#コンパス 桜華忠臣の受難   作:K+#ガソ林

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謎の組織 レジスタンス-6

 

 

 ───目を、開ける。

 

 己の全力を持って、ジル・ド・レ達を退けたブラストアッパー。

 

 忠臣はというと、爆炎の巻き添えになりながらも、なんとかカードにならず、生きていた。

 

 土壇場で、月夜叉から貰っていた【宇宙連合軍 ステルス迷彩】を起動し、体を覆うことによって、爆炎からのダメージをある程度カットしていたのだ。

 

「ぐ…ぬ…。」

 

 だが、右腕を切り落とされたために、右肩からの出血が激しい。

 傷口も爆炎で焼かれたことで、多少止血はできたのだが、あと少しでも放置されれば即座にカードとなってしまうだろう。

 

「オイッ!忠臣!…ぐっ。」

 

 ブラストアッパーが助けに入ろうとするが、すでに身体に【エナジー】(生命力のようなもの)はほとんど残っておらず、そのため、回復用のカードも使えない。

 

(このまま、終わんのかよ…!)

 

 その時だった。

 無数の足音が、階段を登る音がする。

 後続部隊だ。

 デュノア伯が忠臣達を見つける。

 

「なんと!間に合わなかったか…!漢衆!彼らの治療を!」

 

 デュノア伯が号令を上げると、後続部隊のうち何人かが忠臣達を担架に乗せ、回復カードをかけるなどして監護する。

 

 彼らは、【祭りの粋!オトコの手筒花火!】というカードより実体化されたカード達。

 彼らは、火事対策などから担架や、怪我人の取り扱いについてはよく学んでいた。

 

 デュノア伯は周辺調査を行うものの、【全翼飛将 グライフ】は既に飛び去ってしまっていて、なんの手がかりをも掴む事は出来なかった。

 

 忠臣達は【聖女の親友 修道女マリー】、【楽団員 アルプ】、【保健室の救急セット】と言ったカード達により、10時間程の治療を行うことで、なんとか回復することができた。

 

「もう出血は止まりましたが、エナジーを補給しなければ血液は戻りませんので、予後には十分に気を付けてください。」

 

 忠臣は修道女マリーから、【エナジー缶】を手渡された。

 

「感謝する。」

 

(四肢の欠損も時間をかければ治るのか、回復カードというものは。)

 

 忠臣にとっては、驚くべきことであった。

 ここで戦争をするとして、底なしのエナジーを持つ金枠が、大量の回復カードを持てば、もう勝利したようなものだ。

 

 負傷兵は全て五体満足の状態まで回復することができるのだから。

 

 病院から外に出る忠臣。

 まだ、ブラストアッパーは治療中だ。

 

「おや…?彼は…。」

 

 帽子を被った金髪の男性が、忠臣を見つけた。そのまま忠臣に近づいて、話しかける。

 

「おーい!君!俺だよ、覚えてないか?」

 

「む、貴様は…。」

 

 話しかけてきたのは、エンフィールド。

 【武器商人 エンフィールド】であった。

 

 忠臣は刀を抜いた。

 

「待ってくれよ。ミスター桜華。今回はやる気じゃないんだ。事を荒立てるつもりはない。」

 

 エンフィールドは身振り手振りを駆使して、戦闘意欲がない事をアピールする。

 だが、忠臣としても、一度殺されかけた相手を信用するわけにはいかない。

 

「…信用できんな。それにしても、よく回る舌だ。」

「切ってやろう。近う寄れ。」

 

「遠慮させてもらう。あと、今回の話は内密なんだ。場所を変えよう。」

 

「よかろう。」

 

 忠臣達は路地裏へと移動した。

 忠臣からすれば、戦闘になるにしても、路地裏のように逃げ場がない場所であれば、村正の力でエンフィールドを始末することができるからだ。

 

「ミスター桜華。アンタが金枠だって事、俺は知ってる。だから、今回は橋渡しをしに来たんだ。」

 

「ふむ。詳しく。」

 

「金枠のカードは殊に、レジスタンスにとっては重要な資源。遊ばせておくわけにはいかねぇ。ミスター。アンタも同様にな。」

 

「だが、アンタには…やってもらわなきゃならないことがある。まだ名が知られていない金枠は貴重なんだ。」

 

「【蒼王宮】が最近、地下で妙な動きをしている。調査なのか、罠でも仕掛けているのか、それはわからないがな。」

 

「だが、もしかすると、【封印】をした強力なカードを探してる可能性がある。」

 

 【蒼王宮】が地下世界で活動していること。これについては、ブラストアッパーとの初対面の際に、聞かされていたことだ。

 だが、【封印】とは…?

 

「【封印】とはなんだ。」

 

「ああ、知らなかったか。【封印】ってのは、あまりに強力なカードが使用される事を恐れ、地下深くに【封印】する行為さ。」

 

「【連合宇宙軍 サテライトキャノン】、【対消滅ロングレンジライフル Hum-Buster】、【必殺!滅殺!超重力子砲 G-バズーカ】が【封印】処理を受けた主なカードだ。」

 

「…俺がロングレンジライフルを持ってたというのは、誰にも言わないでくれよ?狙われてしまうからな。」

 

「いいだろう。」

 

 忠臣は適当に返事しておいた。

 

「というわけだ。ミスター。カードが封印されている地下で活動する、【蒼王宮】がきな臭い事はわかったろう?」

「アンタには、【蒼王宮】が地下でやってる事を調査して欲しい。十中八九、【封印】されたカードの回収だと思うけれどね。」

 

「対価を言え。商人。」

 

「…そのかわり、オレはアンタが金枠だとバレないように裏から手を回す。」

 

「…ふむ。よい。ちょうど暇をしていたところだ。手伝ってやろう。」

 

「話が早くて、助かるよ。ミスター。」

 

 ここに、二人の契約が結ばれた。

 

「偵察任務の人員に、アンタを紛れ込ませておく。アンタがレジスタンスに所属している限りの契約だ。」

 

「了解した。対価の分は実力にて、示して見せよう。」

 

 日は暮れる。

 何時かの日とは、場所も、敵も、仲間も違う、そんな日だった。

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