ブレイブマシンの搭乗資格凍結と指揮統括権をアレスに無期限譲渡されるという事になった祐誠達はドローンキャリアごとサン・ジェルマンファウンデーションの私有地に連れていかれた。その監視下に置かれた後、祐誠達はこれからどうするか考えていた
「はぁ…僕達が怒りや憎しみに囚われた輩を生み出したオレイワルドスそのものだったなんて…」
「しかも私達が正義の味方気取りって…いつどこで何を間違えたのかな…?」
祐誠と香澄は自分達XGVSが良かれとおもってギャラルホルンを解体したことで、今まで普通の暮らしをしていた人々から職を、住む場所を奪い取る結果になり数多くの難民を生み出していた。その原因だと査問会でつき突きつけられた事実に悩む
「今回は流石に私達が原因でこうなってしまったのも無理もないわ…私達は難民たちの事すら考えなかったせいか、ストレスや負の感情を悪とみなした上で倒して良いと思い上がってしまった…」
「この状況下に置かれた以上、迂闊に勝手な行動をしたら危ない事になるのは想定してるわね」
「それじゃあ私達一生このままなの!?そんなの嫌だよ!!」
「落ち着くんだ彩璃、ここは彼の言う通りにした方が良いと思いたい。その為にも僕達が罪を償なわければならないんだ…」
蘭穂と結那は自分達が難民たちの事すら考えなかったせいか、その代償として囚人みたいな状況下に置かれた事を言った後、取り乱す彩璃を総司が落ち着かせようとしていた
「ヒュウガ、元はと言えば全部お前が招いたんだぞ」
「ごめん兄さん…俺がこんなどうしようがない程身勝手なもので…」
「事情は聞かせてもらったけど。不味いわねヒュウガ、指揮権を預かってる彼なんだけど、サンジェルマン・ファウンデーションのCEOよ」
リョウマとヒュウガ、レオナが言った後、その名前に他の面々はざわめく…グランストライアを含めた大陸すべての“3分の2の富を有する複合企業財団”…ギャラルホルン解体後、混沌のデザストロイアでわずか一ヶ月で起ち上げた謎多き人物“アレス・ルセディス”…政治、経済にも多大な影響力を持ちMAを殲滅し、査問会で出会った少年だと知り驚く
「もし彼に対して反抗的で無礼な事をしたらとんでもない事になりかねなくなるわ。今はじっと耐えなければならないのだから…」
「ヒュウガ、あの時の少年を見て単純に悪として捉えていいと思った事はあるのか?」
「大事なものを奪われて全てを失った悲しみや苦しみがあっても怒りや憎しみに囚われ逆恨みする方が悪いとか思っていいのかと…」
「それです。難民の少年は私達がギャラルホルンを解体したせいで彼の両親は仕事も住む家も失い、病気の妹も病院から追い出されてしまったんです」
「私達はただ一つ目的の事で頭いっぱいになってしまい、私達が正義と信じたせいで大事なものを奪われて全てを失い、怒りや憎しみに囚われた輩を理解する事なく逃げてしまい、知らず聞かずなまま難民たちの事を疎かにしてしまいました……」
「とりあえずこれから先どうすればいいのか考えないと……」
ルイジアとコウタの問いに答えたヒュウガ、カレンとミリヤがその事を悔やみ、自分達が今置かれた状況を打破するにはどうするか考える祐誠だったがその時、モニターから一人の女性が映し出された
『近藤祐誠、ミソロヴェイル兄弟、CEOがお呼びでございます。執務室に来てください』
そう言った女性の一言を聞いた祐誠、リョウマ、ヒュウガはきっと何かあるに違いないと伺っていた
「アイツの事だからどの道俺達を精々死ぬまでこき使わせるつもりに違いない」
「まだそうとは決まった訳じゃないだろう、彼が俺達に何をするのか執務室に着いてからにしないとな」
「とりあえず香澄たちはここで僕達が帰ってくるまで待機してもらえないかな?」
「任せて、祐誠くん達も気をつけてね」
その事を理解した香澄は祐誠に気を付けてと返答する。祐誠らは知らない…なぜアレスが呼び出したのかを身を以て知らされる
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サン・ジェルマンファウンデーション…一切の無駄が省かれた庁舎内を通され執務室に着いた祐誠、リョウマ、ヒュウガの3人が見たのは、ホロウィンドウを数千開き、目を通しながら指で弾き閉じては開いていくアレスだ
『CEO、アーブラウからの新規プラント建造承認の合わせが』
「……必要資材及び人員はコチラで手配すると伝えろ」
『はい!あとジャンマルコ・サレルノ氏から“渡りはつけた”と』
「…調整はコチラでやる…」
『各エリアにある難民キャンプへの医療物資、医師の派遣は8割ほど…あとは』
「…水と食料は今手配した…任せる」
『は!ルセディス統括官!!』
「アバランチ、ドルト航路間の海賊掃討作戦概要を…」
祐誠らに気づく様子もなく執務をこなしていくアレス…また一つ、また一つとウィンドウが閉じていき最後の一つになる…軽く指で開き映し出されたのは年齢や容姿もバラバラだがスーツ姿の6人だ
『CEO、今期決算報告および今後の方針に関しての定例会を』
「……これに纏めてある……一度目を通し異論があるならば直そう」
それぞれに圧縮されたファイルが転送される…やや間が空く
『い、異論ありません!』
「何かあれば対応する…定例会を終える、皆の尽力に感謝する」
アレスが頭を下げると重役らも倣う…すべてのウィンドウが閉じるとヴィンゴールフにおける査問会議と同じ眼差しを祐誠らに向けた
「一体どういうつもりなんでしょうか?あの時の少年が言ってたように僕達は正義の味方気取りでこんな愚かな事をした。オレイワルドスと同じ事を…」
自分達のせいでギャラルホルンを解体が招いたすべての結果、皺寄せが“片目に眼帯をし火傷が目立つ少年ら難民を生み出した事実、オレイワルドスと祐誠らXGVSが同類だと…アレスの目は険しさを増していく
「……」
「大事なものを奪われて全てを失い、怒りや憎しみに囚われた輩の気持ちすらわからない俺達が愚かでした…」
「その愚かな俺達が自分達を正当化してそう言った輩を生み出していたのも事実である事に変わりありません…」
「……で?」
リョウマとヒュウガは自分達が正義の味方を気取った上で正当化してしまう程の愚行を繰り返した事でにアレスは遮るよう一言呟く声色には底冷えするような怒気、冷ややかな眼差しを向けられゾクッと身震いした
「よ、要するに……一度業を背負った者達が簡単に死ねると思うな……」
「……ふう…」
祐誠らの見当違い、曲解した答えばかり…何も学んでいない…形だけの理解、形だけの反省、見せかけばかりの態度に沸々と苛立つのを気づいてすらいないアレスは口を開いた
「……キアラ、第3MS試験場は使用できるか?」
「ええ」
「…近藤祐誠…なら提案だ」
「提案ですか?」
「君達3人でオレとMSで実弾演習を行う…一撃を当てるならば先の処分を撤回。君たちが負けたら相応の対価をもらうがな……」
底冷えするような眼差しでMSによる3対1の勝負で自分に一撃を当てたらブレイブマシン搭乗凍結処分を撤回、負ければ相応の対価をもらう…祐誠達の返答は……
「分かった、受けて立つ」
「祐誠ならきっとそう思うさ、ヒュウガはどうする?」
「言われるまでもないさ!俺達の実力を見せてやる!!」
祐誠、リョウマ、ヒュウガの3人はその勝負を受けて立つ事になった
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第3試験場MS模擬戦闘フィールドに案内された祐誠、リョウマ、ヒュウガの3人はサン・ジェルマンファウンデーションが用意したレギンレイズを見て驚きを隠せなかった
「俺達MSに乗って戦うのかよ…」
「当たり前だ、ブレイブマシンが使用できない以上俺達はこうするしかないんだ」
「一体アレスさんはどんなMSで来るのだろうか…?」
そう言った祐誠、リョウマ、ヒュウガはパイロットスーツを着用してレギンレイズに乗り込む。その後現れたのは装甲を8割外したグレイズだった
「グレイズかよ!?しかも装甲の殆どが外された状態の……」
「こちらはその後継機なのは言うまでもないけど何を考えているんだ…?」
「彼の事だからきっと何かあるのかもしれない…」
レギンレイズ以前の機体であるグレイズが装甲を8割外した事で驚愕するリョウマとヒュウガだが祐誠はアレスが何かあるのかもしれないと伺っている。一方その頃、待機していた香澄達はモニターで祐誠達とアレスによるMS勝負を見ていた
「3体のレギンレイズは祐誠くん達であっちのグレイズはアレスさんだね。これから何が始まるんだろう?」
「わからないけど祐誠達を応援しないといけない気がするわ」
「何やら嫌な予感がするわね…」
「わたくしもそう思いますわ」
その様子をモニター越しで見ていた香澄と蘭穂は祐誠達の応援をするが何故かルイジアとカナエデは深刻そうに懸念していた…
「要は一発を当てたら勝利という事だな!やってやるぜ!!」
そう言いながらヒュウガのレギンレイズが突っ込んで攻撃しようとした時だった。その攻撃をアレスのグレイズが悉くいなしていた
「何!?」
荒荒しいヒュウガのレギンレイズが攻撃を繰り出す…しかしグレイズは突き出された拳に手を添え下へ流し体勢が崩れ、反動を利用し弧を描くように上方へ飛び背中へ蹴りを叩き込んだ…コックピットが激しく揺れた
「ぐあああああああ!」
「ヒュウガ!祐誠、俺達でアイツの動きを止めるぞ!!」
「わかった!」
最早協力して一撃を充てるしか方法はないと考えた祐誠、リョウマ、ヒュウガはすぐさま行動を開始する。まずは祐誠のレギンレイズは100ミリ機関砲を構え斉射するが回避する。グレイズの背後からリョウマとヒュウガのレギンレイズが迫る
(…馬鹿の一つ覚えか?)
アームレイカーを傾け素早くペダルを小刻みに踏みながら方向転換するグレイズに狙いがつけられない2体のレギンレイズをすり抜け、ヒュウガ機の背を踏み台代わりに蹴り上げる、たまらずつんのめる姿に気を取られた祐誠機へ反転と同時に蹴り入れたのレ
「ぐああああああああ!!」
大の字に倒れた祐誠機をアレスのグレイズはその足首をワイヤーで結びつかむと大きく振り回し始める。風切り音が不気味になり砂埃が回せる姿は悪魔にも見える
(お前たちは何もわかってない…上辺だけのわかっただけを同じ言葉を繰り返し責任転嫁をしてるだけだ)
「う、うわああああああああ!!」
「ゆ、祐誠!?」
遠心力により身体の血が偏る祐誠…助けに入ろうとするリョウマ、ヒュウガらのレギンレイズ目掛け振り回すようぶつけた…金属がひしゃげる音、口いっぱいに広がる鉄の味に意識を取り戻した祐誠が目にしたのはぐしゃりと潰れたリョウマ、ヒュウガのレギンレイズの不様な姿
(その思想を吐き捨てろ……犬にでも食わせてろ)
鉄血世界のMSは極めて頑丈なフレーム、ナノラミネートアーマーを有している…アーマーを焼くナパーム弾、物理攻撃のみだ…アレスが用いたのは物理攻撃。しかもMSそのモノを武器としてぶつけたのだから一溜まりもない
「く、くそ」
「MSをぶん投げるって…」
モニターはくだけ、操縦系を再び起ち上げるレギンレイズで苦悶の表情を浮かべるヒュウガ、リョウマ。この光景を見ていた香澄達はまるで自分達が絶望的な状況に置かれている事を確信していた
「祐誠くん達が押されているなんて…」
「レギンレイズより前のグレイズをここまでハイスペック並みにするのはパイロットの操縦技量よるものね…」
一方、どれだけ攻撃をしても回避されて返り討ちに遭い続けた3体のレギンレイズは機体に大きなダメージを受けてしまう。対するグレイズは無傷…そのコックピットに座るアレスは汗すらかいてない
「くそっ…これ以上戦い続けたら返り討ちに遭ってしまう…」
「最早どうする事も出来ないのかよ…!?」
「認めたくないけど俺達の敗北だ…」
祐誠、リョウマ、ヒュウガは敗北する事を選んだ。アレスのグレイズに3体のレギンレイズから通信が入る
「僕達の負けです…約束通り相応の対価が何なのか教えてください」
祐誠は対価が何なのか、アレスに問いかける
「本日15:50より、難民キャンプ護衛任務を与える…使用機材に関してはこれを見ればわかる」
「……わかりました。僕達はあなたに従います」
そう言った祐誠はそう返すと通信は切れ、アレスのグレイズは格納エリアへ去っていった
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それから待機していた香澄たちと合流した祐誠たち3人は第3試験場MS模擬戦闘フィールドでの出来事を話していた
「難民の護衛にモビルワーカーとゲイレールの運用……これからの私達はそうしなければならないよね…」
「今回の事で私達に足りなかったものや勝手な行動をせず彼に従うしかないそうね」
「勿論そのつもりだよ。それよりも…」
香澄と蘭穂が言った事を返答する祐誠は自分達が運用するゲイレールがグレイズ以前の機体である事から少し不安な気がしていた
「俺達はこれからグレイズ以前の機体で難民の護衛をしなければならないのか…」
「今思えば俺が難民たちにあんな酷い事をしてたよなぁ……」
「まぁそうなるよね。その事すら考えなかった僕達に責任があるんだから」
「言うなればせめてもの罪滅ぼしという訳か…旧型の機体をどのように使えばいいのか…」
リョウマとヒュウガ、総悟とコウタはグレイズ以前の機体であるゲイレールやモビルワーカーで難民の護衛をしなければならないのか迷っていたその時、祐誠がある事を言い出した
「旧型でも僕達次第で使いこなせばそれなりに役に立つことが出来るんじゃないかな?」
「俺達次第って事はつまりカスタマイズしたりアップグレードしたりするという事か」
「後継機の性能に頼り過ぎた俺達がどうかしてた…要はいかなる状況でも対応できるようにしなければならないのか…」
「先程の戦いを見れば新型のレギンレイズがそれ以前のグレイズに負けたのかパイロットの操縦テクニックが上回ったそうだ」
自分達次第で旧型機であるゲイレールを使いこなせばそれなりに役に立つことができると確信する祐誠とカスタマイズしたりアップグレードしたりする事を思っていたリョウマ、新型の性能に過信過ぎてどうかしてたと実感するヒュウガに先程の模擬戦闘でパイロットの腕が高性能の相手に打ち勝ったことを知る総悟
「要はパイロットの腕を磨き上げるという訳だが難民の護衛をする事が今の俺達にとってのやるべき事を忘れないようにしておこう」
「問題はこのモビルワーカーをどのようにしたらいいんでしょうか?」
「複座型にすれば問題ないと思いますが…」
コウタが難民の護衛とパイロットのレベルを上げる事を重要だと言い、カレンとミリヤが取り掛かろうとした…が
「何をしている」
「アレス・ルセディス…っ!」
声が木霊し首元に鋭利な刃物が突きつけられたような感覚…振り返り見たのは黒いスーツ姿のアレスにヒュウガは苛立ちにも似た眼差しをむける…それを気にすらせずツカツカと近づく
「…難民キャンプ到着時間は超過してる…」
「じ、準備がまだ」
「………準備は必要ない、今のお前たちにはすべてが無駄だ…やるだけな」
「こ、このガキ!」
「や、やめろヒュウガ!!」
自分たちの準備を無駄と切り捨てるアレスに苛立ちを爆発させ、祐誠の制止を振り切り殴りかかるヒュウガ、その拳が顔を捉えた瞬間、拳がすり抜け手首が掴まれ後ろ手に捻りあげられる姿…身長差があるのに関わらず鮮やかな動きで拘束している
「ぐ、くう離せ……っ!?」
「……命令履行しろ……このまま速やかに向かうか、それとも…拾五秒まつ」
ヒュウガの顎下に冷ややかな感触…拳銃、銃口が押し当てられ身動き出来ない。逃げようと藻掻くもビクともしない…非常にも時は過ぎていく
「…十、九、八、七…」
「や、やめてくださいアレスさん!ヒュウガを…」
「六、五、よ「…こ、近藤祐誠、以下数名…命令を受理履行難民キャンプへ移動します!」……なら急げ…」
祐誠の言葉に漸く拘束をとく…拳銃をホルスターに収めるアレスをにらみつけるヒュウガを軽く一瞥した。数分後XVGSは予定時刻を超過しながらも現地入りした
この地で再び惨劇に見舞われ、グランストライアに災厄が降り注ぐ迄、あと僅か…
次回予告
惨劇に見舞われた難民キャンプへ再び訪れた祐誠等、限られたMS、MW改造すらできない状況の中で任務をこなしていく
忍び寄るオレイドワルスの悪意が迫る
その頃、レガシードルで大敗を喫したオレイドワルス。ムゲンザークはシャオラン等へ挽回の機会を与える為にグランストライアへ攻撃を指示する
次回 惨劇≒強襲
デザストロイアに邪な悪意に染まる獣満ち溢れ、グランストライアを黒き雷虎が噛み砕く