魔力駆動四輪に乗り、早朝にフューレンに着いた王牙達。
ウィルをたたき起こし支部長がいる場所まで案内してもらった。
王牙達はギルド支部長室で出された如何にも高級そうなお茶と茶菓子をバリボリ、ゴクゴクと遠慮なく貪りながら待つこと五分。部屋の扉を蹴破らん勢いで開け放ち飛び込んできたのは、ハジメ達にウィル救出の依頼をしたイルワ・チャングだ。
「ウィル! 無事かい!? 怪我はないかい!?」
以前の落ち着いた雰囲気などかなぐり捨てて、視界にウィルを収めると挨拶もなく安否を確認するイルワ。それだけ心配だったのだろう。
「イルワさん……すみません。私が無理を言ったせいで、色々迷惑を……」
「……何を言うんだ……私の方こそ、危険な依頼を紹介してしまった……本当によく無事で……ウィルに何かあったらグレイルやサリアに合わせる顔がなくなるところだよ……二人も随分心配していた。早く顔を見せて安心させてあげるといい。君の無事は既に連絡してある。数日前からフューレンに来ているんだ」
「父上とママが……わかりました。直ぐに会いに行きます」
イルワは、ウィルに両親が滞在している場所を伝えると会いに行くよう促す。
「ハジメ君、今回は本当にありがとう。まさか、本当にウィルを生きて連れ戻してくれるとは思わなかった。感謝してもしきれないよ!
……そして君が紅月王牙君で合ってるかい?」
「あぁ。キャサリンって婆ちゃんの手紙に書いてあったのか?」
「あぁ。君の話は聞いている。
今では君は指名手配されているからね」
更に聞くとウルで出会ったとの情報を教会騎士が報告したのかフューレンに入る際も警備が厳しかった。
「何だ?あんたは俺様を捕まえる気か?」
イルワは、王牙の質問に非難するような眼差しを向けると居住まいを正した。
「冗談がキツいよ。出来るわけないだろう? 君達を敵に回すようなこと、個人的にもギルド幹部としても有り得ない選択肢だよ……大体、見くびらないで欲しい。君達は私の恩人なんだ。そのことを私が忘れることは生涯ないよ」
「……そうか。そいつは良かった」
王牙は、肩を竦めて、試して悪かったと視線で謝意を示した。
「私としては、約束通り可能な限り君達の後ろ盾になろうと思う。ギルド幹部としても、個人としてもね。まぁ、あれだけの力を見せたんだ。当分は、上の方も議論が紛糾して君達に下手なことはしないと思うよ。一応、後ろ盾になりやすいように、君達の冒険者ランクを全員〝金〟にしておく。普通は、〝金〟を付けるには色々面倒な手続きがいるのだけど……事後承諾でも何とかなるよ。キャサリン先生と僕の推薦だ」
「そうかい。それで話で聞いていたステータスプレートの件は?」
イルワは、職員を呼んで真新しいステータスプレートを三枚持ってこさせる。
結果、ユエ達のステータスは以下の通りだった。
ユエ 323歳 女 レベル:75
天職:神子
筋力:1700
体力:2500
耐性:2000
敏捷:3000
魔力:70000
魔耐:12000
技能:自動再生[+痛覚操作]・全属性適性・複合魔法・魔力操作[+魔力放射][+魔力圧縮][+遠隔操作][+効率上昇][+魔素吸収]・想像構成[+イメージ補強力上昇][+複数同時構成][+遅延発動]・血力変換[+身体強化][+魔力変換][+体力変換][+魔力強化][+血盟契約]・高速魔力回復・生成魔法・重力魔法
シア・ハウリア 16歳 女 レベル:40
天職:占術師
筋力:200 [+最大10000]
体力:100 [+最大6800]
耐性:70 [+最大7000]
敏捷:100 [+最大2000]
魔力:4000
魔耐:3180
技能:未来視[+自動発動][+仮定未来]・魔力操作[+身体強化][+部分強化][+変換効率上昇Ⅱ] [+集中強化]・重力魔法
ティオ・クラルス 563歳 女 レベル:89
天職:守護者
筋力:770 [+竜化状態5000]
体力:1100 [+竜化状態7000]
耐性:1100 [+竜化状態6600]
敏捷:580 [+竜化状態4200]
魔力:4590
魔耐:4220
技能:竜化[+竜鱗硬化][+魔力効率上昇][+身体能力上昇][+咆哮][+風纏][+痛覚変換]・魔力操作[+魔力放射][+魔力圧縮]・火属性適性[+魔力消費減少][+効果上昇][+持続時間上昇]・風属性適性[+魔力消費減少][+効果上昇][+持続時間上昇]・複合魔法
王牙やハジメには及ばないが勇者一行を遥かに超えるステータスであった。
流石に、イルワも口をあんぐりと開けて言葉も出ない様子だ。無理もない。ユエとティオは既に滅んだとされる種族固有のスキルである〝血力変換〟と〝竜化〟を持っている上に、ステータスが特異に過ぎる。シアは種族の常識を完全に無視している。驚くなという方がどうかしている。
その後、イルワが宿を提供してくれたのでその日はゆっくり休もうと有難く泊まることにした。
「とりあえず今日は一休みだな。明日は消費した食料とかの買い出しとかだ」
王牙はベッドにもたれてハジメ達にそういう。
そこに待ったを掛けたのはシアだ。おずおずと横たわるハジメの体を揺さぶった。
「あのぉ~、ハジメさん。約束……」
「……そうだったね。観光区に連れて行くんだったか……」
どうやらハジメとシアは観光区にデートらしい。
こんな時ユエが割り込む筈だが本人の了承を得ているみたいだ。
「なら俺様が買い物に行くか」
「……私も行く」
王牙が買い物に行くと伝えるとユエも同行するらしい。
更にティオも同行すると言うので明日の予定が決まった。
だが、ユエはただ譲ると言っていない。
深夜にユエはハジメの部屋に潜り込み寝込みを襲い出す。
流石にハジメも目を覚まし隣の王牙に助けを求めようとしたがいなかった。
「…ハジメ…激しい…」
「ユエが襲ってくるから」