ヒトソウル持ち青毛ウマ娘のトレセン学園生活   作:雅媛

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1-8 栗東寮 談話室

 慌てて部屋に帰ると、ローレルさんはすでに部屋にいた。

 ボクのベッドに座って、ローマンちゃんと向かい合って何かおしゃべりをしていたようだ。

 

「ごめんね、遅くなっちゃった!!」

「大丈夫ですよ」

「私からも説明しておいたから大丈夫よ。どうせお姉ちゃんに振り回されてたんでしょ」

「えへへ~」

 

 単にボクの食い意地が張っていただけで、オグリキャップさんはあまり関係なかったのだが、わざわざ説明してくれたローマンちゃんの顔を立てた方がいいと思い、愛想笑いでごまかした。

 

「それで、お風呂行きますか? 準備はしてありますが」

「それなんですが、もう少し後の時間にしようと思っています」

「そうなんですか?」

「さっきお風呂見てきたんですが、結構混んでましたので。もう少しすいてからのほうがいいかと」

「なるほど」

「あとそのクロちゃんのおなかの状態でお風呂って体に悪そうだし、もう少し消化してからのほうがいいんじゃない?」

「たしかに」

 

 ボクのおなかはポッコリ膨らんでおへそが出ていた。

 時間がたてばお風呂も空いて、ご飯も消化されておなかもへこむだろうし、1時間ぐらい待つことにした。

 

 ちなみに二人の格好はすでに寝間着だ。

 すでにローレルさんは、桜色のシンプルなパジャマを着ている。

 ローマンちゃんは灰色のシンプルなパジャマだ。

 お風呂に行くとき、制服で行くのは着替えるのが大変でナンセンスだ。なのでボクも寝巻に着替えようかと思って、ふと止まる。

 二人と違って、ボクはパジャマなどの寝巻専用の服を持ってきていない。

 家ではいつも、Tシャツとレギンスだけの姿で寝ていた。楽だし。

 だが、タマモクロスさんに痴女と言われたあの姿だ。

 ローマンちゃんとローレルさんに見られるだけならまだしも、お風呂へあの姿で移動して許されるだろうか。

 ママが、パジャマを買わないのか聞いてきた理由がいまさらながら分かった。

 

「ねえローマンちゃん」

「どうしたの?」

「寝巻、パジャマ持ってきてなくて、タマモクロスさんに言われたあの格好なんですけど、お風呂に行って許されますかね」

「まあ、外出するわけじゃないし大丈夫だと思うけど、ローレルさんにも一応判断してもらったら?」

「? クロクモさん、かわいい寝巻なんですか?」

「そうじゃないんだけど…… 今から着替えるね」

 

 制服の上を脱いで、ブラジャーも外す。寝ている間にブラジャーをするのは良くないと聞いているので(諸説あり)全部脱いで、シンボリルドルフTシャツを着る。

 ネコが寝ころんだシャツである。猫のイラストがとてもかわいい。

 上着をクローゼットにかけて、スカートを脱ぐ。

 スカートの下に履いていた、下着代わりの0分丈の黒レギンスを脱いで、新しいのに履き替える。

 スカートもクローゼットにかけて、ブラジャーとレギンスを洗濯袋に入れたら終わりである。

 

「だいたいこんな感じ」

「大丈夫だと思いますよ? さっき見に行った時に、もっとラフな格好でお風呂に行っていらっしゃる先輩居ましたし。下着とか」

 

 ローレルさんがそういってくれたので安心してこの格好でベッドへ、ローレルさんの隣に腰掛ける。

 パジャマも買いたくなるが、さっき買ったケア用品で結構お小遣いのダメージが大きいので、そこまでは難しそうだ。

 あとなんだかんだでこの格好がかなり好きなのだ。脚に何かくっついているのは好きではないので、寝ているときぐらい脚全部出したい。

 

 さて、どうやって時間を潰すか。三人でおしゃべりでもしているか、なんて考えていると……

 

「そう言えば、これ、何ですか?」

 

 ローレルさんがボクの机の上に置いてあるもの、ファミコンとそのソフトに興味を示した。

 

 

 

 ファミリーコンピューター

 一世を風靡している家庭用ゲーム機だ。

 ゲーム好きなので、私物として持ってきたのだ。

 発売してからそれなりに時間が経っているのもあり、ボクの小学校だと大体みんな持っていたが……

 

「ファミコンだよ。ゲームだね。やったことない?」

「ないですね。初めて見ました」

「私も持ってはいなかったよ。友達が持ってるのやったことがあるけど」

 

 トレセン学園だと、こんなの持っているのはマイノリティの可能性もありそうである。

 

「試しにやってみようか、と言いたいところなんだけど、テレビがないと使えないんだよね。これ」

「そうなんですね」

「談話スペースのテレビって使っていいのかな?」

 

 さっき、部屋を探すまでに寮の3階を一周したときに、渡り廊下の横と、階段の横に合計6つの談話スペースがあり、それぞれにテレビが置いてあったのは確認している。

 コードは持ってきているので接続は可能だが、勝手につないでいいものだろうか。

 

「棟長さんに聞いてみる?」

「そうだね」

 

 寮には4棟もあるので、寮長さんのほかに、各棟に棟長さんがいる。

 1号棟は寮長さん兼任のスーパークリークさんで、2号棟の棟長さんはオグリキャップさんだ。

 4号棟の棟長さんが誰か知らないが、1階の広い個室に住んでいる人が棟長さんなので、何か聞きに行くのは問題ない。

 

 ファミコンをもって、ボクたち3人は1階の棟長さんの部屋へと向かうのであった。

 

 

 

「棟長さん~ 伺いたいことがありまして来ました~ 今お時間いいでしょうか~?」

「おう、開いてるぞ。入ってくれ」

 

 扉をノックをして声をかけると、返事が返ってくる。

 部屋に入ると、棟長さんはくつろいでいた。

 

「4号棟長のサッカーボーイだ。見かけない顔だが新入生か?」

「はい、4の339号室のクロクモです!」

「同室のオグリローマンです」

「2の201のサクラローレルです」

「うん、あいさつできるのはいいことだ。で、どうした?」

「えっと、私物でゲーム機を持ってきたんですけど、談話室のテレビ、使っていいのかと思いまして」

 

 三白眼で、目つきが鋭いサッカーボーイさんの外見に少しビビりつつ、本題をすぐに聞く。

 怒られたりしないだろうか、と少しドキドキしてしまう。

 

「あー、ピコピコは、各階の渡り廊下南のテレビだけで使っていいルールになってる。本体は置いておいていいが、ソフトがなくなっても対応しないから嫌なら部屋に片づけるんだぞ」

「わかりました」

「あと、外出禁止の時間はピコピコの使用禁止だし、一人1日1時間までだ。やり過ぎたバカが前にいたからな」

「はーい」

「喧嘩するなよー」

「わかりました。ありがとうございます」

 

 どうやらゲーム専用のテレビが各階に決められているらしい。

 3階のその談話室にひとまず向かおう。

 三白眼でちょっと怖い外見のサッカーボーイさんが、ピコピコとかわいらしく言うのがツボに入っているローマンちゃんが噴き出す前に、ボクたちは撤退するのであった。

 

 

 

 3階の南側の談話室は、人気の少ない場所であった。

 3号館の渡り廊下の近くにある北側の談話室と比べれば人通りも少ないのだろう。

 他の談話室と違い、テレビが2台置いてあり、奥に置いてあるテレビ台の中を漁ると、ファミコンだけでなく、PCエンジンやら、メガドライブやら、最新のスーパーファミコンまで出てきた。

 

「いっぱいあるね。何が違うの?」

 

 ローマンちゃんがのぞき込む。

 ここで説明すると多分早口になってオタクとばれてドン引きされるので、ひとまず最新機のスーパーファミコンを取り出す。

 ソフトも少しだけだが置いてあり、発売されたばかりのマリオカートも置いてあったのでそれを取り出した。

 

「これ、最新のレースゲームだし、みんなでやってみよう」

 

 説明を端折って、二人の視線を背中に感じながらセッティングを始める。

 ボク自身はやったことのない最新ゲーム機の、最新ゲームだからどの程度面白いのかよく知らないが、ヒトソウルさん知識によるとみんなで遊ぶにはとても面白い、この後シリーズが何本も出た名作ゲームらしい。

 説明書も置いてあったので、ローレルさんに渡すと、ローマンちゃんと二人読み始めた。

 

 回線はすでにテレビにつないであったので、コントローラーを取り出す。

 どうやら4人までプレイできるようだ。

 マルチタップ機械を接続し、コントローラーを3つ接続する。

 別機材って高い記憶があったが、そこまでそろえる先輩はどれだけ金持ちなんだろう。

 そんなことを考えながら、二人にコントローラーを渡し、ボクもコントローラーを握った。

 

 

 

「なるほど、車のレースなんですね。で、1番になったら勝ちと」

「わかりやすくて好きだわ」

 

 レースとなるとウマ娘はテンションが上がる。

 ゲームでも変わらないようで、二人も楽しそうに絨毯の上に座った。

 

「まずキャラクター選択ですね」

「じゃあ私はこのお姫様にするわ」

 

 ローマンちゃんがお姫様を選ぶ。加速とコーナーリングが良く、操作性がいいので初心者向けのキャラクターだ。

 

「私はこの強そうなカメさんにします」

 

 ローレルさんが選んだ大魔王さんは、最高速度と体当たりが強いが、加速やコーナーリングがひどく、上級者向けのキャラクターである。

 止めることも一瞬考えたが、自分で選んだキャラクターのほうがいいだろう。

 

 ボクは、主人公のおじさんを選んだ。

 

「3コースやって、それぞれのコースでの順位でポイントがついて、ポイントが一番多かった人が勝ちですね」

「最下位の人は罰ゲームだからね!!」

 

 ローマンちゃんがそんなことを言う。

 よくやるやつだが、どんな罰ゲームをローレルさんにするつもりだろうか。

 ローレルさんが一番弱そうだと思い込んでいたボクだったが、それが間違いだったとすぐに思い知らされるのであった。

 

 

 

 早速画面の中のレースがスタートした。

 ローマンちゃんはスタート前にアクセルを押しすぎてエンストをして、ローレルさんは普通にスタートをし始める。

 ボクは普通にスタートダッシュを決めた。ヒトソウルさん、このゲームにそこそこ詳しいようだ。

 主人公のおじさんもバランスがいいタイプなので、操作も難しくない。

 NPCも弱い設定なので、そう苦戦せずに1位のまま、1周、2周と重ねていく。

 3周でゴールである。

 ちょっと大人げないかな、と思って油断したのが失敗だった。

 後ろからお邪魔アイテムの甲羅が飛んできてボクのキャラがクラッシュしてしまう。

 

「えっ!?」

 

 誘導式ではない緑色の甲羅で、スナイプしてきたのはローレルさんだった。

 でかい亀のキャラクターが、最高速度で一瞬で抜き去っていく。

 再スタートして追いかけたが、速度に乗ったローレルさんのキャラに追い付くことができず、2位で終わるのであった。

 

「コツはつかみました」

 

 にっこり笑うローレルさんが恐ろしかった。

 

 

 

 ローレルさんがコツをつかんだというのは本当らしく、その後必死にボクも食いついたが、2レースで1位を取られ、どうにか1回しか勝つことができなかった。

 ローマンちゃんは、1レース目は3位だったが、2レース目以降、ボクとローレルさんのアイテム妨害の流れ弾に巻き込まれ、最下位を2回経験する悲しい結果に終わっていた。

 

「で、罰ゲームはどうしましょうか」

「あうー」

 

 さでずむっ気を出すローレルさんと、しょんぼりローマンちゃんの構図はそれはそれで面白かった。

 時計を見ると、9時をとっくに回っている。

 そろそろもう一度お風呂の様子を見に行こうかな、と思い、ボクは二人を置いて1階へと向かうのであった。

 

 

 

「お風呂、かなり空いてたよ。そろそろ行こうか」

 

 すでにお風呂はかなり空いていたので、そろそろ行こうかと声をかけるべく戻ってくると、コップに注がれたお茶が置いてあった。

 罰ゲームとして、ローマンちゃんが食堂からとってきたらしい。

 

「お風呂前は水分を取ったほうがいいらしいですよ」

 

 そんなローレルさんの勧めで、ゆっくりとお茶を飲み干す。

 空になったコップはローマンちゃんに渡し、ボクはゲーム機を片付け始める。

 

「じゃあ、4号棟の大浴場集合で」

「わかったわ」

「私も荷物を取ってきます」

 

 ローマンちゃんは、コップを食堂に返すべく階段へ、ローレルさんは荷物を持ってくるため一度部屋に戻るべく渡り廊下の方へと向かっていくのだった。




ちなみにリアルのマリオカートは2人プレイまでしかできません。
その他ちょこちょこリアルマリオカートと違う部分がありますが、ウマ娘世界ではそんな感じなのです多分。

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