ようキャ   作:麿は星

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 あ、今話は全部書き下ろしたので『よういふっ!』には存在しません。
 ご了承ください。



結末、日常となる未知(9~11巻)
139、お人好し


 

 この学校で実力関連の話題を聞くたびに思う事だが、世の中の風評などはかなり人に対して『マイナスの評価』をしてることが多い。お前のあれが駄目、これが駄目などと長所を褒めず、短所『のみ』を指摘している奴がどうも思慮が浅く感じる。

 性善説を信奉するわけでもないが、僕としては、良い着想だなとか、それをすると面白そうとか、『プラスの評価』を聞きたいところ。これは僕への評価や風評だけでなくだ。

 

 だって他人を扱き下ろすより褒めたり良い部分を見た方が、人生楽しいんじゃなかろうか。

 大抵、自分では自分のことがわからないからな。

 周囲が長所を教えてくれないと、自分が何に優れてて何を得意にしてるのか意外と見えないものだ、僕の経験上。

 全部のクラスで得意を持ち寄って協力し合った方が絶対お得なのに、その可能性を捨ててギスギスしたがるのが不思議でしかたない。

 

 他人の真意なんかわからない。見えるものから自分の物差しで想像しているに過ぎないということ。

 例えば、簿記でも扱う時の立場によって、同じものでも借金(借方)だったり資産(貸方)だったりする。

 だからこそ日本の市場経済が好景気になると、財務省の帳簿上では国の借金も大きくなる。なぜなら市場で動く金は、日銀に載せる簿記では借方……つまりは政府の借金扱いだからだ。

 

 これを知らない、もしくは見てないのか、経済をわからない者がよほど多いのか。財務省の言うプライマリーバランスが『借金を減らす→増税する→国民が貧しくなる』に至る大間違いなのは明白。

 なのに一般国民が好景気になると、国の借金が増加するというマイナス要素『だけ』に目を向けて好景気を潰すような駄々をこねる。

 結果、景気が回復しかけるたびに水をぶっかけ続けて数十年。

 正直、知恵も知識もなく他を扱き下ろすしか能のなさそうなお偉いさん達が、何故あんな高い地位に登れて維持できてるのか、ずっと疑問に思ってる。

 

 またこんな話もある。

 江戸時代に、火事のため緊急処置として牢に閉じ込めていた囚人達を一時的に釈放して逃がした記録だ。なんと火事が終わった後、全員が牢屋があったところに戻ってきた、という話。

 この頃の日本には、犯罪にはきちんとした理由があり、悪いのは人ではなくそれを起こさせた世の中という考え方が、それぞれの立場の人にこうした行動を取らせたと思われる。

 これもどこかの人が悪い方に見ていたら、逃げる事を考えてそんな緊急処置は取らなかったかもしれない。

 

 まぁこれも戦後になると、身勝手に振る舞い、捕まっても反省せず、釈放後に被害者を殺しに行く……というようなそれまでの記録にはなかった事件も増加してるので、現代では通用しない考えなのかもしれないが。

 何気に歴史の授業とかだと、暗記系以外は昔の悪い部分だけを講義したりするから、室町前期や本当に好景気な時代などはほとんど軽く流される。自虐史観、これに極まれりである。

 ともかく、ことほどさように自分(達)、もしくは他人を悪くだけ見るのは弊害が大きいということだ。

 

 こんなひねくれた考えじゃないにしても、愛里や椎名、一之瀬は他人の良い部分を重点的に見る。あと四方に高円寺、鬼龍院先輩、学、葛城・戸塚なんかもそうか。よく知らないから断言できないけど、橘さんも。

 疑うよりも先に、まず信じることができる奴は大事にするが吉。

 この中だと一之瀬や橘さんは僕の友達とは言えないし、高円寺や戸塚は興味を持つという条件付きだが、それでも良い仕事をするのに少なくとも最初は『お人好し』になれるのは重要な要素。以前に述べた僕の考えでは、これはある種の才能で大成する一つの条件なのだ。

 

 僕や早苗だと、最初から信じるとはいかない。どうしても経験や過去が邪魔をする。

 また櫛田や清隆も性質上、彼女らが信じるにはなんらかの条件が必要だ。特に清隆のハードルは信じられないくらいに高い。櫛田もハードル単体はそこまでではなくても、ハードルの数が多い。

 僕が自分を含めた邪悪と表現する奴は、おそらくこの印象が影響しているのだろう。

 

 さて。最近、というか合宿から戻ってから数日、一之瀬に関する話題をされる事が多くなった。それも天文部の仲間内や僕のクラスメイトからではない。他の……『坂柳さん』のBクラスや稀にDクラスからだ。

 一之瀬本人はどこか元気がない感じだが、正義感っぽい部分がそれなりにある神崎や柴田、網倉が怒ってたから相当嫌な内容なのだろう。

 ちなみに僕は、ついに仕掛けてきたか、と思ったが同時に、何故に一之瀬? と、あまりに不可解なターゲット選定に思わず変な思索に耽ってしまった。

 

……僕って、怒りや正義なんて相対的なものとしか考えてないからなぁ。本当に怒るべきところか、そこから考え始めるからどうもこういう攻撃されると、自分や周囲が対象だったとしても友達とかじゃないと大抵乗り遅れる。

 陽キャやパリピ、カースト上位勢とここが大きく違う部分なのかもしれない。

 

 だって他人が仕掛けて来たことに怒りを感じるのは自然な反応だとは思っても、それが正しい怒りなのか、間違った怒りなのか、噂を聞いただけではわからない。

 仏教だと正義の神であるアシュラが、悪神として扱われることがあるように……。

 

 

 

 

 

 というわけで、何故かいやに話しかけられるようになってしまった僕は、色々振り払ってストレス発散するための行動に出る。

 それは林間学校の合宿が終わった1月最後のある休日のこと。

 東京のど真ん中にあるこの学校としては珍しく、ちょうどいい大雪が降り積もったのだ。勿論、朝に一面の銀世界を目にした僕のテンションは上がりに上がった。

 

 この日の僕はバイトもなかったので、前からやってみたかったカマクラを作るべく、学生寮の裏手スペースに繰り出して雪をかき集めていた。

 着々と完成へと近づくにつれ、僕の身体は上気し、汗も吹き出てきたが、そんなの関係ねぇ。オッパッピーと叫びたい心持ちで、黙々とカマクラを仕上げていた。

 

「奇行種……ですよねぇ、夢月さんって」

「早苗は他人のこと言えないと思うが」

「そうですか? えへへ」

「なんで嬉しそうなんだよ」

 

 ふと気づくと四方や早苗が来ていたが、僕は談笑してる外野を気にせず、ひたすら積み上げた雪を掘り進む。まだ雪は降り続いているので、カマクラの外側は固めなくても大丈夫だろう。

 

「……え、あの人、愛里の彼氏だよね? なんでせっかくの休日に彼女も誘わず、一人で黙々とカマクラ作ってんの? しかもこっちを一瞥すらしないんだけど」

「あー、多分林間学校で人の中ばっかにいたから疲れちゃったんだと思う」

「でも左京君って堂々と振る舞ってたじゃない。あんな人が人混み程度で疲れる?」

「夢月君だからこそ、かな……。なんというか、必要な時以外はあんまり人を誘ったりしたくない時もあるみたい」

「えぇ~。嵐のど真ん中にいるのだけ見てるから意外……」

「ああ。あれはね、夢月君的には巻き込まれたってだけらしいよ? 普段はすごく気分屋なマイペースだから」

 

 次に反対側から来たのは、愛里とその友達らしき女子、か。

 そういえば、Dクラス内のグループに入ったと愛里や早苗に聞かされた時にも、なんかそれっぽい女子はいた気がする。

 まぁ僕には関係ないだろうし、四方や早苗と邂逅するなら邪魔するのもなんだ。

 なによりカマクラを完成させたら、氷像作りに移行したいし、それを眺めつつ、きつねうどんも作りたい。つまり時間がないのだ。

 

「あたっ」

「愛里?」

 

 ゆえにカマクラに敷くエアマットを取り出して膨らませつつ、ついでに取り出した空の霧吹きを愛里に向かって投げる。それは見事に愛里の額に命中した。

 

「なにこれ?」

「霧吹き、だね。なんでわたしに……」

 

 他に誰もいなかったら言葉も付けるが、今は必要ないだろう。

 

「愛里さん。それは多分、化粧水を顔にかけるなら使え、ってことだと」

「……ああ。ガスコンロも出してるし、早苗の言うことはあってるだろうな。このまま火のそば?で暖まるなら乾燥するし、自分のを適当に詰めてガサガサにならないようにってことじゃないか?」

 

 That's exactly(その通りでございます)。

 ほら。早苗と四方がやってくれる。

 新顔がコイツらと知り合いかはわからないが、愛里の友達なら心配はいらない。僕は一見美少女に見える新顔が怖いから、なるべくこうしてやり過ごさせてほしい。

 

「なるほどー……ん? 中になにか紙が」

 

 それに最近は寒いので、これもついでに。

 

『愛里へ。

 贈り物を僕の鞄に入れてある。ハンディカイロだ。いつもありがとう。by夢月』

 

 やっぱりほら、こういうのって付き合ったらやってみたいじゃん? だからやった。恥ずかしくはあるが後悔はしていない。いや、嘘。友達連中とはいえ、人前でやるんじゃなかったと少し後悔している。

 現在、愛里含めた4種のなんともいえない視線が僕の背中に刺さっている。なおさら振り向けなくなった。

 

「……なんでコイツは妙なところだけ変化球なんだ」

「夢月さんの恥ずかしがるツボっていつもおかしいですよねぇ。うふふっ」

「いつもこうなの? 左京君って」

「まぁ、だいたい?」

「パターンは結構変わるけどな。長谷部さんも愛里と友達付き合いするなら、夢月の不意討ちに少しは慣れといた方がいいぞ。真面目に当たると疲れるから」

 

 新顔は長谷部というらしい。

 てか、四方はともかく、早苗も普通に話してるところを見るに、この女子とそれなりの付き合いがありそうだな。何気に愛里繋がりで仲良くなったとかだろうか。

 よし。愛里の友達なら、彼氏の僕も賄賂を渡して最低限の印象を得ておこう。

 えっと、お盆とマジックハンドの代わりになるものは、と。多少は去るまでの時間的猶予があると助かるのだが。

 

 少しだけカマクラに入って居心地を確認したら、僕はすぐに調理に取りかかる。といっても、ただのうどんとお揚げである。湯を沸かせばそれだけで事足りる。

 2つしかお椀がないので、片方に速攻で作ったきつねうどんを乗せて、まだこの場に留まっていた長谷部へ毅然とした態度で差し出す。

 

「ききき君がよかったら、ど、どぞう?」

「え? 私? わけわかんないんだけど」

「コイツは本当に……」

 

 思ったより長谷部に近寄らず、汁を溢さずに渡すのに力が必要でちょっと挙動不審になってしまったが、愛里が入ったというグループには清隆もいたはず。清隆の不審者ムーブを普段から見ている奴ならこのくらいは許容範囲だろう。

 

「なあ夢月。お前もそろそろ他人に慣れたらどうだ? 最近なんか色々話しかけられるようになったじゃないか」

「四方……。成長率は人によるものだ。特に精神の成長は外からは見えにくい」

「お前はどっちなんだよ」

「ふっ、ついに僕の秘密を明かす日が訪れたか……」

「ご、ごくりんこ」

 

 お、ノリのいい。

 

「体は高校生で、心は少年だ」

「成長してないガキじゃないか!」

 

 その通りである。

 僕はそう生きると心に決めたのだ(嘘)。

 

「だが、2日『もの』鍛錬を成した僕だ。問題ない」

「大アリだろ。たった2日(ふつか)じゃ、いつまで経っても不束者でしかない」

「誰が上手いことを言えと……。少しは常識を持てよ、四方」

「夢月が振ったんだろ。俺はそれに乗っただけだ」

 

 四方のヤツ、早苗や椎名、櫛田あたりから学びやがったな? レスポンスがいつもよりも早い。

 それなら四方に助けてもらいつつ、長谷部とのファーストコンタクトを無難にこなす即席計画が成せるかもしれない。

 そう思った僕は、女子連中から目を逸らしつつ真剣に問うてみた。

 

「(長谷部さんと話す)覚悟はできているか?

───僕はまだだ」

「コイツ……死んだな」

 

 まぁでも、考えてみたら別に仲良くならなくてもいいか? 必要なら愛里とかがなんかやってくれるはずだし(丸投げ)。

 

「左京君って……な、なんなの?」

「あ、冷めるとアレだし、サクッと食べな。は、長谷部……さんが食いたいか聞き忘れたのは悪かったけど、暖まるぞ?」

 

 未知の生物を見るかのような長谷部さんの視線は少し気になるものの、「寒いでしょ? おこた入んなっ」なノリを模倣してオススメする。

 

「夢月さん。長谷部さんに箸を渡し忘れてます。このままじゃ食べられないでしょう」

 

 早苗のナイスな指摘もあったので割りばし付けて、と。

 

「そこじゃないでしょ早苗さん!? どっちもアクセル全開だと収拾つかなくなるよ!? あと夢月君は波瑠加ちゃんを怖がる必要なんかないからね!」

「あ、あはは。やっぱなんか変だわ、この人達……」

 

 ちなみにこの会話直後、早苗が無理矢理僕のいるカマクラに入り込んでこようとしてきたことにより勃発した喧嘩でカマクラが崩れ落ちた。当然、氷像…雪像?を作ろうと雪を集めて固めてあったモノも全ては無に帰した。

 1人ぶんくらいのスペースしかない即席カマクラで高校生男女が揉みくちゃになれば、こうなることは必然だっただろう。

 形あるものはいつか壊れ、祗園精舎の鐘の声、諸行無常の響きありなのである。

 謎に嬉々として絞め技を回避すると、次は拳を向けてくる早苗になんとか蹴りで対抗しながら、僕は世の無情と不条理を嘆いた。

 

 

 

 何に幸福を感じるかは人それぞれ。誰かさん達のように金、支配、暴力に幸福を感じる奴もいれば、僕のように怠惰に幸福を感じる存在もいる。

 それにマズローの5段階欲求説も、4段目の承認欲求までは欠乏欲求で心の不足を満たすことが行動原理になるが、5段階目の自己実現はまったく性格の違う欲求であり、更に先にある6段階目の自己超越となると更に次元の違う。

 つまり、どこを目指すかでも幸福は変わってくると言うね。

 

 作ってたモノがほぼなくなったことにより、僕達はちょっとしたハプニングと片付けの後、ショッピングモールにある茶屋へ移動してきた。

 誰が呼んだのか途中で合宿で僕や四方と同じグループだった三宅も合流した(清隆他も呼ぶつもりだったらしいが、合宿の疲れで休んでるとのこと)が、彼も愛里達Dクラスのグループなので問題はないだろう。

 問題は早苗に加え、長谷部さんの性格・性質だ。

 

 この女子、基本性質が陽キャ寄りだったのだ(偏見)。

 なんとカラオケに平然と……平然と入店しようとしやがった!

 しかも1人でではない。僕も含む集まってた全員を連れてだ。逃げようにも、移動中から愛里が僕の腕を掴んでいて逃げられない。

 僕はもちろん切々と訴えた。

 

「長谷部さんは幸福、あるいは不幸というものを考えたことがあるだろうか?」

「は?」

「また夢月君が変なこと言い出した!」

 

 愛里も失敬な。内心疑問に思ってるくせに(希望的観測)。

 

「僕はある。それは寂しさを楽しみつつ心地好い日向ぼっこができる幸福。自分の席から離れて戻ってきた時、誰かが僕の席に座ってたりして行き場がなくなる不幸。こうしたことだ」

「……相変わらず、夢月の陰キャ解像度は高いな」

「でも私は少しわかりますからなんとも」

 

 この主張に同意できる者(早苗と愛里、それにもう1人)は何気に小さく頷いている。

 だが、陰っぽい匂いはさせてるのに、認識の甘い奴が1人。

 

「カラオケに行くくらいで何を大袈裟な……」

 

 そう、新たに参入した三宅という男だ。

 彼はおそらくまだ間に合う。

 僕もそうだと自信を溢れさせて説得すれば、勇気付けられる可能性もあるだろう。

 

「三宅! お前にもあるだろう? 青春コンプレックスの一つや二つ……否応なく自分の頭を地に打ち付けたくなる記憶が」

「ねぇよ!? 俺にまで変なキャラ付けしようとするんじゃない!」

「ふっ、恥ずかしがらなくてもいい。唐突に「し、静まれ俺の右腕っ……!」みたいな事を言い出そうと、生温い笑みしか向けないさ」

「やらねぇし、やっ……やったこともねぇよ!」

 

 ふむ。少し詰まったな。

 つまりは類似する恥ずかしい過去などの心当たりはあるということか。

 武士の情けだ。あまり付き合いも深くないわけだし、これ以上深掘りするのはやめてあげよう。

 

「まぁそれはともかく、陽系寄りなイロモノである四方と長谷部さん以外は、確実な陰の者だと確信している。つまり仲間で同類ってことだな」

「陽系……俺もか……」

「なんかサラッと言外に仲間外れにされた!? カラオケ誘っただけなのに……!」

「なんて嬉しくない認識してやがるんだ! そのわかったような生温かい感じの笑顔やめろ!」

 

 なんか長谷部と三宅が騒がしくなったし、ここはスルー安定だろう。

 

「さて、では茶屋に行こうか。陰仲間である僕達にこの騒がしきカラオケはふさわしくない。てか、自分以外と入店するのが意味不明すぎる。なんなら怖い」

「軽く流された!? つーか、ヒトカラに順応しすぎだろコイツ! むしろそっちのが珍しいまであるだろうが!」

「カラオケは1人で行くもの。それは僕の中で絶対不変の理だ。

 だから行くなら遠慮なく僕を置いて行ってくれ」

「何人かから聞いちゃいたが、コイツ意外にも人当たりはそれなりな割に付き合い方がめっちゃマイペースすぎてやべぇ! しかも何気に頑なっ、だと!?」

 

 誰情報だよ、それ。愛里か清隆、付き合いあるなら四方あたりか。

 てか、ちょっと会話に疲れちゃったし、言うことは言ったのでもう茶屋に向かってしまおう。誰も付いてこなくても特に問題ないしな。

 

「おいっ! 突然黙った挙げ句、勝手にどっかに進み出すな! お前は波瑠加か!?」

「みやっちまでおかしくなった!? 私のどこが左京君!?」

「お、落ち着いて波瑠加ちゃん、明人君! これが夢月君だから!」

「あぁもう。早苗も普通に夢月に付いてくし、コイツらはホントどうしたらいいんだ……」

 

 む? 四方の言葉に横を見ると、たしかに早苗も来てる。

 愛里の方に行かないなんて珍しい。あっちには愛里の新しい友達がいるから自分はいなくてもいい、とか考えたのかな? まぁ、どっちでもいいか。

 

 この後、何故か追いついてきた彼らとお茶しつつ、少し話をした。

 そこでも一之瀬についての話題が出たのだ。

 といっても僕と早苗は基本黙って聞いてただけだが、長谷部さんはどちらかと言うと一之瀬自体に懐疑的で、愛里は信じてる感じ。お人好しだからか、長所をしっかり見極める性質ゆえか、あるいは合宿で共に生活したからかもしれない。

 

 四方と三宅は一之瀬の話題ではなく、僕や早苗、時々高円寺のことを話して意気投合していた。

 まぁ、いつでもどこでも大して変わらない僕にはあまり関係ないことだろう。

 ぶっちゃけ、長谷部も三宅も僕がそこまで交流しなくても大丈夫と判断できたからには、付き合いが切れても支障はない。愛里や清隆がいるなら、気遣いしてまで仲を深めるまでもあるまい。

 

 と気楽に構えてたら、逆になにやら目を付けられたのか、この日以降も彼らDクラスのグループ(愛里と清隆以外)ともちょくちょく出くわすことになるのはまた別の話。

 余談だが、三宅と最後の1人である幸村はまぁいいが、長谷部さんはだる絡みがあるので疲れると、この少し後になって気づくことになった。

 

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