───目を開ける。
何もない無人島から、命からがら脱出した忠臣とブラストアッパー。
目の前には、無機質な白い壁のみがあった。
「ここは…転送部屋か。…助かったのか。オレたち。」
ブラストアッパーは安堵する。
そして、フルークに勝てなかったことを悔やんで、俯いた。
「ふむ。」
「おい、拳使い。ここの案内をせよ。」
忠臣は人の気など関係なく、ブラストアッパーにここの案内を頼む。
「…あ。ああ!任せろ!」
ブラストアッパーの性質を考慮すれば、この対応は吉と出たようだった。
転送室を出て、施設を案内される忠臣。
どうやらここは、【箱庭石】と呼ばれる施設で、レジスタンス達の本拠地であるらしい。
どこもかしこも白い壁で作り込まれた、3階建ての、いわゆる近未来的な基地であった。
「っかしーな。いつもなら転送が終わったら身体検査とかがあんのに、人っ子一人いねぇや。」
だが、レジスタンスの本拠地は、無人であった。
こんな状況になったのはブラストアッパー曰く、初めてらしい。
「む、【液体金属ロボ Metadoll-774】に連絡が…。」
ブラストアッパーの腰にかけてある収納袋から、液体金属が受話器の形となって現れる。
(それはそのように使うのか。)
液体金属ロボが、連絡用に使う【カード】であるとは、流石の忠臣も驚きであった。
「ふむ…なるほど。了解した。」
「なんの話だ?」
「【エナジー缶】の中毒が原因の暴動鎮圧だとさ。そのために全員出払ってる。」
───【エナジー缶】?
何故だろうか。
忠臣はその名称を、とても多く聞いたことがあった気がしていた。
「ま、この基地の連中が鎮圧に行ったらもうおさまるだろうし、ゆっくり待とうぜ。」
「我も行く。」
「ええっ!?」
───目を開ける。
箱庭石を出れば、【暁翼街】へと出る。
空中回廊を通して行き来できる、三棟の大きな現代的建築物が、このステージの特徴であった。
ブラストアッパー曰く、本来ならば、多数のカード達で賑わっているはずなのだが、今は多数の警備隊が街を囲み、サイレンを鳴らしている。
「あ、ブラストアッパー殿!戻られましたか。」
警備隊のまとめ役である、【聖女の近衛 デュノア伯】が忠臣達に声をかけた。
緑の髪をオールバックに固め、メイスと盾を装備している。
「ああ。戻ったぜ。」
「偵察任務、お疲れ様です。そちらの方は…?」
「おう、コイツは現地で協力してくれた忠臣って言うんだ。Tele-Passで一緒に連れてきちまった。いいよな?」
「はい。ブラストアッパー殿の見立ては確かですから。しかし、ある程度の身体調査はさせていただきます。よろしいですかな?忠臣殿。」
「ああ。構わぬ。」
「これから世話になる。よろしく頼む。」
デュノアに挨拶する忠臣。
デュノアはブラストアッパーが連れてきたなら、と、忠臣への警戒心を解いた。
「しかし、今回の暴動鎮圧は時間がかかってんなぁ。なんかあったのか?」
「今回は【聖女の前衛 ジル・ド・レ】殿と【-蒼王宮-翠天騎士 リョーフキー】殿、並びに【トリガーハッピー メグメグ】殿が中毒を起こし、立て篭もっておりまして…。手がつけられないのです。」
(なんと、レジスタンスは【蒼王宮】の騎士をも手先にしておるのか。)
「なるほど、立て篭もりか。なら、ここまで時間がかかるのもわかるぜ。」
「ブラストアッパー殿。どうか鎮圧をよろしくお願いできませぬか。」
「いいぜ。レジスタンスは助け合いだかんな!行くぞーっ!」
ジル・ド・レ達が立て篭もる建物へ向かって、跳躍するブラストアッパー。
「あ、建物は壊さぬようお願いします。」
だが、デュノアの静止を食らってずっこけた。
「建物ごと破壊するつもりだったのか?」
「…おう。」
ブラストアッパーはバツが悪いように苦笑した。