エクシヴァルワールド ヒーローズ   作:銀祐

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獣を駆る者−反撃−

隼型ブレイブビーストマシンのコクピットにいる祐誠はメカニックチーフが流した映像を見てそのテストパイロットがアレスだと知り唖然としていた。自分の考えが正しいと信じ込み、思い通りにいかなければ不満を募らせ罵声を浴びせるだけなら子供でも出来る事を平気でしておきながら自分は正しく、他人には間違いがあると思っている傲慢さと独善性には反吐が出るわ、何より自分が受けた仕打ちと同じことを相手にするのは人間以下だと痛感していくのは当然の流れであり、祐誠の心に芽生えたのは今までの自分達XVGSに対する憤怒であった しかし、ここで冷静になる事が大事だと言い聞かせるように自制心を取り戻した祐誠は再び乗りこなすべく実弾訓練を行った

 

「見様見真似だけどやって見るしかない……うわっ!?」

 

先程のテスト映像通りにやって見たが中々上手く制御できず撃墜されてしまう。やはり素人では無理があったのかと思いつつもう一度挑戦するがまたしても撃墜される。何度もトライ&エラーを繰り替えす程に焦りばかりが募る祐誠だった

 

「くそぉ……僕じゃ駄目なのか……」

 

先程のテスト映像通りにやって見たが中々上手く制御できず撃墜されてしまう。やはり素人では無理があったのかと思いつつもう一度挑戦するがまたしても撃墜される

 

「一体僕にはなくアレスさんにしかないものは何なんだ…!?」

 

そう思いながら訓練を再開する祐誠だったが中々うまくいかず、結局一度も成功しなかった

 

「こんな所で諦める訳には行かない…!僕は…僕達は…!!」

 

決してあきらめず再びチャレンジし続けた祐誠が結果は同じであった。何度もトライ&エラーを繰り替えす程に焦りばかりが募らせていく

 

「……もう一度あの映像を見るしかない。何か突破口に気が付けるかもしれないし……」

 

そう思った祐誠は目を閉じ精神統一を行い始めた。深く深呼吸しながら意識を集中させた後、再び過去のブレイブビーストマシンテスト風景を見る事にした。今のXVGS自体に大きな疑心暗鬼を抱きながら映像をしっかりと見据えていた

 

「……そうか……分かったぞ!僕はこんな簡単な事も気付かなかったのか……!」

 

何かに気付いた祐誠はある決意をした瞬間に実弾訓練を行った。自由に空を舞いながら荒々しく、繊細な操縦技術、マシンとの信頼関係を築き上げるためにはこれが重要だと気付いたからである

 

「ようやく気付いたとしても浮かれてる場合ではない…今は一刻を争うんだからな……」

 

そう思った祐誠は実行してみると、次第に慣れてきたのか段々と制御が出来るようになり機体とのシンクロ率も高くなっていく中ついに実射を行う事になる。しかし結果は見事に失敗してしまうがこの程度で諦める訳にもいかず再度挑むのであった

 

「僕達は今まで何故気付かなかったんだろう…ブレイブマシンもビーストマシンも人類の英知の一つである事を……ごめんよ、君の本当の使い方を忘れていて……」

 

祐誠はこの機体に秘めた想いを知り涙しながら謝罪すると同時に、自分達の理想と現実は相容れないほどかけ離れている事実をひしひし感じていく……それでも、どんな困難があっても人々を守り救えるように強くなるため、力任せに従わずビーストマシンに身を委ねるように操縦桿から手を離し空を飛ぶ中、マシン自体が意志を持った生命体であると実感しながら無言で操縦桿を再び握りしめた

 

(そうだ……ブレイブマシンは戦うだけの道具ではない…ビーストマシンと同じように意思を持った生命体なんだ…)

 

その時ブレイブビーストマシンが祐誠の意志を読み取ったかのように力強く翼を広げながら襲い来る標的ドローンの攻撃を悉くいなしていた。その姿を見た祐誠の心の中に歓喜が生まれ、自然と笑みを浮かべながら更に強く握りしめると呼応するように機体は更なる速さで飛び回り的確に狙いを定めていった。そして、最後に放たれたソニックガンが直撃するとそのまま爆発四散していく

 

(僕達XVGSは今までとは違う何かを成さなければならない……それはきっと……)

 

祐誠は心の中ではそう思いながら隼型ビーストマシンと心を通わせていく。標的ドローンの攻撃を回避しながら撃墜していくのは今までとは比較にならないほど凄まじいものだった。まるで隼型ビーストマシンと一体化したかのような動きである。その光景を陰ながら様子を見ていたメカニックチーフは……

 

「どうやらやっと気づいたようだね……随分と時間が掛かり過ぎたけど、他の連中もそうに違いないね……」

 

そう言ったメカニックチーフはガシガシ髪をかきながら、時間ギリギリで意思疎通を成し遂げる事に成功したそうだなという顔をしていた

 

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時同じくして、別の訓練場ではヒュウガは狼型ブレイブビーストマシンで祐誠と同じく悪戦苦闘と思える訓練を何度も失敗していた。そんな彼をメカニック達が冷ややかな目で見ていた。彼らはデサストロイアの人々の当たり前の未来を奪い露頭に迷わせた原因であるヒュウガに不信感を抱いていたのだ。何故、あいつは自分の意見を言うだけでなく他人の意見すら聞く事もしないのだろう?と言う考えから来るものである

 

「そりゃあ当然の報いだよな…自分勝手過ぎた結果がこうなったんだからさ……」

 

そう思ったヒュウガは自分達XVGSが今では守るべき人々の平穏な日常を奪ってしまうような愚連隊に落ちぶれてしまった事や難民キャンプに攻撃しようとした自身の暴走だって、そういった良識ある大人がいれば起きなかった可能性があった事を後悔していた

 

「俺達は何のために戦っているんだろうな……?」

 

そう思いながらもヒュウガは訓練を再開するがやはり上手くいかない。祐誠よりはマシだが、何度も何度も失敗ばかり繰り返している

 

「……クソッ……!どうしてだ!?」

 

苛立ちを隠せない様子のヒュウガだったが、その様子を見たメカニックの一人は「あの野郎、いい加減にしろよ!」と思いながら舌打ちする 祐誠達にはブレイブビーストマシンを操縦するのに必要不可欠なものが欠けていた。それは即ち、マシンと心を通じ合わせる事が重要であり、それが出来なければいくら技術があっても意味がない

 

「……マシンと心を通じ合わせろ……か……!」

 

そう思ったヒュウガは心の中でマシンと対話しながら操縦桿を握りしめると、徐々にではあるが制御出来るようになり、遂には標的ドローンの攻撃を悉く回避し撃ち落としていく

 

「そうか……そういうことだったのか……」

 

ヒュウガは自分が間違っていた事にようやく気付いた。そして、祐誠も同じように過ちを犯した事に……心の底から祐誠達に対して申し訳なく思うと同時に、今までの行いを改めると共に己の非を認めて謝罪する事を決意したヒュウガは狼型ブレイブビーストマシンと心を通わせる事が出来るようになり、標的ドローンの攻撃を悉く回避し撃墜していった

 

「…………」

 

ヒュウガは狼型ブレイブビーストマシンと対話しながら凄まじい動きを見て愕然とするしかなかった

 

(俺は……自分の間違いにやっと気づいた……すまなかった……許してくれ……!)

 

そう思ったヒュウガは今までの言動を恥じ、心から謝罪した。すると狼型ビーストマシンはヒュウガの意志を感じ取ったかのように標的ドローンの攻撃を華麗にかわしながら次々と撃破していく

 

(俺たちに必要なのは自分本位の薄っぺらい正義なんかじゃない…本当に大切なのは、人々の命と笑顔を守る為に戦い抜くブレイブマシンとそのパイロットである俺達の熱い魂だ……!)

 

ヒュウガは今までの自分の過ちを認めつつ、改めて心に誓うのであった。それから訓練を重ねていき、狼型ブレイブビーストマシンと心を通わせながら標的ドローンを悉く撃墜した

 

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更に時同じくして、別の訓練場でリョウマも悪戦苦闘の末に焦燥を抱いていた。しかし、彼もまた祐誠やヒュウガと同じように自身が選んだ虎型ブレイブビーストマシンと意志疎通が出来ないでいる。そんな彼の様子を見たメカニック達が嘲笑う

 

「やっぱりあいつらはダメだったみたいだな。期待外れもいいところだぜ」

 

「ああ。あいつらがこの先、生き残れるかどうか見物だよな。まぁ、無理だろうけど」

 

メカニック達はリョウマに聞こえないように小声で話していた。リョウマは彼らに対し不快感を露わにする。「自分達の事を散々馬鹿にしておいて、いざ自分達が窮地に立たされたら掌返しして、都合が悪くなったら批判するだけして知らんぷりってどういう事なんだよ!?」と、苛立ちを募らせながら虎型ブレイブビーストマシンと意志疎通を図る

 

「……っ!!」

 

虎型ブレイブビーストマシンとの意識の共有化は出来たが、今まで以上に制御が難しくなっていた。思うようにコントロール出来ずに苦戦していた

 

「クソッ……!」

 

リョウマは悪態をつきながらも訓練を再開し続け、次第に制御出来るようになっていき、標的ドローンを次々と撃破していく。その光景を見たメカニック達は唖然となる

 

「あいつ、まさか!?」

 

「嘘だろ?あんな奴が……!?」

 

リョウマが見せたブレイブビーストマシンとの意思疎通の精度の高さにメカニック達は驚きを隠しきれずにいた リョウマは過去の映像を見て自分の間違いに気づく事が出来た。それは即ち、祐誠やヒュウガも自分の過ちに気づいた事を意味している。だからこそ、今までの自分の間違いに気付き反省しつつ、これからは自分が守りたいと思うものの為に戦う事を誓い、祐同じ過ちを繰り返さない事を胸に誓った

 

(そうだ……ただ命令するだけじゃダメなんだ。ちゃんと向き合って理解しないといけないんだ……!)

 

リョウマはそう思いながら訓練を続け、襲い来る標的ドローンの群れを悉く撃破していき、やがて訓練が終わる頃には全ての標的ドローンを撃墜し終えた

 

//////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////

 

時同じくして総司は祐誠とヒュウガ、リョウマといった仲間たちが必死に頑張っている事を確信してイーグル型ブレイブビーストマシンの訓練を行っているが一度も成功せず何度もトライ&エラーを繰り替えすが上手くいかないでいた

 

(僕は一体どうすればいいんだ……?)

 

心の中でそう呟きながら焦燥を抱いていく。だが、どんな状況でも諦めず、常に最善手を考えて行動する事、仲間を信じる事、そして何より自分の弱さを受け入れて受け入れる強さを持つ事が大事だと改めて思うのであった。自分達には何かが足りない……それを自覚しながらも、それが何なのかわからない時に先程映像を流したブレイブビーストマシンのテスト風景を見る事になった

 

「……?」

 

過去に行われたテスト風景を見ていく内に何故ブレイブビーストマシンが意志を持ち、パイロットの想いに応えるのかを理解した。それこそがパイロットとして必要なものだと悟った

 

「これが……ブレイブビーストマシンが求めていたもの……」

 

そう思った総司は訓練を再開する。今まで以上の集中力を持って、ブレイブビーストマシンと意思疎通する事で感覚を研ぎ澄ませていった。そして、ようやく標的ドローンの攻撃を華麗に回避しながら次々に破壊していった

 

「よし……!これなら……!」

 

総司は今までに無い手応えを感じていた。標的ドローンを次々と撃破していく中、遂には訓練が終わりを迎える事になる。その頃、別の訓練場でコウタはティラノサウルス型と意志疎通を図る事が出来ないまま苦戦していた

 

「クッソ……!こんなところで……!」

 

苛立ちを募らせるコウタは自分が今まで間違っていた事に気付いた。それはブレイブビーストマシンはパイロットの意志に応えてくれる事である。その事を知った彼は訓練をやり直し、徐々にではあるが確実に意思疎通が取れるようになっていき、遂に標的ドローンを撃破に成功した

 

「やった……!」

 

コウタは思わず笑みを浮かべた。これでようやくスタートラインに立つ事が出来たと思ったからだ

 

「俺もまだまだだな……だけど、ここからやり直せばいいだけだ」

 

そう呟いて、気持ちを切り替えたコウタだった

 

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各訓練場で選んだビーストマシンに手を焼いていた仲間たちも、過去のテスト風景の映像を見ていた事でようやく理解し、己の過ちに気付く事ができた

 

(考えてみれば今までの私達は間違っていた…その過ちを認めて正さなければならない。何故なら私達は……弱い人間だからあなた達に頼るしかないけど、必ず守ってみせる)

 

香澄は過去に行われたブレイブビーストマシンの操縦試験の映像を見て自分が犯していた過ちに気付き、それを改めようと心に誓う事でマシンの手綱を強く握りしめながら、決意を固めるのであった

 

(これからの私達に綺麗事は必要ない……大切なものを護りたいのであれば、自分の力で勝ち取っていく必要がある。だからこそ、私は自分の弱さと向き合うわ)

 

蘭穂は自分の弱さを受け止め、自分の非を認める事で前に進もうとするべくマシンと心を通わせようとする。そして自分の弱さに屈しない事を決意し、自分の過ちに気づく事が出来た

 

(私達はあの時の惨劇を忘れる訳には行かない…!二度とあんな悲劇を繰り返さない為にも、私達がやるべきことは一つよ……!)

 

結那は過去のトラウマから目を背ける事無く自分と向き合って本当の意味で強くなる事を決意する

 

(今までの私達は自分本位の正義を信じたせいで相手を理解せず逃げていた…でもそれは間違い。自分の弱さから逃げる事なんて出来ないし、してはならない事……だからこそ私は自分の弱さを受け入れる)

 

彩璃の方は自分達がしてきた過ちを改めて認め、これからどうすべきかを真剣に考えるようになる。そして、自分の弱さを受け入れながら前に進む

 

(今までの私達はただ単に自分たちの価値観を押し付けて、相手を理解する事をしなかった……そんな事をしていてはいつか取り返しのつかない事態を招いてしまうかもしれません。だから僕はこの機会にもう一度、人と人が分かり合える事を信じたいと思います。だってそれが人の可能性なんですから……!)

 

カナエデは自分の弱さを受け入れて、自分の過ちを反省して、それでもなお自分の弱さに立ち向かい乗り越える

 

(今思えばヒュウガが余計な事をしてしまったのは良くなかったけどそれを止めようとしなかった私達も同罪だったわ。だからこそ私は彼を止めなければならない。そして彼が間違った道に進むのならば、彼と共に罪を償うわ)

 

ルイジアはヒュウガが暴走したのを自分達が止めようとしなかった事も問題であったと認識し、彼を止められなかったという罪で共に罰を受ける覚悟を決める

 

(私達は今まで他人を見捨ててきた……それは決して許される事じゃない。だからこそ、今度は他人の苦しみを理解して、手を差し伸べられるようになるわ。そうすればきっと、誰も悲しまなくて済むはずだから)

 

レオナは今まで自分の都合だけで他者に救いの手を伸ばす事はなく、自分の理想だけ押し付けてきた。その事に罪を感じ、これからは誰かに手を差し伸べる事の出来る人間になろうと考えた

 

(今まで間違っていた私達だけど、それは今ここで改める事が出来る……!だからこそ、私達は間違いや過ちを認めて皆を護ってみせる!)

 

ハルカは、今まで自分の価値観を他人に押し付けるばかりで、相手の事情を考える事もせずに一方的に責め立てていた。その事に罪を感じていた彼女はこれからは人の痛みを知り、その上でどうすべきなのかを考えていく

 

(人は弱い生き物ですが、その弱い心があるからこそ、お互いを思いやる優しさを持つ事ができると思います……だからこそ、私はその優しい心を信じます……!)

 

カレンは、今まで自分の考えが正しいと思い込み、他人を蔑ろにして、周りにその意見を強要する行動をしていた自分を恥じた。その事に罪の意識を覚え、自分の弱さと向き合い、これからは周りの人間の意見にも耳を傾けて理解するようになる

 

(今までの私達は自分の思い通りにならない事があるとすぐに苛立って当たり散らしていました……ですがそれは間違っています。それではただの八つ当たりに過ぎません。だからこそ私達は自分の弱さに気付いて、それを克服していかなければなりません)

 

ミリヤは自分の気持ちのままに他人に当たり散らしていた事を悔み、これからは自分の非を認める事の大切さを学ぼうと考えた

 

そんなこんなで祐誠達は時間内ギリギリでブレイブビーストマシンを意思疎通で操縦出来るようになった

 

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サンジェルマンファウンデーション

 

同最深部”アルケミスターズ”…デザストロイアに潜むオレイワルドスらの拠点制圧作戦に向け様々な物資、機材、弾薬等のリストが各部署責任統括者、諜報部門からのリアルタイム通信がホロスフィアに浮かぶ円卓にアレスは座る…目だけを動かしながら指先は軽やかに動かし指示を送る中、通信が開かれた、老齢の白い繋姿のサングラスをかけた女性。ブレイブビーストマシン主任整備班長だ

 

「…………仕上がったのか」

 

『ああ、ま、赤点ギリギリだね……使えるよ……あんたの先手ぐらいには。ま、ケツについた殻がとれたぐらいさね』

 

「………主任、本日14:08を持ち甘熟訓練完了とする。本日21:30まで休息」

 

『もったいないねあのガキ共に休みなんてよ。……聞いたな野郎ども!二交代制でブレイブビーストマシンのメンテを仕上げな!!』

 

『『『『『おう!』』』』

 

帽子を被り直した整備主任の言葉に応える整備班の声を最期に通信は切れた…再び精査を再開するアレスの顔が僅かに笑っていたのは誰も知らない

 

「………」

 

何に対しての笑みかは本人にしかわからないのだから

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