───目を開ける。
「よっ!無事だったか?大将!」
「お荷物の総統閣下は別にいらないんだがな。」
「…指揮官、迅速に撤退しましょう。月夜叉さんの通信妖術で事情は把握しております。」
氷壁を割って現れたのは3人の戦士。
ゲームバズーカ、スコーピオン、フルアーマー。
忠臣は氷枝から救出され、あとは逃げるだけだ。
「待てッ!そう簡単に逃すと思うなよッ!!」
氷の騎士は猛る。
その真の力を───解放する。
環境はさらに極寒へ。
第一魔剣は吹雪の中で淡く光る。
「アルマ一刀流、"秘"奥義───!」
アダムとしては、ここで確実に叛逆の芽を摘んでおかなければならなかった。
「───【アイシクル コフィン】!!!」
絶対零度。
命中した者の時すら奪う一撃。
敵の生死を支配する技。
断言しよう。
この場にいるどんな人物でも、この絶技から逃れることはできない。
助けにきた3人は無駄死にし、忠臣の物語もここで終わる。
だが。
ここに例外があった。
冷気の波濤を、止められる者が、突然に"現れた"。
「氷点の魔獣よ───!」
「目覚めよ、【グラナート】!」
少年の名は、【ソーン・ユーリエフ】。
「───羽根…?」
「【どこにでもいけるドア】かッ!大将!ツいてるぜ!俺達!」
アダム・ユーリエフの弟にして、【-蒼王宮-終焉禁獣 グラナート】をその身に宿す者。
巨大なる蒼き氷花が、絶対零度の波濤を押し留める。
「さ、早く行ってください!皆さま!」
ソーンは忠臣達へとその顔を向けた。
「ここはなんとか持たせます!が!あまり持ちませんから!」
「外に仲間が待っているはずです!合流してください!」
「行くぞ、貴様ら。」
忠臣達はソーンの言葉を受けると、出口へ向かって一心不乱に走り始めた。
「良いのかよ!あんな子供に全部任せるなんて!」
「我らがいた所で巻き添えにしかならん。」
「スコーピオンの火炎放射ですらなんの障害にすらならんだろうよ。」
「月夜叉はどうした、総統サン。」
「我の身代わりになって消えた。カードは回収できなかった。」
「なら、次会うときは敵かもな。」
「…どういうことだ?」
「指揮官殿。自分から説明させていただきます。カードは基本、実体化した際に、エナジーを自身へと供給するものに対し服従するのです。」
(なるほど。次に月夜叉に会う時は、敵が月夜叉へエナジー供給をしているから敵になると。)
そうこうしているうちに、忠臣一行は城の出口へとたどり着いた。
そこに待っていたのは、軍用車とトラックを繋ぎ合わせたようなつぎはぎの車であった。
「あ、あれは!【激旨!到着!戦場食堂車 バトルダイナー】!じゃねぇか!」
「知っているのか?ゲームバズーカ。」
「俺の愛車だ!」
「おい!アミーゴ達ッ!早く乗れッ!」
ピザの着ぐるみを着た巨漢の男性が早く乗れと促してきた。
忠臣一行はバトルダイナーの後部座席に乗り込む。
「事情は聞いてるゼッ!月夜叉のベストフレンドなんだってな!」
「絶対に無事に帰してやる!安心しろッ!」
潜入した時と同じように、湖からこちらをめがけて砲弾が飛んでくる。
だが絶妙なドライビングテクニックを以て、巨漢の男は修羅場を切り抜ける。
だが、忠臣は身の危険を感じ取っていた。
(窓から見える、あの赤い流星は───。)
「俺様の名は、ピエール・ダ・イカッサマニャーギ・ファッキネッティ・ラッラ・ラ・ラブリオーラ・ドラゴナクター・ヒデヨシ・マクシミリアン・スキーヨカローリ・ビョルルンド・モッチモーチ・マリオージェ・マルーゲリータ・ウィルフレッド・プニット・プニャトフスキ77世───。」
「おい運転手!左に避けろっ!」
「えっ!?」
不幸にも。
凶星が彼らの車両を襲った。
遥か上空から、赤き流星が、バトルダイナーへと衝突したのだ。
(これはかつての我が配下、【妖軍一統 ゲネラール】が必殺の技。)
(魔星拳───。)
バトルダイナーは爆発し、忠臣一行は爆発の衝撃でバラバラの方向に飛んでいった。
「…なるほど、襲撃時のセーフティとして、【UMEEEEEE‼︎!㌍覇王 プニャトフスキ一族】を仕込んでおったか。」
ゲネラールは遥か空へと飛んでいった忠臣一行を見つめる。
「このカードの固有効果を使えば、確かに緊急時の撤退を助けることができる、と。」
「なかなか、レジスタンスも頭が回るものだ。ハッハッハッ!」
「だが、次はないぞ。反逆者ども。」
かつての主人にすら、拳を向ける。
それが歪であるとも、この者は気づけない。
忠臣の受難は続く───。