TALES of RE: ABYSS テイルズ オブ リ アビス   作:酎はい人形

6 / 10
チーグル族の長老から語られる食料庫泥棒の真相を聞いたルーク(パチモン)達
このままではチーグル達の存続並びに、エンゲーブの食料が危ぶまれる
その為にルーク(パチモン)は、ライガとの交渉を決める
何があっても戦わない交渉を・・・


6 気がついたらストーリー捻じ曲げてた 後編

 

 

 

 

ーーーチーグルの森

 

ルーク「・・・」

 

 

顔が強ばってるのが自分でわかる

・・・あんだけカッコつけてこの有様って

 

 

ティア「ルーク・・・?本当に大丈夫?」

 

 

それに気づいたティアが俺に声を掛ける

 

 

ルーク「あ、あったり前よ!」

 

 

イキってみせるが、正直ガクブルだ・・・

多分ライガが怖いからとか、そういうのじゃない・・・

失敗して、戦闘になるのが怖いんだ・・・

戦って解決なんて、絶対に嫌だ

そうなりたくないから、俺は・・・

 

 

ルーク「・・・悪ぃ。俺がビビってたら話になんねぇよな」

 

イオン「やはり、我々も傍にいた方が・・・」

 

ルーク「いや、最初の作戦で行くよ」

 

 

戦闘の意思はないという事をまずは見せつけないと

・・・やっべぇ

・・・超絶緊張する

 

 

ティア「ルーク・・・」

 

 

不安がらせちまったな・・・

 

 

ルーク「・・・へへ。らしくなかったかな。大丈夫だ」

 

 

そうだ

もう後には引けねぇ

やるっきゃねぇんだ

 

 

ルーク「ミュウ。危ない作戦に巻き込んじまって、ごめんな」

 

ミュウ「いいですの!ボクは、ボクのやれることをやるですの!」

 

 

・・・ミュウ

なんだ、ミュウの方がよっぽど覚悟決まってんじゃねぇか

その言葉でちょっとだけ足りなかった勇気が出たな

 

 

ルーク「へへ!良い根性だ!」

 

ミュウ「はいですの!」

 

 

ミュウを肩に乗せ、颯爽と歩く

 

 

イオン「ルークは、お強いのですね」

 

ティア「そうですね・・・。それに彼は優しい」

 

イオン「はい。魔物を相手に絶対に戦わない交渉をするという固い意思・・・」

 

 

イオンがルークの後ろ姿を見て語る

 

 

イオン「普通なら、こんな命懸けの作戦は立案しません」

 

ティア「・・・はい」

 

イオン「きっとルークは、魔物の命をも尊いと思える優しい方なのですね」

 

ティア「・・・でもその優しさが、仇になるのではないかと少し不安なのです」

 

イオン「ふふ」

 

 

ティアを見て軽く笑うイオン

 

 

ティア「イ、イオン様?」

 

イオン「大丈夫ですよ。ルークにはあなたがいるではありませんか」

 

ティア「え!?」

 

 

驚くティア

 

 

ティア「わ、私と彼はそんな・・・」

 

イオン「さぁ、行きましょう!」

 

 

スタスタと歩くイオン

 

 

ティア「ま、待って下さいイオン様!」

 

 

イオンを追うティア

 

 

 

 

 

 

 

ーーーライガ・クイーンの住処

 

ルーク「・・・あれが・・・女王か?」

 

ティア「ええ、ライガは巨大な雌を中心とした集団で生きる魔物なのよ」

 

イオン「はい。間違いありませんね」

 

 

さーて、いよいよ本番だ

リトライなんて出来ない一発勝負

タイムリミットは、助っ人が来るまで

 

 

ルーク「それじゃ、当初の作戦通り二人は陰で隠れててくれ」

 

ティア「・・・無理は絶対しないでね」

 

イオン「・・・お気を付けて!」

 

ルーク「ミュウ!準備は良いか?」

 

ミュウ「はいですの」

 

 

ミュウを抱き抱えながらライガ・クイーンに近寄る

 

 

ルーク「ミュウ、話し掛けてみてくれ」

 

ミュウ「はいですの!」

 

 

ライガの前に立つ

 

 

ミュウ「みゅう、みゅうみゅうみゅみゅーみゅう・・・」

 

ミュウの声を聞き、ライガ・クイーンがこちらを見る

・・・足が震える・・・・・・・

ミュウに伝わってなきゃ良いけど

 

 

ライガ・クイーン「オォォォォォォ!!」

 

 

とんでもない咆哮を食らった!

気を抜いたら吹っ飛ばされそうだ!

 

 

ルーク「ぐっ・・・!女王はなんて!?」

 

ミュウ「卵が孵化するところだから・・・来るな・・・と言ってるですの」

 

 

卵か・・・

 

 

ミュウ「ボクがライガさんたちのおうちを間違って火事にしちゃったから女王様、すごく怒ってるですの・・・」

 

ルーク「当然の反応かもな・・・」

 

 

卵を守るって事は・・・凶暴性二倍説まであるな・・・

 

 

ルーク「卵の孵化を待ってたら・・・それこそ本末転倒になっちまう」

 

 

まずは・・・!

 

 

ルーク「ミュウ!女王にこの土地を立ち去ることは出来るかって聞いてくれ!」

 

ミュウ「は、はいですの」

 

 

再びライガ・クイーンに語る

 

 

ミュウ「みゅ、みゅうう、みゅうみゅう・・・」

 

ライガ・クイーン「オォォォォォォォォォォォォ!!」

 

 

さっきの倍くらいの咆哮が襲う!

 

 

ルーク「うわ!!」

 

 

倒れそうになるところを踏ん張る!

 

 

ミュウ「ボクたちを殺して、孵化した仔共の餌にすると言ってるですの・・・」

 

ルーク「くっそ!このままじゃ!」

 

 

・・・何も変わらねぇのかよ!!

くっそ!くっそ!

考えろ!!

考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ!!

 

 

ルーク「ミュウ!俺の言葉をそのまま訳して女王に伝えてくれ!」

 

ミュウ「は、はいですの!」

 

 

ミュウを首の後ろに乗せる

さながら肩車と言ったところか

 

 

ルーク『女王!聞いてくれ!俺の名はルーク!』

 

 

ライガ・クイーンは俺と目を合わす

 

 

ルーク『このままじゃ誰も望んじゃいない結末になっちまう!それで良いのか!』

 

 

詰め寄りながら俺を睨むライガ・クイーン

 

 

ルーク『これから産まれてくる仔共を大事に思ってるなら、ここから去ってくれ!』

 

ライガ・クイーン「オオオオオオオォォォォォォォォ!!!」

 

 

凄まじい咆哮が俺たちを襲う

鼓膜が・・・破れちまう・・・

 

 

ミュウ「女王様は言ってるですの!チーグル族によって、なくなく住処を移り住んだ、何故我々が去らなければならない、と言ってるですの!」

 

 

まさに正論・・・

 

 

ルーク『筋が通ってないのは重々承知なんだ!分かってる!』

 

 

畳み掛けるように話し続ける

 

 

ルーク『でもここに住み続けちまったら、遅かれ早かれ卵と一緒に駆除されちまう!そんなのお前だって望んじゃいないだろうが!!』

 

ライガ・クイーン「オォォォォォォ!」

 

ミュウ「そんなもの、返り討ちにする、と言ってるですの!」

 

 

・・・こんの・・・獣頭が!!

 

 

ルーク『ふっざけんじゃねぇぞ!仔共が大事なんじゃねぇのか!』

 

 

続けるルーク

 

 

ルーク『少しでも仔共の事を考えるなら!村の近くなんて軍人がすぐ来るような危ねぇ場所じゃなくて!もっと違う森の奥の方が何倍も安全だろうが!!』

 

 

さらに畳み掛ける

 

 

ルーク『お前が死んじまったら!残された「子供」はどうすんだ!!』

 

ライガ・クイーン「オォォォォォォォォォォォォ!」

 

 

俺に襲いかかる女王

 

 

ルーク「うっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ティア「ルーク!!」

 

 

彼に襲いかかるライガ

指示なんて待っていられない!

杖とナイフを取り出し、加勢しようとする

 

 

ルーク「来るなぁぁぁ!!!」

 

 

ルークが吼える

 

 

ティア「なっ!?」

 

 

ルークの声に制止する

何を考えているの!?

このままでは死んでしまう!

 

 

ティア「でも・・・!?」

 

イオン「このままではルークが!」

 

 

ルークの言葉を思い出した

 

 

ルーク『俺を信じてくれ』

 

 

思い出したたったその一言が、彼女を思い留まらせた

そう、ルークは言った・・・

ただ、俺を信じてくれと

 

 

ティア「ルーク・・!」

 

 

私が今出来ることは、ただ祈るしか・・・

 

 

ティア「死なないで・・・!ルーク・・・!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

右腕にライガの牙が思いっ切り食い込む

ハッキリ言おう・・・

マジで痛い!

めちゃめちゃ痛い!!

でも違和感を感じた・・・

本当に食い殺すつもりなら、今ので殺っていた筈

それをしなかったんだ・・・

まだ、終わっちゃいないんだ!

だからティアを止めた

横目でティアが加勢しそうなのが見えたからな!

 

 

ルーク「み・・・ミュウ・・・怪我ないか?」

 

 

冷や汗が流れる中、ミュウに問いかける

 

 

ミュウ「ボ、ボクは大丈夫ですの!でも!」

 

ルーク「っへへ・・・。俺は平気だ」

 

 

右腕の肉に食い込む牙

とってもグロし・・・

ただ一筋の光明が見えた気がした

・・・正直使おうかどうか迷っていたけど、最後の手段を取るしかない

 

 

ルーク「・・・良いか、ミュウ。これから訳してもらうのは・・・俺とミュウだけの秘密だ・・・!いいな!?」

 

ミュウ「みゅ・・・!?は、はいですの!」

 

 

大きく息を吸い、語り始める

 

 

ルーク『お前と仔共が死んだなんて「アリエッタ」が聞いたらどんな気持ちになるか位、お前にだって分かるだろ!』

 

 

ライガ・クイーンの動きが止まる

 

 

ルーク『俺は・・・お前だけじゃない。アリエッタにだって幸せになって欲しいんだ』

 

 

続ける

 

 

ルーク『あの子の成長を見届けもしねぇで勝手に死ぬなんて無責任だろう!』

 

 

ライガ・クイーンの力が緩まるのを感じる

 

 

ルーク『てめえの子供の成長を見届けてやる、それが!親ってもんだろうがぁ!!』

 

 

血を流し過ぎて倒れそうだ・・・

貧血気味になっているのが自分でわかる

それでも止めるわけにはいかない

もうこれ以上・・・あの子から・・・

家族を亡くさせてはいけない・・・

 

 

ルーク『だから・・・頼む・・・』

 

 

あの子の・・・悲劇の運命を変える為に・・・

 

 

ルーク『もうあの子もとから・・・居なくならないであげてくれ・・・』

 

 

・・・

これ以上は・・・もう無理か・・・

言いたいことは・・・言い尽くした・・・

もうすぐ・・・助っ人も来ちまう

そうなれば打つ手はない・・・

 

 

ライガ・クイーン「ウゥゥ・・・」

 

 

俺の腕から牙を抜く

傷口を舐めるライガ・クイーン

・・・何だ?

 

 

ルーク「・・・え?」

 

 

ライガ・クイーン「ウゥ・・・」

 

 

ルーク「ミュウ・・・女王は・・・なんて?」

 

 

ミュウに問いかける

何だ・・・何が起こってる・・・?

 

 

ミュウ「女王様が・・・土地を去る、て言ってるですの!」

 

 

ルーク「!」

 

 

伝わった・・・

思いが・・・

 

 

ミュウ「アリエッタを、知ってるのか、と言ってるですの」

 

 

ルーク『ああ、知ってるよ。あの子は俺の事知らないけどな・・・。桃色の髪の、女の子だよな・・・』

 

 

あの子の最期を考えると・・・胸が痛い・・・

もしその運命が少しでも変わるとするなら・・・それは間違いなくここだ

ただこれは許される事なのか・・・?

・・・いや、もう悩むのはやめだ

 

 

ライガ・クイーン「ウオォォォォォォ!」

 

 

ライガ・クイーンが吠える

それは敵対ではなく、この闘争に終止符を打つ遠吠えだった

 

 

ミュウ「みゅ!?」

 

 

ミュウが反応する

 

 

ルーク「・・・ん?」

 

ミュウ「女王様が・・・ルークさんに、お礼を言ってるですの・・・」

 

ルーク「・・・お礼?」

 

ミュウ「はいですの・・・」

 

 

お礼・・・

なんで・・・お礼なんか・・・

住処を失ったお前達を・・・俺は追い出そうとしてるんだ・・・

なのになんで・・・お礼なんか・・・

 

 

ルーク「礼を言わなきゃいけねぇのは・・・俺だよ・・・」

 

 

涙が溢れた

安心からか・・・この結果だからか・・・女王の優しさからなのか・・・

多分全部なんだろうな

色んな感情がもうぐっちゃぐちゃだ・・・

 

 

ライガ・クイーンが卵を尾で優しく包み、去ろうとする

 

 

ルーク「女王!!」

 

 

ミュウの通訳を介さず、俺自身の言葉で伝える

伝わるかなんて分かんねぇ・・・

でも誠意を見せたい・・・

 

 

ルーク「・・・ありがとう」

 

 

頭を深く下げ、お礼を言った

涙が地面に落ちる

 

 

ライガ・クイーンは俺を見た

 

 

ライガ・クイーン「ウゥゥ」

 

 

何かを伝えたライガ・クイーン

そうして間もなく、ライガ・クイーンは高く跳び、木から木へと跳び移っていった

・・・終わったんだ

何とか・・・

 

 

ティア「ルーク!!」

 

 

後ろからティアが向かってくる

慌てて涙を拭く

 

 

ルーク「お、おうティーーーーー」

 

 

抱きつくティア

ふぉ・・・フォ・・・

フォーーーーーーー!!!

むね!ムネ!胸が!

 

 

ルーク「うお!?おいティア!!」

 

ティア「バカ!!」

 

 

 

怒られる俺

えー・・・

 

 

ティア「何考えてるの!?死ぬかもしれなかったのに!」

 

 

うぅ・・・はい・・・

 

 

ティア「襲われた時どうして私を呼ばなかったの!?」

 

 

はい・・・

 

 

ティア「死んじゃうかと・・・思ったじゃない・・・」

 

 

涙目になっているティア

・・・あら~可愛い

なんて言ったら腕切り落とされそう

 

 

ルーク「・・・悪い」

 

ティア「・・・バカ!」

 

 

そう言って俺の腕に治癒術をかけるティア

そういえばかなり痛むな・・・

もう色々あり過ぎて忘れてたわ・・・

 

 

イオン「ルーク・・・あなたという人は・・・」

 

ルーク「イオン・・・」

 

イオン「無事で良かった・・・本当に・・・」

 

ルーク「心配かけちまったな・・・」

 

 

・・・はぁ

腰を地面におとす

疲れた・・・

戦ってもないのにこの疲労感・・・

オジサン・・・歳とったな・・・

あ、体は17歳ですよ?

 

 

ルーク「いってて・・・。ティア!もうちょい優しくしてくれよ」

 

ティア「痛いのは生きている証拠よ!黙ってなさい」

 

ルーク「冷血過ぎません?」

 

ティア「・・・何か言ったかしら?」

 

 

腕をグッと掴むティア

 

 

ルーク「うおぉぉい!腕取れちまうだろ!」

 

ティア「静かにしなさい!」

 

 

俺とティアがそんなやり取りをしていた時だった

 

 

ジェイド「おやおや、痴話喧嘩ですか?」

 

 

背後から歩いてくる人物がいた

強力な助っ人・・・ジェイドだった

 

 

ルーク「誰がだよ・・・」

 

ティア「カーティス大佐!」

 

 

本当にギリギリだったんだな・・・

ジェイドが来たら問答無用だった筈

危なかった・・・

 

 

ルーク「俺たちそういう関係じゃないって・・・」

 

ジェイド「冗談ですよ。それと私のことは、ジェイドとお呼び下さい。ファミリーネームの方にはあまり馴染みがないものですから。・・・それより」

 

 

・・・何だ?

 

 

ジェイド「あなた達は、ここで何を?」

 

 

すぅーーー・・・

森林浴です、なんて言って信じてもらえるだろうか

 

 

イオン「ルークが、食料庫盗難の問題を解決してくれたんです」

 

 

イオンが割り込む

 

 

ジェイド「イオン様。それはつまり?」

 

 

イオンがこれまでの事を簡潔にジェイドに説明をする

チーグルがライガの住処を燃やしてしまったこと

その為に食料庫から盗み、ライガに貢いでいたこと

ミュウを介して説得をした事

そして・・・

 

 

ジェイド「・・・ライガの女王が移住の申し出を受け入れた、と」

 

イオン「はい。ルークが命懸けでやってくれたんです」

 

 

ジェイドが俺に詰寄る

 

 

ジェイド「魔物の言葉を、あなたは鵜呑みにしたのですか?」

 

ルーク「・・・ああ」

 

ジェイド「所詮は魔物です。戻ってこないとは限らない」

 

 

グッサグサ刺さる

 

 

ジェイド「それに移住した先で、また別に犠牲者が出るかもしれないということを予想出来なかったのですか?」

 

イオン「ジェイド!」

 

ティア「そんな・・・」

 

ルーク「あいつは、そんな事しないさ」

 

 

二人の言葉を覆うように応える

 

 

ジェイド「その根拠がどこに?」

 

ルーク「・・・感・・・かな」

 

ジェイド「・・・」

 

 

呆れたように俺を見て溜息をつくジェイド

やめろ

ホント根拠ないんだから

俺だって知らないストーリー展開だもの

不意に後ろを向くジェイド

 

 

ジェイド「アニス!ちょっとよろしいですか」

 

 

そう呼ぶと、宿屋であった少女が現れた

 

 

アニス「はい、大佐♡お呼びですかぁ」

 

 

アニスを呼ぶと耳元でジェイドが指示しているようだった

 

 

アニス「えと・・・わかりました。その代わりイオン様をちゃんと見張ってて下さいねっ」

 

 

そう言うと、アニスはまた駆け出した

それと同時に、イオンがジェイドに近寄る

 

 

イオン「ジェイド・・・。責められるべきは僕です。勝手に動いてしまったんですから」

 

ジェイド「あなたらしくありませんね。悪いことと知っていて、このような振る舞いをなさるのは」

 

イオン「チーグルは始祖ユリアと共にローレライ教団の礎、彼らの不始末は僕が責任を負わなくてはと・・・」

 

ジェイド「そのために能力を使いましたね?医者から止められていたでしょう?」

 

イオン「・・・すみません」

 

ジェイド「しかも民間人を巻き込んだ」

 

 

なんか可哀想になってきた

 

 

ルーク「いや、巻き込んだのは俺たちだ。だから責めないでやってくれ」

 

ジェイド「おや。これは失礼」

 

 

ホントこのジェイドという男は・・・

さっきの問答といい、この男だけは本当に読めない

でも嫌いじゃない・・・・・・

 

 

ジェイド「まあ時間もありませんし、これぐらいにしておきましょうか」

 

イオン「親書が届いたのですね?」

 

ジェイド「そういうことです。さあ、とにかく森を出ましょう」

 

ミュウ「駄目ですの。長老に報告するですの」

 

 

ミュウに驚くジェイド

 

 

ジェイド「本当にチーグルが人間の言葉を・・・」

 

イオン「これがソーサラーリングの力です。それよりジェイド、一度チーグルの住処へ寄ってもらえませんか」

 

ジェイド「わかりました。ですが、あまり時間がないことをお忘れにならないで下さい」

 

 

イオンが俺の方を向く

 

 

イオン「ルーク、本当にありがとう。全てルークのおかげです」

 

ルーク「お?いや、別に俺は・・・」

 

イオン「あと少しだけ、おつきあい下さい」

 

ルーク「・・・当たり前だろ?行こう」

 

 

腰を上げる俺

 

 

ティア「ルーク!痛みは?」

 

ルーク「大丈夫だよ。ありがとな」

 

ジェイド「・・・」

 

 

ジェイドが俺の傷口を見てる気がする

 

 

ルーク「ん?どうした?ジェイド」

 

ジェイド「・・・いえ」

 

ルーク「?」

 

 

・・・この男のことだ

色々頭の中で考えてんだろうな

まあそれはともかくとして、まずは乗り切った

さて、ここからどうなってくんだか

そう考えながら、チーグルの住処へ向かう

 

 

 

 

 

 

 

ーーーチーグルの住処

 

 

チーグル族長老「みゅうみゅみゅみゅうみゅう」

 

ミュウ「みゅーみゅみゅみゅ・・・」

 

ジェイド「こうして魔物たちの会話を聞いているのも、面白い絵面ですね」

 

ティア「・・・かわいい♡」

 

 

・・・焦った

今絶対可愛いって言ったよね?

 

 

ルーク「ティアさん?」

 

 

どうやら無意識で言葉を発した模様

赤面するティア

 

 

ティア「・・・な、なんでもないわ」

 

 

長老が俺たちを見る

 

 

チーグル族長老「話はミュウから聞いた。ずいぶんと危険な目に遭われたようだな」

 

 

そりゃあもう・・・

右腕1本犠牲にするとこだったぜ・・・

 

 

チーグル族長老「二千年を経てなお、約束を果たしてくれたこと感謝している」

 

ルーク「別にそんな大昔の約束のためって訳じゃないよ」

 

チーグル族長老「それでも、感謝をさせてくれ。ありがとう」

 

ルーク「・・・あぁ」

 

 

素直に感謝を受けとくか

そこを意地張る理由ないしな

 

 

チーグル族長老「しかし元はといえば、ミュウがライガの住処を燃やしてしまったことが原因」

 

 

・・・せやな

そればっかりは拭えない罪だよな・・・

まあということは・・・

 

 

チーグル族長老「そこでミュウには償いをしてもらう」

 

ティア「どうするつもりですか?」

 

チーグル族長老「ミュウを我が一族から追放する」

 

 

・・・知ってた

 

 

イオン「それはあんまりです」

 

チーグル族長老「無論、永久という訳ではない。今回の件でルーク殿には返しきれぬ程の恩がある」

 

 

ふむふむ・・・

 

 

チーグル族長老「チーグルは恩を忘れぬ。ミュウは季節が一巡りするまでの間、ルーク殿にお仕えする」

 

ルーク「俺にか?」

 

チーグル族長老「ミュウはルーク殿について行くと言って聞かぬ。処遇はお任せする」

 

 

まあ知ってたよこの流れ

しかしミュウも俺について行きたいなんて酔狂だな

俺、ミュウに懐かれること何もしてないぞ?

 

 

ティア「連れていってあげたら?」

 

ルーク「うーん・・・」

 

イオン「チーグルはローレライ教団の聖獣です。きっとご自宅では可愛がられますよ」

 

ルーク「・・・そうだなぁ」

 

 

ミュウに近づく

 

 

ルーク「本当に俺と一緒で良いのか?」

 

ミュウ「はいですの!お役に立てるように頑張るですの。よろしくですの、ご主人様」

 

 

ミュウの頭を撫でる

モッフモフで・・・ええなおい

 

 

ルーク「あぁ。よろしくな、ミュウ」

 

ジェイド「さあ、報告も済んだようですし森を出ましょう」

 

 

ミュウを抱き抱えながらジェイドを見る

 

 

ルーク「そうだな、行こう」

 

 

色々あったがここともおさらばって感じだな

本当に・・・濃厚すぎた

・・・しかし今後の展開がどう変化するか、だな

ミュウの展開に変わりが無いのは予想通りだった

というかコレでミュウが来てくれなかったらビビり散らかす所だったけど

 

 

ルーク「そんじゃ長老。またな」

 

 

長老に声をかけ、住処を後にする

 

 

 

 

 

 

ーーーチーグルの森出口

 

 

こちらに向かって走ってくる人影がある

 

 

ルーク「お?あの子は・・・」

 

イオン「アニスですね」

 

アニス「おかえりなさーい♡」

 

 

そう言うと、続いてマルクト軍の兵士が取り囲む

 

 

ジェイド「ご苦労様でした、アニス。タルタロスは?」

 

アニス「ちゃんと森の前に来てますよぅ。大佐が大急ぎでって言うから特急で頑張っちゃいました♡」

 

 

頑張っちゃったか・・・それはそれは・・・

 

 

ティア「大佐!これは?」

 

 

ティアがジェイドに問いかける

 

 

ジェイド「そこの二人を捕らえなさい。正体不明の第七音素を放出していたのは、彼らです」

 

イオン「ジェイド!二人に乱暴なことは・・・」

 

ジェイド「ご安心下さい。何も殺そうという訳ではありませんから。・・・二人が暴れなければ」

 

 

なんでバレたんやろな・・・

うーん・・・タタル渓谷には俺とティアと辻馬車のおっちゃんしかいなかったし・・・

まあいいや・・・もう正直今日は何も考えたくない

疲れたオブ疲れた

 

 

ルーク「あぁ、別に抵抗しないさ。というかできないよ」

 

ティア「・・・」

 

 

ジェイドが微笑む

 

 

ジェイド「いい子ですね。ーーー連行せよ」

 

 

・・・まあストーリー通りって感じだな

正直タルタロスの内部を生で見れるのは嬉しすぎる

とは言いつつも・・・ホント疲れたよ

タルタロスに着いたら軽く仮眠させて・・・

 

 

 

タルタロスに乗り込む、というか連行される

そうなると・・・俺はそろそろ・・・

人を殺さなきゃいけねぇってことか・・・




人物帳

アニス・タトリン

信託の盾の騎士団に所属し、イオン専属ボディーガードである導師守護役を務める少女
お金に無頓着な両親を嘆き、将来の生活を安定させるため玉の輿を狙っている

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。