七大迷宮を攻略したハジメは王牙が作った個人工房で元の世界に帰るためのアーティファクトを造っていた。
しかし、中々イメージが出来ないのか背中にはスクラップとなった資材が山のようになっている。
ちなみに他のメンバーは王牙の指示の元国の発展のために協力している。
王牙はエリセン、ブルックに向い共同国家を気付くために交渉している。
「状況はどうだ〜?」
工房のドアを蹴破り王牙が状況を見に来た。
「概念魔法を使おうとすると鉱石が崩壊。融合錬成して新しい鉱石を造って試しても崩壊するからある意味お手上げ状態」
そう言いながらハジメは地べたに寝転がり頭を悩ませていた。
王牙は仕方ねぇと亜空間の中に手を突っ込み1つの鉱石をハジメの頭の横に置く。
「これは?」
「俺様が作り上げた鉱石だ。
名は何でもいいがそれなら付与魔法を付けても崩壊する事はねぇだろ」
王牙にそう言われハジメは概念魔法の付与を始めた。
すると見事に成功して元の世界に帰るアーティファクトを完成させた。
見た目は何処ぞの青たぬきが使う扉のようだった。
手伝いが終えた香織達を呼びハジメが完成させた元の世界に帰る扉を大広間に設置した。
香織や雫は王牙と同じような感想を述べ本当にこれで元の世界に帰れるのか疑問に思っていた。
帰還する前にハジメ達はフューレンの人達に挨拶をして回っている。
別に二度と会えない訳でもないのに。
「王牙さん!」
「リリィか?」
王牙の隣にはリリィが並んでいた。
その表情はもう会えないのか寂しいといった様子である。
そんなリリィを見た王牙はリリィの頭にポンッと手を置き撫でる。
リリィはその行動に目を丸くする。
「安心しろ。向こうにきちんと帰れたら俺様はまたここに帰ってくる。
仮にも俺様はこの国の王にされたんだからな。
まだこの国は完璧な状態とは程遠い。
それにお前を1人にさせると亡くなったヘリーナに怒られる」
そう言って笑う王牙を見てリリィは顔を赤く染め俯く。
そして小さくはいと答えた。
「おいイルワ!俺様が少しこのトータスから離れる。その間お前がこの国を納めろ!」
「は、はい…」
ゾッと疲れが増えたイルワは苦笑いを浮かべ返事をする。
書類関係はイルワに丸投げ状態にしているので大丈夫だろうと思ったのだ。
しかし王牙が居なくなった後の事を考えると頭が痛くなる思いであった。
「さて、帰ろうか」
ハジメはドアノブを握り魔力を注ぐと、取っ手が虹色に輝いて扉に線を引きながら光る。そして、扉が取っ手と同じ色になった。
「王牙さん!」
再びリリィの声に王牙は振り向くと顔が近くにありお互いの唇が重なり合う。
リリィのキスが終わると同時に王牙と距離を取り笑顔で見送った。
扉を抜けた先はハジメの自室だった。
到着した王牙は勝手に部屋の扉を開けて廊下に歩いて行った。
まぁ見事にハジメの両親の声が2階にまで響き渡り、更には少し遅れて下からバタバタと階段を駆け上がる音と部屋に入って来た二人。
「「ハジメ!?」」
ハジメの身体を抱き締める南雲夫婦。
「父さん、母さん、ただいま」
ハジメはようやく地球、自宅へと帰って来た事に安堵した。
自宅に着く事で今まで張りつめていた緊張の糸が切れ、床に尻餅をつく様に座った。
そして、ハジメの後ろにいるユエ、シア、ティオ、レミアとミュウを見つめる両親。
「…所でハジメ。後ろの4人と子供は?」
「えっと…僕の恋人と娘…です」
「「異世界の美女、美少女キター!!」」
ハジメ両親は狂喜乱舞しており、まさか異世界から帰ってきた息子が4人の恋人+娘を連れて帰ってきたからか?
「「香織、雫!!!」」
「「お父さん、お母さん!」」
一方ハジメ家を後にした王牙、香織、雫は八重樫家に帰っていた。
どうやらそこに王牙と香織の両親が一緒にいるとメールがあった。
戦争を経験し、緊張の糸が途切れたのか香織と雫は大泣しながら両親に抱きついていた。
「よく頑張ったな王牙」
「流石、私達の息子よ!」
王牙の両親も無事に帰ってきた息子を
褒め称える。
その後香織と雫の両親が王牙に感謝のお礼と2人の付き合いを許してくれた。
と言うよりは元々互いが認め合っていたらしい。
喜びもつかの間、何処から王牙達が帰還した情報が漏れたのか政府が各家に押しかけ異世界のアーティファクトや鉱石、力を提供しろと押しかけてきた。
勿論協力する気はない。
ちなみに亡くなったクラスメイト、主に天之河夫婦は救いもしなかった王牙達を批難していたが、王牙が全国放送で一部の映像を公開した。
それは天之河がトータスの住民、そしてクラスメイトをベゼルブへと変えた瞬間の映像、更に拒否した人を奈落の底へ落とした映像。
それを見た全国の国民は激怒し天之河夫婦に罵声を浴びせた。
その後、政府からトータスへの行き帰りだけでも出来ないかと言われるがそれも断った。
最終的にユエ達の住民票はすんなりと作られ話は閉幕となった。