#コンパス 桜華忠臣の受難   作:K+#ガソ林

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FINAL桜華作戦-3

 ここは、忠臣達によって復興された新生レジスタンス本部。

 医務室でゆららと忠臣、フルアーマー装甲兵が対峙していた。

 

「なぁ、アンタら何者なんだ?」

 

 ゆららはフルアーマー装甲兵から治療を受けつつ、忠臣達に聞く。

 

 目を開ける忠臣。

 

「我らはそうさな…バグドール打倒を主旨として結成されている軍団だ。」

 

「質問を変える。あのポータルキーってのはなんだ?イレギュラーウィルスの空がすっかり消えたのはなんでだ?」

 

「フルアーマー、説明を頼む。」

 

 近くにいたフルアーマー装甲兵を呼びつける忠臣。

 

「はい!総統閣下の代わりに自分が説明させていただきますね。ポータルキーとは、総統閣下…桜華総統の魔力をより効率的に空間に作用させるための機器となります。」

 

「ポータルキーにより、総統閣下のもつ分解の性質を持った魔力は高所や地下にも届き、大気や地中に存在するイレギュラーウィルスを分解することができます。」

 

「なるほど、ポータルキーってのはわかった。」

 

「そして、肝心な総統閣下の魔力は、閣下自身の生命力を変換して取り出したもので、データを分解する性質を持ちます。そのためにイレギュラーウィルスを分解することができるのです。」

 

「どうでしょう、わかりました?」

 

「便利なもんだな、魔力っていうのは。」

 

 現代社会で生きてきたゆららには、魔力というものにあまり馴染みがなかったが、さすが配信者の現代っ子と言ったところで、馴染みが早かった。

 

「俺は使えるのか?魔力。」

 

「気合い次第だろう。気張れ。」

 

 談笑を混じえていると…。

 

「おいっ!忠臣!」

 

 ガラリと勢いよく医務室の扉が開けられる。

 

「緊急事態だ!バグドールが本体のコンパスにアクセスしようとしてる!」

 

 金髪の少年。十文字アタリだ。

 

「ふむ、作戦の実行が早まったということか。」

 

「…?作戦?」

 

 忠臣は不敵な笑みを浮かべ、椅子から立ち上がった。

 

「ゆららと言ったか、傷も治っただろう。貴様もついて来い。」

 

 忠臣はそれきり、フルアーマー装甲兵を連れてアタリの後をついて行った。

 

「おっ、おい!」

 

 ゆららは飛び起きて、忠臣達の後を追う。

 

 復興した新生レジスタンス基地の会議室には、大量の【カード】達が顔を合わせていた。

 

 ジル・ド・レ、ブラストアッパーなどの【レジスタンス】の面々だけでなく、【武器商人 エンフィールド】、【秘密結社"MMM"首脳 零夜】などの見ない顔も居る。

 

「それでは、FINAL桜華作戦───その最終会議を行う。」

「ふぁいなるおうかさくせん…?」

 疑問符を浮かべるゆららだったが、即座に気を引き締める。

 忠臣は【カード】達に対して、現在の状況を話し始めた。

 

「状況を端的に言おう。バグドール…我らの敵は、イレギュラーウィルスを用いてこの世界を取り潰す気でいる。」

 

 群衆からどよめきが上がる。

 会議室に用意されたディスプレイには、バグドールの姿が映し出された。

 

「バグドールは人々を変質させ、その自我を奪い傀儡とするウィルスをばら撒き、この世界を掌握しようとしているのだ…たとえ、そこに住む民草がどうなろうともな。」

 

「ここにいる者はイレギュラーウィルスに侵食された者が大半だろう。分かるはずだ。痛みが。」

 

「自分というものが消えてゆく…変質していく恐怖が!」

 

「この戦いに負ければ…我々が立ち向かわなければ…この世界の一切合切が書き換えられる。我らは全てを失う。」

 

 忠臣は力強く宣言した。

 

「者共よ、今こそ立ち上がる時だ!」

 

「貴様らの手で恐怖を打倒し───自由を勝ち取れ!」

 

「安寧のために戦うのだ!」

 

 数秒の沈黙の後、一つの拍手が起き、続いて場は喝采に満ち溢れた。

 

「ジャスティス・ハンコックだ。作戦について説明したいと思う。」

 

 場がしん、と静まった。

 

「我々が目指すのはバグドールの打倒。凍結能力を持つアダム・ユーリエフと、データの分解能力を持つ桜華忠臣を主体とし、バグドールの完全消滅を試みる作戦となる。」

 

「我々がこの作戦を実行するためには、アダム・ユーリエフの【カード】の取得が必要不可欠だ。そのため、作戦第一段階としては人員を二つに分ける。」

 

「忠臣含めた【カード】達がアダム奪還を、俺を含めた【カード】達はイレギュラーウィルスに感染した者達の撃退と、ポータルキーの防衛を行う。」

 

 ジャスティスがアタリに目配せすると、アタリは【カード】達に作戦計画書を配っていく。

 

「質問はあるか?…何もないようだな。それでは解散だ。全員、生きて帰れることを祈る。」

 

 ジャスティスが下がり、【カード】達は作戦書に従ってぞろぞろと移動していく…。

 

 その影に隠れ、忠臣に話しかける者が1人…。

 

「久しぶり、ミスター。いや、総統と読んだ方がいいか?」

 

「エンフィールドか。どうした?」

 

 エンフィールドは過去、イレギュラーウィルスに感染したが、【ヒーロー】達と戦闘、あえなく敗北し、忠臣の傘下に入っている。

 

「作戦が今始まったら、本部の守りが手薄になるんじゃないか?まだ、あの巨大兵器の開発が…。」

 

「むしろ、そちらは囮だ。【帝皇機神 ケーニヒ・イェーガー】は強力でこそあるが、質量攻撃ではバグドールは倒せん。」

 

「…考えがあるならいいんだ。安心したよ。総統。…それで、月夜叉のことなんだが。」

 

「奴がウィルス入りエナジー缶の融通をしていたということだろう?わかっておる。…いずれ、ヤツからは詳しい話を聞かねばならん。」

 

 【妖炎参謀 月夜叉】。

 この世界で、唯一イレギュラーウィルスを扱っていた存在。

 バグドールの情報が欲しい忠臣達は、いずれ邂逅せねばならないだろう。

 

「さぁ───動き出す時が来た。」

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