ヒトソウル持ち青毛ウマ娘のトレセン学園生活   作:雅媛

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1-5 栗東寮 友達の部屋

 ということで早速ローレルさんのお部屋に向かう。

 栗東寮1号棟の2階であり、階段から近い良さそうなお部屋だ。

 部屋番号の札の下のを見ると、ローレルさんの名前ともう一人、サクラの名前を冠した名前が書いてあった。

 

「こんにちは~ クロクモです。サクラローレルさんいますか?」

「今出ます~」

 

 ノックをしながら声をかけると、すぐに扉開きローレルさんが現れた。

 

 

 

「ようこそクロクモさん」

「お言葉に甘えて遊びに来ました~」

 

 そんな挨拶をしながら扉から部屋に入る。

 一歩踏み入れると何かいい香りがした。

 清々しいような、何とも表現しがたいがいい香りである。

 何かお香でも焚いているのだろうか。

 

「何の香りですか?」

「桜のお香を焚いてるんです。嫌だったら消しますが」

「いえ、とてもいい香りだと思います」

 

 女子力の違いを強く感じる。

 ウチの部屋なんて、半分はほとんど物がなくてあるとしてもゲーム機。

 半分はオグリキャップさんグッズで埋め尽くされている。

 絶対いい香りなんてしない部屋である。

 

 部屋の右側の椅子にはウマ娘が腰かけていた。おそらくローレルさんのルームメイトだろう。

 

「初めまして、クロクモといいます。中等部1年です。よろしくお願いします」

「初めまして。サクラサエズリよ。高等部2年になるわ。よろしくね」

 

 サエズリさんは上品そうなお姉さんだ。

 体格はボクどころかローレルさんよりも小柄そうでスレンダーな感じだが、こう、醸し出すお姉さんオーラがすごい。

 上品な色気というか、とにかくボクとは全く違う何かだ。

 単純な体の凸凹とかならボクのほうが勝ってると思うが、どっちが色っぽいかと聞かれたら100人中98人はサエズリさんを選ぶだろう。残りの1人はロリコンで、1人はおっぱいしか見ていないやつなので滅するべしである。

 

 何が違うのか、思わずじっと見てしまう。

 

 まず外見。

 鹿毛の髪がキラキラ輝いている。

 手入れが違う。エンジェルリング綺麗にできてるし。

 一方ボクの髪なんてボサボサで跳ねてるし、真っ黒なだけで艶も何もない。手入れなんて禄にしてないから当然である。

 尻尾も言わずもがなである。

 次に肌。ボクも別にそんなに焼けたりしていないが、パッと見て違いが分かるぐらいの肌理の細やかさだ。

 若さだけが取り柄のボクとはまるで違う、若さに手入れがされ切った肌は輝いているようにも見える。

 

 後は所作も段違いだ。

 座り方からして非常にキレイだ。

 膝がそろっているし、脚もそろっている。

 少し斜めに脚をすると長く見えるんだったか、そういうモデルさんがしそうな座り方である。

 挨拶するときの笑顔も上品だ。大口開けてしまうボクとは生き物が違うのではなかろうか。

 

 外見も内面も磨かれたご令嬢ウマ娘と、野原で男子とカマキリとかを取っていた野良ウマ娘とは、おそらくすべてが違った。

 

 サエズリさんを見ながらそんな分析をしていると、ローレルさんがボクの手を取ってベッドの方に連れていく。

 そのままベッドに座るローレルさんの隣にボクは座ることになる。

 

「取ったりしないから大丈夫よ」

 

 サエズリさんがよくわからないことを言った。

 

 

 

 ベッドに並んで座り、横にローレルさんがいる。

 とても近い。

 なんかすごいいい香りがする。

 お香とは違う何かだ。

 香水でもつけているのだろうか。それともシャンプーか何かの香りだろうか。

 女の子の香り、といったものにドキドキしてしまう。

 

 横顔もすごくきれいだ。

 最初に会った時も美人だなと思ったが、こうやってよく見ると余計その思いを確信する。

 桜が浮かぶ赤い瞳はキラキラしていてとてもきれいだ。

 髪も桜色でサラサラである。絹のように輝いている。

 肌もきれいですべすべそうだ。

 思わずボクは手を伸ばし、頬に触れてしまった。

 

「ひゃっ!? え、えっと、どうしました?」

「あまりに美人だったので思わずさわっちゃった」

 

 驚くローレルさんにそんなことを言ってしまった。でも本音だからしょうがない。

 そのまま驚いた表情で、顔を赤くするローレルさん。

 ローレルさんの肌はすべすべでとても触り心地が良かった。

 

「そう言えば、お願いがあるんだけど」

「ひゃいっ!」

「ボクに、髪とか尻尾とか、あとお肌とかのケア教えてくれない?」

「へ? あ、はい?」

 

 髪の毛をなでても、サラサラで楽しい。

 ローレルさんを楽しみながら、そんなお願いをする。

 こんなサラサラの髪とか、すべすべの肌になってみたい。

 あといい匂いしてみたい。

 やっぱり手入れをローレルさんに教えてもらおうようお願いしたのだが、快く引き受けてくれるようだ。やったね。

 

「あー、お邪魔虫はひとまず退散するわ。1時間ぐらい後に戻ってくるから、出かけるなら戸締りしてね」

「あ、すいません」

「ローレルちゃんと仲良くしてあげてね」

 

 何かを察したように、サエズリさんは立ち上がり部屋を去っていく。

 手を振るボクの後ろで、助けを求めるような眼をローレルさんはしていたらしいが、ボクは気づかなかった。

 

 

 

「それで、さっき荷解きしてたんだけど、ボクの荷物が少ないねっていう話にルームメイトのオグリローマンちゃんとなって」

「はぁ」

「ケア用品とか全然ないから、もっとケアとかした方がいいんじゃないかってなったんだけど」

「はい」

「全然そういうケアとかわからないから、知ってそうなローレルさんに教えてもらえないかなっておもって」

「私もそこまで詳しくはないですが……」

「でもすごい綺麗だし。入学式の正門前でも目立つぐらい輝いてたよ!!」

「そ、そうですかね」

 

 経緯を話すと、ローレルさんはまた照れて赤くなってしまった。かわいい。

 

「ローレルさんってどんなケアしているの?」

「基本は、櫛でよく梳かして、オイル塗ってますね」

「へー」

 

 ローレルさんは自分が使っている櫛を見せてくれた。木製の、俗にいうツゲ櫛だ。

 そこそこ大きい櫛だ。桜の文様が彫られていて、おしゃれである。

 使い込んでいるのだろう、年季も入っていてつやつやに輝いていた。

 とてもかっこいい。

 

「尻尾用と、髪用と、耳用で別のブラシを使うのが普通ですが、私はこれが好きなので全部これで対応しています」

「へー、綺麗だね。ボクもこれにしようかな」

 

 全部一つでいいというあたりが気に入り、また、とても和風でかっこ可愛いので、真似しようかと思ったが……

 ローレルさんが顔を近づけてくる。

 いきなりの接近で驚き硬直していると、左手でボクの髪を、右手でボクの尻尾を優しくなでた。

 

「うーん、あまりお勧めできないですね」

「そ、そうかな」

 

 ドキマキしながらどうにか声を絞り出す。

 

「クロクモさん、髪も尻尾も毛が長いですし、質も太くてかたいので、こういう櫛では時間がかかりすぎてしまいますよ。最後に整えたりとか、ちょっとしたときに使うぐらいがちょうどいいかと」

「え、えっと、それなら切っちゃおうかなぁ」

 

 ボクの髪は無茶苦茶長いし、尻尾も長いが、おしゃれではなく単に無精なだけである。

 切ってないから伸びまくってるだけなので、愛着は全くない。

 

「ええ、もったいないですよ、そんな綺麗な黒髪なのに……」

「じゃあ頑張って手入れするよ」

 

 だが、ローレルさんは髪を切ることに反対なようだ。

 綺麗といわれてしまうとボクも切る気がなくなってしまう。

 頑張って手入れしようと、心に決めた。

 

「ちなみにクロクモさん、普段どんなお手入れを?」

「適当に石鹼で洗って、適当にプラスチックのブラシで梳かしておわり?」

「なるほど……」

 

 だからちょっと髪がごわごわしているし、量が多いから爆発しがちである。サラサラのローレルさんヘアとはまるで違う。

 

「ブラシはお気に入りなんですか?」

「全然。というか今回持ってくるの忘れちゃったし」

「じゃあ、ブラシとか、ヘアオイルとか、乳液とかも買った方がよさそうですね」

「なるほど。どこで買えるかな」

「購買に行けば一通りあると思いますよ。今から一緒に行きましょうか」

「じゃあお願い~」

 

 一人で行くのはさすがに心細かったので、一緒に行ってくれるのは嬉しい。

 

「ふふ、デートだね」

「で、デート?」

 

 二人でお出かけだから、デートだねって冗談を言ったらローレルさんが目に見えて動揺した。

 

「ちょ、わわわわ」

「わー!!」

 

 隣合って座って、髪とか尻尾とか触られている態勢だったせいで、驚いたローレルさんにベッドに押し倒されてしまう。

 正面にはローレルさん。

 ローレルさんの両手はボクの顔の横にある。

 壁ドン? ベッドドン? こういうシチュエーションを何て言うか、ボクの語彙には存在していなかった。

 

 一瞬の静寂の後、ローレルさんは慌てて立ち上がった。

 

「そ、それじゃあ行きましょうか!!」

「そ、そうだね、行こうか!!」

 

 少しだけ気まずい空気が流れながらも、ボクたちは学園内の購買へと向かうのであった。




ちなみに青毛は芦毛よりも希少です。約1%。
まっくろくろすけ。

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