向かい合う巨人と巨体。
先んじたのは悪魔、バグドール。
無限に近いイレギュラーウィングを使い、イェーガーへと大量のウィルスを放出する…!
「リブートシーケンス、スタート!」
それと同時にボイドールの能力、転移を使用し、イェーガーの装甲となっている分解の魔力をどこか遠い場所へと飛ばす。
イェーガー側としては、大量に魔力を放出して対抗する他ない。
「残弾60基〜!大変大変!」
「まずいよ!ジャスティス!分解の魔力の補充が出来ない!このままじゃジリ貧だ!」
忠臣は現在、氷漬けのままだ。
その理由は月夜叉が今もバグドールの手の中にあるからに他ならない。
バグドールは月夜叉のパスを使って、忠臣へ向けて、強制的にウィルスを送ることができる。
そのため、月夜叉をどうにかしなければ、忠臣を目覚めさせることはできない。
「モウオマエラハ消去デス。」
「【ハイスペックニート マルコス'55】、【ギャリギャリ女子高生 双挽乃保】、【夢見る☆魔法少女 リリカ】───固有効果、起動。」
マルコスの効果は際限なき自己強化、運動能力の向上。
乃保の効果は自身の行動速度の倍加、視力の向上。
リリカの効果は自身の陣営の防御力、攻撃力の強化。
イレギュラーウィングは、今までに見せていないほどの攻撃力をイェーガー相手に見せる。
バリアが割れ始めた。
「くそっ!なんのこれしき…テヤァ!」
ジャスティスの固有効果のバリアが分解の魔力と拮抗する。
だが、若干バグドール側の勢いが大きい。このままでは数分と持たない…!
「…忠臣を倒して、改めてパスを繋ぎなおせば良いのだろう?」
アダムが言った。
「そうすれば、バグドールからのジャックは回避できるはずだ。」
アダムは凍っている忠臣を、切り裂いた。
忠臣は自身が死んだとも気づくことなく、【カード】に戻る。
「実体化───!」
(…忠臣!甦れ!)
エナジーの奔流───光が現れ、忠臣を構成する。
「ククク、フハ…!」
だが、そこにいたのは───黒白の忠臣であった。
「どうやら、イレギュラーウィルスが勝ったようだな…アダム!」
イレギュラーに存在を犯されたのだ。
忠臣とアダムが斬り合う。
その傍で、テスラが悲鳴をあげていた。
「もう無理!ジャスティスの電磁シールドでもこれ以上は防げないよぉ〜!」
「…。終わりか…。」
(…絶望。何度も見た物です。)
皆うなだれ、絶望の空気が空間に満ちる。
(……。でも。まだ。終わりじゃない。)
(私達は───終われない!)
だが、一人が叫んだ。
「───うらぁぁぁぁぁぁ!!!」
「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁあ!?!?」
ジャンヌだ。
いつのまにか、イェーガーの外へ飛び出している。
ジャンヌがアリスを引っ掴んで盾にしつつ、バグドールの攻撃を防いでいた。
「トランプ兵ちゃん守ってぇぇ!!あと誰か助けてぇぇ!!」
「皆さん!諦めてはなりません!」
「まだ手は動き、足も動く、ならば、なんでもできるではありませんか!?」
聖女は旗をはためかせる。
ジャンヌが思い出したのは、新生レジスタンスの窮地。
忠臣達が来なかったら、間違いなく壊滅していたあの時だ。
「私たちの受け継がれてきた灯火は、消してはなりません!」
「勇気を!」
何も出来ないのは、つらいのだ。
何もうまくいかないのは、もどかしいのだ。
「我々の道は常勝!私に続きなさい!私の背中を押しなさい!」
だからジャンヌは、今度こそ───全て、押し通ると決めたのだ。
「ヒーローとは!英雄とは!道を切り開くからこそではありませんか!!」
無限に死と再生を繰り返すアリスをふん掴みながら、ジャンヌは吠えた。
「そうだ…我々のエナジーを、忠臣に…!」
「イスタカ…。そうか!イレギュラーウィルスよりも多く、私らのエナジーが忠臣に渡れば…!」
「忠臣は復活できる!」
ジャスティスとアダムが忠臣を封じ込める。
「皆!忠臣に触れ!【ヒーロー】だけじゃない!【カード】もだ!皆で忠臣にエナジーを送るんだ!」
「っぐ、離せぇ!…なんと言う馬鹿力よ…!」
(くっ…意思が分裂して分解の魔力が出せん!オリジナルめ!)
忠臣の内面でも、忠臣自身の炉心から発生した分解の魔力と、イレギュラーウィルスが体の主導権を争っていた。
そのため、イレギュラーの忠臣は分解の魔力を使うことができなかった。
「忠臣!終わったら花火大会だよ!気張りな!」
「!てし古稽の刀たま」
「リリカを取り戻したいの!力を貸して!」
「大地の精霊を鎮めたい。バグドールを倒してくれ!」
「君の可能性は、此処で止まらない…。観測結果の向こう側を見せてくれ!」
「癪だが、コクリコちゃんのためだ…しくじるなよ!」
「忠臣お兄ちゃん、頑張って〜…。」
「明日のご飯のためです!限界まで注ぎ込みます!しゅびっ!」
「忠臣様…せめてこの老体の力、存分にお使いください…!」
「ほら、全て持っていきなさい。皆、あなたの覚醒を望んでいる。…だから、早く起きてください。忠臣さん。」
「俺の全ての力を籠める…自爆覚悟だ!なんとかなれェェ!!」
「フィナーレの音楽をレクイエムにはしたくないわ!起きなさい!忠臣さん!」
「総統!アンタが死ぬとアタシも師匠も悲しむっス!起きるっス!」
「目覚ましアプリ起動〜…なんちゃってね。忠臣!あーしの配信天下のために、早く起き上がりなさい!」
「辛かったね〜忠臣さん。後でよしよししてあげる…。でも、今は…今は立って欲しいの。頑張れる?」
「チェリーパイ!忠臣!チェリーパイを思い出すのよ!そのパッションを高め、高め、高める!それこそがチェェェェリィィィィィパァァァァイ!!」
「アンタに俺の炎を灯す!忠臣!俺たちの炎で黒雲を全て吹き飛ばしてやろうぜ!うおおおおおおおお!!!」
「カタコトロボの作るコンパスは、悪くなかった…。カタコトロボのパチモンなんざ、スクラップにしてくれよ、総統!」
縁があったヒーローだけでなく…。
「忠臣…甦れ。そして、また俺と共に歩め…!」
「ややっ、アダム殿がやれと言うのであれば、無下には出来ないねえ。ほら、全部使っていいよ。」
「殺し屋は世界がなければやっていけん。さらに言うなら、バグドールは世界を殺すに値しない…。好きに使え。」
「あの氷野郎の言うことに従うのは嫌だけど…アンタ、なかなか屈強でいい男じゃない。全て終わったら、少し話しましょ?」
「久しぶりだなアミーゴ!お前のことは月夜叉から聞いてるぜ!───助けてやれってな!ピッツァ食うか?」
「忠臣さん!お兄様と共に、世界を…!世界を救ってください!」
忠臣とは縁がなかったヒーローも。
「忠臣!ウィルスなんかに負けるんじゃねぇ!絶対!勝て!」
ブラストアッパー。
「俺達【蒼王宮】を打ち破ったのだ、バグドール如き、容易く倒してもらわねばな。」
「ジェニトさん、それは無理じゃないですか…?」
「ヴィーセリツァ…。くくっ。そうだよな。俺達も手伝ってやらないとな!」
「かつて、私たちは争った…だが、今はメグメグもリョーフキーも生きてる…。カード達の安寧のために、力を貸してくれ!」
「総統閣下…今までの不忠をお許しください。全ては歪の地のため。…このゲネラールの命を捧げます。どうか、安寧を…!」
【蒼王宮】のカード。
「大将!俺だ!ゲームバズーカだ!俺たちは仲間だ!仲間は絶対に救う!うおおおおお!」
「ゲームバズーカ、そんなに力んでもエナジーを注げないぞ…。総統閣下。とことんアンタに救われてきたが…今度こそ、アンタを助けさせてくれ。」
「過去、確かに自分は月夜叉殿と貴方を守りました。ですが、守りきれなかった…。自分と月夜叉殿は間に合わなかったのです。…自分と、スコーピオンと、ゲームバズーカ…そして貴方がいてこその、自分達でした!都合がいいかも知れませんが!今更ダメかもしれませんが!もう一度、尽くさせてください!」
「ミスター桜華、イレギュラーウィルスって辛いだろう?…気持ちは痛いほどわかるぜ。だけど、立ってもらう。日の光を浴びて生きていけるなんて、初めてだったんだ。世界を、守ってくれ。」
初めの仲間と、初めの敵。
「レジスタンスを、ジルを、ジャンヌを救ってくれてありがとう…!私の全てを、持っていけ!」
「私の力を使ってください。忠臣さん。…レジスタンスを、新生レジスタンスというあるべき形で復活させた貴方なら信頼できる!」
「きてる〜、一緒にエナジー注ご?劇映え〜!」
「…今でも、臆病で、コクリコのお兄ちゃんには相応しくない僕だけど、それでも、力を貸したい!僕の力を使って欲しい!」
「おまえも、俺たちも随分遠いところまで来ちまった…。もう銃なんか通用しねぇだろう。だけど、エナジー賭ければ勝てるってんなら、俺は大人しく差し出すぜ!」
「…使え。狐ヶ咲と同じ行動するのはカンに触るが…世界のためだ。」
旧レジスタンスのメンバー。
「団長と共に行動できるなんて…夢のようです…!」
「ほら、いくらでも使え!殺せる相手がいなくなるのは困る!」
「せっかくデコった戦車まで消えちまうのはな。ほら、使え!」
「きららと視聴率奪い合うのが生き甲斐なんだ。総統!頼んだ!」
「やめるちゃんマジ最高!映え〜!」
新生レジスタンスのメンバー。
皆のエナジーが、声が、忠臣に集まる───。
───目を、閉じる。