ようキャ   作:麿は星

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58、本物

 

 Cクラスの拠点に向かう道中。

 僕はアルベルト(名前で呼べと言われた)や何故かついてきた金田と話していた。後ろでは椎名が東風谷に話していて、男女で別れた感じだ。

 一之瀬や綾小路はまだしも、あの女子生徒には絡まれたくなかったので、思わず四方に言伝だけして急いで出てきてしまった。

 まぁ、怒られたくないし、ちょうど良かったのかもしれない。

 

 それにアルベルトの話はなかなか興味深く、他のクラスメイトがいたら無口気味な彼とはあまり話せない可能性もあったので、そういう意味でも悪くない。

 会話自体は、あまり話さないのは何故なのか?という質問に対し、「six word」だの、「Lunatic」だのという短い言葉が返ってきて、それを金田と一緒に推理して答えまで導いたりして、いつもとは趣が違う面白さがあったのだ。

 

 ちなみに僕と金田が出したアルベルトの難題への結論は、日本語の6つの言葉……そのうちでも最後の2つが難しいと言っていた、だ。

 漢字、ひらがな、カタカナ、英数字まではなんとかなっても、間(行間や句読点など)と空気はわからなかったそうだ。おそらく答えに近いのはこれじゃなかろうか。

 

 これは以前に外国人の知り合いが似たような事を零していたし、ユーモアも知性も感じる回答はアルベルトにそれなりに合致するのだ。

 また僕と金田の推理を聞いていた椎名が東風谷に似たような説明をしていたし、アルベルトの反応も頷いていたから、少なくとも見当外れではないはずである。

 

 

 

 

 

 ともあれ、そんなこんなで話しながらたどり着いたCクラスの拠点……というかビーチは、これぞバカンスと言える賑わいを見せていた。

 みんな思い思いに楽しんでおり、一之瀬達とは別方向に陽キャ感満載だ。椎名やアルベルトのような物静かな奴は居づらいかもしれないので全員が楽しめるわけではないだろうが、それでも大多数に笑顔を届けている。

 

 やはり龍園はリーダーとして仕切る技能が図抜けているな。一之瀬や櫛田とはリーダータイプが違うので一概に言えないが、彼女らと比べても人の使い方がわかっている。

 卒業して何年か社会人を経てからベンチャーとかを勧めて、あわよくば僕を雇ってくれるよう頼み込むのもいいかもしれない。

 

「……やはりですか」

 

 しかしこの光景を見てから、金田が苦い顔の演技をしながら、なにか零していた。外見に似合わず、陽キャが羨ましいのだろうか?

 僕はどちらかというと、陽の者じゃなく陰9割の者なのでそれほど思うこともなく、他3人と同じようにただへぇ~って感じである。アルベルトと椎名は自クラスでもあるからだろうが。

 てか、この面子だと真面目に考えてそうな金田が浮いてるのがなんか笑える。

 

 ただ表に出すと失礼な事なので笑いを堪えていると、ここまで僕達を案内してきたアルベルトと椎名が木陰で停止した。

 ここで許可とかアポ待ちでもするのだろう。確か他クラスの領域に入る時?には、許可的なものが必要だとかルールにあったはずだ。

 

「あの、龍園さんが呼んでます……」

 

 なので少しの間、そこでビーチで遊んでる奴らを眺めていると、怯えてる?ような雰囲気の男子が声をかけてきた。

 少しその態度は引っかかるが、ようやくアポっぽいものが取れたようだ。

 それからは、無事チェアーで寝そべっていた龍園のところへ案内された。

 

「よう。ようやく来たかと思えば、なにうちの3人とあんなところで突っ立ってやがる?」

「まず、お招きありがとな。

 でもあそこで待ってた理由は知らん。案内役があそこで止まったから、アポ的なモノでも取ってるのかと思っただけだ……って、3人?」

 

 アルベルトと椎名……それに怯えてた男子のことだろうか?

 でも僕達が留まってたから声をかけに来た奴を、人数に含めるのはどうだろう。

 

「……あの、さっきから思っていたんですが。

 もしかして左京君は、僕がCクラス所属だとご存知でないのでは?」

「「そうなん(ですか)?」」

「東風谷さんもですか……」

 

 龍園との挨拶を発端に疑問に思っていると、新たな事実が発覚した。

 そして金田のカミングアウトを聞いた僕と東風谷の声が揃う。

 

「はい。実はそうなんですよ。すいません、印象が薄くて。

 でも昨日も今朝も付いて来る時にも、きちんと言いましたけどね」

「……も、勿論知っていたとも。なあ、東風谷?」

「いえ、なんか初めて聞くような気がします」

「東風谷ぁ…たまには空気読んで合わせてくれ! 金田に悪いだろ!」

「もう遅いですよ。開き直りましょう夢月さん」

 

 クラスの事を気にしていない弊害が、こんな場面で火を吹くとは。

 なんで金田がうちに居たとかいう前に、僕と東風谷がクラスメイトすらろくに覚えてない事が露呈してしまった。

 特に僕はここに来るまで話してたのに、別クラスだという認識が全く無かったのは悪いと思ってる。

 

「クックック。呑気な奴らだな。それとも―――スパイされても問題ないってか?」

「りゅ、龍園さん!?」

 

 少し気まずく思っていると、龍園がどうでもいい質問をして助け舟を出してくれた。

 話を流されたからか金田が動揺し始めたが、あの話題を続けてもお互い沈むだけなので、僕は当然それに乗る。

 

「え、それは問題ないけど? つーかそんな回りくどいことしなくても、今回みたいなイベントなら聞かれたら普通に答えるよ」

「はぁっ!?」

「てめぇはそれでいいのかよ……」

「龍園君、金田君。左京君と腹の探り合いはしないほうがいいですよ? なんせ初めから全オープンな割に意外と鋭いですから、徒労感が凄まじい事になります。ソースは私です」

 

 僕が答えると、椎名がディスりなのか助言なのかわからない言葉を放った。

 その通りではあるので反論できないのが悔しい。

 でも椎名と腹の探り合いなどした記憶がないのだが、なにをもってその結論に至ったのだろう? 

 

 まぁ椎名のことは、一旦置いといて。

 考えてみれば、一之瀬はともかく、昨日の葛城達や神崎他何人かが妙に金田を気にしてたのはこれが原因かと、今更ながら思い至る。

 金田がCクラス所属だと言われたら、真っ先にその可能性は浮かんでたよなぁ。なんでスルーしてしまったのか。

 

「ハッ。やっぱてめぇは潰し甲斐があるな。

 そこの『早苗』といい、俺のところに乗り込んできたチビ助といい、Bには面白い奴らが集まってるようだ」

「チビ助……って四方のことか? 何やってんだよあいつ」

「てめぇの停学中に俺を脅してきやがったぜ。あのなりでなかなか肝が座った野郎だ」

 

 四方にそんな好戦的なイメージはないのだが。

 てか、Dクラスで龍園の視界からフェードアウトさせた意味が消滅してるじゃないか。

 あれか。佐倉か東風谷にちょっかい的なのをかけられて、仲間のために立ち上がったとかそういう話だろうか? ちゃんと聞いてなかったけど、停学中にいくつか問題が起こったとか聞かされたし……。

 

「早苗に至っては坂柳と揉めたらしいじゃねぇか。

 聞いてるぜ? 散々煽り散らしたんだってな」

「ああ、そういえばそんな事もありましたねぇ。

 でもあの時に夢月さんがいたら、お説教されるのは絶対私じゃなかったですよ。だから夢月さんは猛省してください」

「なんでだよ。話が繋がってないし、そもそもその場に居なかった僕に責任を丸投げするんじゃない。喧嘩売ってるのか?」

 

 いや、違うわ。

 東風谷の尻拭いに奔走して、気が高ぶってた可能性が出てきた。

 原作のトムキャッツ入団や野球漫画とは思えない修行みたく、意外と勢いや雰囲気で行動を起こすこともあるからなぁ四方。

 

 てか、何気に坂柳って……。

 こっちは前に無理矢理聞かされた娘の方だよな? あの理事長を煽り散らしたとかならむしろ喝采を贈りたいくらいだけど、本当にやってたら大問題になると思う。

 しかし娘も同じ学校だったのか。

 東風谷と何があったかは場を凍らせた事くらいしか知らないが、流石に学生同士の口喧嘩の範疇だろう。

 

「それも面白いかもですね! ちなみに売ったら買ってくれるんですか?」

「買うわけ……いや。売られた喧嘩は買ってやるよ。今ならそれもすぐ龍園に売れるしな」

「私の喧嘩を即座に転売しないでくれます!?」

「ククッ。関係ねぇこっちに押し付けてんじゃねぇよ」

 

 機嫌が良さげだったので、さり気なく東風谷を押し付けようとしたけど、当然のように押し返された。普通に下の名前で呼んでるし、東風谷と親しくなりたいのかと思ったのだが、いらんお世話だったようだ。

 

 

 

 

 

 その後、龍園は僕と東風谷を歓迎してくれて、バーベキューを勧めてくれた。

 喜んで参加を表明すると何故か驚いていたが、笑いながら椎名に案内を頼んでくれた。

 驚きの理由がわからず椎名に聞いたところ、どうも綾小路とその連れが先に来て断っていたらしい。だから少し意外だったとのこと。

 

 そう言われるとあいつらが断った理由も気になるも、肉の魅力には勝てない。思考が肉に侵食されるのである。

 少し遅いが昼時だし、寝てただけでも腹は減るのだ。

 接待を受けるのはかなり久しぶりで、Bクラスの奴らを出し抜いてしまったような気がしている。

 やーい、羨ましかろう。僕の昼飯は肉だ!!

……よし。自己弁護の儀式は終わった。ほんの僅か、盗み食いをしているかのような愉悦も混じったが、口には出してないし問題ないだろう。

 

 更に肉を食いながら、ここに来た最大の目的であるコーヒーも椎名に聞いてみると、余っていたインスタント一瓶を分けてくれた。長くても明後日くらいまでには試験を終えるからだろう。

 交渉もなくポンとくれるあたり、素晴らしい。

 ここは楽園か? とか言いたくなる気分である。

 しかしまたもや一之瀬にバレたら怒られるネタを増やしてしまった。ここは、東風谷と口裏を合わせておくべきだろう。

 

 龍園はスパイとカミングアウトした金田から報告を受けていて、その口止め料がこの歓待と待遇なのは理解している。折角の機会だし、できるだけバカンスを堪能させてもらおう。

 残念ながら筋肉痛のせいで食っちゃ寝しかできないが、ここならBクラスの奴らはまず来ない。つまり怒られる心配なく、のんびりできるのだ。

 僕と東風谷は共犯者の笑みを浮かべ合いながら、その共通認識を新たにした。

 

 その僕達を何とも言い難い感じで見ていた椎名に関しては、運を天に任せるので問題ない。なんだかんだでノリが良く、知識・洞察力に優れているのはもう見抜けているので、変な方向には転がさない性格なのは割れているのだ。

 と、小一時間ほど食っちゃ寝しつつ、3人でそれぞれのエア友達品評会をしていると、龍園の笑い声が聞こえてきた。

 

「ハーハッハッハ!! マジか!? あの馬鹿野郎、マジで試験を降りやがった! しかもあの真面目一辺倒の甘ちゃん共を口車に乗せた上でだぜ!? 面白ぇことやってくれんじゃねぇか!!」

 

……まぁ、最初のアレで賛同を示し、バカンスで豪遊作戦を選ぶ龍園なら気づくよな。

 何も考えずにこの試験を受ければ、防御8割、攻撃2割の節約しながら他を蹴落としましょうねって感じになる。

 防御に全振りしたうちと、攻撃9割にした龍園は本質的には似た方針なのだ。

 

 もっと言えばBクラスが採ったのは、試験ステージをBクラスだけ隔離したような戦術だ。同じ島の中にはいるし、指名『される』権利こそ残ってるけど、もはや別の試験へのすり替えである。

 僕達の代わりに金田からうちの情報を聞かされただろう龍園は勿論、担任が渋ったのも多分これに気づいてたからだろうし、高円寺には即座に看破されていた。

 だから月見の前後では、あえて試すような言動になっていた気がする。

 何が言いたいかというと、気づく奴はそれなりにいるということである。まぁそれを見越して、バレても問題ない安全策を提案したわけだが。

 

「それに外部との接触条件緩和に、PPの廃止だと? くははっ! 俺も呼べよ、そういう時は! 鳩が豆鉄砲食らったクソ真面目な奴等の顔を見逃したじゃねぇか!? 想像だけでクッソ笑える…………ハッハハハァ!!」

 

 いい趣味なことで。

 安全策を安全圏から提案した僕と違ってこれから龍園は大変だろうに、微塵も表に出さず笑えるバイタリティ。見習いたいものである。

 

 しかし金田がどう伝えたのか、外部接触の方が何故か『緩和』になっている。

 これが金田だけならいいが、他もそうなっているなら誰かの誘導を考えてしまう。

 何気にそれが可能で、動機まで思い当たる奴が一人いるのだ。

 些細な事ではあるが、落ち着いたら一応確認しておこう。余裕があって覚えてたら……。

 

 

 

 

 

 それから再度、龍園に呼ばれた。

 僕達に夏のビーチに相応しい楽しそうな雰囲気を撒き散らしながら、話しかけてくる。

 彼曰く、僕と東風谷、あと四方は、龍園的には面白い奴認定されたようだ。

 ちなみに、僕も誰が面白い…というより注目株を聞かれたので金田を挙げておいた。ついさっき推理をし合った仲だ。あまりCクラスの奴も知らないし、不自然ではないだろう。

 少なくとも、クラスも空気も流れもガン無視で、よりによって僕を挙げやがった東風谷ほどは。

 

 コイツはこういう時、スルー安定である。

 人前でオモチャ扱い?された事をスルーしながら内心憤慨して睨んでいると、心外です!みたいな顔をしてくるのだ。少しは自分の言動を顧みて欲しいところ。

 

「そういや、てめぇにはうち以外のクラスで面白えと思う奴はいんのか?」

 

 結果、東風谷との睨み合いが発生していたが、龍園にこう聞かれたので一旦寝かせておくことにした。

 

「僕? そうだなぁ。Aには戸塚、Dだと……櫛田かな」

「桔梗さんですか?」

「自然に戸塚をスルーしてやるなよ」

「とつか?……誰でしょう?」

「あんな葛城にくっついてるだけの雑魚になんかあんのかよ」

 

 思ったことをそのまま口に出したのだが。

 

≪悲報。この場の誰もがまともに戸塚を認識してない件≫

 

 東風谷や椎名など、何度か部室に来てたり宴会やガチャとかで一緒になってるのに……。

 佐倉もだが、戸塚も社会人になって初めて重要性を思い知る能力『だけ』が高いから、この年代だと価値がわからないのかもしれない。

 

「ああいうたとえ不利になろうと裏切ることだけはない奴は貴重だぞ?

 それに友達の贔屓目を差っ引いても、あいつ……戸塚の本気は潰すべきじゃないと思ってる」

「何故だ? てめぇにそんな義理はねぇだろ?」

「……根拠なんかないただの勘だし、固有名詞や詳細も伏せるから伝わらないかもだが。

 あいつだけだったんだよ。僕に相談しに来た時、自分でなんとかしたい、って言ってきた奴は」

「なんだそりゃ。相談に来ておいて自分でだと……?」

「そうじゃなくてさ。僕が面白いと思ったのはそこじゃない」

「「「「?」」」」

 

 わからないかもなぁ。

 疑問顔の4人を見てそう思うが、認識すらしてないのはなんとなくもったいなく感じて、思わず強めに推すような言葉が口から出てきてしまった。

 

「あいつは、自分のリスクは度外視してかt…友達の助けになる事だけを考えていた。入学から一ヶ月も経たない時だぞ? 思い込みも強いし、結構はた迷惑な奴でもあるけど、面白いと思ったね。だからそこで確信したんだ。

―――戸塚は『本物』だよ」

「それ、名前伏せる意味はあるんですか?」

 

 実際、教師や生徒会に目をつけられるリスクも話したのに、迷いなく葛城が目的を達成するための行動を起こしたのはなかなかできることじゃない。

 自分の為ならともかく、出会って間もない他人(友達とはいえ)の為に動けるバカには、何故か感じ入るモノがある。

 あと関係ないが、東風谷は自重しろ。

 

「空気読まない東風谷は黙ってような?」

 

 あっ、口に出てしまった。

……何事もなかったように進行してしまおう。

 

「で、話を戻すと。

 でもさ。その時、聞かされても……このままだと戸塚の持ち味を活かせないと、なんとなくわかっちゃったんだよなぁ」

「それでどうしたんですか?」

「そりゃするよな、後押し。

 初手をいくつか提示だけすれば、成功率はあいつが信頼してたかつr…友達が押し上げてくれるのもわかってたし、なによりああいうバカと頭に付けられるような『本気』は潰しちゃダメな気がするんだよ。良くも悪くもな」

「……」

 

 バカとは表現してるが、この場合本当に良い意味しか込めていない。伝わるかはわからないが。

 

「だからってわけじゃないけど、ある意味では自分を重ねてるのかもな。自分の信じるナニカにしか本気になれないって意味で」

「もしかして月見で言ってた夢月さんに似てる人って」

「うん。戸塚と石崎なら似てるって言われても多分頷けるな。顔や性格に他諸々はかなり違うけど」

「……石崎?」

「石崎君に似てる? 左京君がですか?」

「いやまぁ、石崎は戸塚と違って勘100%の印象だから、彼を知ってる君らが違うと思うなら違うんじゃね? 知らんけど」

 

 

 

 これ以上、言えることはないので、少し強引に話題を戻す。

 なんか深堀りすると、自爆する流れになりそうな予感がしたのだ。

 

「んで、問題のDクラスなんだが」

「問題なんですか?」

「問題ってよリ、なんかよくわからん印象が強いんだよなぁ」

 

 本当にこれなんだよなぁ。

 良くも悪くも我の強い奴が多いというか、曲者の巣窟のように見えている。

 

「ホントかよ? 戸塚もそうだが、前にてめぇが名指しした綾小路って奴は、ただの金魚のフンだったぜ? てめぇらの前にうちに来たが、融通の聞かない女の尻に敷かれててな」

「う~ん。まぁ普段だけだとそうなのかもなんだが……まだ定期テストの結果くらいしか例がないけど、そこから判断するに不気味な何かを感じるクラスなんだよ」

「テスト……ああ、そういえば中間では満点が8人も居たのに、期末では半分くらい名前が消えてましたね」

「そう、“それも”だ!

 僕としてはテストを買収、とか何らかの裏技を使ったと見てるんだけど、『誰が』までは絞り込めないあたり、奇術師染みた策士がいると考えてる。

 それに、多分その策士じゃないけど櫛田みたく面白い資質を持つ奴もいるし、綾小路や平田みたく不自然な言動の奴もいる。忘れちゃいけない佐倉や高円寺も。

 ま、ともかく総じて、あそこにはピーキーなスタンドプレーヤーの卵が多いんだ。それが入り乱れて、わけわからない印象になってる感じだろうか」

「スタンドプレイヤーに策士……か」

 

 話してる中で、考え込んだ龍園。

 それを見て不意に思いついた。

 突然すぎて色々ぶった切る事になるが、借りを返す機会はここだと直感したのだ。

 なので、即座に切り替えて行動に移す。

 

「龍園。アルベルトに、連れてくる前に僕が居た場所を聞いておいてくれ。必要なら僕を利用しろ」

「夢月さん?」

「……?」

「今日は誘ってくれてありがとう。おかげで肉を食えた。ちょっと事情ができたから、僕達はもう帰るよ。

 東風谷、行くぞ」

「え、ええっ!? ちょ、待ってください! いきなりすぎですよ!」

 

 話の流れガン無視でいきなりの発言であり、今はわけわからないだろうが、椎名もいるし最低限伝わるはずだ。

 想像が合っているなら、これくらいの保険はかけておくべきだろう。

 僕は静かになった周囲を尻目に、バカンスに誘ってくれた礼を告げて、東風谷と共に龍園達の前から去ることにした。

 

 挨拶したとはいえ、談笑中に唐突に去るとか失礼極まりないが。

 こういう非常識を意識してやらないと、龍園と東風谷の性格的にスルーされる可能性が高まるので、仕方なかったのである。

 

 願わくば、龍園がこのヒントを活用してくれますように。

 

 僕はそう祈りながら、ビーチを後にした。

 





 私的には、龍園含むCクラスの面子と普通に会話していることに違和感を持ってもらえるかなぁ、って感じの話でした。

 これまでも何人かキャラが違うんじゃね?と思われていたかもしれませんが、特に龍園と佐倉(と他2人)はこういう奴らがいたらこう振る舞いそう、という想像を基に解釈して動かしてたら何故かこうなってました。
 一昔前に、キャラが勝手に動く、みたいな表現?がありましたが、こんな感じなのかなぁと勝手に思ってたり。
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