エクシヴァルワールド ヒーローズ   作:銀祐

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収束/ᚲᛟᚾᛏᛟᚱᛢᚢᛖᚾᛋ

「まさか祐誠と総司、アレスさんが向かった所がデザストロイアにおけるオレイワルドスの拠点だったとはな…」

 

「俺たちはアフリカユニオンの偽拠点で敵の罠にはまってしまった。後の事はよくわからないけど…そっちはどうだった?」

 

「オセアニアにいた私達もそうでしたが、そのお陰でこちらの被害は軽微で済んで良かったですよ……」

 

「SAUにいた私達もそうですが、こちらも被害を最小限に抑えられたと思います」

 

リョウマとコウタ、カレンとミリヤはそれぞれの偽装拠点における生体兵器の群れに対してビーストモードで切り抜けたみたいだ…目の下にクマが目立つ

 

「黒幕であるアイブラムにカオルド、コジロウの言うオレイワルドスの信教組織である魔堕無天狼が一体何なのか気になるな…」

 

「それに二人が倒れた原因が何なのかも分からないわ…」

 

ヒュウガとルイジアはデザストロイアにおけるオレイワルドスにして魔堕無天狼の3幹部が何者なのか、その戦闘後に祐誠と総司が疲労困憊で意識を失い、倒れた原因が何なのか気になっていた

 

「私達の知らない間でそんな事があったなんて…!」

 

「もしかしてビーストマシンに秘密でもあるんじゃないかな?」

 

「お気持ちは分かりますがビーストマシンの事はあまり深入りしない方がいいと思いますわ」

 

祐誠と総司を心配する蘭穂と彩璃だが、カナエデは二人にブレイブビーストマシンの秘められた機能を深入りしてはいけないとそう感じたのだ

 

「あの拠点が罠だと気付かなかったら今頃どうなっていたのか想像もしたくないけど、ビーストマシン自体に私達の知らない何かがあるとしか思えないわね…」

 

「それに魔堕無天狼というオレイワルドスの信教組織についても謎だらけだわ…それにあの二人は何故か祐誠と総司の心配をしてるけど……」

 

レオナがそう言った後、ハルカは香澄と結那の様子を見ていた

 

「祐誠くん…大丈夫かな…?」

 

「総司……」

 

香澄と結那はアーブラウの拠点で激戦を繰り広げていた祐誠と総司が医療機関に運び込まれた事から不安を感じていた。二人は大丈夫なのか、無事なのかと……

 

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サンジェルマンファウンデーション 医療機関

 

「……ここは?」

 

「僕達は何を…?」

 

気が付いた祐誠と総司が目を覚ました。そして二人の目の前に医療部門責任者アスクレピオスが座っていた

 

「目が覚めたか…なら問診する」

 

タブレットを操作しながら二人に目を向けた

 

「ふむ…肉体的疲労は無い…健康体だな…ならさっさと出ていけ。ココは病人だけの場所だ」

 

「何を…!?」

 

「僕らはここにいるべきじゃ……」

 

「邪魔だ……」

 

総司と祐誠は興味すら無くしたようなアスクレピオスの冷たい視線を見て何も言えなくなった後、ベッドから降りてそのまま部屋を出て、仲間たちの所へと向かった

 

同時刻、グランストライア王城“執務議場”

 

王族派のトップであるフリーデル・バスラー、将軍派のトップである徳澤重信、首相派のトップであるダイムザント、この三人が集う事でデザストロイアにいるサンジェルマンファウンデーションのCEO、アレスとのライブ配信による会談を始める

 

「ヴィンゴールフにでの異端審問の件で我々XVGSがオレイワルドスと同じようなモノである事を今まで気付かずに申し訳ございません。それに祐誠達が紆余曲折の末、デザストロイアにおけるオレイワルドスの拠点制圧を成し遂げてくれたお陰で、本題に入ります。我々XVGSとデザストロイアの同盟を結ぶ事です」

 

まず重信が今まで自分達XVGSが綺麗事ばかり並べたせいで曲解して捉えられてきた事への謝罪をする

 

「確かに我々は貴殿らの言うように自分たちの理想を押し付けているだけかもしれない……ですがその事を気付いてくれたのであれば私達を貴方の言い分を聞くべきかもしれませんな……それ故に私達も貴方達もお互いの主義主張をぶつけ合うしかないでしょう。それが私達にとって必要な事です。その上で我々は手を取り合いたいのです」

 

続いてフリーデルがXVGSのこれまでの行いについて認める発言をした。XVGSとデザストロイアの民にとって当たり前の日常を奪ってしまった償いの為にも、同盟の必要性を訴える

 

「しかし娘が何も知らずにそんな事があったなんて信じられんな……」

 

「それは私も同じだ。まさかレガシードルに向かった我が娘もこのような事になるなんて……」

 

「デザストロイアで息子が何も知らずに暴走し、難民キャンプに手を上げてしまって本当にすまなかった……」

 

ジョアンエンタープライズ、エインフェリス・インダストリー、ミソロエンタープライズの社長3人は自分の子供が大変な目に遭っている事で心を傷めていた。しかしダイムザントだけは何故か平然としており、まるで他人事のような振る舞いを見せていた

 

「何を言っている?彼等は正義のために色々と頑張ったのではないか、その彼等をオレイワルドスと同じモノ扱いするのは仕方がない事だろう?それに私の理想に共感してくれたのだから」

 

「お前……、本気で言ってるのか?」

 

重信はダイムザントの言葉に対して静かな怒りを露わにするが、当の本人は全く気にせず、むしろ逆に自分が間違っていないと自信満々な態度であった

 

「それがどうした?私は事実を言っただけだよ、XVGSが我々のために戦ってくれたのは間違いないし、そのお陰で我々の生活は豊かになったのだ。それを否定する事は許されない。もし否定するというのなら我々とて黙ってはいないぞ」

 

「何を言っている?この間のクロウメサイアを名乗る者達がエリュシオン基地に襲撃も、そして難民キャンプでの惨劇なども、まだ若い彼等に上辺だけの綺麗事を吹き込んで自分の都合の良いように利用していたのだろう?」

 

「その綺麗事によって彼等がどれだけ苦しんだか分かってるのか?確かに彼等は若さゆえの過ちを犯した。だがそれでも彼等には未来がある。それを摘み取る権利が誰にあると言うのだ!?」

 

ダイムザントの言い分に対し、フリーデルと重信は静かに睨みながら抗議の声を上げる。この男は何を言っているんだと思う位、自分達の都合の良い解釈をしている以上、もはや話し合いなど成立しない

 

「ならば問おう、XVGSが今までやってきた事、そしてこれからもやるであろう事を君達は許せるか?私なら許せるだろう。なぜなら、私こそが正しく、私が決めた事が全てなのだから」

 

ダイムザントは上辺だけの綺麗事ばかり夢想しているせいか自分たちは正しい、何をしても悪くない、勝てば正義、負ければ悪、逆らえば断じて連座まったなし。良識ある人間の声を聞かない所や自分に怒りや憎しみと言った負の感情の吐け口を向ける輩は悪、失望も絶望も例外ではないという事を肯定するような発言をした。それに対し重信とフリーデルは呆れたような顔を浮かべていた

 

「…………もういい、お前と話しても無駄だと分かった。そもそもお前たち首相派が綺麗事ばかり並べているだけで実際は何もしようとしないからこうやって話し合っているんだろう」

 

「何を言う、私は君の為を思って話してやっているんだ。そんな事も分からないとは」

 

「ふざけるな!そなたは自分にとって不都合な人間を排除するためにオレイワルドスと共謀しているのだろう!?」

 

重信とフリーデルは、ダイムザントのやり方がオレイワルドスと共謀していると糾弾する。するとダイムザントは不愉快そうな表情になり、眉間にしわを寄せながら二人に反論する

 

「ふんっ、君達は何か勘違いしていないかね?私はただ、グランストライアの平和と秩序を守るべく行動しているだけだ。その結果、君達が不幸になろうともね」

 

「その行動の結果が、デザストロイアでの難民や犠牲者が出ているんだぞ!それがお前達の正義なのか!」

 

「そうだ、お前は自分が間違っていると思わないのか?なぜ、お前のような人間が上層部に居座れるんだ?」

 

ダイムザントの言動はグランストライアの平和と秩序を守るためだと開き直った発言に、重信とフリーデルは疑問を投げかけるように抗議する

 

「私は常に正義のために行動してきた、だからこそグランストライアの平和と秩序を守ってきたのだ。それなのに君達は私の行動を否定し、非難するのか?嘆かわしいことだ、これだから将軍派と王族派は間違っているのだよ。デザストロイアと同盟を結ぶのなら君達が勝手にやってくれたまえ、私は一切関知しない」

 

そう言い残してダイムザントは席を立とうとした

 

『…まて』

 

冷ややかに立ち去ることを許さない。その思惟が込められた声がダイムザントを縛る…振り返ると今まで沈黙を続けていたサンジェルマンファウンデーションCEO“アレス・ルセディス”の赤金に輝く瞳を向けていたからだ

 

「さっきからずっと黙っていたようだが、何か言いたそうな気がするな…」

 

そう言い出したダイムザントに対するアレスの返答は…

 

『…くだらん……無能の集まりだな』

 

アレスの放った言葉がこの場にいた全員の耳に突き刺さった。それを聞いたダイムザントは激高して反論する

 

「貴様、我々を愚弄するか!私をこんな連中と一緒にするな!!」

 

しかし将軍派、王族派、ジョアンエンタープライズ、エインフェリス・インダストリー、ミソロエンタープライズはそう言われても仕方がないと言わんばかりの表情を浮かべる。違っているのは言うまでもなく首相派だった。そんな首相派に対して重信とフリーデル、そして社長3人はそのトップであるダイムザントに対して抗議する

 

「何を言っている!?私たちは首相派の連中が何か良からぬ事を企んでいるからそれを阻止するためにここにいるのだ!」

 

「その通りだ!我々王族派は将軍派は今回の件で我々は考えを改めなければならないからだ!綺麗事ばかり並べるのではなく、現実を見据えた上で共に歩むべきなのだと!」

 

「彼等は若さゆえに過ちを犯してもまだまだこれからという時期です。それを正してやるのが大人の役割であり、責任でもあるはずですよ!?」

 

「確かに我々は無能な愚か者かもしれない。だが間違いを正し、より良い未来を作る為に、全力を尽くすべきではないのか?」

 

「だからこそ、我々は我々は首相派の良い様にするつもりはないのだ!!」

 

将軍派と王族派、そしてジョアンエンタープライズ、エインフェリス・インダストリー、ミソロエンタープライズは首相派に対し言い争っていく中、アレスは深くため息をついた

 

『……その結果はどうだ?デザストロイアは平和になったか?いや…混乱を招いただけだ…』

 

「その結果を招いたのが私達とでも言うのか!?」

 

『そうだ……XVGSを結成したのまではいい…だが身内だけで編成した将軍、それを承認した首相の無知さ…笑わせてくれる』

 

冷ややかな声…言葉に切り裂かれたように身震いする面々に臆することなくアレスは声を紡いで行く

 

『なによりXVGSに軍隊経験の無い企業令嬢、幼馴染をねじ込み入れるあたり、名を売り業績好調を狙っていたのではないか?まともな親ならば娘を死地に送るなどできるはずもない、違うか?…だとしたらお前たちは親では無い、人でなしのクズだ!!』

 

冷徹に切り捨てるアレスに社長3人は声を失う…

 

『XVGSの指揮系統はギンユウを始めとした身内ばかりで固めている……コレはもはや私兵と変わらない……若さ故の過ちだからと許される?……難民キャンプでのあの兄弟の短慮な行動が許されていいと感じてるのだな?』

 

「そ、それは……確かに彼らは若かったかもしれませんが、その事を知らなかった私たちにも非があります。こうなってしまったのも全て将軍である私の考えが余りにも浅はかで中身のないものばかりでした…貴方の言う通り私兵に他なりません…それにリョウマやヒュウガが許されない事をしでかしたのは明白です…」

 

『ソレがあの結果を招いた…君たちが言う若さ故の過ちでだ……リョウマ、ヒョウガ両名及び取り巻きらは碌な情報精査を行わずテロの巣窟と決めつけ攻撃に加担した。失われずにすんだ命を彼らは奪った……グランストライア、いや君たちはデザストロイアの民たちの未来を閉ざし奪った、違うか!』

 

「貴方様の言う事は紛れもない事実ですが過ちを犯してしまったのは彼らだけではありません。私たちは上層部でありながら彼らの暴走を止めることが出来なかった、いえ、止めようとしなかった、止める事が出来なかったのです。責任は全て私たちにあります……」

 

「貴方様の言う事は紛れもない事実ですが過ちを犯してしまったのは彼らだけではありません。私たちは上層部でありながら彼らの暴走を止めることが出来なかった、いえ、止めようとしなかった、止める事が出来なかったのです。責任は全て私たちにあります……」

 

『………ならば責任をとってもらおうか……デザストロイアから君たちが奪った未来の対価を』

 

国王、首相、将軍、社長らに圧縮されたデータが開示され、目を通しわなわなと震えダイムザントが声を荒らげた

 

「貴様!コレを我々にやれと!?」

 

圧縮されたデータ…デザストロイアに対する損害賠償…その額がグランストライアの経済を百年傾けるほどのものだった。デザストロイアからの製品に関税券無し、逆にグランストライアの製品に対して度を越した税をかけつつ法すらも干渉を許さないものだったのだ

 

「ふざけるな!我々にこんな事をしてただで済むと思っているのか!?」

 

ダイムザントは苦虫を噛み潰したように歯軋りし、舌打ちをする…フリーデルは重信の言葉に小さくため息をつき顔を見合わせ口を開いた

 

「我々グランストライアの将軍派と王族派、そしてジョアンエンタープライズ、エインフェリス・インダストリー、ミソロエンタープライズを始めとした一同はデザストロイアの人々から未来を奪った責任を取り、賠償を行います」

 

『……オレの提示した案すべてを受け入れる。そう判断するが?』

 

「我々はその提案を受け入れましょう。ここで私たちが引けばこの国の経済は立ち行かなくなるでしょう……それでは私たちが今までやってきたことが全て無駄になってしまう……私たちにはもうこれしか道がないんです」

 

「「「私達も受け入れます」」」

 

フリーデル、重信はアレスから提示されたデザストロイアへの損害賠償請求及び受け入れたことで王族派、将軍派の面々は受け入れるしかなかった。勿論社長3人も同じ意見である。こうして賠償金の交渉は成立した。だがそれは同時にXVGSメンバーは裕福な暮らしを手放すことを意味していた

 

(女を裸オーバーオールに着せ替えして喜ぶ下半身青トカゲブリキンガー、チーズ臭い青鼠、金にがめついクソ警官のいる世界“WF”、”CF“、血税を搾取するだけのクズどもがいない分マシか………さて、コレの意味をどう捉えどう動くか?様子見だな)

 

アレスがグランストライアに提示し飲ませたデザストロイアにおける戦争責任賠償…ジョアンエンタープライズ、エインフェリス・インダストリー、ミソロエンタープライズは責任者の資産すべてを凍結、サンジェルマンファウンデーション傘下に加える。これが“撒き餌”であると知るものはいるだろうか?

 

/////////////

 

数分後 ダイムザント首相執務室

 

「あの忌々しい将軍派と王族派め…!!一体誰のおかげでここまでやったと思っているんだ!?そもそも国王夫妻亡き今では私がこの国の上層部を統べるべき存在なのだぞ……なのに何故私の意見に賛同せずあの得体の知れない輩を信用するのだ!!私はXVGSを正義の味方として君臨しなければならないのに!!一体何のためにオレイワルドスと共謀してまで私の望んだ英雄譚を実現させようとしたというのだ!!」

 

フリーデルと重信の交渉成立により多額の賠償金の支払いとサンジェルマンファウンデーションの傘下入りを受け入れたとなった事からダイムザントは荒れに荒れまくっていた。そんなダイムザントに側近の1人であるザイアローン・ジブリアントが宥めるように語りかける

 

「落ち着けダイム、あのような奴等は元々目の上のタンコブだったからな。それにこの事がもしグランストライア中の人々、特に庶民に知られでもしたらお前の政治生命は終わりだ。そうなりたくなければ大人しく従うしかないだろう」

 

「分かっておるわ!そのために我々首相派はその時の保険として直属部隊にして親衛隊を作ったのだ!!あのサンジェルマンという得体の知れない奴等との賛同は将軍派と王族派だけで勝手にやればいい。しかし我々は違う、何故なら我々はこのグランストライアを思うがまま動かす事ができるからだ!!」

 

「それでオレイワルドスに与してまであの惨劇を引き起こしたという事か。全てはお前がこの国のトップとして君臨したいと言うのも無理もないがその惨劇を引き起こしたのは辺境伯ディードなのだろう?」

 

「そうだ、今では私にとって一時的な同志であったが利用価値が無くなった以上レガシードルでの戦いで終わりを迎えなければならないのだからな。それに我々首相派にはムゲンザークや四天女神という更に向こうのトップがいる。XVGSが将軍派と王族派によって私の野望は御破算した以上そのための保険として国中の有力な人材を集めておいたからな…」

 

自分達首相派が裏でオレイワルドスと糸を引いていた事を世間に知らされたら大変な事になるとザイアローンは言うが、ダイムザントは余裕の笑みを浮かべる。それはXVGSとは別のベクトルとなる直属の新鋭部隊を用意しておいたのだった。更にオレイワルドスや辺境伯ディードと与していたのも全ては自身がグランストライアを思うがままに動かそうとするためだったのだ。王族派と将軍派がサンジェルマンファウンデーションの傘下に入った事で首相派は自らの手でグランストライアを掌握しようと準備を進めていた。破滅の道を歩み始めていたことを知ることなく…

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