューさんの故郷の木を素材した木刀であることは前世の情報サイトで閲覧したことがある。
「行きます!」
掛け声と共に地を蹴り、左右の木剣で右から凪払うような構えで突撃する。無論、倒せるなんて思っていない。けれど、今は俺が知っている前世のアニメやゲームのキャラクターの動きを試していく。
一つ一つバラバラでも、いつかはそのバラバラだった物が点となり線となり円となるはず。ならば、試せる物は試さないと持ったいない。
「意気込みはいいでしょう。しかし、イシグロさんの動きは素直過ぎる」
「流されたっ……!?」
木剣と木刀が衝突した瞬間、衝撃を逃がされたと理解出来た。小学生の頃、ある程度太い木の枝を剣を振るように大木に打ち付けたことを何回も経験したことがある。そして、何が言いたいかというと、 普通木と木が衝突すれば、それなりの衝撃が俺にも返ってくるはすだ。なのに、返ってくるはずの衝撃があまりにも軽すぎるのだ。
これがLV.4 冒険者の技術。素人からしたら高過ぎる高みだ。けれど、その分、遠慮なく剣を振るえる。技を磨ける。
「まだまだ!」
「あまいです」
次の攻撃に移ろうとした刹那、がら空きの腹部に重い衝撃が走る。
「ぐがぁっ!?」
どうして、腹部に衝撃が走ったのかは分からないけどかなり痛い。それもミノタウロスに吹き飛ばされた時よりも痛い。めちゃくちゃ痛い。思わず、木剣を離して、腹部を抑えてしまう。
「うくッ…………!?」
「やはり、どうにも私はやりすぎてしまう。今からでも、他の冒険者に………」
「まだッ…………やれますッ!」
他の冒険者に師事するだと。そんなことできる訳ないだろう。どこの【ファミリア】がリューさんみたいな美人でエルフの女性に師事させてくれるか分からないだろうが。こちとら、アニオタでゲーオタなんだぞ? 二次元創作を書く時はハーレム物にしてるオタクだぞ。こんな美味しい展開を逃してなるものか!!
オタクの根性、舐めんなァァアアアアアア!!!
「…………分かりました」
「ああああああ!!」
「ハッ!」
「うごっ!?」
「シッ!」
「ぶべっ!?」
「フンッ!」
「がはっ!?」
それから何度もリューさんにボコボコにされた。途中で、痛みから涙や鼻水、胃の中に入っていた物などを流し、それでも限界まで挑んだ。
最終的には、【プロモーション】の効果切れで何のアビリティ補正もかかっていないところへ手加減されているとはいえど、LV.4 の攻撃を受けて呆気なくノックアウト。
○●○
次に目が覚めた時は、ベッドの上だった。
「ここは…………?」
『エルフの小娘にずいぶん派手にやられたな、相棒』
「ドライグか。ああ、まったく何もかもが通用しない。あれが、LV.4 の強さ。今の俺よりも、三つレベルを上げた冒険者」
『俺がいた世界でいえば、あのエルフは剣だけなら中級悪魔クラスか』
「中級悪魔か…………それと身体中が痛え。自動回復魔法を使っておくんだったな」
基本アビリティに補正をかける【プロモーション】と自動回復の魔法を併用しておけば、まだ鍛練が出来たかもしれない。
今が何時なのかは分からないけど、リューさんとの鍛練のあとにベルとダンジョンに行くつもりだったので、何とかしてベルの所へ行きたいが痛みで思うように身体が動かない。
しばらく、痛みを我慢しながらベッドから起き上がろうと悪戦苦闘していると部屋の入り口からウエイトレス姿のヴィクトリアが入ってきた。
「あっ、ケンマ。目が覚めたんだ」
「ヴィクトリアか、今さっき目が覚めた」
「よかった。ケンマが気絶するからリューが慌ててたわよ」
「マジか、あとで謝らないとな」
「まずは、これを飲みなさい」
「これは?」
「ポーションよ。一応、リューが回復魔法をかけてくれたみたいだけど念のためね」
リューさんが回復魔法の【ノア・ヒール】をかけてくれたとヴィクトリアが言うが、もしもそれがなかったら今頃は痛みでベッドから起きれないイメージが想像できてしまったのは内緒。想像してしまったイメージに戦慄しながら差し出されるポーションをゆっくりと飲み干していく。
「ありがとう、ヴィクトリア。ついでに悪いんだけど、【ステイタス】の更新も頼む」
「わかったわ。ただし、手元に羊皮紙がないから口頭で結果を言うからね」
「大丈夫だ」
気絶したとはいえ、何度も手加減されたLv.4の攻撃を身体に受けていたのだから『耐久』がそれなりに上昇してもおかしくないはずだ。他の基本アビリティは、ベルとダンジョンに潜る時にでも上げればいい。
「はい、終わったよ。やっぱり、第二級冒険者にボコボコされた甲斐があってか、『耐久』が90近く伸びてるね」
「それは嬉しい報告だ」
羊皮紙が手元にないので、口頭でヴィクトリアから一番伸びている『耐久』の値を聞いて、あれだけ涙や鼻水、胃の中の物を流して、立ち上がった甲斐が本当にあったのだと嬉しくて仕方ない。これだけの成果が出ているのだから、明日の鍛練も涙や鼻水を流しながらでも頑張れそうな気がしてきた。
「んじゃあ、そろそろダンジョンに行くわ。ベルが待ってるし」
「あまり無茶はしないでよ」
「善処する」
【ステイタス】の更新も終わったのでシャツを着直してから今度こそダンジョンへと向かうのだが、その際にお店の準備中のリューさんと出会い、気絶させたことを謝ってきたが明日の鍛練もお願いすることでその話を終わらせることに成功すると、店の入り口からベルが入ってきた。
「すみませーん」
「あれ、ベル?」
「えっ、ケンマ? どうして?」
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石黒ケンマ
Lv.1
《基本アビリティ》
力 : H176→H199
耐久 : G227→F316
器用 : I94→H126
敏捷 : H138→H150
魔力 : G213→G229
《魔法》
【プロモーション】
・『騎士』、『戦車』、『僧侶』、『女王』に昇格できる。
・昇格した物によって、アビリティ能力超高強化補正。
詠唱:《プロモーション・────!!》
【】
《スキル》
【赤龍帝を宿し者】
・早熟、進化する。
・想いの丈によって効果向上。
・想いの丈によって効果持続。
【魔力操作】
・イメージによって対象魔法の行使が可能。
・対象魔法分の体力、魔力、精神力のいずれかを消費。
・効果、威力はイメージに依存。
・任意発動
【言語和訳】
・全ての言語を和訳。
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オリ主たちの新本拠地候補
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