#コンパス 桜華忠臣の受難   作:K+#ガソ林

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オペレーション 桜華

 

 

 ───目を開ける。

 

 

「この地、鳩羽から東へ行き、三つの白き境界を越えれば、【蒼王宮】が根城としている"抗神廟"へとたどり着けます。」

 

「そうか。行くぞ。」

 

 作戦説明の後、【宇宙連合軍 ステルス迷彩】と、【凶天浄血 モートルラート】(自動二輪車のようなもの)を実体化し、様々なステージを駆け抜けた忠臣一行。

 

「この境界線の先にある【蒼王宮】の本部では、【連合宇宙軍 ステルス迷彩】の効力はほぼないでしょう。」

「…犠牲者が出ることも視野に入れて作戦を行いましょう。」

 

 月が雲に隠れ、光が一切届かない、暗き夜の闇の中。

 

 月夜叉の視線の先には、湖を有する幻想的な城があった。

 少し前へ出れば、アスファルトが石の道路へ姿を変える。

 

「まったくツギハギであるな。この世界は。」

 

「この"歪の地"は、白い境界を超えりゃまったくの異世界になる。覚えておいた方がいいぜ!大将!」

 

「ここから先が…【蒼王宮】…。」

 

「フルアーマー、ビビんじゃねぇぞ。お前のせいで死にたくはねぇ。」

 

「作戦の通りにすれば、悪いことにはなりません。敵の保有する正確な戦力のデータは織り込み済みですから。」

 

 総員、思い思いの言葉を紡ぐ。

 だが、一歩踏み出せば敵地であるという事実が、場を支配した。

 

「…総員、この先では白兵戦が予想されます。【# 夜行犯罪特区 # 天馬エイワズ】を起動してください。それと総統、これを。」

 

「なんだ?」

 

 各員がエナジーを使って天馬エイワズ(空中浮遊するスケートボードのようなもの)を起動する中、忠臣は月夜叉から謎のカードを渡された。

 

「【千血妖刀 牛鬼村正】です。」

 

 それは、たった今も身につけている愛刀の名を冠したカードであった。

 

「おそらく、【真の力】の解放に一役立てるはずです。」

 

「貰っておく。」

 

 受け取り、懐へとしまう。

 

「者共、構えよ。突入である。」

 

 号令と共に、忠臣達は戦場へと足を踏み出した。

 

 ───目を開ける。

 

 ついに、警備隊を潜り抜け、【蒼王宮】の基地の一つである、【抗神廟】へと突入した忠臣一行。

 

 彼らは機動力を上昇させる#天馬エイワズに乗り、電撃的なカード奪取作戦を行おうとしていた。

 

 だが、彼らの目の前には、当然ながら巨大なる障害があった。

 

 【抗神廟】の大きな湖の中から、水をかき分け、【ガルガルのピカピカデコ戦車】、【戦士の灯/超圧縮荷電粒子砲 ラグナロク】、【反導砲 カノーネ・ファイエル】などを含む、大量の砲塔が彼らの目の前に現れた。

 

「やばいぜ大将!」

 

「…ッ!」

(この量の戦力があるのはわかっていたけれど、まさか水の中に隠してあるなんて…!)

 

「…覚悟決めるか。」

 

(自分が必ず皆さんを守り切らなければ…!)

 

 ステージに入るまで、このことに気づけなかった忠臣一行は、自分達の誰が死んでも不思議ではないと覚悟した。

 

「エイワズを急かせ者共!駆け続けなければ死ぬぞ───!」

 

 爆風の中、彼らは命からがら、【抗神廟】の最終地点───白き城の内部へと、逃げ込んだのであった。

 

 

「エイワズの調子はどうだ。」

 

 白き城の内部にて、忠臣と月夜叉は待機していた。

 

 この城の内部にカードがあるのは、月夜叉によると間違いがないことであるが、その場合、罠が仕掛けられている可能性がある。

 

 忠臣と月夜叉、指揮官である二人のどちらも失うわけには行かないため、フルアーマーとスコーピオン、ゲームバズーカが城の探索を行っている。

 

「どれも大破しています。使い切りのテスラ製でしたので、総統閣下のお力があっても修理はできないと思われます。申し訳ありません。」

 

「予備はないのか。」

 

「ありますが…。先ほどの状況を鑑みるに、エイワズで脱出しようにも、砲撃によって撃墜されるのが予測されます。フルアーマーを先頭に退路を急ぐのが現実的でしょう。」

 

「ふむ。」

 

 確かに金枠の力さえあれば、ロングレンジライフルの主砲にさえ耐えることができる、フルアーマーの力を何度だって使用可能だ。

 

「月夜叉。見事だ。」

 

「…褒美は後にしてください。それより、内部の探索に行っていた3人が戻ってきます。」

 

 月夜叉は自身が操る通信妖術に連絡が入ったことを忠臣に報告した。

 通信内容としては、【カードの奪取に成功した、今から帰還する】とのこと。

 

「月夜叉、構えよ。」

 

 だが、忠臣は腰の刀を構え、先の見えぬ暗闇へと戦闘態勢をとった。

 

「敵だ。」

 

 暗闇の中から、コツン、コツン、と足音がする。

 

「…え?」

 

 ここで戻ってきたのは味方である3人ではなかった。

 

 吹雪の如き銀髪。

 

「俺は、セントグラード騎士団が騎士団長。」

 

 向けられた者を凍てつかせる声。

 

「【アダム・ユーリエフ】だ。」

 

「女王陛下からここの守護を仰せつかった。」

 

 あらゆる逆境を覆し、全てを守り抜いた男。

 

(何故、アダム・ユーリエフが此処に…!?)

(今は【協力している部隊】が【本拠地に陽動を仕掛けている】手筈なのに…。)

 

 【蒼王騎士団長 アダム・ユーリエフ】が忠臣の目の前に現れた。

 

「従って、貴様ら侵入者どもを、ここで鏖殺する。」

 

 氷雪の魔剣を、忠臣達に向ける。

 

「やっと、戦いがいがありそうな者が現れたな。」

「離れていろ、月夜叉。」

 

 忠臣は獰猛に笑う。

 

 両者、構えをとって動かない。

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