ようキャ   作:麿は星

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 今回は早苗視点。

 ただ二度も早苗視点を見送った末の三度目のせいか、おかしい点とかあるかもしれません。
 なので、そういう部分はスルー推奨です。
 それとこれ系の話の例に漏れず、またしてもよう実要素少なめになってしまいました。



P、東風谷早苗

 

 神様を信じるかと人に問うと、信じられるわけがないと人は答える。

 奇跡を起こせると人に話し、実際に起こしてみると、懐疑か排他が返ってくる。

 私はそれを繰り返して、徐々に諦めていった。

 

 

 

 小学生だった頃―――私がまだ希望を多く持っていた頃、空を飛ぶという奇跡を人前で披露したことがある。

 当時の私にとっては、少し長めの祝詞と祈りでできるお手軽なパフォーマンスのつもりだった。

 

 だけど返ってきたのは、先生からのお説教と同級生からの排他的感情だった。

 

 『常識』を知り、生身で空を飛ぶ奇跡などありえない、と先生達の中では決まっている。

 だから、先生達は飛ぼうとも思わないし、飛んでいる私が何らかのトリックで浮かんでいると―――危ない事をしていると考えたのでしょう。

 そして先生がお説教した=私が悪いことをした。と解釈した同級生は、私に異質なモノを見る目を向けて避けるようになったというわけだ。

 この時は、現代に満ちる常識が私のみならず神奈子様や諏訪子様の存在自体すらも抑止して、窮屈な場所に押しやろうとしているように感じていた。

 

 そしてこの件が後々まで尾を引いた小学生時代の私は、ほとんど一人で時を過ごすことになる。

 だが、そのおかげで神奈子様達との修行に専念でき、知識と力を得ることによって―――神奈子様達へ流れる力が少しずつ減じている事に気づけた。それは人々が神様を信仰しなくなったという原因と、既に存在する事すら危険域にあるという事実も併せて。

 神奈子様は私の寿命くらいまでは見守れると言ってくれたが、それはつまりその後に消えてしまうことと変わらない。

 

 それに気づいた中学生の私は焦った。

 今思えば、その頃の私は信仰を集めようと空回りばかりだった気がする。

 お昼に学校の放送室に乱入して宣伝放送したり、登校前に拡声器で「信仰の朝が来ました~!」と声を張り上げてみたり、メルマガをやってみたり。

 当然、信者は集まらず、それがさらに焦りを加速して悪循環へと陥っていた。

 そんな中でも、私の美貌を目当てに色気づいた男子だけは寄ってきたが、それが生んだ結果は女子のコミュニティからの完全排除と、その女子達に追従する男子からの攻撃だった。

 何度か男子ごと返り討ちにしているうちにどちらも来なくなったが、代わりに友達どころか話しかけに来る人もいなくなったので、痛し痒しに感じたものだ。

 

 

 

 そうして周りが静かになると冷静に考える時間ができて、私は悟らざるを得なかった。

 

 この世には、私にしか見えない・できないことが存在している。

 

 いくら神様のことを言い立てても、奇跡を見せても。

 周りの人からは、見えないナニカに話しかけては信仰を求め、種のわからない手品で目立とうとしているようにしか見えないらしい。

 両親や妹を含む周囲の人たちから注意や心配をされて、見かねた神奈子様に力を制限されて使えなくなった時。

 ようやくこの事を悟ることができた。

 だが、もう遅かったのだ。

 

 自分にしか見えない神様や自分にしかできない奇跡。

 異常といってもいい身体能力に、同世代が苦戦するレベルの理系知識の吸収効率。

 少数の例外以外は黒髪に見える私の緑髪。

 あげれば次々に私の異質な部分が他にも浮かび上がってくる。

 しかもそんな異質な部分に加え、世間一般からはズレていると思われる価値観や常識も問題だった。

 

 苦心の末、価値観や常識を世間に合わせる事は一応できた。

 しかし、無理矢理型にはめたことで生じる不自由は、私の想像を超えて苦しかったのだ。

 少しでも自分を出せば、騒がれて排除される。

 そんなイメージがこびりついて、息苦しかった。

 これは思い込みだけではなく、これまでの経験が私にそれを確信させていたのだ。

 

 でもじっと自分を殺し続けていると、心が動かなくなっていく自覚があった。

 その為か、日々が退屈で……本当に退屈でつまらない。

 かといって下手に動けないので、だんだん私は日課以外で自発的に動くことすら少なくなっていった。

 

≪早苗、一度外の世界を見てきたらどうだい?≫

 

 そんなやる気の出なくなった私を見て何を思ったのか、昔より気配が薄くなった気のする諏訪子様が、東京のとある高校のパンプレットを見せながら珍しく私に行動を勧めてきた。後ろには、心配そうな神奈子様も見える。

 どうやら最近の私は、普段マイペースな諏訪子様にも気を使われるほど酷い有様だったらしい。

 

 度々進路について言われるようになり、そろそろ進路を決めないといけない時期ではあったのだが、何もしていなかった事にようやく気づいた。

 とはいえ、地元を離れるつもりのなかった私にその勧めは寝耳に水である。

 ただこのままでは腐っていくばかりだとも思っていた事もあり、倦怠感に抗いながらも、前々からの疑問を試すとともに、やる気を搾り出そうとちょっとした賭けをしてみることにした。

 

 人は何故、神様や奇跡は信じられないのだろう?

 普通は目に見えないし、見えない人には存在を証明できないからか?

 私には見えるし話せるし感じるそれらを、何をしようと誰も彼もが信じてくれず、頭がおかしい子扱いするのは―――何故なんだろう?

 

「神様も奇跡も私には常識みたいなモノなのに」

 

 だから、諏訪子様に勧められた高度育成高等学校だけじゃなくて、地元の高校にも入学できるようにしておいて、せめて諏訪にいられる残りの時間は全力で神様や私の異質なナニカに気づいてくれる人を探そう。

 

 見つけたら、これまで通り地元で。

 見つけられなかったら、勧め通りに外へ探しに行く。

 そんな賭けをしてみることにした。

 

 もしもそんな人が見つかったら……現れたら。

 今の私にそんな奇跡を起こすことができたなら。

 神奈子様も諏訪子様も信仰の減少だって何とかできるはず。

 なんたって私は奇跡の風祝なのだから。

 

 

 

 しかし、高度育成高等学校入学までの数ヶ月。

 結局最後まで、幻想に気づいてくれる人は現れなかった。

 

 

 

 

 

 その時の賭けが僅かに頭に残っていたのかもしれない。

 5月半ば、中間テスト前のお月見前のちょっとした雑談中に、つい夢月さんに聞いていた。

 この頃はまだ友達を苗字で呼んでいたと、懐かしく思い返して会話が鮮明に蘇る。

 

「左京さん。私の髪って……何色ですか?」

「あー? ド派手な“緑色”だろ? この学校、珍しい髪色の奴が多いから“ド”が付くほどは目立たないけど……」

「ふふふ……やっぱり夢月さんにはそうなんですね」

「いや、何がそうなんだよ」

「実はほとんど人には黒髪に見えるらしいですよ」

「えっ!? 東風谷の髪って、他の奴には黒髪に見えてんの?」

 

 思い返しても、なんでこんな事を聞いたのか自分でもわからない。

 でも神様の存在に気づいて―――確信していて、前に助けられたとあれだけ真摯に感謝して祈っていた夢月さんなら、そう応えてくれると思っていた。

 

 それだけでも中学時代までの私は救われていたけれど、驚きからすぐに立ち直った夢月さんは、さらに「常識に囚われてたらなにもできないだろう」と言い放った。

 勿論、前後の会話から、私に向けてではなくその仙人や自分へ向けた言葉なのはわかっていたが、それでも私が感じていた枷と不自由―――と頭のネジを一番多く吹き飛ばしたのは、まぎれもなくこの言葉だった。

 

 

 

 左京夢月は、忘れ去れてゆく現人神の末裔たるこの私が最初に認めた人だ。

 神奈子様が教えてくれたところによると、奇妙な神様のような怨霊のような動物霊のようなものが憑いているらしいが、基本的には普通の人間が現人神に奇跡を感じさせたのだ。

 これは認めるしかないでしょう。

 

 諏訪子様の力を故意に垂れ流して作った、人払い兼選別の為に纏っていたものを突き破って接触された時点で一応その力を認めてはいた。

 だが、最初はその何物でも受け入れる器と独特の雰囲気を利用するつもりだったのに、いつの間にか逆に取り込まれていたのである。

 ある時、絶望していたのも忘れて、友達にされていたと気づいたあの衝撃は忘れられない。

 昔の私が願った奇跡が時間差で発動したのかと思ったほどだ。

 

 そして、愛里さん、二三矢さん、桔梗さんと極めて狭かった人間関係を徐々に広げられたのも、彼の存在が大きかったのでしょう。

 嘘臭い匂いがしてなんとなく気に食わない綾小路とかいう男子はともかく、夢月さんが連れてくる人は基本ハズレがない。

 二三矢さんと桔梗さんは慣れるまで少しかかったが、今となっては私にとってなくてはならないツッコミ役と悪友になっている。愛里さんは言わずもがなか。

 

 こうした友達と過ごすたびに、ずっと私に纏わり付いていた不自由が、常識が、退屈が、自分で自分にはめた型が。

 ただ話したり遊んだりするだけで、だんだんと崩れていった。

 

 というか、この頃になるともう夢月さんを筆頭とした友達に影響されてか、自分を殺すくらいなら、押さえ込もうとしてくる存在を返り討ちにしてやろうという心境になっていた。

 おそらくこの心境の変化が、カチコミなどという暴挙に喜びを感じ、圧倒的な力で敵を下して、柄にもなく高いテンションでハイタッチを交わす遠因となったのだと思う。

 

 

 

 現代社会では、信じられないことなんて起こらない。

 私自身には夢のように不思議な事も、奇跡も、きっと起こせない。

 そう思いながら、退屈でつまらない毎日を過ごしてきた。

 

 だけど―――私の想定とは色々ズレていたが、奇跡は起こっていた!

 私ではなく、左京夢月というただの人が中心となってだけど、奇跡は起こされていたのだ!!

 それも何度も!!!

 

 これに気づいたのが一人の時で本当によかった。

 もし誰かと一緒にいる時に気づいていたら、力一杯抱きついていたかもしれない。

 あれほど制御できない感情の波だ。感極まって泣き喚いて、これ以上更新できない黒歴史になっていた可能性すらある。

 その相手が、夢月さんか桔梗さんだったら、卒業まで遊ばれたことだろう。

 だって、私ならそうする。

 だから、あの二人なら骨までしゃぶり尽くすと確信している。

 

 でも、最近はそんなことすらも楽しい。

 愛里さんや二三矢さんは友達として。夢月さんや桔梗さんは方向性の似ている悪友として。

 私は今、彼らと一緒に何かをするのが楽しくてしかたない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして現在。

 口をつぐんでいた私がなんとなく少し昔を思い出している間にも、新たに参戦した担任教師が夢月さん包囲網に加わっていた。

 

「何故って言われても、私は左京君が一之瀬さんと東風谷さんを引き連れて他のクラスに殴りこんだ、って聞かされたんだよ? 担任なら呼び出されるわよ、普通。それで事情を聞こうと、一之瀬さんのGPSを頼りにここに来たの」

「あ、そうなんですか。お疲れ様です。一之瀬さんはこちらに。

それじゃ僕はこれで失礼します」

「なに私に丸投げしようとしてるの!? 今度は逃がさないよっ! 星之宮先生からも言ってやってください!」

 

 夢月さんは、担任の先生が出てきて急速に悪化した現状を把握した瞬間、逃走しようとして一之瀬さんに捕まってしまった。両肩付近を押さえられているので、あれでは逃げ出すのに2ステップは必要でしょう。

 あっさり捕まったのは、夢月さんから見て一之瀬さんはほぼノーマークだったので、油断したせいかもしれない。

 

「それにしても、他所のクラスに乗り込んだ上に、白昼堂々と出会い系を立ち上げるようとするわ、そこで人の勧誘までするわ……。ホントに前代未聞よ~?」

「はっはっは、何のことでしょう? 恋愛弱者で凡人の僕がそんなことをするわけないでしょう。察するに、なにやら事実が捻じ曲がって伝わってしまったのでは?

……ところで、あの、一之瀬さん? そのぉ、そろそろ離してくれると…ですね」

「離したら逃げるからダメ! 左京君は一度しっかりお説教された方がいいと思うの!」

「私が思うに、今まさに左京君が自供した状況だと思うんですけど」

「ふふっ」

 

 さっきまでの話を近くで聞いていた担任の先生に気づいていれば、椎名さんの言う通りの状況でしょう。つい笑いが漏れてしまうが気にもならない。

 そう、一之瀬さんを怒らせていた時点で、もう先生は来ていた。

つまり誤魔化すのは手遅れということです。

 

「うふふ。面白いし、私は左京君の好きにさせてあげたいわ。でも教師として規則は守らせなきゃダメなのよね~。私が許しちゃったら、他の先生方も納得がいかないからね」

「……なんでっスか? 面倒は少しかけるかもですけど、なるべく迷惑はかからないよう動きますし、先生にとっても得にもなるかもしれないですよ?」

「私は学校組織に勤めてる教師なの。生徒が規則を破ろうとしたら、最低でも注意はしないといけないんだよね~。組織に属するってのは、こういう風に自分の意思だけでは動けなくなるってことなのよ。というわけで。

―――さあ、罰則は勘弁してあげるから、大人しくお説教されなさい!」

 

 しかし夢月さんはまだ諦めない。

 さっきの龍園?とかいう人じゃないけど、不意打ちだったはずなのに、いったいあの粘り強さと言葉の数々はどこから湧いてくるものなのでしょう?

 

……それにしても夢月さん、本当にこの二人が苦手なんだなぁ。

 私も人の事は言えないけど、もうなりふり構わず言葉を搾り出している感がすごい。

 

「罰則とか説教とか、必要じゃないなら無くてもいいじゃないですか。担任みたいな胡散臭さと腹黒さが服着て歩いてる美人と正面から話すとか、僕みたいな男にとっては精神をやすりにかけられるようなものなんですよ。なので、どうせなら不問にしてください」

「えぇい! もう年貢の納め時だよ! いい加減観念しなさい! 先生と二人が嫌なら私も付いていってあげるから」

「アホか! 裏があろうがなかろうが、明るい感じの美女・美少女が苦手だっつってんだよ! これで一之瀬まで来たら罰ゲームEXだろうが!」

「……………………私って…胡散臭い? ……腹黒そう? ……裏がありそう?」

「あっ! そ、そんな事……なくもないですけど、私から見て星之宮先生のお腹は黒っぽい群青って感じだから大丈夫で…すよ」

「一之瀬さんまでそう思ってたんだ……」

 

 あんなに胡散臭いのに、意外と打たれ弱い!

 あの先生が、涙目になってショックを受けるとは思わなかった。

 でも夢月さんって、思った事そのまま出すと口撃力があるから、不意を討たれると大人でも結構ダメージありそうかも?

 そして、一之瀬さんは根が正直なせいか慰めがトドメになってますね。

 

 これは案外本当に返り討ちにして夢月さんが逃げ切るかもしれない、とワクワクしてきた。

……まぁ他に気をとられても慌てても離さない夢月さんの両肩に置かれた一之瀬さんの手と、狙いを定めている目の椎名さんがいなければ、ですけど。

 

「……初めてこうして向き合って話したけど、予想以上に手強いわね。これは直接向き合わなきゃわからない感覚だわ~」

「そうです。僕を手強いと思ってくれたなら、そろそろお開きにしましょう。今のが説教だったってことにすれば、学校にだって」

「いや、貴女方は何と戦ってるんですか? 左京君のお説教がだんだんズレてきてますよ」

「おまっ、椎名……さん! さっきからなんでちょいちょい軌道修正してくれちゃってんの!? 折角ここまで誘導したのに、あとちょっとで……」

「「―――左京君? あとちょっとで……なにかな?」」

「あ」

 

 それにしても無理のある言い訳をしながら、なんとか逃げ出そうと四苦八苦している夢月さんを見ていると、自分も原因の一つであるにも関わらず、おかしくて仕方ない。

 それに私を通してこの場を見守っている神奈子様や諏訪子様も久方ぶりに明るい雰囲気を出していて、それを感じるだけでも嬉しかった。

 ほんの数ヶ月前までの私には、こんな風になるなんて想像できないでしょうね。

 

 

 

 ガチャの答えは返せなかったけど、なんとなく急ぐこともない気分だ。

 本当に必要なら早いうちに言ってくると思えるくらいには、私は夢月さんを信頼している。

 

 カチコミに付き合ってくれたけど、普段の彼はのんびりするのが好きで勝ち負けにすら結構適当な性格だ。

 だが―――いざとなれば私の起こせない類の奇跡を起こし、ありえないくらい迅速に動き、不屈の精神で逆転の目を探り、驚異の勝負強さと実行力で『なんとなく』当たりを引き寄せる。

 そんな人だと思っている。

 しかもさっきの話からすると、受けた恩も仇も返せるだけ返そうとする義理堅さまで持ち合わせていた。それに私がどれだけ嬉しさを感じたか夢月さんにはきっとわからないだろう。

 担任と一之瀬さんに挟まれながら、怒られて謝罪を繰り返す夢月さんの姿からは、微塵もそういう時の雰囲気は感じられないけれども。

 

「てめっ、東風谷と……ついでに椎名…さんも、なに笑ってんだよ! これで説教はもう今日二度目なんだぞ! ここは東風谷に任せるから、そろそろ代わってくれ!」

「うふっ、左京君の自業自得ですね。ああ、ついでに言っておきますが、今更私にさん付けは要りませんよ? うふふふ」

「ぷふふふ、すいません無理です。ぶふぅー!」

「左京君、まだ話は終わってないよ? 余所見しないの!」

「美女と美少女に囲まれてモテモテでいいじゃない。ま、私は腹黒が服着て歩いてるみたいに思われてるけどね~?」

「もう勘弁してくださいよ。あれは、そう、つい本音と建前を間違えただけで」

「左京君、左京君。それ、フォローじゃないからね?」

「いったぁ。また心が傷ついたなぁ。というわけで、お説教の追加入りま~す!」

 

 まぁ、難しいことはいいや。

 初対面だけど、笑ってる椎名さんの近くなら私が笑っても目立たない。

 お説教をしている一之瀬さんや担任の先生も、話しているうちにだんだん夢月さんがわかってきたのかどこか楽し気だ。この分なら、私の番は回ってこないだろう。

 

 彼がいると大抵は場が荒れるから、見てるだけでも本当に退屈しない。

 つまらないなんて思う暇もないくらい面白いことが起きる日々。

 だから呆れることは多いけど、最近は笑うことも増えた。

 そして今日もまた―――。

 

 

 私は東風谷早苗。

 学園に住む奇跡の風祝で、いずれ神へと至る可能性を持つ者。

 神奈子様も。諏訪子様も。そして私も。

 いつかみんなに忘れ去られ、消え去っていく運命にあるのかもしれない。

 

 それでも、この奇跡のような時間を私は絶対に忘れないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 上空に浮かびながら、下で笑いに包まれている早苗とその友人を観察してみる。

 諦めきれておらず、どうにもならなくなっていた早苗に自分を取り戻させ、本来の明るさが徐々に戻りつつあるのは、あの青年を含めた周囲の人間達のおかげだ。

 これでもう心配して、しょっちゅう様子を見に来る必要はないだろう。

 そして、もう一つ。

 

≪面白い≫

 

 あの人の子は、神々を認識し信仰もしている。

 しかし決して頼ってはこない。

 相手が神であろうとも重要な選択を自分自身以外に委ねることはしない。

 簡単なようでいて難しいこれこそが日本古来の信仰の在り方と言えるだろう。

 

 早苗にすらできているとは言い難いそれを、私が知る限り3度、あの青年ははっきりと示した。

 それでいて―――自分の知る神をも利用する古の将や軍師のような視点を持っていながら―――全く違う発想に行き着く稀有な者。

 あれが化ければ、手塩にかけた早苗に匹敵するところまで駆け上がるかもしれない。

 未だ不安定な自分達だが、その時に立ち会えるかを相方と賭けて、これからの楽しみの一つに加えるのもまた面白そうである。

 

 

 

 私は―――私達はただ夢想する。

 人間でも神と同等の強さを発揮できる勝負。

 もしも、そんな夢のような神遊び、つまり祭りがあったなら。

 そんなことができる神のセカンドライフを送れる場所があったなら。

 

 あの人の子とも、早苗達と一緒に遊んでみたいものだ。

 





 久しぶりの人物(神物?)紹介。

 神奈子様、諏訪子様。
 それぞれ名を八坂神奈子、洩矢諏訪子といい、東方風神録の6ボス&EXボス。
 作者としては、神奈子が営業担当、諏訪子が実務担当の仲の良い神様コンビな印象なのだが、2柱揃ってるところはほぼ二次創作の知識でしか知らなかったりする。その為、本来はあまり一緒におらず、早苗に呼ばれたり気分が向いた時だけ揃って登場する、という独自設定が付いている。
※例:プールでは諏訪子だけ、学級委員会では神奈子だけ、月見では早苗が呼んだので2柱、みたいな感じ。

 信仰や早苗に対しても対応が微妙に違い、諏訪子はなるべく自然のまま、神奈子は何とかしようという気持ちが強い。
 とはいえ、左京や早苗が傍から見て不自然に動く場合などはどちらかが関わっている事もあるので、干渉は気分(ダイスの目)次第。むしろ回想含めた干渉回数だと、これまで諏訪子3回、神奈子2回なので、気分屋な神様の方が動いてくれるのかも、と思ってたり。



 以前は東方色をあまり出さない予定だったので、すわかなの二柱はどうしようかと思ってたんですが、『さんきゅっぱ』であっち方面を出しちゃったので今更かな、と。
 それに、ここで早苗の背景含めて出しておかないと、あとで微妙に困りそうだったのもあって投稿。
 ちなみに今話ラストが、どちらの神でも通じる感じなのは仕様です。



 あともう一つ今更な余談だけど、私は起こった物事のいくつかはダイスでルート決定・成否判定してるのですが、ここまで目に見える大失敗をしてないのは何気にすごい気がしてます。
……うん。なんか、どこかで大失敗しそう。
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