Cクラスでは、龍園や石崎達3人の前で映像(佐倉のアイドル活動部分は消去済み)を見せて消去するだけの簡単な仕事だった。
教室に入室してほとんど事情をぶちまけると、何故か龍園には呆れられ、石崎達には礼を言われた。コピーしていないこともかなりあっさり信じてくれて、拍子抜けしたくらいである。
椎名も口ぞえしてくれたとはいえ、ごたつかなくてよかった。
Cクラスの用事が早々に片付き、この分なら生徒会室へ行く用事も済ませられると思ったので急いで向かう。
この日は行けるかわからなかったのでアポを取っていないが、ガチャの事後処理や天文部関係の処理を済ませられれば後が楽になるので、駄目元で行ってみるのだ。
その勢いに乗ったまま生徒会室に突入したところ、会長も橘書記もいなかった。
代わりに、一之瀬といつか見たチャラ男副会長が話していた。
そして僕は今、形だけのノックと「失礼します」だったせいか、めっちゃ副会長に睨まれている。
「……チッ」
睨まれただけではなく、舌打ちまでされた。
どうも嫌われているよう……いや、僕のような取り立てて特徴のない奴が嫌いなのかもしれない。ほぼ初対面で嫌われる理由はそれか、礼儀がなってなかったくらいだろう。
ともあれ、この雰囲気では彼に処理を頼んだり何か聞いたりはできない。
仕方ないので、会長の机にメモを残して速やかに退散する為、副会長達に会釈して通り過ぎ、ささっと備え付けられていたメモ用紙に記入する。
書いている最中、副会長か一之瀬に何か言われるかと思ったが、どちらもこちらを注視したまま無言だった。
しかし背中を向けているのに、ザクザクと刺さる視線を感じて居心地が悪い。
また「邪魔。はよ出てけや」みたいな声無き言葉も送信されていそうな気もしてる。
流石に一之瀬は、そんな敵意溢れるモノを向けてないと思うが……。
「なんだお前。さっきから邪魔なんだけど~? 用が済んだら―――ああ、済まなくても、さっさと出てけよ。今、忙しいんでな」
最後まで無言かと思っていたが、声をかけられた。
しかも想像通りの内容で、相当イラついているようだ。
メモに用件も書き終えたことだし、これ以上機嫌を損ねないように当たり障りない対応で退出しよう。
「すいません。もう用事は済みましたので帰ります。
失礼し……ん?」
そうしようとしたところで、ようやく異常に気づいた。
一之瀬がなんかおかしい気がする。
具体的には、二日酔い状態で登場する担任くらい……は言い過ぎたが、その2~3歩手前のような……?
「おいっ! 何してんだ!? 早くいけ」
つい考え込んでしまい、副会長に呼びかけられて我に返った。
一之瀬の様子が本当におかしくても、よくわからない中で何ができるわけでもなし、僕には関係ないといえば関係ない。
異常というのもほぼ勘によるものだし、ここまで全く口を開いていないのが性格的におかしいとなんとなく思えただけなのだ。
でも―――。
「副会長、一之瀬。これ、差し入れです。よかったら、お茶請けにどうぞ」
不思議と初めて生徒会室に来た時の佐倉と今の一之瀬が被って、放置はできなかった。
とはいえ、僕は橘書記と違ってカウンセリングとか不可能なので、ささやかなお菓子―――副会長にはイライラ解消にはこれと思ってる小魚の子袋。一之瀬にはチ○ルチョコ数個―――を二人の前に置いただけだ。
元々、小魚は櫛田、チロ○チョコは東風谷のご機嫌取り用に持っていた物だったが、今日はもう会わないだろうし、あげても問題ないはず。
副会長や一之瀬がどう思うかは別として、何もせずに帰ることだけが引っかかっていたので、僕はこれで満足である。
「ふざけてんのか? だいたい生徒会室は基本飲食禁止だ」
「あっ、そうだったんですか。それは重ね重ね申し訳ありません。本当にただの差し入れのつもりだったので……」
「……次から気をつけろよ? 次があればな」
渡した駄菓子の効果か、副会長の態度がいつの間にか少し軟化していた。
一之瀬もいまだ口は開いていないが、顔は上げている。
これで元々そうするつもりだったが、アポを取ってから出直すことへの引っかかりはなくなった。
次に来た時は、きちんと挨拶することにして今日は帰ろう。
「はい、そうします。では失礼しました」
「おう。
……あ、待て。お前、確か…左京とかいったな? 恋人ガチャをやっていた……」
「はい? そうですが」
「あれは面白かった。特に堀北会長のあんな顔は初めて見た。だから違うものでもいい。
―――俺が許す。もっとやれ」
「ははっ、そんなこと言っていいんですか? 副会長には、会長が僕に説教をするのを“させなかった”恩があるんで、あんまりリスクを投げたくないんですけど」
「気にするな。後輩に配慮させるほど狭量じゃねぇよ。それに久々に俺を沸き立たせてくれた礼だ。これでもお前を買ってやってるんだぜ?」
とりあえず様子がおかしい一之瀬は置いておいて帰ろうとすると、副会長にガチャや“それ以外”を褒めたれた。
こうして話してみると、結構気さくな先輩でホッとする。
入室当初は、僕が何かを邪魔してしまって苛立たせていたのかもしれない。
すまないことをした。
「だけどお前、その間の悪さは直した方がいいぞ。いつか藪を突いて蛇を出しそうだ」
「直せるものなら、とっくに直してるんですよ……」
「ま、そりゃそうか。端から見るぶんにゃ面白いからいいんだケドネ」
副会長に言われるまでもなく認識していた忠告された。
それにさっきまでとは態度を一転させて、今は機嫌良さ気にけっけっけと悪そうに笑っている。これはわかってからかったのだろう。
ただこれはこれで様になっており、整った顔面に影を感じさせる雰囲気も相まって、どこか油断できないと思わせるものがある。
「またなんかやるようなら俺にもかませろ。面白そうなことだったら、特別に手伝ってやってもいいぞ?」
「じゃあ、今度なんかやる時は話を通しますよ。基本的に僕は好きだから『それ』をやるだけで、相乗りは誰でもOKなんで」
南雲と名乗った副会長にそう返すと、連絡先を交換してやろうと申し出てきた。
この学校に来てからたまに遭遇するが、こういう自信に溢れポジティブに振舞える人を、最近羨ましく思う。
これが若さというものなのだろうか?
僕もこうありたいものだ。
「今日は、ありがとうございます。その機会があれば、お願いするかもしれません」
ところで副会長への勝手な印象なのだが……。
―――なんとなく。本当になんとなく、『敵』になる予感がした。
副会長には思考回路を焼ききれるほど回しても敵わないとは思わない。
格上ではあっても、綾小路や四方、高円寺にもか……彼らには感じている圧倒的格上感を感じない。
どちらかというと、一之瀬や葛城に対して持つ形容し難い信用に似たものを感じさせる雰囲気の人だ。
当然、嫌いではないし、むしろ好きな部類に近い雰囲気である。
『安易に自分の正しさを主張せず、相手の言い分を尊重する』
凡人であるがゆえに、僕はこれを大事にしてきた。
だから、これまで出会ってきた奴らは勿論、ほぼ初対面の副会長にもそうしたつもりだ。副会長も一見では友好的にそれに応えてくれた。
そこに、おかしいところは何も……ちょっとしかない。
悪印象も全くない。
なのに―――何故か副会長とはいつかぶつかる気がしてならない。
僕は不思議なこともあるものだと考えながら、何事もなく副会長と連絡先を交換して別れた。
真相は“神”のみぞ知る、といったところだろう。
生徒会室を出ると、外は夕暮れに赤く染まっていた。
期末テストまで1週間を切ったので図書館が閉まるこの時間になると、生徒はほとんど残っていないのだろう。
校舎内は、ひどく閑散として見える。
それにしても、副会長との初対面は不思議だった。
そのせいで、僕にしては珍しく彼に興味が湧いた。
新たに連絡先に追加された南雲雅という人物がどんな人物なのか、知ってそうな奴に聞いてみるのも良いかもしれない。
ちょうど教えてくれそうな奴がいる。
「左京君!」
「や、やあ」
さしあたっては、僕のすぐ後に退出してきた一之瀬が無難だろうか。
生徒会室ではずっと口を閉ざして考え事?をしていたが、本来無口な奴ではないはずなので話くらいはしても怒らないと思う。向こうから声をかけてきたし。
……嫌われてなければ、だけども。
まぁともかく、深呼吸していつもの自分へ切り替え、まず先ほどの無礼を謝罪する。
触り程度の挨拶や謝罪から入るのが、僕流の緊張を和らげるコツなのだ。
「あー、なんか邪魔したよな? いきなり来てすまん」
「うぅん。南雲先輩には、ちょっと相談に乗ってもらってただけだから大丈夫。
……それに、私は堀北会長に断られて生徒会に入れなかったから、あそこへは何度か顔を出してるだけなんだよね」
「ふーん。あんなヤバそうな所に入りたいとか変わってんな」
「ヤバそうって……」
淡い笑顔を浮かべながらそう宣う一之瀬だが、やはりいつもと何かが違う気がする。
そもそもほとんど彼女を知らないが、僕相手とはいえ腕を組んだまま人に話しかけるタイプには見えないのだが。
ただこの状態で副会長の人となりとかを聞き出すというのは、空気を読めていないのでは?と思えたので、本題の前に少しジョークを放り込むことにした。
「ところで話は変わるけど、一之瀬って腕組むと胸がどえらいことになるな。青少年には目に毒なんじゃないか?」
「―――なっ!?」
「ふ~む。これは性的搾取といっても過言ではないかもしれない」
「む、え? せ……なん」
「あっ、ちょっと訂正。『どえらい』より『どえろい』の方がしっくりくるわ。
うん、こっちにさせて」
「……」
「えっと……ごめんな?」
……うん。
これがジョークではなくてセクハラというものだということに、無言で鞄からハリセンを取り出す一之瀬を見て思い至った。
緊張していたせいで、加減を間違ってしまったようだ。
その為、僕は振り下ろされるハリセンを甘んじて受け入れた。
ただ素直に受け入れるのはなんだったので、ついでに一計を案じることにする。
「おぐぅ、痛え…ごぁっ」
「あ、あれ? 今度は結構痛かった?」
「こ、これは―――寝転がってる時にスマホを顔面に落とした痛み+曲がり角で足の小指をぶつけた痛み」
「痛そうな例を足して口に出さないでよ! こっちまで痛くなってきちゃう!」
「更には、そこへ0をかける」
「それって……つまり痛くないんじゃない!」
「冷静に考えて、たかがハリセンでそんな痛みが発生するわけないだろ。アホなのか?」
「……左京君。いい加減にしようね? じゃないともう一発いくことになるよ?」
「一之瀬…君は優しい人のはずだ。そんなことはしないと僕は信じてる」
「はぁ、こんな時ばっかり……。でもちょっと嬉しい」
「……………………ちょろ」
「何か言った?」
「いえ、何も?」
本当にチョロいのか、ただ乗ってくれただけなのかは不明だが、なんとなく調子が戻ってきている気はする。
対櫛田気分転換術は、一之瀬にも有効なようである。ジト目にはなっているが、ハリセンをしまってくれた事実がそれを証明している。
ともかく、これで一之瀬の異常と、僕の緊張も少しは解れただろう。
何気に一緒に歩いているだけなのに、緊張しっぱなしなのは疲れるのだ。
というか、何故一緒に歩いているのか?
聞きたいことはあったが、それはあくまで僕がであって、一之瀬がではない……はずだ。それとも、何か話したいことがあったり……。
「……ねえ。左京君って、なんで誰かの為にすぐ動けるの?」
「どしたん? 急に」
折角の機会なので計画実行のタイミングを計りながらも、二人で歩いている現状に疑問を抱いていると、一之瀬に問いかけられた。
意図がわからず質問で返してしまったが、一之瀬は更に詰め寄って聞いてきた。
「入学直後の時も、クラス会議でも、佐倉さんの件でも、東風谷さんの件も。停学になっちゃった件でも……。
いつも左京君が先にいるんだよ。いつの間にか事態の中心にいて、なんだかんだで真っ先に動いて解決しちゃうの。
……どうして、そんな風に動けるの?」
「一之瀬。買いかぶりすぎてるそ。僕はただ自分がしたいことを好きにしてるだけで、やりたくないことはやってないんだ。
だから誰かの為じゃなく、自分の為だ。そんで、それ以外に理由なんてないよ」
「本当にそうかなぁ。
なんか最近、左京君がBクラスのリーダーになった方がいいんじゃないかと思える時があるんだよねぇ」
「―――失礼」
それまでの話からは脈絡のないその発言を聞いた瞬間、僕はツッコミどころか緊張すら忘れて一之瀬の額に手をやった。
「にゃあっ! いきなり何するの!?」
「いや、一之瀬が体調崩したりすると一大事だからな。……うん、熱はないな」
「そこまで変だった!?」
「龍園に並ぶ優れたリーダーの素質持ちの一之瀬がそんなことを言うなんて、変でなかったらなんなんだよ。失礼を承知で言うが、正気を疑ったぞ」
「え…あ、私が……?」
「何があったか知らないが、そんな馬鹿げた事を言うほど疲れてるなら早く休んだほうがいい。なんなら一応保健医な担任のところで診てもらえ。いや、無理にでも連れてくから覚悟しろ」
「……………………ホント不思議な人だよね、左京君って」
こっちの台詞だと返しそうになるが何とか堪える。
一之瀬は独特の雰囲気があるので、どうも調子が狂わされるのだ。
しかも普段でさえそうなのに、本格的に心配になってくるこの発言。
それに加え、なんか青春してるみたいでむず痒く、なにより恥ずかしくもなってきたので、多少無理矢理に話題を変えることにした。
「……………………今日はクラスメイトとの橋渡しをしてくれてありがとう。この礼はそのうちな」
「…………にゃははっ。どういたしまして。
私も左京君と話してちょっと楽になった気がするよ。こちらこそありがとっ!」
う、凄まじい善人オーラに押される。
東風谷への浄化を画策してるのに、気を抜けば僕が浄化されそうだ。諸刃の剣を使用する危険性について再認識する。
綾小路との会話を参考にして流れを変える意図で礼を告げてみたら、笑顔で倍返しされたからだ。
……慌ててたから、参考にするべき人物を間違えたのもある。
あのおっぱい命の男じゃなくて、方向性以外は一之瀬と似た印象のある龍園あたりを参考にするんだった。龍園もほとんど知らないけども。
「そ、それはそれとして、保健室には連行するぞ? 僕と違って一之瀬は担任に苦手意識とかないだろうし、放り込むことに躊躇はしないからな!」
「ああ、やっぱり星之宮先生は苦手なんだ?」
「何を他人事みたいに……。
ジャンルは違えど、一之瀬も僕の苦手リストに載ってるんだから、強行手段…手を引っ張らせるとかさせるなよ」
「……それを正面から私に言うあたり、左京君はただ者じゃないよね。
参考までに聞きたいんだけど、左京君が苦手なタイプってどんな人なのかな?」
そうして強引に保健室へ向かっている間も、一之瀬は口を閉じない。
大人しくついては来てくれるが、考えがまるでわからない。
だから思うところをそのまま返してるのだが、これは脳死で反応してるくらい精神的にギリギリで、会話内容まで気が回ってない為だ。普段なら、もう少し取り繕える…はず。
「一之瀬だと、苦手項目のうち……善人、陽キャ、美女or美少女、優しい、集団の纏め役、説教してくる、良い人、可愛い、真っ直ぐ、良い人すぎる。
これら、10項目に該当するから苦手なんだ」
「何個か被ってるっていうか、苦手なタイプを聞いたら、私を苦手な理由が返ってくるとは思ってなかったなぁ。
それに私はそんなに……良い人でも可愛くもないよ」
「僕がそう確信してるだけだから、一之瀬の自己認識はどうでもいい。
それより気になってたんだが、美少女の自覚がない美少女はトラブルを引き寄せるぞ。だから早めに、『自分は美少女! 可愛すぎてどうしよう!』って、東風谷みたくナルシった方向に舵を切ることを勧める。そうなった方が、人生楽しいからマジでオススメ」
「……ぷっ。なにそれ」
もしも、この状況を僕自身が俯瞰的に見ることができたのなら、きっとこう思うだろう。
緊張が限界突破した結果、舞い上がって口が止まらなくなった凡人、と。
まぁ、それでもなんとか目的は達成できた―――普段の一之瀬の精神状態には近づけられた―――のではなかろうか? と思えるような雰囲気に戻ったので、少しだけ言及しておく。
「……ふむ。普段を知らんから断言できないけど、だいぶ冷静になったようだな」
「え?」
「一之瀬と二人で話すのはただでさえ緊張するんだから、これ見よがしに悩んでる?……落ち込んでる?ような雰囲気を放つのは勘弁してくれ。居心地が悪すぎる。
僕には橘書記みたいに、女子をカウンセリングしたり元気付けたりするスキルはないんだ」
こんなことを話してしまった言い訳だが、緊張に加えBクラスでの黒歴史の件も相まって、この時の僕は何かの拍子に浮遊しそうなほどふわふわしていたのだ。
「私……そんなにわかりやすかった?」
「うん。生徒会室にいた時点で一目見れば丸わかり。
副会長もわかってたんじゃないかなぁ。案外、一之瀬で遊ぶのを邪魔したから最初は不機嫌だった、とかありそうじゃないか?」
「……うぁ。言われてみれば……これまでも…思い至る節…ある、かも……」
「!」
そんな精神状態だったから、会話の合間に途切れ途切れに溢しながら、何故か青くなってから赤面してゆく一之瀬を見て、チャーンスと思ってしまった僕は悪くないだろう。
―――即座に自分のスイッチを切り替えて、つい傷口を抉りにいってしまった。
「ざぁこ♡ 精神的ざぁ~こ♡
恥ずかし~。一之瀬みたいに優秀な人でも、冷静さを欠くとこうなるんだ~。あっひゃっひゃ!」
「うにゃあああ!! 人が自己嫌悪してる時に追い討ちかけるの止めてくれないかなぁっ!?」
「そうあざとくにゃんにゃん言っても、過ぎたことは変えられないぞ☆」
「そんな猫みたいに言ってない!」
「ハッ、普段から口癖みたいに言いまくってるじゃん。
てか、それは無理な注文というものだ。僕は隙を見せつけられると、脊髄反射で言葉が口をついて出てくる性質でな」
「ああもうっ! 左京君は、ほんっとうに……!」
「いやぁ。そう褒めるな。照れる」
「褒めてないから!!」
経過はともかく、普段の一之瀬っぽくはなったし、僕は意図的に緊張を忘れて楽しめた。
人の黒歴史を弄ぶと、代わりに自分の黒歴史が押し流されていくから、恥をかいた時は積極的に一之瀬をからかう選択肢も、一考の余地がある気がしてきた。
隙だらけだから、押しまくれば何とかなりそうな一之瀬の雰囲気が悪い。
空気や話の流れを気にして、副会長についてやとある計略は口に出せなかったが、思いがけず爽快な気分になったからまぁいいか。
この発見も、今の気分になったのも、一之瀬のおかげである。
余談だが、あの後も保健室まで一之瀬をからかい続けた結果。
赤面したままの一之瀬を、まだ開いていた保健室へ放り込むことになったのは失敗だった。
ニヤニヤ笑いの担任に変な誤解をされた可能性がある。
尤も、察した瞬間に身を翻して逃走体勢に入ったので、僕自身には問題ない。
だが置いてきた一之瀬は、きっと大変ウザい目に遭い、しなくてもいい苦労をする羽目になったことだろう。
ご愁傷様。と、一応心の中で黙祷しておいた。
何はともあれ、僕の黒歴史を一之瀬にスライドできたし、今日は転げまわることなく気持ちよく睡眠できそうだ。
一之瀬、ありがとう!
などと感謝しつつ、ひどく爽快な心持ちで足取り軽く帰宅した。
今日は偶々見かけた流れ星に、一之瀬に幸あれと願う余裕すらある良い日だった。
前々からこの時期の龍園と一之瀬、どちらかのエピソードを書こうと思ってました。
しかし無人島行くまでに字数を消費すると後々大変そうだったので、ダイスでどちらにするか判断。
今回は出目に従い、一之瀬に決定。
南雲に関しては、多分色々わかりにくいと思いますが、オマケ程度に考えていただければ。
ただ、ここまでに一之瀬は何度か生徒会へ通ってて、徐々に南雲のお眼鏡に叶っている途上。そして一之瀬の方は、ほぼ鞭にしか見えない堀北学と飴にも見える時がある南雲に挟まれて精神を磨耗した結果が原作……だったりしないかな、と考えてます。
なので順当にいってたら、この数回後くらいの休日に例のイベント?が起こってた感じ。
この辺、結構あいまいな記憶に頼ってるので、致命的なまでに間違ってたらすいません。
自分宛。2023/2/8
よう実二次、百鬼夜行のとか生徒会のとかすごく興味を惹かれるタイトルだけど、いざ読んで嗜好に合致したら絶対影響を受けちゃうから読めねえ。
というわけで、想定してる区切りに至るまで忘れないように、これから副題を一文字にした回の原文に、想起できる一文を記すことにする。
ブクマだけはしてるけど、結構存在ごと忘れるから仕方ないね。