元帝王はありふれた世界で暴れまくる   作:紙の子

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第3話

「おはよう南雲くん!……王牙くんは?」

 

「お、おはよう白崎さん。今日は紅月君と別で来たんだ」

 

「そうか〜。けど、時間ギリギリだからもう少し時間持って来ようよ」

 

ハジメは苦笑いしながら香織の話を聞くが、周りからの視線が強すぎて早く本命が来て欲しいと心から願っている。

すると本命とは違う人が前に現れた。

 

「香織、雫また彼の世話を焼いているのか? 全く、本当に二人は優しいな」

 

「全くだぜ、そんなやる気ないヤツにゃあ何を言っても無駄と思うけどなぁ」

 

 

 

と光輝と龍太郎がこっちにやってくる。

 

「? 光輝くん、なに言ってるの? 私は、私が南雲くんと話したいから話してるだけだよ?」

 

ざわっと教室が騒がしくなる。男子達はギリッと歯を鳴らし呪い殺さんばかりにハジメを睨み、檜山達四人組に至っては昼休みにハジメを連れて行く場所の検討を始めている。

 

「え?……ああ、ホント、香織は優しいよな」

 

どうやら光輝の中で香織の発言はハジメに気を遣ったと解釈されたようだ。完璧超人なのだが、そのせいか少々自分の正しさを疑わなさ過ぎるという欠点があり、そこが厄介なんだよなぁ~とハジメは現実逃避気味に教室の窓から青空を眺めた。

 

「よ〜っす」

 

そしてチャイム鳴るギリギリに王牙がやって来て香織の目の色が変わった事にハジメは気づいた。

 

「おはよう王牙くん!珍しいね」

 

「あぁ香織か、昨日はプログラミングとかしてたら朝日昇っててな。少し仮眠してたらこの時間だった」

 

「大丈夫?私に出来ることあるかな?」

 

「んや、専門知識必要だから……あぁお菓子くれ!朝食わずに来たから腹が減った」

 

「うん!じゃあはいこれ!」

 

香織が嬉々としてポッキーを差し出すと王牙はそれを口に含みながら席に着く。

 

((なんでアイツばっかり……))

 

その様子を見ていた男子達が嫉妬心を剥き出しにしているのを見てハジメは溜息をする。

 

「どうしたハジメ?」

 

「なんでもないよ……」

 

「ならいいけど……そういえばさっきから俺の方見てるがなんかあったか?」

 

「ううん、なんでもないよ」

 

「そっか」

 

王牙は特に気にする事なく再び授業の準備を始めた。

 

 

 

 

お昼になり俺様はハジメの方を向く。

まぁ案の定コイツは寝ているので軽く机を蹴り起こす。

これでも起きなければ頭を鷲掴み……

 

「ふんっ!」

 

「いだぁぁぁい!」

 

力を込めて無理やり起こす。

 

「飯の時間だ。さっさと目を覚ませ」

 

「うぅ〜もう少し優しく出来ないかなぁ」

 

「なら最初の段階で起きろ」

 

ハジメは眠たそうな体を無理やり動かし鞄から10秒飯を取り出す。

 

「それで足りるのか?」

 

「僕からしたら紅月君の弁当の量に胸焼けするよ」

 

ハジメは机の前に置かれた3段箱の弁当を見て苦笑いしている。

 

 

「俺は燃費が悪いんだ。お前も食うか?」

 

「遠慮しておくよ。僕はそこまで食べないし……」

 

「そうか……それとハジメ」

 

「王牙くん!私達と一緒にお昼食べよ」

 

隣には香織と雫が弁当を持って並んでいる。

 

「ん?構わんが、ハジメもいいか?」

 

「う、うん。いいよ」

 

椅子を借りて座り各自弁当を食べ始める。

すると香織が俺様の弁当に目がいく。

 

「紅月君のお弁当、何時も美味しそうだね」

 

「あぁ、母親が作ってくれてるからな」

 

「ねぇ、1つ頂戴!」

 

「別に構わないぞ」

 

俺様は卵焼きを取り香織の口に入れる。

 

「おいしい〜」

 

「それは良かったな」

 

すると今度は雫が羨ましそうにこちらを見てくる。

仕方ないと唐揚げを持ち雫の口に入れる。

満足したのか自分の弁当を食べ始めた。

 

「紅月君って本当にゲームの主人公だよね」

 

「急になんだ?」

 

「人がいる目の前で堂々とご飯を食べさせるし。それも2人の女の子にだよ」

 

「そうか?俺様としては日常だがな」

 

「その辺りが主人公っぽいんだけどなぁ」

 

ハジメは10秒飯を片付けスマホを取り出してゲームを始める。

俺様は気にせずお弁当を食べようとした。

 

 

しかし寒気がして教室内を見渡すと

光輝の足元に白銀に光り輝く円環と幾何学模様が現れた。

 

 

 

その異常事態にすぐに周りの生徒も気づくが、全員が金縛りにでもあったかのように輝く魔法陣らしきものに注視している。

 

徐々に輝きを増した魔法陣は、一気に教室全体を満たすほどの大きさに拡大する。その時になって、ようやく硬直が解け生徒たちが悲鳴をあげる。

 

未だ教室にいた畑山愛子先生が咄嗟に「皆!教室から出て!」と叫んだのと、魔法陣の輝きが爆発したようにカッと光ったのは同時だった。

数秒か、数分か、光によって真っ白に塗りつぶされた教室が再び色を取り戻す頃、そこには既に誰もいなかった。蹴倒された椅子に、食べかけのままの開かれた弁当、散乱する箸やペットボトル、教室の備品はそのままにそこにいた人間だけが姿を消した。

 

 

 

 

 

 

自らが引っ張ってきた者達の中に、強大過ぎる力が存在している事に魂が恐怖した。

 

『何だこの力は・・・ありえん。ありえんっ!我は神であるぞ!?それ以上の力を持った者があの場に居たというのか!?何を間違えた!?我は何もしていないのだぞ!?』

 

「そぉかぁ!!てめぇが主犯かぁ!!」

 

 

空間が破れ中から出てきたのは赤黒い人型の何かだった。

魂はすぐさま逃げようとしたかま鋭い爪をした手で握られ逃げれない。

 

「おい!貴様は何者で何が目的であれをした?」

 

『我が名エヒト。トータスの神だ。

そしてお前達を呼んだのは……単なる遊びで……』

 

「あ"ぁ?」

 

『ひっ!』

 

「ふざけんじゃねぇぞコラァ!!俺様の昼飯の時間返しやがれぇ!!」

 

『いやぁぁぁ!!!』

王牙は手に持ったエヒトを全力で握りつぶすとグシャリと潰れる音と共に手の中の感触が無くなる。

 

「ふぅー…待てよ。コイツを殺したら俺様帰れなくねぇか?」

 

 

王牙は自分の置かれている状況を思い出す。

昼休み中にいきなり謎の魔法陣に包まれて気が付いたら此処にいた。

つまりは召喚されたと言う事だろう。

 

「…まぁいいや」

 

王牙は自分から入ってきた裂け目に戻りトータスに召喚される前に戻る。

 

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