元帝王はありふれた世界で暴れまくる   作:紙の子

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第13話

遠くに町が見える。周囲を堀と柵で囲まれた小規模な町だ。街道に面した場所に木製の門があり、その傍には小屋もある。おそらく門番の詰所だろう。小規模といっても、門番を配置する程度の規模はあるようだ。

森を抜ける途中帝国軍に出会いシアを連れていこうとしたがムカついたハジメがドンナーで帝国軍の顔面をヘッドショットして殺した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの〜何で首輪を?」

 

 

街の方を見て微笑むハジメに、シアが憮然とした様子で頼み込む。シアの首にはめられている黒を基調とした首輪は、小さな水晶のようなものも目立たないが付けられている、かなりしっかりした作りのものだ。

 

 

「ごめんね。流石に街では奴隷として連れて行かないと…」

 

 

道中、シアがブチブチと文句を垂れていたが、やはりスルーして遂に町の門までたどり着いた。案の定、門の脇の小屋は門番の詰所だったらしく、武装した男が出てきた。格好は、革鎧に長剣を腰に身につけているだけで、兵士というより冒険者に見える。その冒険者風の男が俺様達を呼び止めた。

 

 

「止まってくれ。ステータスプレートを。あと、町に来た目的は?」

 

 

規定通りの質問なのだろう。どことなくやる気なさげである。王牙は、門番の質問に答えながらステータスプレートを取り出した。

 

 

「食料の補給がメインだ。旅の途中でな」

 

 

その後にハジメもステータスプレートを見せる。

 

ユエは魔物に襲われて落としたと嘘をつきシアはあれだと首元に付けた首輪を見せた。

 

 

「まぁいい。通っていいぞ」

 

 

「ああ、どうも。おっと、そうだ。素材の換金場所って何処にある?」

 

 

「あん? それなら、中央の道を真っ直ぐ行けば冒険者ギルドがある。店に直接持ち込むなら、ギルドで場所を聞け。簡単な町の地図をくれるから」

 

 

「おぉ、そいつは親切だな。ありがとよ」

 

 

門番から情報を得て、俺様達は門をくぐり町へと入っていく。門のところで確認したがこの町の名前はブルックというらしい。町中はそれなりに活気があった。かつて見たオルクス近郊の町ホルアドほどではないが露店も結構出ており、呼び込みの声や、白熱した値切り交渉の喧騒が聞こえてくる。

 

 

すると俺様の足元に1枚の紙が流れてきた。

俺様はその紙を拾い見ると

 

 

 

 

 

 

 

 

異端者認定

 

異世界からの勇者一行の一人。

 

紅月王牙を異端者認定する。

 

この者は人から魔人に姿を変えとてつもない力が備わっている。

 

見つけた者、捕獲した者は王国に報告。

 

褒美として最大級の褒美を与える!

 

 

 

 

 

 

と書かれていた。

この内容を見たハジメのユエは驚いている。

 

 

(はぁ〜やっぱりそうなったか……なら話は簡単だな)

 

 

俺様は呆れながら紙を破り捨てる。

 

 

「いいか3人とも。今から俺様の名はベリアルだ。間違えて呼ぶなよ」

 

 

「べ、ベリアルさんですか……分かりました!」

 

 

「……分かった」

 

 

「……ん」

 

 

3人は俺様の言葉に返事をした。

その後ギルドに向かい中に入る。

 

 

「さて、じゃあ改めて、冒険者ギルド、ブルック支部にようこそ。ご用件は何かしら?」

 

 

「ああ、素材の買取を頼む」

 

 

「素材の買取だね。じゃあ、まずステータスプレートを出してくれるかい?」

 

 

「ん? 買取にステータスプレートの提示が必要なのか?」

 

 

俺様の疑問に「おや?」という表情をするオバチャン。

 

 

「あんた冒険者じゃなかったのかい? 確かに、買取にステータスプレートは不要だけどね、冒険者と確認できれば一割増で売れるんだよ」

 

 

「そうだったのか」

 

 

オバチャンの言う通り、冒険者になれば様々な特典も付いてくる。生活に必要な魔石や回復薬を始めとした薬関係の素材は冒険者が取ってくるものがほとんどだ。町の外はいつ魔物に襲われるかわからない以上、素人が自分で採取しに行くことはほとんどない。危険に見合った特典がついてくるのは当然だった。

 

 

「他にも、ギルドと提携している宿や店は一~二割程度は割り引いてくれるし、移動馬車を利用するときも高ランクなら無料で使えたりするね。どうする? 登録しておくかい? 登録には千ルタ必要だよ」

 

 

ルタとは、この世界トータスの北大陸共通の通貨だ。ザガルタ鉱石という特殊な鉱石に他の鉱物を混ぜることで異なった色の鉱石ができ、それに特殊な方法で刻印したものが使われている。青、赤、黄、紫、緑、白、黒、銀、金の種類があり、左から一、五、十、五十、百、五百、千、五千、一万ルタとなっている。驚いたことに貨幣価値は日本と同じだ。

 

 

「う~ん、そうか。ならせっかくだし登録しておくかな。悪いんだが、持ち合わせが全くないんだ。買取金額から差っ引くってことにしてくれないか? もちろん、最初の買取額はそのままでいい」

 

 

「可愛い子二人もいるのに文無しなんて何やってんだい。ちゃんと上乗せしといてあげるから、不自由させんじゃないよ?」

 

 

オバチャンがかっこいい。俺様は、有り難く厚意を受け取っておくことにした。ステータスプレートを差し出す。

 

 

 

「男なら頑張って黒を目指しなよ? お嬢さん達にカッコ悪いところ見せないようにね」

 

 

「残念ながらこいつらは俺様ではなく隣の男の方な。それで、買取はここでいいのか?」

 

 

「構わないよ。あたしは査定資格も持ってるから見せてちょうだい」

 

 

オバチャンは受付だけでなく買取品の査定もできるらしい。優秀なオバチャンだ。

 

俺様はハジメに頼んであらかじめ〝宝物庫〟から出してバックに入れ替えておいた素材を取り出す。品目は、魔物の毛皮や爪、牙、そして魔石だ。カウンターの受け取り用の入れ物に入れられていく素材を見て、再びオバチャンが驚愕の表情をする。

 

 

「こ、これは!」

 

 

恐る恐る手に取り、隅から隅まで丹念に確かめる。息を詰めるような緊張感の中、ようやく顔を上げたオバチャンは、溜息を吐き俺様に視線を転じた。

 

 

「とんでもないものを持ってきたね。これは…………樹海の魔物だね?」

 

 

「ああ、そうだ」

 

 

「……あんたも懲りないねぇ」

 

 

オバチャンが呆れた視線を俺様に向ける。

 

 

「何のことかわからん」

 

 

「樹海の素材は良質なものが多いからね、売ってもらえるのは助かるよ」

 

 

オバチャンが何事もなかったように話しを続けた。オバチャンは空気も読めるらしい。良いオバチャンだ。そしてこの上なく優秀なオバチャンだ。

 

 

「やっぱり珍しいか?」

 

 

「そりゃあねぇ。樹海の中じゃあ、人間族は感覚を狂わされるし、一度迷えば二度と出てこれないからハイリスク。好き好んで入る人はいないねぇ。亜人の奴隷持ちが金稼ぎに入るけど、売るならもっと中央で売るさ。幾分か高く売れるし、名も上がりやすいからね」

 

 

オバチャンはチラリとシアを見る。おそらく、シアの協力を得て樹海を探索したのだと推測したのだろう。樹海の素材を出しても、シアのおかげで不審にまでは思われなかったようだ。

 

 

「これでいいかい? 中央ならもう少し高くなるだろうけどね。」

 

 

「いや、この額で構わない」

 

 

王牙は五十一枚のルタ通貨を受け取りハジメの宝物庫に入れてもらった。

 

 

「それと、門番がここで地図が貰えるとか聞いたが?」

 

 

「あぁ〜ちょいと待ちな…ほらこれだよ」

 

 

「そうか。助かるよ」

 

 

「いいってことさ。それより、金はあるんだから、少しはいいところに泊りなよ。治安が悪いわけじゃあないけど、その二人ならそんなの関係なく暴走する男連中が出そうだからね」

 

 

オバチャンは最後までいい人で気配り上手だった。王牙は苦笑いしながら「そうするよ」と返事をし、入口に向かって踵を返した。ハジメとユエとシアも頭を下げて追従する。食事処の冒険者の何人かがコソコソと話し合いながら、最後までユエとシアの二人を目で追っていた。

 

 

「ふむ、いろんな意味で面白そうな連中だね……」

 

 

後には、そんなオバチャンの楽しげな呟きが残された。

 

 

 

 

 

 

その後、俺様達は地図の元〝マサカの宿〟にやってきた。

 

 

「2部屋頼む」

 

 

「はい。お風呂は十五分百ルタです。今のところ、この時間帯が空いてますが」

 

 

女の子が時間帯表を見せる。なるべくゆっくり入りたいので、男女で分けるとして二時間は確保したい。その旨を伝えると「えっ、二時間も!?」と驚かれたが、日本人たる俺様やハジメとしては譲れないところだ。

 

 

「え、え~と、それでお部屋はどうされますか? 二人部屋と三人部屋が空いてますが……」

 

 

「この2人は3人部屋、俺様とコイツは2人部屋で」

 

 

ハジメとユエを3人部屋にしてシアは俺様と同じ部屋にした。

 

 

「ちょっ、何でですか! 私だけ仲間はずれとか嫌ですよぉ! 三人部屋でいいじゃないですかっ!」

 

 

どうやらシアはハジメと一緒に寝たいみたいだ。

ハジメは淡々していたので仕方ないと俺様が間に入る。

 

 

「すまんがシア。今回はユエに譲れ」

 

 

シアは納得してないので仕方ないと俺様はシアの耳元で囁く。

 

 

「ハジメの好みを教えてやるって言ったらどうする?」

 

 

「……マジですか」

 

 

シアの目がキラーンッと光った。

 

 

「うむ。俺様は嘘をつかないぜ」

 

 

俺様はドヤ顔で言う。

分かりましたとシアは喜んで俺様と同じ部屋になった。

 

部屋の鍵を受け取った後、俺様はハジメに3人部屋の鍵を渡しながら

 

 

「頑張れよハジメ〜」

 

 

と言いながら部屋の方に向かって行った。

 

ハジメは何のことと思いながらユエと一緒に部屋に向かった。

 

 

 

 

 

「ちょ、?!ユエ、その格好は?!」

 

 

「…ん、王牙が作ってくれた」

 

 

お風呂から出たハジメは部屋に戻るとユエが見覚えのある服装になっていた。

 

 

ハイレグ気味に食い込む形。胸元どころか、肩や背中も大きく開いているデザイン。

 

 

踵の高いブーツに、網状のタイツやガーターベルト、両手を肘まで覆う手袋、首元に着けるネクタイのついたチョーカー。

 

黒は純粋な黒。どこからどうみても、バニーガールだった。

 

 

「…ハジメがウサミミ好きって……だから王牙に頼んで作ってもらった」

 

 

「だからってなんでそれをチョイスしたんだよ?!」

 

 

「ん、似合うと思って」

 

 

ユエはそう言いハジメの元に近付く。

 

 

「…似合ってない?」

 

 

「いや、その、似合っているけど……」

 

 

ハジメは顔を赤らめながらも目を逸らす。

 

 

「ん、ならいい」

 

 

ユエは嬉しそうに微笑みハジメの手を引いてベットに向かう。

 

 

「ハジメ、こっち来て」

 

 

「……分かったよ」

 

 

ハジメは観念したのかユエの隣に行く。

そのままユエはハジメを押し倒した。

 

 

「ゆ、ユエ?」

 

 

「今日は私が攻める」

 

 

ユエはそう言うとハジメの上に乗り激しい夜を迎えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「へぇ〜!ハジメさんはそんな好みが!!」

 

 

「そう言うこと。今度ユエに譲るよう話してやるからハジメにするといい。アイツは喜ぶから」

 

 

「はい!」

 

 

隣では王牙がシアにハジメが喜ぶであろうことを話をしている。

 

部屋には防音対策をしているので向こうの声が聞こえないようにしてある。

 

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