エクシヴァルワールド ヒーローズ   作:銀祐

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贖罪

【サンジェルマン・ファウンデーション私有地】

 

『近藤祐誠、XVGSは現時刻を持ち拘束解除。執務室に集合…』

 

独房にいた祐誠達だがここで釈放された。あの時からずっと自責の念を持って後悔していた以上、自らの過ちを正当化する道を探すしか知らない愚者から脱却出来るためにはどうするか知る由もなく釈放され数分

 

執務室に着くとカウンセリングを経てようやく立ち直った香澄、レオナ、ハルカと再会するが今はそれどころではなく、目の前にいるアレスと向き合う事に専念した

 

「……コレを」

 

そう言ったアレスがデザストロイアの地図らしきものを祐誠達に見せると、オレイワルドスがデザストロイア各地に潜んでいる事から、今まで集めた情報を開示し、活動および発生件数などを精査し活動拠点を4箇所まで絞り込んだ。その情報を元にサンジェルマン・ファウンデーションが調査を行い、拠点と思しき場所を突き止めたのだ。そしてここからはエッちゃんこと謎のヒロインⅩオルタが祐誠達にある事を説明する

 

「ここからはマスターに代わって私が説明します。今まで集めた情報によるとオレイワルドスはアーブラウ、オセアニア、SAU,アフリカユニオンの各エリアに活動拠点があります。この間の難民キャンプにおける惨劇の後、スタッフの皆様がデザストロイア中をしらみつぶしに探してみた所で見つけ出しました」

 

無口で必要最低限の会話しかないアレスに代わって細かく説明するエッちゃんの話によればデザストロイアにあるアーブラウ、オセアニア、SAU,アフリカユニオンの各エリアにオレイワルドスの活動拠点があるという事である

 

「つまりその拠点を僕達が向かってそこにいるオレイワルドスを倒さなければならないという事でしょうか?」

 

「…そういう事になります。ですよねマスター?」

 

「……ああ」

 

「ここだけの話になりますがマスターもこの作戦の指揮戦闘に参加する事になります」

 

4つの拠点にいるオレイワルドスを倒さなければならないと言う祐誠に対し返答するエッちゃんはアレス自らが今回の作戦の指揮及び戦闘参加を祐誠達に告げる

 

「そういえばブレイブマシンの事について気になりそうですね?良かったら地下セクションへ来てみますか?」

 

そう言ったエッちゃんはアレスと共に祐誠達をサンジェルマンファウンデーションの地下セクションへと案内した

 

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地下セクションにある格納庫に着くと祐誠達は余りにも信じ難い光景を目のあたりにする。それは自分達の愛機であるニルヴァーナ、バハムディア、カイゼルグレン、カイゼルシアン、ノブナガラティンのブレイブマシン。拘束された状態でぶら下がり姿は罪人を思わせた

 

「はじめろ」

 

アレスの号令と共にニルヴァーナの前に巨大ビーム砲を構えたレギンレイズが隊列を組み一斉砲撃する…強固な装甲は溶け穿たれ爆発四散しながら崩れた

 

バハムディアは240㍉カノンで射撃標的で爆ぜる装甲、頭部も半分近くえぐれ吹き飛び爆発、カイゼルグレンは巨大ハンマーで何度も殴り潰され、カイゼルシアン、ノブナガラティンは試し切りと言わんばかりに極太ビーム刃でナマス斬りにされていく

 

「あれって俺達のブレイブマシンじゃないか!しかも何でこんな事に…」

 

「一体これはどういう事なんですか!?説明してください!!」

 

「あなた達のブレイブマシンは欠点だらけ不要かつ合理的でない無駄なものがあるとマスターを含めた私達がそう判断し解体処分になりました」

 

ヒュウガとマシロはアレスとエッちゃんに向けて何故自分達の愛機が解体処分されなければならないのか問いかけた。アレスは自分の代わりにエッちゃんにこの事を説明してやれと促し、その事を応じたエッちゃんは祐誠達にある事を言い出す。それは欠点から不要かつ合理的でない無駄なものがあるという事だった

 

「欠点から不要かつ合理的でない無駄なものですか…?それは一体何ですの?」

 

「3人乗りの利点が生かされてない、ただ乗ってるだけ、一人でも欠ければ性能ダウン、兵器としての信頼性が全くの皆無、この4つがあなた達の愛機の欠点にして不要かつ合理的でない無駄なものです」

 

カナエデが質問するとエッちゃんは4つの問題点を掲げて祐誠達に言い放つ

 

「僕達の愛機にそういった問題点があったなんて思いもしなかった…」

 

「しかもただ乗っているだけで複座の利点が全くないなんて…私達はただ何もしていないと同じ事なの…?」

 

「俺達が今まで乗っていた愛機にとんでもない欠点があるなんて気づかなかったな…」

 

総司に彩璃、コウタは自分達の搭乗機にそう言った問題点があった事を知らずに運用していた事を後悔していた。これからどうすればいいのか迷ったりしていた

 

「アレスさんにエッちゃんさん、ブレイブマシンのない僕達はこれからどうすればいいんですか?」

 

迷っている祐誠達を見たアレスはエっちゃんに対し、この際だから見せてあげた方がいいと促し、その事を応じたエッちゃんは祐誠達にこの事を伝える

 

「こちらへ」

 

エっちゃんに促され向かう先に分厚い隔壁がある。網膜認証、音声、静脈パターンをクリア。隔壁が開き見えたのは無数のケーブルに繋がれ整備班にメンテナンスを受けるライガー、サイ、ファルコン、猪、コブラ、ユニコーン、タイガー、イーグル、マンモスなどのマシンが目に入る

 

「動物型のマシン…もしかしてこれが僕達に必要なモノなんですか?」

 

「はい。サンジェルマンファウンデーション最新鋭機…ブレイブビーストマシン……今日からあなた方の機体です」

 

祐誠の問いに応じ、エっちゃんは先程のブレイブマシンの欠点を徹底的に省いて開発したブレイブビーストマシンは状況に応じて変形するが、乗りこなすには相当の苦労が担う為、下手をすれば大変な事になりそうな危険性を持つ恐ろしい代物であると説明した

 

「私達が気に入らないと喰い殺すなんて絶対嫌になります…」

 

「ここは何としても乗りこなさなければならない気がするわね」

 

その事を聞いて少し怯えるカレンと乗りこなすために考えるルイジア

 

「現時刻よりBBMを変形機能封印後、譲渡。72時間以内に乗りこなせ……」

 

冷ややかな眼差しを向け背を向けあるき出したアレス…祐誠たちはこれまで犯してきた過ちと向き合い、繰り返さないためにもブレイブビーストマシンを乗りこなすしかない

 

「わかりました。僕達、乗りこなして見せます」

 

「…期待しませんわ…思ったことを口にすれば解決すると思い込むあなた方には救いなんてありません…では」

 

祐誠の言葉をキアラの辛辣に切り捨て会釈し離れた…先をゆくアレスに寄り添うのを視た瞬間景色が変わる

 

赤黒い空、血より赤く腐臭漂う大河、亡者の叫びが木霊する怒り、憎しみ、怨みが渦巻く阿鼻叫喚地獄絵図を歩く姿を

 

血の涙を流し続けながらあるき続けるアレスの姿を

 

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それから祐誠達は自分に合ったブレイブビーストマシンを選ぶ事になった。祐誠は隼、香澄はライガー、蘭穂はサイ、総司はイーグル、結那はパンサー、彩璃はバッファロー、リョウマはトラ、カナエデとレオナは馬、ハルカはイノシシ、ヒュウガは狼、ルイジアはマンモス、コウタはティラノサウルス、ミリヤはトリケラトプス、カレンはプテラノドンという事になるが、何故かブレイブビーストマシンはガトリング砲、ビームガン、バルカン砲等で威嚇して祐誠達を怯ませる

 

「いきなり威嚇するなんて聞いた事ないぞ!まるで猛獣そのものだな…」

 

「その名の通りビーストという訳か…このままだと本当の意味で喰い殺されてしまいそうだ……」

 

「そうならない為にもまずは丸腰の状態で彼等に寄り添いましょう。問題は私達が武器などを持っているからよ」

 

「ルイジアさんの言う通りですわ。先に仕掛けた方が悪いというのは一番どうかしてますし…敵意を出さない方が身のためです」

 

ヒュウガとリョウマ、そしてルイジアとカナエデが言った後、祐誠達は無防備状態でブレイブビーストマシン何も喋らずそばにいる事で害意が無いことを示した。するとブレイブビーストマシンはガトリング砲、ビームガン、バルカン砲で威嚇する事をやめる。それから無言の状態で寄り添ってから12時間後、ようやくハッチが開いた

 

『これであなた方はブレイブビーストマシンの操縦者となりました。これから慣熟訓練を行いますが全員バラバラで行わなければなりません。マスターが用意した特別演習場に缶詰状態となり、仲間達との通信手段は全てを禁止、抜け出せば無条件での射殺という事になります』

 

すると通信を開いたエっちゃんは祐誠達にそう伝える。何故ならこれから先は独力でブレイブビーストマシンを乗りこなさなければならないからだ

 

「えっ!?ちょっと待ってくれ!!」

 

「そんなの聞いていないわよ!!」

 

『最も馴れ合いしか知らない者には到底できないものになりますので、残る60時間で一人一人がビーストマシンをどう乗りこなすか検討を祈ります』

 

総司と結那が抗議の声を上げるがエっちゃんは冷たくあしらう。エっちゃんはアレスに言われた通りに祐誠達に付き合う気は全くない。通信を切ったエっちゃんは祐誠達を放置し、祐誠達も自分達だけでブレイブビーストマシンを乗りこなすしかないという事で仲間たちと別れながら一人で特別演習場へと向かう事にした

 

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祐誠は隼型ブレイブビーストマシンと共に向かった特別演習場の一つで見た目は若いも実年齢は四十代のブレイブビーストマシン女性メカニックチーフと出会った

 

「早速だけど、これからお前は仲間に頼らず独力でブレイブビーストマシンを操縦するようにレクチャーしておかないとね」

 

「お願いします」

 

メカニックチーフに言われた祐誠は隼型ブレイブビーストマシンの操縦レクチャーを受ける事にした

 

「これから現れる標的ドローンによる実弾訓練を行う、ブレイブビーストマシンには必要最低限の弾薬を持っている以上使い方を誤ってはならない。撃破認定された時点で一からやり直しとなる、わかってんだろうね?」

 

「わかりました」

 

「期待してないからね…」

 

冷めた態度を取るメカニックチーフの言ってた事を聞いた祐誠は訓練を行う事になった。目の前にいる標的ドローンに対し、必要最低限の弾薬を考えてなるべく攻撃する事になる

 

「早速ブレイブビーストマシンを試す時だ、やってやる…!!」

 

そう言った祐誠は迫る標的ドローンに向けて隼型ブレイブビーストマシンの持つ武装であるソニックガンを放った。次々と撃墜していくが何故か撃墜されてしまう

 

「しまった…!!」

 

撃破認定された事からやり直しとなり、もう一度慎重に考えて標的を攻撃して撃墜するが同じ手は食わないように回避してもまた撃墜されてしまう。悪戦苦闘と思える実弾訓練を何度も失敗してから1時間後…

 

「ぐあっ!!」

 

試運転に慣れないまま祐誠にメカニックチーフが鉄拳制裁を下し、罵詈雑言をする

 

「下手くそが、もう一度幼稚園からやり直せ!おままごとだけは得意だな、乳繰り合えは解決か?傷の舐め合いも上手だな、泣きながらママのミルクでも飲んできなよ!!」

 

余りにも酷い事を言われて落ち込む祐誠だったがそう言われても仕方ないんだなと心からそう思っていた。それから祐誠は必死になって操縦してもブレイブビーストマシンに何度も振り回され、撃墜されてしまう

 

「もう嫌だ!!こんなんじゃ何もできないじゃないか!」

 

祐誠はそう叫ぶと苛立ちながら拳銃を抜き放ちコンソールに撃とうとしたその時だった

 

「何やってんだアンタ!?」

 

「うわっ!?」

 

祐誠が拳銃を抜き放つのを見たメカニックチーフが祐誠をぶん殴った。祐誠が拳銃を抜いた理由がわかるからこそ、ぶん殴り黙らせた 祐誠が銃口を向けようとしたのはブレイブビーストマシンのコンソールで、もし発砲すればセーフティロックが解除されてしまい、機能停止して失格扱いになる

 

「……アンタは自分が何をしようとしたのか、理解できているのか!?」

 

そう怒鳴りつけるメカニックチーフに対して言い返す事ができず俯いたままだった

 

「アタシから見ればアンタらは今まで何一つ学んでいない、いや学ぼうとせず成長しないガキだ。そんな奴がブレイブビーストマシンに乗る資格なんて無いんだよ」

 

祐誠はその言葉を聞いてエっちゃんに言われるまで自分の欠点を自覚していなかった。ようやくエッちゃんの投げかけた言葉の真意に気づいた。自分の今までの行動が振り返り呆然となり、頭を抱えた

 

「僕が変わらなきゃいけないんだ……」

 

祐誠は反省し、自分を省みるようになった。そしてエっちゃんに言われた通りまだまだ全然わかっていないと痛感した祐誠は自分を変えるため、仲間に頼らずブレイブビーストマシンを乗りこなすために実弾訓練を繰り返す事になった

 

「うああぁっ!!」

 

何度繰り返しても振り回されてしまい、体中打ち身やアザだらけになり、撃墜されてしまう。それから何の成果もなく時間が掛かってしまい、期日まで時間がない事を焦っている中、メカニックチーフはある映像記録媒体を流し見ていた。それはブレイブビーストマシンのテスト風景だった

 

隼型のテスト風景を見てメカニックチーフは懐かしそうにみえた。人機一体となった隼型の鮮烈な戦闘機動、急下降し地面スレスレでほぼ直角に方向転換、加速…すり抜けざまなに敵機を撃破していく様に息を呑むしかない祐誠の前で繰り広げらるドッグファイトは目を離すことを許さない。急加速、転回は強烈なまでのGがかかる

 

そんな中でブレることななく、敵弾を流れるようにバレルロールで回避、肉迫と同時に内蔵火器であるバルカン砲で沈黙させていく。その間かかった時間は僅か20分。すべてをクリアした隼型ブレイブビーストマシンは帰還、滑走路に降り止まるとキャノピーが開いた

 

「あ、あれは…」

 

黒塗りのパイロットスーツ姿のアレスがタラップから降り集まるメカニックチーフらの元へ歩く姿だった

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