現実は、ようやくGWですね。
年数回の旅に出る機会、楽しんでいきましょう。
しかし見返したら、無人島初日だけで7話も使っていたという事実。
文章を上手くまとめる技術がほしい今日この頃。
以降の月見では特筆すべきことはなく、しいて言えば高円寺がいなくなった事が発覚した後にちょっとした騒ぎになったくらいだ。
ただ平田が不安定っぽくなったので、リーダー指名の札を提示してそのプラス分で補填してくれるように頼んで安定化を図った。綾小路が機転を利かせてくれるとは限らないからだ。
そうするとリタイアする場合の佐倉の分は10ポイント足りなくなるが、虫よけのレモングラスを付け、賄賂代わりにDクラスで発言権が強い生徒に団子を贈ってもらうことで対処した。
これで駄目なようなら僕がDクラスに出向いて説得するつもりだったが、平田の様子からは一応は安定感が戻っている感じの返事をもらったので問題ないだろう。
一方、その交渉する様子を一之瀬や葛城他何人かは何か言いたげに見ていた。
この交渉自体というより、雑に煙に巻いた僕のショーか、あるいは学校に対しての発言を聞きたかった感じがしているが、言った以上の事は今はできない。それにバイト先や佐倉に関しても言えないから、このまま流させてもらう。
そういう考えがあると認識してくれるだけで、彼女らなら充分だと思える優秀さはあるし、経済面の問題を他人事と思わない善良さもある。
だから僕とは別方面からのアプローチを担当してくれ、と人知れず願っておくだけにした。
総じてこの月見は、波乱もなく平穏に終わったと言えるだろう。
部員以外の天体に興味もないのに何故か来ていた奴らのことなど、これ以上しらん。
この時は疲れがピークに達していて、月見と佐倉を東風谷と送っていったことくらいでしかまともに脳細胞を行使していないのだ。
つまり誰がなんと言おうと、何事もなくスムースで楽しい月見だったのである。
ただ本当の問題は、2日目の朝に発生した。
起床直後は、四方共々、柴田に運ばれるほどの状態となっていたのだ。
つまるところ僕と四方は悶え苦しんでいた。
「うぐぅ~」
「いてて」
「だらしねぇなぁ。四方はともかく、左京は普段から体鍛えてないからそうなるんだよ」
「ほっとけ……あぅ、ギシギシする」
僕と四方を襲っているこの苦しみの正体は―――そう、筋肉痛である。
走破班にされた時点でこうなるとわかっていたから、昨日は多少無理してでもできることを終わらせたかったのだ。
四方についても、キャットルーキーで彼の親父さんが「なにかのイベントでは張り切って活躍するけど、その後しばらくは調子が悪くなる」的な事を言っていた記憶があるので、気をつけていたつもりだった。無駄だったが。
「面目ない……昨日は…ちょっと張り切りすぎたかな……」
「だから少しはセーブしろっつっただろ四方…痛っつぅ」
しかしそれができないから四方なのだ。
まして僕ごときに制御できる道理もない。
結果、二人揃って絶不調なわけだが、不可抗力である。
それにしても……予想以上に体中、特に足まわりが滅茶苦茶痛い。
ゆっくり歩くのが限界だ。
自分のペースだったらここまでにはならなかっただろうが、東風谷や柴田のハイペースに必死について行ったのだから、この状態も残当というべきか。
まぁ? 動けないということは、動かなくていい大義名分が手に入ったとも言えるので、昨夜の団子やおやきの残りを食べたら、今日は寝て過ごすしかない♪
夕食にカレーを頼み込むまでは、だらけても「動けないから」という金言があるので大丈夫だろう。
「何か良からぬことを考えてるだろ左京」
「わっるそうな顔してまあ」
「失敬な。
今日のスポット巡り、僕と四方の代理を、一之瀬と神崎にどう頼もうと考えていただけだ」
それに、これは第2次東風谷浄化作戦を始動する好機。
言葉巧みに一之瀬とのペアを画策してくれる。
誕生日相殺時にこの僕を煽り、今また筋肉痛に追い込んだ手腕は評価するが、代償に僕が転んでもただで起きる男じゃない事をわからせてやろう。
「うっくくく。今日が良き日になるといいな東風谷ぁ」
「……うわぁ」
「ホント、イイ性格してるよ左京は……」
いやぁ、本当に楽しみだ。
惜しむらくは、身体中痛いから現地で変化を確認できないことくらいである。
それからしばらくして朝食と朝の点呼が終わり、東風谷は思いの外あっさりと代理の一之瀬と神崎を加えて出発していった。
特に僕と四方の調子が悪い事を報告しただけで、「じゃあ私も島やルートを見ておきたいから、今日は私が行くね。あと……早朝に偵察へ行ってきた神崎君にもお願いできるかな?」という感じにフォローしてくれた一之瀬は流石だ。
一生ついていきます(嘘)。
ほとんど何もしてないのに、あまりにも思惑通りに事が進んだ為に笑いが抑えきれず、何人かに訝しげに見られた気もしているが、四方もいないあの面子なら放っておいても一之瀬が東風谷のペアになる。
なので、この時ばかりは何の懸念も緊張もなく、笑顔でその出発を見送ることができた。
井戸から少し北に行ったとある李(すもも)の林。
走破班を見送った後、密かに目星を付けておいた邪魔の入らないはずのこの場所に移動して、東風谷にもらった筋肉痛用の軟膏をぬった上で、僕は眠りこけていた。
「We got him(捕まえた)」
「arrest~(捕まった~)。
……って、え? だr…じゃなくて、え~っと、Who are you?」
そうしてひたすら惰眠を貪っていると、何故か謎の黒人に捕まっていた。
は?
「I’m Alberto Yamada.
You can speak in Japanese(日本語でも大丈夫だ)」
唐突すぎて状況がわからないが、彼は山田君というらしい。
ただ最初は思わず二度見するほど驚いたが、森に相応しい静かな感じの雰囲気の奴だったのでなんとか平静に戻れた。
次いで英語で話しかけられたが、とりあえず日本語でもOKと(多分)言われたので、お言葉に甘えさせてもらうことにする。寝起きに英会話はきつい。
「あー。山田君は僕に用があるのか?」
「Yes.
boss is calling(ボスが呼んでる)」
「ボス?」
「Ryuen」
リューエン…龍園か。
ってことは、山田君はCクラスの人なんだな。
見覚えがある気はしてたんだけど、Cクラスに東風谷と乗り込んだ時か停学明けに訪れた時、龍園達の近くにいたのかもしれない。
あれ? 暗殺とか闇討ち目的じゃないよな?
あのクラスの印象のせいか少しだけそんな思いも湧いてきたが、山田君の雰囲気的に物騒な事にはならないだろう。こんな穏やかそうな奴がいきなり攻撃とかしてくるわけがない。
特に危険な匂いもしないし、冗談とかも通じる雰囲気を感じるのだ。
そもそもジャージ着てるってことは同級生である。それなら、なんかあっても逃げれば問題ない。
まぁ、それはともかく。
「まい、ねーみず、Mutsuki Sakyo.
ないす…つー、みーちゅー?」
「Nice to meet you. ……haha」
日本語でOKと言われたが、初対面だし相手に合わせた自己紹介は基本だろう。
尤も、寝起きで頭と舌が回らず、妙な発音になってしまった。それのせいか山田君にはニカッと笑われたが、嫌味な感じはしないのでとりあえず良い奴認定しておくことにした。
少し話した後、山田君と共にまずはBクラスの拠点へ向かう事になった。
そちらの方が近い位置だったし、どうせ龍園のところに行くなら準備したい事があると伝えたら、山田君に了承されたのだ。
誘いには乗ると即決したからかもしれない。
東風谷の軟膏もそこそこ効果が高く(薬の調合までできるとか、奴はいったいなんなんだ?)、だいぶ休めたとはいえまだ足は痛いが、わざわざ迎えまで寄越して誘ってくれたなら顔を出すのは礼儀だ。
それにリーダー指名の事も伝えておきたいし、唯一コーヒーの件を交渉できる可能性が残っている龍園とは早いうちに会っておきたかったという事情もある。
実は一之瀬は勿論、葛城や平田にもインスタントでいいから仕入れて、言い値でいいのでPPで売ってくれとは頼んだのだが、本人達はともかく周囲の状況的に無理だと断られている。
だからコーヒーに関しては龍園が最後の希望なのだ。
ともあれ近くに転がしておいた杖代わりの枝をついて、山田君とぼちぼち話しながらえっちらおっちら森を進む。
山田君は見た目通りに無口っぽく、返ってくるのは英単語がほとんどであった。
ただ僕が適当に喋って会話に切れ目ができても気まずい感じにはならなかったのは、きっと性格や人柄がいいからだろう。途中まで椎名と一緒に来た、みたいな事も言われたので、彼女の友達だったら納得の雰囲気である。
そんな感じにできた会話の切れ目に時計を見てみると昼頃になっており、僕がいかに眠りこけていたかがわかる。おかげでHPが赤から黄色に回復したのは感じるが、数時間の音信不通に対して怒られる予感もあったりする。
この時間だと東風谷達も帰還してるだろうし、面倒な事にならないといいなぁ。
Bクラスの拠点に戻ると、何やら騒がしかった。
山田君に待ってもらうよう断りを入れ、木陰に一人で休んでいた未だに調子の悪そうな四方に事情を聞いてみる。
どうやら、椎名と綾小路&その連れが別々に訪れてきたのが騒ぎの原因なようだ。
当然の事ながら重要な部分は、綾小路が女連れという部分だ!
四方から聞きながら遠目で見たところ、佐倉でも櫛田でもない美少女っぽい。
…………くっ、この敗北感は何だ?
別に彼女とか欲しいとも思ってないのに、会うたびに違う女(錯覚)を連れている綾小路が羨ましい。
綾小路を嫌っている東風谷みたいな奴もいるが、イケメンではあるし、やはりモテるのだろうか?
そしてアレな性格と話せばわかる様々なズレで、くっついては別れと、とっかえひっかえになる未来が見えるようだ。なんて女の敵(偏見と妬み)。
ケッ、ヤ○チンが(風評被害)!
後腐れなくヤれる奴、僕にもプリーズ(嘆願)!
でも冗談は置いといても、あれほどのおっぱいへの執着を持つ彼なら女側も性欲解消には苦労しなさそう。もしも『その手の女』がいたら、ハーレムすら作りあげる可能性があるかもしれない。
……後で、一之瀬に綾小路には気をつけるよう言っておこう。
万が一、綾小路の彼女やセフレになってしまったら、雌の匂いをさせてきそうで鬱陶しい。それに一之瀬がそうなると、現時点でも何人か脳破壊される気もしてるし、あの性格で体だけでなく心まで落とされたら一大事だ。
こんな面倒な状況で、様々な力を持つムッツリ二人を隔離させる面倒事には発展させたくない。
正直こんな事は本人たちの自由だと思うが、無人島試験の後半で対策しておかないと不味い優先事項は、この性欲関係だと思う。
童貞が多そうな高1という現状で2日目だからまだ大丈夫だろうが、後半になればなるほど股間を抑え、前かがみになる男子は増えてくるはずだ。
纏まっているうちのクラスでさえ、一之瀬や網倉なんかの目立つ女子にエロい目を向ける奴がそこそこ出る確信がある。僕や四方も例外ではない。
そしてそれを解消しようにも状況的に自分では処理できず、船以上に避妊具が手に入らないことも問題だ。たとえ和姦だろうと、妊娠のリスクが跳ね上がるのだから。
言うまでもなく、強姦ならなおヤバい。誰かが暴走したら、最低でも数人程度は退学や少年院行きになりかねない。下手すれば妊娠含む取り返しのつかない傷付きで……。
それでも船にいる時や月見で、佐倉にだけはいくつか対策を打っておけたが、高円寺の保証があっても心配な部分は残っている。
個人的には、本当に早いうちにリタイアさせておきたいくらいだ。
もしあらかじめこの試験を知ってたら、佐倉やついでに椎名など自衛手段に乏しい奴だけでも不参加が問題ないようにしておきたかった。
今は注意喚起するとやぶ蛇になる可能性もあるから、気づいた奴だけで自主的に警戒するしかない。
初日は疲労困憊してたからしかたないが、今晩からは火の番とか言い訳して拠点の中心あたりで抑止力になりつつ、危険性に気づいた奴を交代要員にスカウトすることになるだろう。朝の焚き火跡や様子を観察すると、どうもまだ思い至っている奴はいなさそうなのだ。
真っ先に危険性に気づきそうな四方や東風谷、あと一之瀬と網倉には、かかっている負担的にこんな事頼めないのが難点だが。
もう三人ほど気づきそうな奴もいなくはないのだが、ムッツリ疑惑がまだ晴れていない奴らなので迷いがある。なにより変な巡り合わせで東風谷に敵認定されたらヤバいという意味で。
今更だが、こんなしわ寄せが僕のような一般生徒まできているあたり、マジでブラックな試験である。
でもまぁブラックとはいえ、一応寝やすい場所が確保されているので最底辺じゃない。ゴミや金属片が転がる硬い床で年の半分寝ることに比べれば、半覚醒状態で1週間野営する程度軽いもの―――そこまで考えて、僕の認識してる時間で20年近く経つのに、社畜根性が抜けていない自分に衝撃を受けた。
普通の高校生なら、準備不十分の男女混合野営自体がほぼありえない事に気づいたのだ。
と、ショックすぎて逆に冷静になり、思考がえらく脱線していることにも気づけた。
待たせている形になった山田君に、申し訳なさが湧き上がってくる。
気づいたなら、せめてこれからはスムースに事を運ぶべきだろう。
僕は急いで思考を切り替えた。
覚悟を決め、3クラスで三つ巴―――というか綾小路の連れの黒髪女子が椎名に突っかかっている?―――になっている場所に突入する。
あそこには、面倒臭そうに明後日の方向を向いている東風谷と、道中で聞いた山田君の連れだろう椎名がいるのでしかたないのだ。
しかしあそこに直接突入するのは怖い。
ここは仲介の名手である一之瀬に全てを任せ、僕は椎名とできれば東風谷を連れてCクラスの拠点へ逃げ…訪れるのが吉とみた。
「東風谷~。話し中悪いけど、誘われたからちょっとCクラスへ行ってくるわ~。んで、余力あったら、お前にもきてほしいんだけど……」
「夢月さん! どこに行ってたんですか!?」
「寝てた~。
と、その前に椎名~。山田君の連れってお前だよな~? 山田君にあっちで待ってもらってるから、話が終わったら来てくれ~。お誘いは受けたから一緒に行こう」
「……もう山田君が誘ってたんですか。それでは私がやることもなくなりましたね」
だって女の争いに見えるアレは怖いし、邪魔するのもなんなので、少し離れた場所から声を出して東風谷と椎名に言葉を届ける。
苦笑してる一之瀬や綾小路はともかく、黒髪の女子がなんか睨んでくるからあっちにはなおさら近寄りたくないのだ。
見られる事自体も怖いので、二人の反応が返ってきた瞬間にUターンする。椎名の声はよく聞こえなかったが、なんとなく予想はできるので問題ない。
ちなみに、あの女子が“初対面”なのにキツイ目線なのは、おそらく初日の影響だろう。最も反発してたっぽいDクラス(綾小路と来てるからDだよな?)の生徒ならおかしくはない。
そんな中でも、空気を読まない事に定評がある東風谷はすぐに追いついてきた。
まだあっちでなんか話してるのに、普通に振り切ってくる東風谷はいつも平常運転だ。
しかし見る限り、一之瀬の浄化能力は東風谷には大して効果がなかったようだ。綺麗な東風谷も見てみたかっただけに残念である。
そうして四方と山田君がいる木陰に着く頃には、椎名も話を終わらせてこちらに向かって来ている姿が見えていた。
今話は、私的に最も危険だと思ってる性欲関係の話。
やりたい盛りの高校生を強制禁欲状態にした上で、美男・美少女達との共同生活って男女共に相当辛いと思うのですがどうでしょう? 綾小路や平田みたいな特殊な人種はともかく、普通の奴…特に男は後半に股間を押さえてそう、という発想から発展させました。
でもよう実原作にはあまりそんな描写はなかった気がするので、これはほぼ左京だけの考えという保険扱いでもあったり。
船の時点からこうした危険性を考えていたから、いくつか周囲と噛み合ってない部分が発生していた感じです。
それにしても、アルベルトをどう扱えばいいか迷う。
とりあえず無難な初対面にしちゃったけど、英語苦手な私だと変なアルベルトになってるかもしれない。今更だけども。
ちなみに作者の正式な英語力は多分中学レベル以下です。
かなり適当なので、間違いがあったらすいません。
あっ、彼の第一声はネタなので、一応間違いではありません。
あと半覚醒状態。
某ハンター漫画のGI編ビスケの修行で、岩持って寝ながら警戒するやつがあったけど、あんな感じの状態。これはそこまで物騒じゃないけども。