#コンパス 桜華忠臣の受難   作:K+#ガソ林

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謎の組織 レジスタンス-5

 

 

 

 ───目を開ける。

 

「驚いたな、アレを抜けて来られるのか。」

 白銀の鎧を纏う、好青年。

 【聖女の前衛 ジル・ド・レ】

 

「チッ…。クソッタレが…。」

「後続部隊が来てますよ。どうしますか?」

 どこか気怠そうに目を細める、翠緑のサーコートを身に纏う騎士。

 【-蒼王宮-翠天騎士 リョーフキー】

 

「ぜーいんぶっ殺せばいいんでしょ?むしろ話が速いじゃん!」

 両手に愛銃、ガトリンを装備する、防弾パーカーを着た少女。

 【トリガーハッピー メグメグ】

 

 3人は【暁翼街】内の建物に現れた侵入者が、トラップを抜け、ここまで辿り着くということで話し合っていた。

 

「そういう話ではないよ、メグメグ。私たちが交渉を行わずして、ここに立て籠ったのも全て、時間を稼ぐためなんだからね。」

 

「メグメグ、わかんなーい。」

 

「リョーフキー。君は【全翼飛将 グライフ】(戦闘機のようなもの)の準備をしておきなさい。」

「後続部隊には、【爆術死鬼 ツクモ】を持たせた【無限軍旅 ケルパーズ】(大きな目玉を頭部とする、軍服を着た妖怪の小人達)でも差し向けておけばいい。」

 

「おう、わかった。」

 

「…ああ、そうだ。リョーフキー。【ジェニト】がこちらに来るまでは、君は絶対にこっちに来てはいけないよ。君がいないと"取引"が成り立たない。」

 

「ああ…絶対、無理するなよ。お前ら。」

 

「出てきちゃダメだからねーっ。」

 

「わかってるよ!…わかってる…!」

 

 ジル・ド・レに指示されると、リョーフキーはこの場から立ち去った。

 

「ようこそ。待たせて悪いね、鎮圧者諸君。」

 

 階段を登りきる、侵入者達。

 

 忠臣とブラストアッパーは、数々のトラップを超え、ジル・ド・レ達の前に立っていた。

 

「茶番は終わったようだな。」

 

 忠臣が刀を抜く。

 

「ジル・ド・レ…メグメグ。お前ら…本気かよ。」

 

 ブラストアッパーは拳を構えた。

 

「うん。本気だとも。メグメグ!頼んだ。」

 

 引き金を引いたのは、羽根の如く軽い号令だった。

 

「そん、な───。」

 

 殺意が場に充満する。

 

「OK!やっちゃうよ!」

 

「絶対死なないようにね、メグメグ。」

 

「もっちろーん!」

 

「───!逃げろッ!忠臣!」

 

 ───それは、蹂躙だった。

 

 ガトリングガン。

 機関銃との名称があるが、ともかく、この銃は反動が強く、ブレも大きいが───。

 

 ───圧倒的な連射性能を持つ。

 

 それも二丁とあれば、尚更だ。

 

「───閃ッ!」

 

 忠臣は絨毛銃撃から脚力を最大限活用して抜け出し、メグメグの無力化を狙う。

 

「忠臣ッ!」

 

 しかし、避け切れず、足、腕に数発程度銃弾を食らい、壁際まで吹っ飛ぶ。

 

「がはっ。」

 

(だが…。)

 

 見れば、ブラストアッパーが、ガトリンを乱射するメグメグへ近づき、接近戦を仕掛けようとしている。

 

(あのガトリングガン使いの背後から近づけば…。)

 

 ブラストアッパーが機動力で撹乱しようにも、二丁ガトリングガンという暴力の奔流が、なかなか近づくことを許さない。

 

 忠臣は、起き上がり、足に力を込める。

 

「通すわけないだろ。」

 

 そこで、呆れ顔のジル・ド・レが忠臣の前に立ち塞がった。

 

「む───。」

 

 忠臣はジル・ド・レへと斬りかかる。

 

 だが、刀を弾き飛ばされた上で、右腕を斬り飛ばされた。

 

 一瞬にして、刀と腕を失った。

 

「───は?」

 

 忠臣は、理解できずにいた。

 ジェニトでも、アダムでも。

 どのような攻撃が来るか程度は、見えていたのだ。

 見切ることができたのだ。

(だが、こやつは───。)

 剣が、見えない。

 ジル・ド・レの攻撃が迫る。

 間違いなく、忠臣はここで───死ぬ。

 

「ブラストォ、アッパーッ!!」

 

 仲間がいなければ、だが。

 メグメグと交戦していたらしきブラストアッパーが、こちらへ援護の拳を向ける。

 

「ダメなんだよ?敵から目を逸らしちゃ。」

「はらわたを───ブチまけろッ!」

 

 拳を放った硬直のために、45発程度、生身に弾丸を受けるブラストアッパーだが───。

 

「メタドール!───上手くいってくれよ…!」

 

 【液体金属ロボ Metadoll-774】を起動。

 銃弾による、45発の殺人的な衝撃にて壁際へと吹っ飛ぶが、かろうじて銃弾が体を貫通するのは防ぐことができた。

 

「あれ、血が見えないなぁ…。もっと楽しめるってこと?」

 

 

 

 プラズマ化した爆炎が、忠臣諸共ジル・ド・レを包み込もうと爆走する。

 

「───正気かよ。」

 

 ジル・ド・レはため息をつくが、退避できなくはない。

 

(今の"強化された身体"あってこそ、だがね。)

 

「逃すか───。」

 

 忠臣は村正を起動する。

 迅雷を左手にて掴み、ジル・ド・レへと投げ放つ。

 放たれた矢の如き一撃は、ジル・ド・レの腹を穿った。

 流石のジル・ド・レも、雷を避ける事は出来ない。

 

「…ぐっ。」

 

 血を吐くジル・ド・レ。

 だが、炎の回避には成功した。

 忠臣は炎に飲み込まれる。

 あとは、ブラストアッパーをメグメグと共に始末すれば終わりだ。

 

 終わり、だ───。

 

 

 

 

「ふーん。立ち上がるんだね。」

 

「ああ。仲間を───助けなきゃならねぇ。」

 

「メグメグも、そうだよ。」

 

 ガトリングガン二丁による、弾幕。

 轟音。

 とても、人が生きていられない環境。

 火花が咲いて、血が落ちる。

 

 銃撃の暴風雨、その真正面に、ブラストアッパーは立っていた。

 

「ブラスト───。」

 

 Metadoll-774による防御は、気休め。

 すでに筋肉は衝撃によってボロボロ。

 だが、拳を少し振るぐらいは、彼にも出来る。

 

「ぐっ───。」

 

 腹が───目が足が腕が肩が肘が首が頭が。

 

(負けねぇ。)

 

 全て撃ち抜かれようとも、立つ。

 

(倒れてる仲間が、いる。)

 

 振り抜くまでは。

 

(仲間が頼れるのは、仲間《オレ》だけだ───。)

 

 いずれあの───フルーク・クォイツを撃ち落とすために。

 

 立つ。

 

 振り抜く。

 

(ブラスト───。)

 

 振り抜け───。

 

「ブラスト───アッパーッ!!!」

 

 ジル・ド・レの横を吹き抜ける爆炎。

 

 プラズマ化した分子の活性。

 

 けたたましい程の銃撃音は、爆炎に攫われた。

 

「あ。」

 

 煙が徐々に薄まれば、立っていたのは、一人のみ。

 

 ジル・ド・レの視線の先にいたのは、ブラストアッパー。

 彼が持つ、金枠の【カード】。

 

「メグメグ。」

 

 【トリガーハッピー メグメグ】。

 そのカードが、ブラストアッパーの手に収まっていた。

 

 ブラストアッパーの身体には、夥しいほどの穴が空いており、凄まじい激戦が展開されたのだろうと思われる。

 

 だが、メグメグは生き残れなかった。

 

「───ジル・ド・レ、こいつ。金枠だろ。」

 

 出血、脳の損傷により、身体機能のほぼ全てを失いながらも、彼は口を開けた。

 

「エナ缶中毒を装って、こいつをなんとかしたかったんだな?」

 

「…そうなんだろ。」

 

 途中でメタドールの防御を頭部に集中させた事で、かろうじて話すことができた。

 

「ああ、そうさ。」

「【死献薬 シュタルク・トート】まで使った。」

「それなのに、このザマだ。」

 

「持っていけ。」

 

 ブラストアッパーはメグメグのカードを、ジル・ド・レへと投げつけた。

 

「───何故、だい。」

 

「アンタは腹を貫かれただけでほぼ健在、オレたちは生きてるかもわからねぇ忠臣と、ボロボロのオレ。」

 

「───命乞いって奴だ。」

 

 建前なのは、わかっていた。

 だが、事実でもあった。

 

「…ハハ。確かにそうだ。」

「じゃ、貰っておくよ。」

 

 メグメグのカードがジル・ド・レに渡された瞬間に、【全翼飛将 グライフ】の起動を終えたリョーフキーが戻ってくる。

 

「オイ!ジル・ド・レ!何があった!」

 

「見ての通りさ、完敗だよ。そっちは?」

 

 メグメグのカードを見せるジル・ド・レ。

 

「ぐっ…ジェニトさんが来た!もう"脱出"できる!早く来い!」

 

 ジル・ド・レは、微笑んだ。

 が、シュタルク・トートの副作用か、吐血する。

 

「ああもう!背負ってやるから!」

 

 リョーフキーに背負われ、撤退するジル・ド・レ達。

 

 それを静かに見送るブラストアッパーであった。

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