エクシヴァルワールド ヒーローズ   作:銀祐

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第一部完結編
ブレイブマシン散る


【グランストレーガー 艦橋】

ユウキ、ティアナ、ヒマリの3人はギンユウやタスク達にマルスとマリエラの事を話す事にした。しかし何故自分達に相談しなかったのか怒られてしまうのは他でもなく、ユウキ達の勝手な行動が原因だった

 

「レガシードルからの密航者がユウキ達の知り合いという事は聞いての通りだけど何故この事を黙っていた!?僕達に隠し事は許されないぞ!!」

 

「申し訳ございません……」

 

タスクに叱られたユウキは素直に謝った、その横ではティアナとヒマリも同じ気持ちである。いくら内密にしていたとはいえ、タスク達の目は誤魔化せなかったようだ。ユウキ達を責める者は誰一人いなかった。するとギンユウがマルスとマリエラに対してある事を問いかける

 

「レガシードルでの戦いでダイユーシャが大破されていたのは聞いていたけど、君達が密航していたのは言うまでもなくまだレガシードルに不穏な動きがあるとでも言うんじゃないのか?」

 

「簡単にいうと……その」

 

「暗殺されそうになったの。ま、返り討ちにしたけどしっこくてしっこくて…うんざりしたってとこ?」

 

「成程…ディードを倒しても全て終わりでもないと言うのは事実らしいな」

 

マルスとマリエラの言ってたに対して返答するリュウジ。どうやらディードを倒してもレガシードルに更なる問題が待ち受けている可能性がある事、そして二人の情報によれば監視映像から映し出された機神の方はレジスタンス側にもない失われた機神、虎型機神獣はレジスタンスに参加する予定で3年前に召喚武具を受け継いでた一族はディードに殺された

 

「つまりレガシードルの機神や虎の機神獣がクロウメサイア側にいる事ね…厄介な事になってきたわ」

 

「とりあえずグランセイロスに戻ってこの事を将軍様たちに話しましょう」

 

スミアとナズサはグランセイロスへ帰還する事を提案するが……

 

「その事なんだけど、そう簡単には行かせないつもりよ」

 

コーリンは前方に敵機を確認していた。どうやらクロウメサイア軍である

 

「こんな時に限って奴等か…!ダイユーシャを除いた4機のブレイブマシンは動けるか?」

 

「勿論よ!応急処置で修理したからいつでも発進出来るわ!!」

 

「ユウキ達を除いたブレイブマシンパイロットは出撃準備急いで!!」

 

タスクとスイコ、そしてレッカが言った後、ユウキ達を除いたブレイブマシンパイロット達は格納庫へと向かった。レガシードルでの戦いの後、応急処置で修復したダイカイザー、フラガルシオン、ブラスティオン、ノブナガラティンの4体に乗り込んだパイロット達は出撃前の掛け合いをする事になる

 

「応急処置とはいえ、修理は完了しても万全とは言えないから無理はしない方が良いわ」

 

「ユウキ君達がいない分私達で何とかしましょう…」

 

「わかってる、これ以上あいつらに好き勝手させないからな!!」

 

まずはフラガルシオンに搭乗したサツキとシズノ、そしてモロハの3人が出撃する

 

「グランストライアに戻ったらまさかこんな事になるとは思いもしなかったぜ…」

 

「こうなる事を予想しておいた以上、迎え撃つしかないわ!」

 

「そういう事だ!いつまでもあいつ等の好きにさせないぞ!!」

 

続いてブラスティオンに搭乗したアリサとコトナ、トウマの3人が出撃する

 

「レガシードルから帰還したらこんな事になるなんて思いもしなかったよ…」

 

「それでもやるしかないのよ!私たち泣き言なんて無用なんだから!」

 

「そうだな、俺達の実力見せつけてやろうじゃないか!!」

 

ダイカイザーに搭乗したマシロとチサキ、タクヤもまた出撃する

 

「クロウメサイアめ!俺たちのいない間に何してくれたんだよ!?徹底的に叩きのめしてやるぜ!!」

 

「落ち着けナガラ。気持ちは分かるが感情的になるな」

 

「そうですよ、冷静にならなければ勝てるものも勝てなくなります」

 

「あ、ああ……悪い……では気を取り直していくぜ!!」

 

最後はノブナガラティンに搭乗したナガラとリシア、ルキナが出撃する。一方グランストレーガーの艦橋にいるユウキ、ティアナ、ヒマリの3人はモロハ達を見守る事になった

 

「僕達はただ見てるだけしかないのか…?」

 

「私たちだけ何も出来ないなんて嫌ですよ…」

 

「それは仕方がないけど……今は我慢しましょう。モロハ君達ならきっと…」

 

「一体クロウメサイアは何を考えているんだろう…?」

 

歯痒い思いをするユウキとティアナに対してヒマリは仕方がないと伝えた後、モロハ達が何とかしてくれると信じていたが、ギンユウはクロウメサイアが何を考えているか気になっていた

 

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4体のブレイブマシンは迫るクロウメサイア軍の機動兵器であるアンゲリオスとフォルトーナの群れに立ち向かっていた。そしてブレイブマシンを操縦するパイロット達は敵の動きや機体性能を見て分析していた。まず最初に動いたのはフラガルシオンで、ベレストルカリバーを振りかざしながら突撃するが、その攻撃をアンゲリオスは軽々と回避した。しかしフラガルシオンの狙いは最初から攻撃ではなく、動きを誘うための陽動だった

 

「トウマ!!」

 

「わかってる!!」

 

トウマはモロハ言われ、ブラスティオンでベレストルカリバーを構えながら接近、そして横薙ぎに振い、更にフラガルシオンの追撃でアンゲリオスの群れを打ち倒していく。更にダイカイザーとノブナガラティンはオートクレールとマナブラストガンの切り替えでフォルトーナの群れを翻弄させていく

 

「一気に行くぜ!!」

 

「甘く見ると痛い目見るからな!!」

 

ダイカイザーのタクヤとノブナガラティンのナガラはそう言いながらアンゲリオスの群れを次々と撃破していった。アンゲリオスとフォルトーナは手強かったが、レガシードルでの戦いを経ている4体にとっては大した相手ではなかった

 

「…あまり大したことないと思っていたが、何かが足りない気がするのは何故だろうか…?」

 

「どうしたんですかモロハ……?」

 

手強そうな機動兵器の群れに対して違和感を感じるモロハを心配するシズノ、するとサツキがある事を気付く

 

「何かが来るわ!!それもとびっきり強そうな奴が!!」

 

サツキの言葉を聞いてモロハ達はクロウメサイア軍の増援が来ることを身構える事になった。そこへ現れたのはエルドラゴニスとアシュレギオンだった

 

「エルドラゴニスにアシュレギオン!?まさかキョウジュにタツマキの奴か!?」

 

「それは違うな、俺たちはキョウジュ様でもタツマキ様でもない」

 

「機体を見てそうだと思うなんて君達は本当に愚かだね」

 

「じゃあお前らは誰だっていうんだよ!!」

 

エルドラゴニスとアシュレギオンを見てキョウジュやタツマキが乗っていると思ったナガラだがそのパイロット二人は全くの別人だと言い放ち、タクヤが問い詰めるとその二人はあっさり答える

 

「俺の名はイオグニス・デファイスト!!」

 

「僕の名はテンリクウ・デファウスト!!」

 

「「俺(僕)達はクロウメサイアが誇る英雄兄弟の前に敵はない!!」」

 

アシュレギオンのパイロットであるイオグニスは兄、エルドラゴニスのパイロットであるテンリクウは弟、つまり彼等は双子兄弟である

 

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【オレイワルドス軍母艦ネスターエックス・ブリッジ】

 

「デファウスト兄弟に出撃命令を下したのか」

 

「ああ、あいつ等は俺たちの部下である以上彼等に雪辱を晴らす機会を与える必要があるからな」

 

「そういう事だ、このままXVGSに辛酸を舐めさせられ続けるわけにはいかないからな」

 

「それにグランストライア上層部の中には俺たちの協力者がいるとも知らずにまんまと信じ込ませたのは言うまでもないが…」

 

デファウスト兄弟に出撃命令を下した上官であるキョウジュとタツマキと会話するシャオラン。自分達がレガシードルでの戦いで敗北した事から雪辱を晴らすべくその部下であるデファウスト兄弟をXVGSへの復讐のために差し向けた事を言うキョウジュとタツマキの後、シャオランは自分達の協力者がグランストライア上層部にいる事を告げる

 

「その協力者の掌に踊らされ、信じ込まれたXVGSは上辺だけ綺麗事ばかりで現実から目を背けて自分にとって都合の良い未来しか考えていないのは言うまでもないわ。何故なら今までの戦いは全てオレイワルドスが仕組んだことも知らずにね…貴方達もそう思うでしょう?」

 

そう言ったサクラが目を向けていたのはレクスとフリュシュネーだった

 

『………』

 

壁に背を預け腕組するレクスは答えない。変わりにビールを飲み干したリューが気だるそうに答えた

 

「ん〜そうね…なんか壊れたラジオみたいね…XVGSって…前のときも慌てふためいてたし。おバカさんの集まりかしら?」

 

『…………………リュー』

 

「あ、待ってよレクス…ごめんね、この話はおしまい…なんか最近、同じ話題しかしてないわよ?…あ、も〜う。歩くの早すぎよレ〜ク〜ス〜♪」

 

『……ちっ…まとわりつくな…』

 

サクラの言葉に対して無関心な態度でいたレクスはそのまま立ち去り、リューは空になった缶を投げ捨ててから後に続く

 

「あら、意外と薄情者だったのね。まあいいけど……それよりもシャオラン、もしデファウスト兄弟が敗北でもしたらどうするのかしら?」

 

「その事については心配ない、奴等の戦力であるブレイブマシンさえ失えばいいだけだ。そうすれば奴等が乗り込む機動兵器はもう存在しないからな」

 

サクラの言ってた事に対し、シャオランはデファウスト兄弟が負けた時の事も考えていた。ブレイブマシンを失えばXVGSは無力に等しい、そうすれば勝ち目はない。だがそれでも奴等はまだ戦う意思を捨てず向かってくるだろう、その時こそこちらから動く時だと……

 

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それからフラガルシオンとノブナガラティンはアシュレギオン、ブラスティオンとダイカイザーはエルドラゴニスと戦っていた。初めは善戦していたが先程の軍勢に対してすっ飛ばしたのが祟ってしまい、苦戦を強いられてしまう

 

「最初から全力全開だからと言って思い上がったら後から困るのは知っての通りだろう?」

 

「それがどうした!?俺達はお前達みたいな奴等に屈しない!!」

 

イオグニスの問い掛けにモロハは答える。自分達はオレイワルドスに屈したりしないと言いながらフラガルシオンはベレストルカリバーで攻撃する。更にノブナガラティンの追撃も加わる

 

「くっ…!?」

 

「レガシードルでの経験で俺たちが一番どうかしてたぜ…綺麗事ばかりじゃ物事は解決できないんだからな!!」

 

ノブナガラティンのオートクレールによる斬撃でアシュレギオンにダメージを与えている。一方ブラスティオンはベレストルカリバーでエルドラゴニスのハイパードラグソードとの鍔迫り合いを繰り広げている

 

「ディード様に勝ったとはいえ、自分達が優位に立ったと勘違いしているようだね。そんなんだから君達とは住む世界の違う連中から奇異な目で見られて当然だよ!!」

 

「そうだとしても俺たちはそう言った連中に対して怒りをぶつける必要はない!!」

 

テンリクウの問いかけで動揺するどころかトウマは自分達の非を認めながら応戦し、距離を取っていく。そこへダイカイザーがレガシオンマグナムで攻撃する

 

「なっ…!?」

 

「俺達はヒーローという意味を履き違えていた……!ヒーローというのは自分の身を犠牲にしながら他人を救う存在だ!!だがそれでは真の平和なんて訪れない……!ただ単に強いだけじゃない……他人の痛みを分かってあげる事が出来るから本当の意味で人を助ける事が出来て……そしてその人が笑顔になれるからヒーローなんだ……!!」

 

タクヤは本当のヒーローの何たるかを理解した後、4機揃ってアシュレギオンとエルドラゴニスに武器を向ける

 

「迂闊だぞテン、あのような連中に後れを取るとは何事だ」

 

「そういう兄さんこそうかつだったんじゃないかな?」

 

「言われても仕方ない…奴等に俺達兄弟の力を見せつけてやろう」

 

「勿論そのつもりだよ。今度はこちらの番だ」

 

お互いのミスをカバーしながら語り合うデファウスト兄弟はこの後恐るべき反撃に出る

 

「まずはコレだ!!ソードブレイカー!!」

 

「続いてドラゴンファング!!」

 

イオグニスのアシュレギオンとテンリクウのエルドラゴニスが放つオールレンジ攻撃が4機のブレイブマシンに襲い掛かる

 

「うわああああああああ(きゃああああああああ)!!!」

 

「そしてガオーキャノン!!」

 

「ハイパードラグキャノン!!」

 

「あああああああっ!!!」

 

更に高出力のビーム砲で大ダメージを与える。これにより4機のブレイブマシンは人間で言う所の瀕死の重傷に近い状態に陥ってしまった

 

「くっ…!皆大丈夫か!?」

 

「俺たちは大丈夫だ…それに機体が……!!」

 

「やっぱり応急処置では無理があったと言うのか…!!」

 

「んなこと言ってる場合か!奴等の波状攻撃が来るぞ!!」

 

モロハとトウマ、タクヤとナガラは乗機がボロボロになりながらも立ち上がるが、アシュレギオンのハルバードランチャーとエルドラゴニスのメガブレスガンによる波状攻撃を行った

 

「さっきまでの威勢はどうした?お前達が言う真の平和って奴はそんな程度のものなのか!?」

 

「おめでたいにも程があるね!!」

 

イオグニスとテンリクウは4機を嘲笑いながら追い討ちをかける

 

「一体どうすればいいんだ!?このまま何もせず棒立ちのまま終わるなんて冗談じゃないぞ!!」

 

「機体が満身創痍だとしても何かできる方法があれば…」

 

「他に何があると言うんだ!?」

 

アリサとマシロ、リシアはこの状況を打破する為にはどうするか大いに悩んでいた。するとシズノがある事を言い出す

 

「方法ならあります……ブレイブマシンの特殊能力を使って奴等に一矢報いる……それしかありません」

 

「そういえばブレイブマシンの能力があったわ!それなら…」

 

「その事ですが…この方法は言うまでもなく…最後の勝負となります……」

 

「最後の勝負か…例えこの機体が壊れたとしてもやるしかないな…!皆はどうする?」

 

シズノの言ってた事に応じたサツキだが、彼女曰く最後の勝負に出るというもので言うなれば肉を切らせて骨を断つようなものである。モロハは覚悟を決めた後、トウマ、タクヤ、ナガラに伝える

 

「勿論そのつもりだ!!」

 

「自己犠牲も承知の上だぜ!!」

 

「それしか方法がないとしたら覚悟はあるさ!!」

 

3人も同じ思いだった。4機のブレイブマシンは最後の勝負に出る

 

「どうした?もう終わりか?」

 

「どのみち奴等に勝ち目などない。一気にケリをつけるぞ」

 

テンリクウとイオグニスがそう言ったその時だった。そこへダイカイザーとノブナガラディンが特殊能力である速度アップのアクセルドライブに防御力アップのプロテクトヘクス、そして広範囲バリアのエイジャーグリッドをフル活用しながら突撃する

 

「突撃だとォ!?血迷いやがって!!」

 

「どいつもこいつも救いようが無いバカだ!!」

 

業を煮やしたイオグニスのアシュレギオンはソードブレイカー、テンリクウのエルドラゴニスはドラゴングニスで攻撃するが、それでも止められずそのまま突っ込む。そしてダイカイザーとノブナガラディンの突撃が見事に決まった

 

「ぐあああああああっ!!!」

 

しかしこれで終わりではなかった。後から続くフラガルシオンとブラスティオンは攻撃力アップのブレイブフォースによって強化されたベレストライフルをアシュレギオンとエルドラゴニスに向ける

 

「デファウスト兄弟!!」

 

「これが俺たちミカドグニル兄弟の…」

 

「「ファイナルシュートだァァァァァァァァァァ!!」」

 

そして2機のベレストライフルから放たれた最大出力のビーム砲がアシュレギオンとエルドラゴに直撃する

 

「バカな!?こんな事が……!!」

 

「僕たちが……あんな連中に……!!」

 

「だがこれで目的は果たした!!」

 

「これから先どうなるか見物だな!!」

 

そう言った後、イオグニスのアシュレギオンとテンリクウのエルドラゴニスは撤退したと同時に4体のブレイブマシンが大破してしまう。ギンユウ達は急いで回収し、モロハ達を始めとしたパイロットは無事であった

 

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【グランストレーガー・格納庫】

 

「まさかブレイブマシンがここまでボロボロになるなんて……」

 

「ああ……応急処置を施したとはいえ限界に近い状態だったとは……」

 

チハヤとリュウジはレガシードルにおける辺境伯ディードとの勝利の代償によって修理不可能となったダイユーシャと同じように大破してしまった4機のブレイブマシンを見て悔しさを滲ませる

 

「こうなる事を予想しておいたのは他でもなかった…それに今まで僕達と戦い守ってきたのは他でもないよ」

 

「それはどういう意味だ?」

 

ユウキの言ってた事が何なのか気になるモロハ、するとティアナがその事を言い出す

 

「ディードを倒した後にレジスタンスのメカニックチーフさんから言われました。壊れたら役目を終えたなんてブレイブマシンは浮かばれない、安っぽい慰めは要らないって」

 

「要はまだ使えるパーツはあるという事ですね……?」

 

「まぁそうなりますね」

 

ユウキ達がレジスタンスのメカニックチーフから言われた事についてシズノが問いかけるとティアナは返答する、まだ使えるパーツはあると。その為にはこの先どうするべきかを考える必要がある

 

「とにかくグランセイロスに戻ってこの事を将軍様達に話さないと……」

 

「その事なんだけど、セイロス地方の港に救難信号らしきものが発せられているんだ。今そちらに向かっている」

 

トウマがそう言った後、リュウジはユウキ達の方に顔を向けながら救難信号があるセイロス地方の港に向かうと告げた

 

「救難信号?それってどういう事なんでしょうか?」

 

「まだ分からないけど、グランストライアに何かあったのかもしれないのは確かだ」

 

戦った後に何故か救難信号が出ていた事に疑問を抱いてるアリサだが、チハヤはグランストライアに異変が起きたのではないかと話す。そしてグランストレーガーはセイロス地方の港に付くとそこへ待っていたのは意外な人物だった

 

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【グランストレーガー 艦橋】

 

救難信号を発したのは重信ら将軍派とフリーデルら王族派であった

 

「あの救難信号はお父様達だったんですね」

 

「それにフリーデルさん達も来てくれるとは思いもしませんでした」

 

「お嬢とその仲間たちが不俱戴天の仇である辺境伯ディードを打倒して無事に帰還すると信じていた……本当に良かった……」

 

「紆余曲折の末ですけどね…それよりも何故ここに来るまで救難信号を?」

 

「その事だが君達に聞きたいことがある。実はな……」

 

父である重信達との再会を喜ぶリシアとルキナ。フリーデルはティアナ達が辺境伯ディードを倒して帰って来れた事を喜び、ティアナは少し喜んでいたが何故救難信号を発していたのか尋ねると重信はこの場にいる全員に向けて説明を始めた。グランストライア自体に異変が起きていた事、デザストロイアにいるサンジェルマンファウンデーションのCEO、アレスとのライブ配信による会談でデザストロイアにおける戦争責任賠償、所属企業は責任者の資産すべてを凍結、サンジェルマンファウンデーション傘下に入った事、そして今までのXVGSが首相派であるダイムザントが上層部のトップとして君臨し、良い様にされた事を話す

 

「まさか祐誠達が向かったデザストロイアにそんな出来事が…!」

 

「今思えば俺たちは何のために戦ってたんだ…?」

 

「正義と信じ、解らぬと逃げ、知らず聞かず、ただただ戦い続けていた……」

 

「よく考えてみれば俺たちにも非があるのは事実だな……」

 

「そのアレスという人が言ってた事は事実なのはわかる……」

 

ユウキ、モロハ、トウマは自分達が今までやってきた事が間違いだった事に気付く。自分達XVGSはダイムザントの正義中心の思想に信じ込まされた挙句、人々から平和な未来を奪い取って来た事を後悔し、タクヤとナガラは自分勝手な正義を振りかざして罪のない人達を巻き込んで苦しめてきた事で葛藤する

 

「資産凍結って……そんな……私たちはこれからどうするんですか……!?」

 

「若さ故の過ちというのはこの事だがリョウマとヒュウガの短慮な行動がいけなかったのは確かだな」

 

「あの二人にガツンと言わせないと私達の気が済まないわ!」

 

「いくら仲間と言えどやってはいけない事をするなんてどうかしてるよ!」

 

実家であるエインフェリス・インダストリーが資産凍結と同時にサンジェルマンファウンデーションの傘下に入った事でシズノはショックを隠し切れずにいた。アリサはリョウマやヒュウガが許されない事をしでかした事に憤慨し、チサキとマシロは責めるように言う

 

「その事なんだが先程デザストロイアにいる祐誠達から連絡が入ったそうだ。これからグランストライアに向かうからそちらの状況を教えて欲しいと言ってきたぞ。しかもサンジェルマンファウンデーションの輸送艦で合流するらしい」

 

ギンユウが言った後、デザストロイアにいる祐誠達はこれからアルバトロス級輸送艦でグランストライアに帰還して合流する事になる

 

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【グランストライア王城 ダイムザント首相執務室】

 

ダイムザントはある人物と対話をしていた。それはクロウメサイアの総司令官にして首領、サクラの兄であるトウハク・クローディアだった

 

「それで貴方様の目論見に感づいた将軍派と王族派全員はこの城から脱出したという事ですか…」

 

「そうだ、彼らは私に逆らう気だ。よって、私は彼らを排除しなければならない。そこで君に協力して欲しいのだ、クロウメサイアの司令官よ。この国を救うために彼らの始末を依頼したいのだが?」

 

「その前にXVGSの代わりとなる組織はどうなるんでしょうか?」

 

「その事については既に想定している。彼等さえいれば私の思い通りに行かないXVGSなど要らない子以外の何者でもないのだよ」

 

トウハクは将軍派と王族派が脱走した事を聞き、その事で業を煮やしたダイムザントは自身にとっての不俱戴天の仇を排除しようと企んでいた。そのため直属の特殊組織を用意してる以上、自身の思い通りに行かなくなったXVGSも例外ではなかった

 

「そこで貴方に聞きたいことがあります。今までXVGSが我々と戦わせたのは上層部のトップである貴方が考えた事なんですね?」

 

「そうだとしたらどうする?全ては私が望んだ正義のためにあるのだよ、この国は正義を貫き通す優秀で万能、高潔で選ばれた人間によって秩序を齎さなければならない。そのためにはだらしなかった者は犠牲を強いられて当然であると…」

 

「首相、貴方は国民を何だと思ってるんでしょうか?」

 

「知れた事を、国民なぞ我々首相派の道具に他ならない。私を含めた政治家にとって都合の良いように動くのが国民の義務であり存在意義であろう。そうやって我々はこの国をよりよくしてきたのだからな。それがどうかしたかね?」

 

「……呆れてものも言えませんね。まさかここまで酷いとは思いませんでしたよ。貴方が首相になった経緯は知っていますが、そんなに自分が偉いと思っていられるのですか? そもそも貴方の言う『より良い国』とは何です?『よりよい』という言葉の意味を理解していますか?」

 

「ふん、決まっているだろう。私は常に正しく間違いを起こさない、故に私が望む国は完璧で美しい理想郷だ。英雄的に秀でた才能や人脈など何もかもが恵まれた優秀な人間が秩序を齎し、非があるだらしなき者を精進するためにある。その為には道具扱いされる事を身をもって知らさなければならないのだよ」

 

ダイムザントの言ってる事は正義を理由に国民を政治家にとって都合の良い道具として扱う独裁者のようであると想定したトウハクは彼の言う『より良い国』について問いかけるとそれはまさにオレイワルドス思考に等しい物であった

 

「俺はそうは思いませんね。そんなやり方じゃあ、結局はあなたが支配者になりたいだけでしょう?」

 

「違うな、これは私の使命なのだ。この世に生まれた以上、生きる価値を見出す必要がある。私にはそれがあり、人は誰しもが自分の価値観でしか物事を見れないものだからだよ。他人の意見に左右される者は己が無いのと同じだからな」

 

「貴方のような人間が世の中を動かせばどうなるのか、俺には想像がつきますよ。きっと、何もかもが腐っていくんでしょうね」

 

「黙れ! 貴様に何が分かる!? 正義のために戦ってきた我々の苦労を知らぬ若造が!」

 

トウハクはダイムザントの抱いてる野望に対して指摘する。しかしダイムザントは正義と言う名の独裁を使命と断言するがトウハクの発言に対して感情的になる

 

「ここぞとばかりに感情的になるなんて、図星だったようですね。それに正義の名を借りて他人に理不尽を押し付ける奴らがまともだとでも思っていられるんですか?」

 

「知った口を利くでないわ!! この愚か者が!!」

 

「ダイムザント様落ち着いて下さい!トウハク、これ以上ダイムザントを煽らせるような事をするのならご退席願おうか!」

 

トウハクとダイムザントが言い争うのを阻止するべく、ザイアローンが仲裁に入る。彼の言葉に応じてトウハクは立ち去る事になる

 

「そこまで言うなら仕方ありませんね。これ以上天下の首相様を怒らせる訳には行きませんし、俺たちクロウメサイアは首相様の言う正義のために道化を演じ続けないといけません、より良い関係を気付き上げるためにね」

 

「良い関係を築きたいならば勝手にすればいい。但し…この私に刃向かい、逆らおうとする狼藉を働こうとするのであれば、貴様等はいずれ知る事になるだろう。私と言う名の正義を敵に回すこと自体が無条件で悪という事をな」

 

ダイムザントの発言に戦慄してもトウハクは怯む事など無かった。彼はダイムザントの恐ろしさを知っている、首相と言う偉大なる存在を敵に回したらその怒りによって大変な事になるか危惧していたからだ。その事を想定し、静かに立ち去っていく

 

「クロウメサイアの首領である彼には困ったものですね…我々の正義のために悪役を演じれば良かったものを…それにオレイワルドスとは別のベクトルとなる敵を用意すれば我々首相派に敵対する事など出来なくなるでしょう」

 

「その通りだ。私に従わぬXVGSなど不要、これからは我々首相派直属の特殊組織がグランストライアに正義と秩序を齎すのだ…」

 

ザイアローンはオレイワルドス軍という脅威を利用し、グランストライアの正義を世界に知らしめようとするためにXVGSを良い様にしていたが、ダイムザントはそれらを不要とし、直属の特殊組織と戦わせ、更にはオレイワルドスと別のベクトルとなる敵を用意しようと考えていた

 

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「……」

 

鹿落としが鳴る白州に自然石が置かれた庭園…朱敷きに座るのは白髪に赤いメッシュが目立つ少年…サンジェルマンファウンデーションCEOアレス・ルセディス…黒いスーツ姿なのはグランストライアに置く支社。正確には参加にした企業の新たな社屋視察、同時に新体制に移行するための委任決議、新役員選出、バラバラだったセクションをまとめるため復興の目処がついたデザストロイアからわざわざ足をはこび僅かな時間ができ、ふと目にした待庵風喫茶店に惹かれ今いる

 

「おまたせしました…」

 

恭しく離れた着物姿の女性が出したのは曜変天目茶碗に深緑の抹茶、桜色の和三盆を使われた生菓子…スッと茶碗を手に取り軽く回し口につける…抹茶の香りが鼻孔をくすぐり喉を潤し、そっと茶碗を置き生菓子を竹串で分け食べる…礼儀作法に乗っ取る裏千家の仕草と佇まいは、回りにいる客は目を奪われる。わずかにアレスの顔が緩む…多忙なスケジュールに日々を費やす彼にとって唯一の楽しみなのだ

 

「お隣よろしいでしょうか?」

 

「………構わない…」

 

「お若いながら見事な手前ですね…裏千家、いや楽を主とする織部の流れとみます…」

 

「……………」

 

曜変天目茶碗を置きアレスは声の主に目を向ける…年の頃は60ぐらいの老紳士がにこやかに正座している。遅れて志野茶碗に点てられた抹茶、漆塗器に白い雪のような氷菓が載せられた一品…所作は迷いなく抹茶を飲み静かに庭園をみる姿に只者ではないと感じ取る

 

「ここへよく来られるので?」

 

「いや…………」

 

「良い店とめぐり逢いましたな……ココは私もよく来るのですよ…ああ失礼、年をとると話し相手が欲しくなる。悪い癖ですな」

 

「……別に」

 

「ありがとうございます…昔、ある国がありましてな…ああ、昔と言ってもはるか昔となります…」

 

「……」

 

老紳士が語りだしたの昔に存在したある国の話だ。はるか昔、かつて神聖王国は世界平和を願い軍隊を創り上げた。

 

「…二つの隣国で起きた独裁者による圧政に対して結成された反乱軍を助けるために出来立ての軍を送り込んだのですが。身内と友人ばかりを集めて結成されたばかりの軍を意気揚々と向かわせましたが…」

 

「派兵は失敗した…」

 

「はい…協力すべく相手から警戒心をあらわにされ、怒りを買われたのです…」

 

鹿落としが鳴る中、志野茶碗の抹茶で喉を潤した老紳士の語りにアレスは決論だけを答えた事に満足したように見えた

 

「…戦争を止めようとし介入した彼らの過ちは続き溝が深まるばかり…自分たちは悪くない、自分たちはまもってやってるんだ、自分たちへの文句は許さない。終いには叛乱軍を敵だと判断し攻撃を加えた……愚かしいこと極まりです」

 

「………身内ばかりで結成した軍隊、それを容認した神聖王国の上層組織も含めて老害いや毒親同然だ……(…グランストライアも同じ…この老人、何者だ?)……」

 

「…貴方ならどうしますかな?(言いますね……やはり彼がサンジェルマンファウンデーションCEO本人ですか……コレは手厳しいか)」

 

「…老人、あなたの話にある軍隊からオレは、身内をすべて組織中枢、指揮系統から除外する。幼馴染、友人らで構成された部隊員には、兵士として再教導を徹底させるしかない。話にでた彼らは、“人として未熟”だ世界に戦禍を招く……」

 

「ふむ、人として未熟な彼ら…若かったのですかな?若さ故の過ちと思いますな」

 

「そんな免罪符など必要ない(…あの世界…ᚲᚱᛟᛋᛋ ᚠᚱᛟᚾᛏᛁᛖᚱ、ᚲᚱᛟᛋᛋ ᚹᛟᚱᛚᛞ、ᚹᛟᚱᛚᛞ ᚠᚱᛟᚾᛏᛁᛖᚱの害悪英雄共と変わらない……やはり、探りを入れてるか)……」

 

口調がわずかに強くなるも抑え、佇まいを正すアレス…老紳士は穏やかな笑みを見せるが柔らかな目の奥に鋭いものが覗かせながら抹茶を飲む

 

「…少年は若さ故の過ちがお嫌いなようですな(……冷静に見えて激情を秘める……しかし先の会話は軍事に携わるものとしての視点にたち的確かつ合理的なモノ……しかも探りを入れてきましたね……)」

 

「あと、一つ。話にある神聖王国上層部を一新しなければ同じ事が繰り返され暴走を招く…軍隊は正しい政治が行われてないければ正常に機能しない。その逆も同じだ……足並み揃えなければ戦火に焼かれる…このグランストライアも例外なくな(さあ、どうでる?)」

 

「!?……怖いことをいいますね…それは避けたい。でなければ憩いの場が無くなってほしくありませんしな(……グランストライアの名前を出した……先の話がこちらの話だと気づいてましたか………頭がキレる)。もう、こんな時間ですか。長々と私の話に付き合っていただきありがとうございます…」 

 

「…っ…老人、コチラもだ…次があればコチラが席を用意する…では」

 

アレスが端末を見ると一時間回ってる…次の役員決議まで十分しかない…スッと立ち上がる老紳士、アレスは頭を下げた席を離れた…姿が見えなくなると老紳士は別口へ向う

 

(あの戦時賠償責任でのデザストロイアから輸出されたモノの関税撤廃、賠償請求、担保代わりに企業傘下にくわえる……コチラが手出しできないように張った二重の罠……もし彼を味方に引き入れたとしアレス少年が皇帝の座に就けばXVGSは滅ぶでしょう…)

 

辣腕を振るう黒衣の皇帝…アレスの眼下に広がるXVGSの新型ブレイブマシンの無惨な姿…を夢想したが振り払った

 

(面白いですが…辞めにします。私の望みが叶いませんし。彼らの側にいさせ成長を促すきっかけになれば嬉しい。フフ、このままにしておくとしますか)

 

深々と帽子を被りながら老紳士…ミロクは自身の願いを叶えるためにXGVSにアレスが必要だと判断しあるき出し、用意された車に乗り王城へ向け走り出した

 

それぞれの思惑がグランストライアで交錯する。そして…

 

「皆様方、では行きます…」

 

「必ず私達の御主人様を御守りいたしてください……先代メイド長様とレガシードル王家の落胤…マルス様を」

 

「はい、必ず…では」

 

白銀の髪を揺らしカーテシする少女は多くのメイドに見送られ走り去る……柔らかな笑みを浮かべている

 

(マルス様、今、はせ参ります…このベルは貴方様の盾となりすべてを捧げますために)

 

 

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