元帝王はありふれた世界で暴れまくる   作:紙の子

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第8話

「まさか……ベヒモス……なのか?!」

 

(あれがベヒモスかぁ〜)

 

小さな無数の魔法陣からは、骨格だけの体に剣を携えた魔物〝トラウムソルジャー〟が溢れるように出現した。空洞の眼窩からは魔法陣と同じ赤黒い光が煌々と輝き目玉の様にギョロギョロと辺りを見回している。その数は、既に百体近くに上っており、尚、増え続けているようだ。

 

 

しかしそれよりもだ!

 

 

十メートル級の魔法陣からは体長十メートル級の四足で頭部に兜のような物を取り付けた魔物が出現したからだ。もっとも近い既存の生物に例えるならトリケラトプスだろうか。ただし、瞳は赤黒い光を放ち、鋭い爪と牙を打ち鳴らしながら、頭部の兜から生えた角から炎を放っているという付加要素が付くが……

 

メルドが呟いた〝ベヒモス〟という魔物は、大きく息を吸うと凄まじい咆哮を上げた。

 

 

 

 

「グルァァァァァアアアアア!!」

 

 

 

 

「ッ!?」

 

その咆哮で正気に戻ったのか、メルドが矢継ぎ早に指示を飛ばす。

 

「アラン! 生徒達を率いてトラウムソルジャーを突破しろ! カイル、イヴァン、ベイル! 全力で障壁を張れ! ヤツを食い止めるぞ! 光輝、お前達は早く階段へ向かえ!」

 

「待って下さい、メルドさん! 俺達もやります! あの恐竜みたいなヤツが一番ヤバイでしょう! 俺達も……」

 

「馬鹿野郎! あれが本当にベヒモスなら、今のお前達では無理だ! ヤツは六十五階層の魔物。かつて、“最強”と言わしめた冒険者をして歯が立たなかった化け物だ! さっさと行け! 私はお前達を死なせるわけにはいかないんだ!」

 

メルドの鬼気迫る表情に一瞬怯むも、「見捨ててなど行けない!」と踏み止まる光輝。

 

どうにか撤退させようと、再度メルドが光輝に話そうとした瞬間、ベヒモスが咆哮を上げながら突進してきた。このままでは、撤退中の生徒達を全員轢殺してしまうだろう。

メルドが何とか引き下げようとした時、目の前から人影がベヒモスの方に向かって飛び出す。

 

 

 

 

 

 

「コイツは俺様の獲物だァ!!」

 

 

 

 

 

突進してくるベヒモスの顔面を殴り数メートル吹き飛ばした王牙が目の前にいた。

流石の出来事にメルドは驚くがすぐに平常心に戻り注意する。

 

「あ、紅月!! 何をやっている!! 死にたいのか!!」

 

「あ"? 何言ってんだテメェ?」

 

怒声を上げるメルドに対し、王牙は呆れたような声で返す。

 

「さっきまでの雑魚とは違うんだろ?」

 

そう言うと王牙は構えを取り、ベヒモスを睨みつける。

するとベヒモスは起き上がり、怒りの形相を浮かべると再び突進を開始した。

 

「久々に軽く本気になってやるよ!」

 

今度は王牙が迎え撃つように走り出した。

そして拳と角が激しく衝突した。

王牙が殴りつければベヒモスはそれを角で弾き返し、逆にベヒモスが踏みつけるものなら王牙は素早く距離を取る。

お互い一歩も譲らず激しい攻防を繰り広げる両者だが、徐々にベヒモスの方が押し始めていた。

しかし、それでも王牙の顔からは笑みが消えない。むしろますます楽しげであった。

 

「ハハッ! いいぜぇ! もっと来い!」

 

ベヒモスは雄叫びと共に更に激しく攻撃するが、王牙は全て紙一重で避けていく。

次第に痺れを切らしたベヒモスは大振りの攻撃を行う。

その隙を狙い、王牙はベヒモスの横腹目掛け強烈な蹴りを放つ。

蹴られたベヒモスは大きく体勢を崩すが、直ぐに立て直し王牙に向けて突進をする。

しかしそれは王牙にとっては想定内だったようで、余裕をもって回避する。

 

すると動きが止まったベヒモスの体をドーム状に土が覆い被さる。

王牙はこの力を使えるのは唯一1人だと把握して見つめる。

 

「ハジメ!何してる?!」

 

「メルドさんからの命令でね!

もう少しで魔法部隊が攻撃するから王牙くんを離脱させるために足止めを」

 

階段の方を見るとトラウムソルジャーを倒す前衛部隊、後援部隊は魔法の詠唱を開始していた。

 

「……ちっ!急ぐぞハジメ!」

 

 

「うん!」

 

王牙とハジメはすぐに階段の方に向かって走る。

ベヒモスは叫びながら拘束を破ろうと暴れている。どうやらあまり時間は残されていないようだ。

 

「もうすぐ魔法が届く! 総員、放てー!!」

 

メルドの号令と同時に無数の属性を合わせた強力な一撃がベヒモスに直撃する。

ベヒモスは悲鳴を上げながら地面を転げる。

ハジメは良かったと安心しているが、そんなつかの間1つの火球がハジメに曲がり向かっていく。

 

「危ねぇぞ! ぼさっとすんな!」

 

王牙は咄嵯に腕を掴み引き寄せる。

 

「ご、ゴメン!」

 

「たく、油断し過ぎだ!」

 

「グオォォォ!!」

 

ハジメを助けるとまさかのベヒモスが目の前にいた。

体はボロボロで口や目から血が流れて許さないと言わんばかりに真っ赤になっている。

 

(……仕方ねぇ……ここで使うしかないか)

 

王牙はハジメを離してベヒモスの方に向く。

流石の行動にハジメは驚く。

 

「王牙君!? 何やって!?」

 

「悪ぃ……ハジメ……少し離れてろ」

 

ベヒモスが王牙目掛け角を振り下ろす。

王牙は拳を構えベヒモスの攻撃を受け止める。

 

「グルァァアア!?」

 

「有難く思え豚が……」

 

王牙の体は徐々に変化していき手は鋭い爪となり真っ黒な体に禍々しい赤い模様、目は鋭いオレンジ色へとなりまさに悪魔とも言える。

 

「俺様の真の姿で相手してやるよ!」

 

これがウルトラマンベリアル……全銀河を相手にした闇の巨人……

 

 

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