エクシヴァルワールド ヒーローズ   作:銀祐

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砕ける悪意、響く凱歌(前編)

アスカがバルゼリクス、マルス、レキウスがエンヴィリオを倒すも道連れに消えた…行く手を阻むシャオラン達をモロハ達に任せ先を征くユウキ、ティアナ、ヒマリ。傷つき倒れいく仲間たちの犠牲なねより切り開かれた道を無言で真っ直ぐに

 

彼等から託された願い“レガシードルに戦乱を巻き起こし王家から主権を簒奪、圧政を強いるムゲンザークの配下“辺境伯ディードを討つ”為に

 

ヒマリ「遂にここまで来たそうだね…」

 

ティアナ「この奥にディードがいますね…ユウ君、ここからは私達で戦いましょう」

 

ユウキ「わかってる…アスカにアマネさん、マルスにマリエラさん、レキウスさんにミホノカさん、そしてモロハ達の為にも僕達がやらなければならない…ディードは絶対に倒して見せる…!」

 

石でもなく金属すらでもない材質で建てられた最後の魔宮“魔皇宮”の門を潜る……黒曜、いや紫暗に磨き抜かれた柱が並ぶ通路…その奥にはブレイブマシンが自由に動ける広さがある。その最奥にある玉座に身を預けるディードは静かに目を開いた

 

ディード「よくぞバルゼリクスとエンヴィリオを倒し我の所へたどり着いたな……他の仲間たちと一緒ではなかったのか?」

 

ユウキ「皆は僕達に託した…全てはお前を倒すためにここまで来た…」

 

ティアナ「私のお父様やお母様、公開処刑で殺されたレジスタンスの皆、そして私達に未来を繋ぐために散ったレアさん達の為にもあなただけは絶対に許しません!」

 

ヒマリ「レガシードルの人々を苦しみ虐げる独裁者のアンタを倒せば本当の意味で平和になると言う事だからここで決着をつけてやる!」

 

ユウキ達は相手が等身大の人間だとしても引けを取らず、ブレイブマシンで立ち向かおうとするがディードはユウキ達にある質問をする

 

ディード「我を倒そうとでも言うのか?我が人間だと思っているのか?…それは違う、我は人にして人にあらず…つまり貴様らとは次元が違う存在、神人類しんじんるいだからな」

 

ティアナ「神人類…?」

 

ディード「貴様らに理解できるはずもないか…我等が偉大なる全知全能神ムゲンザーク様、四天女神様の御力によって選ばれ不要な感情を切り捨てた、人の軛より解放された真なる人間だ」

 

ヒマリ「人の軛より解放された…!?」

 

ディード「そのまさかだよ…神人類は負の感情といったマイナス面を必要とせず優秀、万能、高潔といった何もかもが恵まれた聖人君主のような存在こそが本来の人間だ…」

 

ユウキ「それは違う…本来の人間がこうあるべきなのはお前が勝手に思い込んでるだけだ!」

 

ティアナ「そうですよ!お父様とお母様だけではなく多くの人を虐殺した上で自分達が聖人君主のような存在だなんて許される事ではありません!!」

 

ヒマリ「あんた達の言う本来の人間が神のように完璧な存在だとしても負の感情を理由で排除するなんて身勝手にも程がある!!」

 

ディード「身勝手か…我等は不完全な人間に管理と言う名の支配で秩序を齎すためなら負の感情と言った人間のマイナス面を捨てなければならない、それは人間のあるべき姿の為に必要な事だ…選ばれなかったモノは所詮、その程度だ。このレガシードルはそのための実験場として最適だった…我らの神ムゲンザーク様の御心を示すために…我らの考えは正し…」

 

ユウキ「違う!」

 

不完全な人間と違う…自分達はそれらを選別し管理しなければならないと断言するディード…ムゲンザークの思想を実証するためだけにレガシードルを実験場にした事実をユウキの声が遮る

 

ユウキ「…確かに人は善悪の両面を持つ程不完全だけど…それを受け入れ乗り越えることや自分の非を認める事で成長し、自分を見失わず精一杯生き抜くのが人間と言うものなんだ」

 

ヒマリ「人間が必ずしも善人とは限らない事もあればたまにそういう悪い事やマイナス面を持っているなんて百も承知だよ。私達はそれでいいと思ってる」

 

ティアナ「なのにあなた達は自分達が常に正しいと言う理想ばかり求めているだけで善悪の両面に落胆している…私達は自分達の力で未来を切り開く為にもあなたを倒します!」

 

ディード「…そうか……なら試してみよ」

 

返答を聞いたディードは最早これ以上の会話は不要だという事でダイユーシャことユウキ達を全力で葬るべく、覇王の杖を持ちながら等身大状態で挑むことになる

 

ディード「まずは小手調べだ、我が炎の魔力を受けてみるがいい!!カイザーフェニックス!!!」

 

まずディードは覇王の杖から炎の魔力で造形された巨大な火の鳥をダイユーシャに向けて攻撃する。ダイユーシャはベレストルカリバーを構え、ディードが放った巨大な火の鳥に向けて斜めに振りかざし、叩き斬った

 

ユウキ「今の炎系魔術はまさに強力だった…やはりディードはこの力でブレイブマシンのような機動兵器と戦っていたのか…!?」

 

ディード「感が良いな…お前たちの使うブレイブマシンとやらは解析完了した。何より後付設定を加えるだけの機動兵器以下だ…まだ“あの機神”が手強えたがある…本気を出すまでもない」

 

ヒマリ「そんな…!」

 

機神以下の機動兵器と評するディードはさらなる手を振るう

 

ディード「…驚くのはまだ早い…コレはどういなすか?」

 

ティアナ「ユウ君、アクセルドライブを!」

 

ユウキ「わかった!!」

 

覇王の杖から生まれた冷たい輝きは氷槍となり、ダイユーシャに向けて発射する。アクセルドライブを使って襲い掛かる氷塊をベレストルカリバーで叩き落した

 

ディード「これだけの攻撃を防ぎきるかな!?」

 

ヒマリ「今度はプロテクトへクスを!」

 

ユウキ「了解!!」

 

試すようにの竜巻、電撃を纏う嵐が迫る…ダイユーシャは防御力を強化するプロテクトへクスで襲い来る竜巻と電撃を防ぎきった

 

ディード「ほう…いなしたか…ならこれはどうだ?」

 

杖に地の魔力が満ちると共に突き刺す…ダイユーシャの足元から巨大な岩が槍のように地を砕き乱立していくも、ユウキはブレイブフォースを発動した

 

ユウキ「ブレイブフォース発動!!ブレイブストラッシュ!!!」

 

ブレイブフォースを発動したダイユーシャは必殺の一刀両断技であるブレイブストラッシュで巨大な岩を見事に打ち破った。ディードはその衝撃で怯む事になる

 

ディード「くっ…!中々やるではないか…ならば!!」

 

ユウキ「ブレイブフォースを纏っている以上負けるわけには行かない!!」

 

微かに表情を歪めディードは覇王の杖へ力をさらに込めた…巨大な魔力の刃へ変わるやいなや。ブレイブフォースを纏ったベレストルカリバーが鍔迫り合う

 

ディード「何…?…」

 

覇王の杖にヒビが走ると同時に凄まじい轟音が木霊し爆風があふれかえる中、これでようやく倒したかと誰もがおもった。晴れ渡ると血まみれのディード…しかし燐光が舞うなかまたたく間に傷が塞がり何事もなかったように立つ姿に誰もが驚愕する長い、覇王の杖がビシリと砕け散った

 

ディード「ふむ、この我に手傷を負わせるとは…褒めてやる…一度は殺せたのだからな…」

 

ユウキ「お前の事だからまさか何かあるんじゃないだろうな?」

 

追い詰められても余裕を保ち続けるディードを見てまだ何かあるんじゃないかと確信するユウキ達にたいし笑みを浮かべた

 

ディード「クックックックックッ……フハハハハハハハ!やはり分かっていたそうだな、我が覇王の杖を失ってもまだ何かあると思っていたというのか…その通りだ。これからお前達に我の本当の力をお見せしよう…」

 

ディードの身体が脈打った…溢れ出すのは強大な力、まるで蛹が脱皮するように衣服が崩れ落ちながら再構築、時を巻き戻すように肉体が若々しく、精悍な姿へ変わり動きやすさを重視した戦闘衣へ身を包んだ青年が姿を見せた

 

ディード(真)「この姿になってしまった以上お前達に勝ち目はない…」

 

戦慄するユウキ達の目の前にいるのは最早老体だったディードではない最強の神人類…

 

真・辺境伯ディード 降臨!!

 

ヒマリ「まさかディードなの!?…!」

 

ティアナ「今までのとは違う雰囲気ですが…まだいけますよね?」

 

ユウキ「ああ、例え姿が変わっても負けるわけには行かない!!」

 

ディード(真)「ふむ…来るか…ならば軽く慣らすか」

 

するとディードはダイユーシャに向かって手をかざす、緩慢な動きにも見えた手から生まれた破壊の嵐はダイユーシャの背後の壁を魔宮の強固な壁を大きく刳り穿ちぬいた

 

ユウキ「な!?」

 

ティアナ「今のは一体何ですか…!?」

 

ヒマリ「まさか…!?」

 

ディード(真)「…うむ、慣らしはこれぐらいとするか。では始めようか!」

 

静かな声色が響く…コックピットに座るユウキは身震いした…操縦桿を握る手が震えて止まらない

 

ユウキ「姿形が変わってもやるしかない…!ここはブレイブストラッシュで行くぞ!!」

 

恐怖を振り払うようにダイユーシャはディードに向けてベレストルカリバーを構える。どうやら必殺技で一気に勝負に出るつもりだ

 

ディード(真)「…そう来るか…ならば試してみよ」

 

敵がどれだけの強さなのか、自身との力量差はどれくらいなのかを測るには、自分の最強の技をぶつけてみるしかないと考えたユウキ達にディードはある構えをとり動かない

 

ユウキ「何だあの構えは?この状況で奴にどう通用するか分からないけど…ここは勝負するしかない!!ブレイブストラッシュ!!!」

 

ダイユーシャは持てる力をぶつけるべくブレイブストラッシュを放った。一方、迎え撃つディードは避ける事がなかった。自殺行為のつもりなのかと思われたその時だった

 

ディード(真)「…」

 

ディードの両腕が動き、ダイユーシャが放ったブレイブストラッシュを流した…触れれば致命傷どころか身を焼かれるであろうその威力を凪のように軽く払い、地を蹴るとベレストルカリバーの刀身へ身体をひねりながら蹴りを打ち出した

 

“天動烈閤覇神無影脚!”

 

一撃、いや一秒間に数千、数億もの蹴りがベレストルカリバーの刀身を駆け巡りながら叩き込むディード…その姿をコックピットのモニタで見ていたユウキの顔は恐怖に染まり、ひび割れ、砕け散る様を見せつけられた

 

ユウキ「そんな…!剣が…ひ、ひぃ!?」

 

“天動魔皇剛断刄!!”

 

砕け散るベレストレルカリバーが舞う中、ディードの手に宿る光…紅蓮の闘気を纏った手刀がダイユーシャの身体をバターをきるように撫で切り払う…

 

ユウキ「うわああああああああ!!」

 

ティアナ/ヒマリ「きゃああああああああ!!」

 

何故ブレイブストラッシュをいなし、ベレストレルカリバーは無惨にも砕かれ、余波はコックピットに座るユウキ、ティアナ、ヒマリを容赦なく襲いかかる!モニターが爆発しパイロットスーツは切り裂かれ、焼かれ血がシートに染み込んでいく…性能が低下したとはいえブレイブマシン、ダイユーシャの強固な装甲を生身で圧倒するディードはつまらないモノを相手にしたような目を向けながら淡々と語りだした

 

ディード(真)「この技は我が主。ムゲンザーク様より賜わりし闘技“天魔皇陣テンマオウジン”…相手がいかなる必殺技を持っていようとも必殺技でなくなる…攻めることも逃げることも、身を護ることすらもな…」

 

それを聞いたユウキ達は冷水を浴びたように身が強張った

 

ヒマリ「それじゃあ私達がいかなる攻撃をしても無意味になっちゃうって事なの!?」

 

ティアナ「あの構えに飛び込んでしまったら一瞬のうちにズタズタにされてしまいます…」

 

ユウキ「このまま諦めてたまるか!たとえ武器がなくても僕達にはまだ最後の武器がある!!それは…勇気だ!!」

 

最後まで諦めないという強い心がある限り何度でも立ち上がるダイユーシャは武器がなくても再びディードに立ち向かう…しかし

 

ディード(真)「まだ諦めないか、面白い。どこまで抗うか見せてもらうとしよう」

 

するとディードはようやく動き出す。ユウキは天魔皇陣テンマオウジンがカウンター技だと思いこんだが故だ…

 

ユウキ「プロテクトへクス!!」

 

ダイユーシャがプロテクトへクスを発動してディードの攻撃を防ぐ事になるがカウンター技だから「攻めなければいい」…しかしわざわざ説明したことすらをも忘れるのは鳥頭としか言えない

 

ディード(真)「ふふ、それが決め手か?」

 

僅かに笑みを浮かべ、プロテクトヘクスに手を添えた瞬間、激しく機体が震え出した…いや内部からくだかれ始めたのだ

 

“天動深閏海掌”

 

ガタガタと振るえるダイユーシャ…プロテクトヘクスが防御ワザならばそれすら感知させない、発動すらしない程の波動を流し反発させる…防御無効技なのだ!コクピット内では血を吐き、耐え続けるパイロット3人は何としても反撃しなければならないと考えていた

 

ディード(真)「耐えるか…次の手を打たせると思うたか?ならば砕いてやろう。その希望を含めてな」

 

“天動皇技・壱の型、麒麟”

 

ユウキ「う、うわああああああああ!!」

 

ティアナ/ヒマリ「きゃああああああああ!!」

 

ユウキ達の最後の一手を看破し、ディードの姿が消えた…いや神速の粋に到達したが故だ…プロテクトへクス状態のダイユーシャの顔面、胴、右腕、左腕…いや全身へ光の軌跡が走り、装甲が砕かれ、地へ叩きつけられ、再び空へ蹴り上げらるを何度も、何度も繰り返されプロテクトヘクスは完全に破壊された

 

“天動皇技・弐の型、朱雀天翔刃”

 

その後、真紅に輝く火の鳥…朱雀の羽ばたき、いや翼に切り裂かれたダイユーシャ。最後の望みを打ち砕かれたかのように吹っ飛ばされ、パイロット3人大怪我を負ってしまい気絶する。最早強大な敵に対して成す術もなかった

 

ディード(真)「…弐の型は威力がありすぎた…すこし手心を加えたのだがな…脆いものだな、お前たちは。やはり我らの管理に置かれるべきなのだと理解したかね?」

 

 




後編予告

ディードの天動皇陣になすすべなく破壊されていくブレイブマシン

恐怖と絶望はユウキ達を蝕む

その様をレガシードル全土に見せつけるディード

シズノ、レガシードルに住まう人々の願い、想いが再び奇跡を呼ぶ
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