難民キャンプに対し、ブレイブマシンで攻撃したヒュウガを止めるために出撃したリョウマ、コウタはブレイブマシンより遥かに上回った3体のハシュマルに苦戦を強いられる中、突如現れたガンダム・フレーム、ベリアルによって救われ、アレスが難民らの怒りのはけ口となり沈静化し半日後、祐誠達はリョウマ達が帰還した事でヒュウガに対し、憤りを感じていた
【キャンプ用ドローンキャリア】
「勝手な思い込みで難民キャンプに攻撃するなんて何を考えているんだ!?君が何をしたのか分かってるのか!?」
「ごめんなさい、あの時難民たちが俺達に対しテロリスト達と同類と言いながらそのテロリストを匿っていたんだ…!」
「ヒュウガ、この件はグランストライアにいる重信様にも届いてる…」
ドローンキャリア内にあるミーティングルームに集まった祐誠達たちが見るのはホロスフィア(空間投影スクリーン)で重信の姿が映し出された
『この大馬鹿者が!話は全て聞いた…』
「申し訳ございません…ですが僕たちは」
『言い訳はいい…君たちがデザストロイアに派遣し何か変わったのか!』
宇宙でもコロニー間における治安悪化、海賊による略奪。地上でも散発的な暴動、紛争が相次いでいる一ヶ月間、宇宙にあるコロニーで勃発する海賊討伐、地上に降りれば紛争への介入、ヒューマン・デブリ売買組織摘発。犯罪蔓延る無法地帯と化したデザストロイアで治安維持活動は功を奏してない事実を突きつけられた
『それだけではなく、難民キャンプにテロリストが潜んでいる事やそのテロリストが使用したMSに生体ユニットが組み込まれた事もあったそうだ。特にヒュウガ!!お前はブレイブマシンで難民に対して報復行為しでかしたそうだな!!』
「その事については俺自身に非や落ち度があります…ですがあの難民たちはテロリストを隠匿してたんです!」
最近の祐誠達の行動を把握してるかのようにしている重信は先程のヒュウガの暴走に対して厳しく言う。しかしヒュウガはテロリストを匿っている難民が全て悪いと主張する
『………テロリストを隠匿した彼等にも落ち度があった…しかしやられたらやり返すような事をして良いと思っているのか!?』
「わかってます…こうなったのも全部俺の独り善がりな正義中毒が招いた事でした…ですが処分を受ける覚悟はあります。元はと言えば全部俺が原因なんです…」
祐誠達が原因でテロリストと同類とみなされた挙句、テロリストを隠匿した難民に対し、報復する事は本来あってはならないと厳しく告げる重信を前にヒュウガは自分の独善的な行動が招いた事で処分を受ける覚悟を決めていた
『…とにかくだ、その事でお前達はこれから元ギャラルホルン本部“ヴィンゴールフ”に向かえ。そこで開かれる査問委員会で処分がくだされる…』
「…わかりました」
自分勝手な正義中毒を招いてしまったヒュウガの潔さを見かねた重信は祐誠達に元ギャラルホルン本部“ヴィンゴールフ”に向かってほしいと言う事を伝えた後、通信を終える。それから祐誠達はキャンプ用ドローンキャリアでヴィンゴールフへと向かった
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【元ギャラルホルン本部“ヴィンゴールフ”】
祐誠達一行はこれから受ける審問会のために参加するべく会場へと向かった。まるで連行されるかのように案内され、会場に着いた後、祐誠達の目の前に白髪に赤いメッシュ、赤金に輝く瞳を持つ少年、アレス・ルセディスが審問席の末端に座っている
(あれは先日の…まだ子供なのに何故…)
(ヒュウガ、僕達が何しに来たのか分かってるよね?)
(言われるまでもないさ、元はと言えば俺が蒔いた種だからな)
(まさか僕達まで参加するなんて…)
(仕方ないだろ、俺達の行動に問題があったから)」
「……これより、デザストロイアにおけるXVGSの査問会議を始める」
リョウマ、祐誠、ヒュウガ、総司、コウタが着席したのを見計らうように黒髪に鋭い眼差しを向ける青年の言葉が響く。一番端に座る審問席には因みに査問会議自体はリアルタイムで配信されているため、グランストライアにいる重信もその査問会議が視える
「さて…これからの祐誠達がどうなるか彼の返答次第になるが…あの少年は私と同じ最高の位にあるとしたら一体何なのか気になるな…」
アレスの姿を見て、少年でありながら自分と同じ最高の位にある人物の立ち位置があるのか気になる重信をよそに、査問会議を行う事になる
「XVGSがデザストロイアに来たのは言うまでもなく自分達がギャラルホルンを壊滅した責任を取るべく、その代わりとなる組織を模索しながら治安維持を行っていたある……しかしだギャラルホルンを解体する理由は何かを答え給え」
XVGSがデザストロイアでの一ヶ月の行動を淡々と要約し告げる黒髪を真ん中から分けた青年“エルメロイ”に祐誠が手を上げる
「返答者、名を問わせてもらおうか」
「近導祐誠です。ギャラルホルンは僕達XVGSが戦わなければならない相手であるオレイワルドス軍のイエスマン組織であり、ご都合主義の限りを尽くすべく僕達の世界であるグランストライアに侵攻しました。その結果は僕達が勝利し、主犯格であるラスタル・エリオン、ジュリエッタ・ジュリス、イオク・クジャンはプリズンアイランドに投獄されました」
手を上げた祐誠は自分達が戦ったギャラルホルンがオレイワルドスのイエスマン組織である事やグランストライアを侵攻した事で交戦し、ダインスレイブ発射を阻止しラスタル・エリオン、ジュリエッタ・ジュリス、イオク・クジャンを捕らえた事をエルメロイに向けて返答する
「そうか……ギャラルホルンという名の抑止力が無くなったらどうなっていたのか考えた事はあるか?」
「コロニーおよび商船航路での海賊による略奪行為が加速、地上でも同様の行為が多数発生。アーブラウ、オセアニア、SAU,アフリカユニオンら4勢力の政治的衝突及び戦争。ヒューマンデブリは増加、少年兵として阿頼耶識システム施術後に売却され、戦場に駆り出されるという結果です……」
エルメロイの眉間にシワがピクリと動く…心無しか苛立ちを表してるかのようだ…その時、声が響く
「……近導祐誠…ギャラルホルン、それに類する末端組織全てを解体した。間違いではないな?」
「それは…皆の世界に自由と平和を取り戻すために戦う事です。XVGSの仲間たちと共に、オレイワルドスの管理と言う名の支配から皆の世界を守るために…」
今まで静かに聞いていたアレスの赤金に輝く瞳に気圧されながらXVGSが何のためにオレイワルドスと戦っているのかを問われた祐誠は皆の世界に自由と平和を取り戻すため、仲間たちと共に戦う事を答えた…
「……自由と平和、か……そのために仲間と一緒に戦う…自分達に任せれば何でも出来ると……独り善がり、いや愚者そのモノだだ」
「ひ…独り善がり!?」
「な、ぐ、愚者だと」
祐誠達XVGSがオレイワルドスから自由と平和を取り戻し、大切なものを守る…独り善がり、愚者だと切り捨てた事にヒュウガが身を乗り出そうとするも皆に取り押さえられるのを養豚場から食肉センターに向かう豚を見るような眼でヒュウガをみて視線を祐誠らに向けた
「………守るために戦う…その結果は今の状況を招いた…理由はわかるな?」
「テロリストたちが難民キャンプに潜んでいた事やオレイワルドスと裏で繋がっていた事、そして謎のMSに生体ユニットが組み込まれた事も…」
「俺達が謎のMSと戦った事で難民にテロリストと同類扱いされてしまいました…」
難民キャンプに起きた出来事の一部を説明した祐誠とリョウマだが、アレスを睨みながらヒュウガもつづいた
「謎のMSとの戦いの後、難民たちは爆発物を俺達のいるドローンキャリアに投げつけた!俺はテロリストを匿った事を正当化する難民たちに対して怒りを覚え、ブレイブマシンで迎撃しました…怒りに囚われた俺は難民たちを攻撃しようとした寸前に兄を始めとした仲間たちによって止められた矢先、厄祭戦時に滅んだ筈のMAが現れ、仲間たちと共に立ち向かいました……アンタに助けられなければ」
「……」
「ですが俺達は……」
「………近導祐誠、ヒュウガ……難民達がテロリストを匿っているといったな……その確たる根拠は何処にある?憶測だけで難民キャンプへ報復を仕掛けたのか?」
ヒュウガに問うアレス…その赤金に輝く瞳にすべてが見透かされるような感覚に因われながら応えた
「それは難民達の方があまりにも身勝手過ぎたからなんです。大事なものを奪われて全てを失ったから憎悪に囚われ、逆恨み……そんな考え方をしている難民達が許せなかったんです。このような出来事は俺達にも非がありました…だから俺達は…」
難民達があまりにも身勝手かつ大事なものを奪われて全てを失ったから憎悪に囚われ、逆恨みをしてきたのが許せなかった事や自分達にも非があるとヒュウガは自分達は悪くないと繰り返す。同じ言葉を何度も壊れた蓄音機、いや壊れたラジオと同じだ。眉間を引くつかせエルメロイ審議官の侮蔑の眼差しすらきづいていないのだ。アレスが動いた
「……自分たちは悪くない、悪いのはテロリストを匿う“大事なものを奪われて全てを失ったから憎悪に囚われ、逆恨み……そんな考え方をしている難民達”だと……」
「さっきから言ってるだろ!俺たちは悪いことなんてしてないってわかんないのかよ!!」
「ふぅ………エルメロイ審議官、ココに彼らを」
深い溜息をつくアレスにエルメロイ審議官は尉官に目配せする…間を置かず扉が開き現れた一団に祐誠、ヒュウガ、総悟、コウタは目を見開いた…大きな袋を抱きかかえ背負う痛々しい姿の難民キャンプの人々。その中か十歳前後の子供が同様に袋を背負いヒュウガ等に片目に眼帯をし火傷が目立つ少年が口を開いた
「なあ、あんたらさ…この世界の治安維持、いや平和の為に来たんだよな?なのにオレたちをテロリストを匿ったから攻撃したってさマジで言ってんのか?……」
「っ!」
「…オレたちがテロリストと同類で大事なものを奪われて全てを失ったから憎悪に囚われ、逆恨みする考え方をしてる?………ざけんなよクソ野郎があ!!テロリストを匿ったって証拠がどこにあんだよ、ああ!?答えろよ!!」
怒りと悲しみが綯い交ぜになった叫びにヒュウガらは身がすくむ…少年が背に担いだ3つの大きな袋をつかむ手が強く握らた
「…オレたちが難民になったのは、あんたらが正義の味方気取りでギャラルホルンを解体したからだろうが……オヤジとおふくろは仕事も、住む家も全部無くなったからだ!病気の妹も病院から追い出された……アンタらのせいだ、オヤジとおふくろ、妹が死んだのも!!」
「な!?」
背負った袋をヒュウガ、総司、祐誠、リョウマに押し付ける…鼻につく血、腐敗臭と共に目にしたのはビームで下半身を焼かれ事切れた女のコ、壮年の男性の生首、女性の左腕…思わずえづきかけるヒュウガの胸ぐらを少年が掴んだ
「吐くなよ…あんたらが招いた結果だ……あの日、ドンパチしたせいで親父とオフクロ、オレの妹はあんたらが防いだビームで焼かれて死んだんだよ……あと少しで職も、妹もやっと受け入れ先の病院が………やっと人並みの生活に戻れる矢先だった」
怒り混じりの嗚咽が議事堂に響き、ヒュウガの目は泳ぎだし目をそらした
「……熱かったろ親父、苦しかったよなお袋……まだ生きたかったよなマユ、元気になったらお医者さんになるって…6歳なったばかりで…う、ううわああああ…」
両目から涙を流しながらヒュウガを突き飛ばし亡骸のまえで座り込む少年…祐誠らは気づいた彼らが背負う袋に入ってるのは身内の死体、その眼差しが突き刺さった
「……先の行動が齎した結果……君たちが嫌う“怒りや憎しみに囚われた輩”を生み出しただけだ……いや、オレイドワルスそのモノだ」
アレスの言葉が深々と祐誠達の心に突き刺さる…その言葉はリアルタイムで見ていた重信にも響いた…
「我々XVGSでは対処できないものがあったとは思いもしなかった…今まで何でもできると思い上がった自分達が恥ずかしい…」
自分達が余りにも情けなく落胆していた重信…自らの判断の甘さが招いた事実に意気消沈する中、祐誠たちXVGSの処分が下される…
「……特別審議の判決を言い渡す、XVGSデザストロイア駐留部隊はブレイブマシンの搭乗資格凍結。指揮統括権をサン・ジェルマンファウンデーションCEO“アレス・ルセディス”氏に無期限譲渡とする…これにて閉廷とする」
エルメロイ審議官の判決表文が響いた