今回は、櫛田視点。
元々、櫛田は早苗視点とセットのつもりだったけど、長くなって分けたら連続の他者視点になってしまいました。
それは夏に近づいている暑さを実感する6月のある日。
無駄になるだろう幾度目かのあいつら、糞女と綾小路君への接触をした時のことだった。
「あっ! 夢月さん、桔梗さんです! 見つけました!」
「でかした、東風谷! やっぱり佐倉か綾小路にも協力を仰ぐべきだったかと後悔し始めてたよ」
騒ぎながら唐突に現れたのは、ストレス解消によく利用している早苗と左京君。
早苗はともかく、左京君から私に会いに来るのは珍しい。というか初めてかもしれない。
それに免じて、どうせ無駄になると思っていたこともあり、今回は目の上のたんこぶ女を見逃がしてもいいかという気持ちになった。
「桔梗さん、どうもです」
「今日はDクラスのリーダーとしての櫛田に話があってきたんだ」
「―――そこの貴方! 櫛田さんがリーダーというのは誰が言っているの?」
「それでだな、立ち話もなんだし、空いてたら図書資料室とかで話せないか?」
「なんでしたら、奢りますからどこかのカフェでもいいですよ?」
「ちょっと! 聞いているの!?」
「……堀北、無駄だ。この二人、全く聞いてないぞ」
私が口を開く前に、胸も器の小さい女には見逃せない発言だったのか口を挟んでいたが、早苗と左京君から完全スルーなのが笑える。
それにしても、私の目の前には綾小路君とついでに高慢女もいるのに、まったく目に入っていないところが彼女達らしい。もうそこそこの付き合いになるが、この二人は何か目的がある時は、気になるモノがないと他に目が向かないという一点で共通している。
「それはいいけど、その前になんでまた私がリーダーだと? 初耳なんだけど」
「え? 櫛田以上にリーダーっぽい奴がまだいるの? 正直、会ったことのある同級生の中ではトップクラスのリーダー気質だと思ってたんだが」
「そうですよねぇ。悪知恵も色々教えて貰えましたし、押し出しはそれこそ一之瀬さんともタメ張れそうなくらいですもんね」
「ちょっ、早苗、言い方ぁ! 悪知恵とか誰かに聞かれたら、私のイメージが崩れるでしょーが!」
この場ならまだいいけど、二人は私の素を隠すものと認識していないから全くもって始末が悪い。
でもそれを知った上で、私をリーダーだと思っていた勘違いは好ましい。
早苗も左京君も嫌うどころか『この私を』認めて普通に受け入れるから、どうしても私から本気で嫌うことができないのだ。
「それで改めて聞くが、櫛田、今は時間あるか?」
「待ってください! 綾なんとかと知らない人もいます! 桔梗さんの友達かもしれません!」
「うん? あ、ホントだ。綾小路じゃん。いつの間に……」
「最初からいたぞ。左京達の目に入ってなかっただけだ」
「綾小路君の知り合いだったの?」
「あ、ああ。オレの友達でさきょ」
「それと櫛田と綾小路の友達か」
「待ちなさい! 貴方、誰が櫛田さんの友達だと思ったのか言ってみなさい!」
「あんた」
「堀北、お前……。櫛田しか否定しかったということは、ついにツンデレのデレが解禁されたのか?」
「それは認識違いね。私に友達なんていないわ。必要ないもの。
―――あと、綾小路君は頭沸いているの? 滝にでも打たれてきなさい」
だから私はこの状況で、どう返そうかと迷って返事が少し遅れた。
その間、憎たらしい女は左京君や綾小路君にいつもの上から目線な態度でいつかも言ったような台詞を吐いていたが、左京君に全く相手にされてない事がわかって内心愉快でたまらない。
私も何度か向けられたからよくわかる。
あれは興味ない時の返し方だ。
左京君からすれば、このビッチ女が私か綾小路君の友達じゃなかったらどうでもいいのだろう。それくらい理解できる付き合いはあると自負している。
一方、私の友達と呼んでいた女の主張を聞いてちょっと考える仕草をした左京君は、何かを思いついた顔で口を開いた。
これまでの興味なさ気な態度からは一変。それは予想と違って気遣いと生暖かさを感じられる口調で、かつ本人ができるだけの優し気な笑顔である。
それを見て私は、なにか嫌な予感がした。
「んー? ……ああ! わかる、わかるよ。友達がいないから、そんな残念な性格になったんだよな。ちょっとせつなくなってきたし、せめて唯一の友人っぽい綾小路には優しくしてやれよ?」
「うわぁ、確かにこんな風になっちゃうなんて、せつなすぎる! あれ? そうすると、もしかして私達ってお邪魔だったんじゃないですか?」
「なっ!?」
「―――ぶふぅーーー! あはっ、あはははははは!!!」
「おわぁっ! 吹き出した!? つ、唾がオレの服に!」
まぁそれは、この友達いない女と話した結果、残念という評価を下して、一見では優しく、こき下ろす(二人はそのつもりじゃないだろうけど)までのことだったが。
これには久しぶりに嗤わせてもらった。
嗤った事で人をせつなくさせる女が睨んできたが、そんなことすらおかしさのスパイスにしかならない。勢いあまって思わず綾小路君にご褒美(笑)まであげてしまったが、これくらいの幸せのおすそ分けはいいだろう。
「いやそうは言っても、この時期だし、櫛田の慈善事業かイメージ向上計画がてこずってるだけじゃないか? なんかわからんが、拗らせすぎて逆にストレートになったこの黒髪の可哀想な子を、長期的接触で治す美談的な感じでやってたんだよ、きっと」
「なんか人気者を維持するのも大変そうですね。でもそれだと桔梗さんが笑い出した理由がわからないんですけど……」
私が吹き出し、綾小路君が慌てだし、現在笑い者になった女が目つきを鋭くさせているというのに、マイペースに会話のような追撃を続ける二人。喋れば喋るほど、煽ってるとしかいえない事に気づいていない。
もはやいつ実力行使に出てもおかしくない暴力女の雰囲気だけは察しているようだが、平常運転なのは見てのとおり。早苗は疑問を持ち始め、左京君は微妙に面倒に思ってるっぽくなってきたが、この二人ならこの後はきっと……。
それにしても。
残念な性格。こんな風。せつなすぎる。黒髪の可哀想な子。
か・わ・い・そ・う・な・子!!!
なんとも絶妙な言葉のチョイスだ。
これで嗤うのは我ながら性格終わってると思ってしまったが、それはそれとして吹き出したままの勢いで笑いが止まらなくてお腹が痛苦しい。
「あっ! ひょっとしてあの人が……?
……夢月さん、とりあえず先に桔梗さんと話しませんか? このままだと、笑いすぎで話せなくなっちゃいますよ」
「お、おう。なんだかわからないが、そうだな。
というわけで……えーと、そこな残念少女? すまんが、自己紹介とアドバイスはまた今度に……」
「左京ぉ! オレが抑えているうちに早くブレーキを踏め! これ以上は殺人が起きかねないぞ!」
「貴方からのアドバイスなんて不要よ!! それより誰が残念少女なのかはっきりと言ってみなさい! ことと次第によっては」
「誰って、あんた以外いないだろ。
あと綾小路はなに言ってんだよ?」
予想どおり、早苗はようやく私が愚痴っていた存在を思い出したのか残念少女(笑)を放置する事にしたようだが、左京君は以前にも私や綾小路君に猛威を振るったその無自覚な舌鋒を弛めない。
彼からすると、名前がわからないから適当な呼び名を付けただけなのだろうが、その名付けのセンスよ。的確にボッチ女を逆撫でしていく言葉選びは、もはや才能だ。
おかげで、私のお腹にも更なるダメージが蓄積している。
「あっはははは! あはっ、ちょ、ふふ…もう、やめっ……お腹が……ひぎぃ、痛」
「櫛田は櫛田で、何がツボったんだよ?」
「女の子には、色々あるんですよ」
「堀北、少し落ち着け。左京は悪気があって言ってるわけじゃない……はずだ」
「どいて綾小路君。この男はきつい制裁がお望みのようよ」
「怖いわっ! ともかく落ち着けって。さっきから、もう人を殺しかねない目になっているぞ!」
「うわぁ、物騒だな。残念な上に危険度まで高いのかよ、おっかないな」
「なんですって!?」
「いいから、左京はしばらく喋るな! 頼むから!! マジで!!!」
「うっくく、いたっ…あ……いひひ、ひぃ、ふぅ…ふぅふっ」
「き、桔梗さん、大丈夫ですか?」
僅かな間に私はグロッキーになってしまい、早苗がさすってくれる背中が心地いい。
残念で危険度の高い女は、少しだけその場で左京君を睨みつけて足踏みしていたが、それでも監視カメラを警戒してか「非常に不愉快よ!」と言い捨てるだけで、綾小路君も置いて足音荒く去っていった。ざまぁ。
当然、私には非常に愉快でしかないひと時だった。
笑いすぎたお腹は痛かったけど、ここ最近のストレスが全て吹き飛ぶほどスッキリした。
特にあの残念女の負け犬の遠吠えをこんなところで聞けるとは思わなかったから、思いがけず最高に爽快な気分である。
気分はスッキリしたが、笑いすぎてぐったりもしてしまった私を早苗が支えてくれ、とりあえず近場の図書資料室という左京君の隠れ家的なところに案内された。
なんでも図書館や図書室に人が多かったり、雨が降った場合などに、室内活動する時用に借りている場所らしい。
結構な情報通を自認している私も知らない事を利用した上で、予想を外してくるのが左京君だ。その秘密を一つ知れたのは良い気分にさらに拍車をかけるが、そこまでして私と話したい事とはなにか興味も湧いてくる。
そして私が落ち着き、興味を抱いたと察したのか、左京君は整理するように話し始めた。
その話は、数日前、早苗の要望で一之瀬さんと一緒にCクラスへ殴りこみしたことから始まり、恋人ガチャという商売をしようとしていることとその中身だった。
ついでに、欲しい人材としてCクラスリーダーの龍園という人のスカウトしたりといったものもあったが―――なにそれ? この人たち、普段なにやってるの?
素でなにやってるのかわからず、宇宙猫の心地になりながら聞いていると、ようやく私に繋がる話になった。
「そもそも龍園は東風谷の話を聞いた時に有望っぽいとは思ったが、最初から引き入れられるとは考えていなかった。東風谷やCクラスとの問題を知らなければ、名前を知り、顔を合わせる機会すらまだなかったはずだ。
そんな者を僕は計画に組み込もうとは思わない」
それって……。
「さて、ここで一つの疑問があるだろう。
そう。では元々は誰に目をつけていたのか? という部分だ。その答えあわせをしよう」
「なにをいきなり芝居がかったことやってるんですか?」
「かっこつけたいんじゃないか?」
「僕が知る限り、同学年で商売系の協力者に最も向いていて、最良の人材は櫛田桔梗、その人だ。
―――うむ。東風谷君、綾小路君。人の見せ場に割り込んだ責任は重い。償いに、この後の櫛田のスカウトを命じる。決め文句がぐだったから、成功率は格段に下がったことだろう。あ~あ。
というわけで、東風谷は友達としてのアドバンテージで、綾小路はそのイケメンなご面相で篭絡を目指すとよいぞ。励め」
でも最初は知らない流れまで説明されたから混乱してわけがわからなかったが、つまり少なくとも龍園って人より私を買ってるってことでもあって。しかも、よくよく考えると私のやることは少ない。それでいて利益は多くなるように配慮している。更にいうと早苗の利益は信仰の獲得だろうから、私ともそれほど利害が対立しない。
ふざけてはいるけど、これは早苗や綾小路君が変なことをする前に、さっさと決めてしまったほうがいい話だと直感した。
「いいわよ。毎日とか無給とか無茶言わず、ある程度融通利かせてくれるなら引き受けてあげる」
「え? ホント? 引き受けてくれるなら、東風谷が要らないおいしい部分はほとんど回すつもりだったから、それくらいお安い御用だ。ああ、それとリスクについても大体は僕が受け持つから、櫛田は好きにやってくれるだけでいい」
「櫛田、本当にそんなに軽く引き受けてしまっていいのか? オレに篭絡しろとか目の前で言い放つ男だぞ?」
「うんっ、いいよ! 嘘は言ってないっぽいし、他のクラスだけど左京君って意外と義理堅いところもあるから、基本的に他人に無関心な綾小路君よりも信用できる! あと早苗の為にもなるし、PPも稼げて一石何鳥にもなるからね。
それになにより―――ううん、こっちはいいか」
それに入学してから数えても一番集中して一挙一動に注意を払っているけど、私の目に狂いがなければ、左京君は一切嘘をついていない。
私に何をやらせたいのかはまだわからないけど、左京君の性格や思考を考えると、彼の利益はおそらく手早く手に入れられる小銭だけだ。
しかもそれ以外、例えば成功すればその功績は私、失敗すれば責任は左京君が取る、ということも裏では考えていると思う。
本当にメリットはほぼ私、デメリットはほぼ左京君自身、といった感じに。それも逆ではなく、本気で。明らかに釣り合っていないのに。
この考えはただの直感だけど、不思議と合っている自信がある。
思えば左京君には、最初に会った時から変な『何か』があると感じている。
私のアレを一部始終見ていた第一声が「ども」で、言い争った末に混乱のあまり叫んでしまった私に持て成しだけして放置。しかも初対面でやらかした私の前で後ろを向いて寝る。
これだけでも色々おかしいけど、普通アレを見た後で事も無げに振る舞い、無防備に寝るなんてできるだろうか?
それを観察するだけでほとんど何もせず、結局は一応の弱みを握り合ったということで信用した自分も、今思えば私らしくなかった気がする。
綾小路君のように、いや他の誰でも。
何をされても信用なんかできないから、どんな手を使ってでも、容赦を無くしてでも。
そう思っていたのに、信用させられてしまっていたのだ。
その少し後には、素のままで仲良くなれてしまった早苗まで紹介されて。
それからの対早苗・対左京君でも、ずっと私らしくなく迷走している自覚があった。
―――今の私は、きちんと早苗や左京君……『友達』を利用できているだろうか?
だから、私はそれを確かめたい。
「それで私は何をすればいいの?」
「櫛田に頼みたいことは、一ヶ月ほどの宣伝と屋台での運営・集客だ。勿論、ガチャ以外の儲けは全て櫛田。この条件でどうだ?」
「その前に、宣伝と集客ってなにやるのよ」
「宣伝はその、桔梗さんの人脈を使って、守矢の分社で恋人ガチャを始めました~というのと、守矢神社には恋愛成就のご利益が~的な事を触れ回ってくれれば充分……なんですが。その、夢月さん発案の集客が少しアレで……」
「アレ…って、私になにやらせる気?」
「うむ。屋台を出して食べ物を売るつもりなのだが、櫛田には1日に1回人前でチョコバナナやりんご飴をなるべくエロく食べてほしい。ああ、ちなみに休みは要望がなければ基本僕がバイトか部活動をやる日だ」
「はぁ!? エロくって、あんたなにやらせようとしてんのよ! っつうか、それなら早苗でも佐倉さんでもいいじゃない」
「駄目だ。東風谷も佐倉も、容姿はともかくイロモノ感と処女丸出しなのが前面に出すぎていて色気がない。しかも接客・演技力以前に、度胸もしくは他人への耐性が低めだ。まだ長期ならそれでもいいが、短期だと櫛田以上の爆発力はない」
「しょっ! いや、え? この私がイロモノ!?」
「私が処女じゃないとでも言いたいの!?」
「すごいな左京。それを女子、しかも本人達の前で言うのか」
まただ。
客観的には酷い発言だけど、どれだけ見ても嘘も下心もない左京君の言葉に、自分の中の何かが満たされ、つい笑みが浮かびそうになってしまう。
それを隠すために不服な部分を前面に出して反論してみるが、効果が出ているかいまいち自信がない。
「そうじゃない。二人は前面に出すぎているのが問題なんだ。こういう女子は軽い出会いにおいては敬遠される場合が多いというデータも……ないが、なんとなくそんな気がする」
「ないんかい!」
「要は実際にはどうあれ、付き合えそうとかヤレそうに見られるかどうかってことだ。東風谷や佐倉の透かさずとも見える面倒臭さを知り、かつこの環境下で容姿だけを見て手を出そうなんて思う奴は相当の馬鹿だ。そんな奴は多分いないだろうし、万が一いても貰うだけしかできない甲斐性のない奴に違いない」
「……透かさずとも見える面倒臭さ」
「……そういう奴、結構いそうだな」
その証拠に、早苗と綾小路君が口を挟んだ時、こちらをチラッと見て驚いたような顔をしたから、もう限界かも知れない。今日の私は絶対おかしい。
一旦会話を止めてクールダウンしないと、取り返しがつかなくなる予感がした。
だから、私は一つ二つと深呼吸して思考を切り替えていった。
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さて。
綾小路君も言っていたが、その相当の馬鹿。
うちのクラスでは心当たりが何人も思い至るんだけど、Bクラスにはそういう奴はいなかったんだろうか? 流石にうちの3馬鹿レベルはいないと思うが。
とはいえ、左京君の言うこともわかる。
早苗は、私から見ても美人だけど人が近寄る雰囲気じゃないし、彼氏なんて欠片も興味がなさそうなのは、軽くでも接すればすぐわかる。彼女の目的は信者集めなのだし、それはアイドルに近いと思うからむしろその方がプラスに働くしね。
佐倉さんは……名前だけで実はあんまりどんな娘か覚えてないけど、眼鏡をかけた胸が大きくて内気なタイプだったと思う。
胸が大きいと危険も大きくなる可能性が高いのはわかっているし、内気なら尚更だ。その上にストーカーがどうとか早苗が前に言っていた。解決しているとはいえ、ストーカーに狙われたばかりの娘には、確かに無理があるだろう。
「実際や内心はどうあれ、その部分に大きく影響する親しみやすさという点で、櫛田に勝る奴を僕は知らない」
「一之瀬さんよりもですか?」
「あのなぁ、東風谷。
あの時は言えなかったけど、仮に一之瀬に頼んで承諾されたとする。そんで櫛田にもそうするけど一之瀬なら当然、僕達に口出しできる重役ポジだよな。そうなると、ある程度の手綱は渡さないとまずいよな。
―――そんな状態でまたなんかあった時、カチコミなり仕返しなりのダーティー寄りな手を、あの聖人といっても通じそうな一之瀬がすんなりとらせてくれると思うか?」
「うっ、ダメですかね、やっぱり」
「あの人、左京にそこまで言われるくらいなのか?」
「正直、僕や東風谷、櫛田あたりのアライメントが悪寄りな奴は、いつか浄化されるんじゃ? って可能性を考えるレベルで並外れた善人だと思ってる」
「どんだけだよ。っていうか悪寄りの自覚はあったんだな」
「ともかく、商売やリーダーの資質が高い奴の中でも、櫛田は清濁のバランスが良い上に東風谷含む僕達との関係性も良く、押しまで強い有名人。さらには新たなPP入手手段をいま最も高く買ってくれる位置でもある」
「……確かに、考えれば考えるほど桔梗さんが適任に思えてきますね。桔梗さんなら、正面突破以外でも何か助言してくれそうですし」
「これだけの好条件が揃ってるんだ。選べるなら断然、櫛田の一強だろう。一之瀬でも龍園でも及ばない部分のメリットは計り知れない。
だから僕は、この人選が冗談抜きで最良だと思ってるぞ」
さらりと桔梗ちゃん印の謎ポイント百点満点の発言が飛び出たが、切り替えた成果が出たのか、不敵な笑みを意識しつつ、唇をかみ締めて零れそうなニヤニヤ笑いを何とかこらえることができた。
そんな笑顔で話を聞いていた健気な私を見た左京君は―――。
「うっわ、きっしょ! なんだ櫛田、その邪悪な笑顔は? 思わず自分の体を抱きしめたくなったわ」
「……夢月さん。それはないですよ」
「ないわー。これは流石にオレでもわかるぞ。左京、マジでないわー」
―――この男、本当にどうしてくれよう。
笑いの衝動は、上げるだけ上げられた末に、唐突に下げられて一気に冷めた。
今はもう確かめるとかどうでもいいから、ただ左京君を一発ぶん殴りたい。
ところで、初期裏櫛田の口調や地の文ってこれであってるのだろうか? なんかコレジャナイ感があるんだけど、ピタッとイメージにはまる物ができなかった。
メモを消し忘れてたので削除しました。
すいません。2022年11月14日