ようキャ   作:麿は星

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76、法則

 

 櫛田が去った後、切り替えたつもりだったがなんとなく引っかかるモノがあったので、部屋から月を見上げながら考えてしまう。

 

―――今更だけど何者なんだ清隆って、と。

 

 あいつ、いつも違う女のケツに張り付いてるじゃないか。おっぱい好きじゃなくて本格的に女好きかよ―――じゃなくて! 清隆は、相手に向ける感情と目的達成に使う手段を完全にわけているとしか思えない。うん、こっちだ。

 偉人で例えると、コルテスのようなタイプ。そんな高校生なんて、存在自体がいまだに信じられない。あいつの周囲に異質な『狂育者』でもいたのか? どういう事情があれば、ああいう若くして政治家みたいな裏を匂わせる奴ができあがるんだ。背景がブラックな事以外、清隆のこれまでが全く想像できない。

 答えてくれるかわからないけど、本人か松雄に聞いてみるべきか? これまで地雷っぽく思えてあえて突っ込まなかったが、知らない方がヤバい気がしてきた。

 

 ちなみに父親の方は、松雄に聞いた印象ではピサロっぽいし、こうしたアンガーマネジメントのできないタイプの権力者はそれなりにいる。

 前の人生で30歳前にそこそこの会社で技術職から部長職昇進を果たし、蹴ることになった経験をした時に腐るほど見た。

 その際に、達成不可能な要求を出され、できないと客前で暴力含む罵倒やパワハラを繰り返し受けたり、リストラ・左遷などを仄めかされて昇進辞退や退社するまで散々嫌がらせや脅迫を受けまくったので、場所によってはありふれているとも知っている。また自分以外の被害者も幾人か見てきた。中には左遷どころか自○にまで追い込まれる人すら記憶しているのだから、あの手の輩は対策も比較的練りやすい。

 

 余談だが前の僕の場合、脅迫状や録音データという証拠を持参しても警察は動いてくれなかった。なので、愛里の時も警察や学校を信じたり頼るというよりも、動かざるをえないように利用するつもりだった。この経験が今の僕の考え方を形作っている面があるのは否定できない。

 ともかくその経験からすると、直接会ったことはないが、地位は高そうでも現時点でさえ弱点や隙がちょいちょい見える点から、父親の方は能力や冷酷さはあっても腹黒いタイプではない。権力と金頼みの強引な小細工なんて、本当に腹黒い大人から見れば可愛いものである。

 

 正直、旅行中にいくつか想定していた『権力者のゴリ押し』の報告がなかったあたりからおかしいとは思っていた。

 一息に踏み潰す事ができないとなれば、時間や余裕がなくとも普通はひと手間くらいは動く。懐柔しつつ松雄を勧誘したりして包囲、こちらにわかるような匂わせや根回しなど打つ手はいくらでもあるのだ。なのに青娥さんはまだしも、会社や松雄に何かをしてこないのはおかしい。表向きの動きがなかったのは、青娥さんが何かしてるのを差し引いても、限定的にしか手札を行使できないとしか思えないのだ。

 だから勿論、弱小会社の僕達は油断できないが、父小路の謀略や搦め手に関してはそこまで警戒も必要にはならない気がする。面倒臭く複雑な人種と違い、ある意味で単純といえそうな相手だったと予測がつき、僕は部分的にホッとしていた。

……逆にいうと、だからこそ怪しいが。この先でそれ系の仕掛けをされたら、父小路に裏がある可能性まで出てくるので。

 

 まぁ清隆に話を戻すと、休み前や話から推定される父小路のやり口とかに似て(権力またはハイスペックな能力と使ったものに違いはあるが)はいるものの、清隆にはより老練な影を踏ませない厭らしさがある。更にはアポロ・アーウィンに近い天成のサイコパスっぽさ……他人への関心の薄さや感情を排したような振る舞い。知性や適応能力、学習能力の高さ。

 これらを総合するに、清隆はおそらく能力だけは父小路よりも格上だろう。

 ああ。サイコパスに犯罪者などのような悪いイメージを持つ者もいるかもしれないが、これらはリーダーや参謀として全体の利益を追求するのに適した資質といえる。常に情を排して個を見ず集を見て、効率的に『平等』に判断ができるからだ。

 そんな生き方を僕はできないししたくもない。だが、少なくとも自国にミサイル打ち込んで何度も似たような自演したり、不況が少子化の原因なのにその少子化対策で財源確保して結果的に不況を加速させる、なんて本末転倒な馬鹿をやったり言ったりする政治や経済を知らない奴らよりは、清隆や高円寺みたいな奴の方が政治家とかに向いているだろう。てか、将来を考えるとマジでなってほしい。切実に。

 

 ともあれ、ああいう政治家に向いてる精神性の奴らと、高校生のうちに同期で出会うとは思ってもみなかった。

 それを踏まえると、清隆の天才性は遺伝や家庭内教育などで底上げされただけじゃない。僕が思うに、むしろ清隆は父親を警戒してたり嫌ってる風に見えて、実は父親から学べるものはない……自分には不要と思い始めているのではなかろうか。そして清隆の性格を分析する限りでは、そういう相手にはなるべく手札を隠そうとするはずだ。

 

 四方の最大の武器が集中力だとするなら、清隆は学習能力だ。少なくとも、天才と確信できる者に必須のキャパシティ……環境や努力を力にする精神は清隆自身のものだろう。清隆の裏で動いたり隠したりする性質は、何らかの形で父親が関係する“そこ”で自分を隠す有用性を学んで後付けでああなった、とかなら一応繋がってくる。

 清隆の背景を推察する上で、特殊な環境下で育ったのはもはや確定的に明らかなのだ。だが、仮にそんな状況でアポロに比肩する以上の実験体扱いされたとして、あそこまで奇妙な育ち方をするものだろうか? 実際のところを想像できないのでアレだが、僕はないと思う。少なからず影響はあるだろうが、あれは四方の同類、天然の特化型天才が更に環境で研磨されたタイプだ。

 

 それにしても、そんな荒唐無稽な憶測を除いて考えても、橋本どころか同年代基準では図抜けた策謀家がいるのが冗談かと思いたくなる。

 今回だって話の流れ次第では、意図に気づかなかったり、櫛田と敵対したり、あるいは僕が櫛田の下僕的な存在にされてた可能性もある。前もって追い払ってくれた櫛田に感謝するまであるくらいだ。油断できないにもほどがあるだろう。

 

……しかし自分でも動きながら状況を操るとか、マジモンの本職スパイとか工作員とかじゃないだろうなあいつ。

 

 裏を『使わない』高円寺と違ってまだ隙や抜けはあるものの、影に気づくまでがまず一苦労で、気づいても対処にヒヤリとさせられるとか、天才であることを加味しても高校生とは思えなくなってきてるんだけども。一之瀬も別の意味で特殊な類だが、清隆から感じるモノは前の人生ですらあまり見なかった闇深さだぞ。サバ読んでなければ、あの年齢でだ。

 

 しかもそんな奴が四方や東風谷じゃなく、敵意こそ感じないが何故か僕に策の焦点を合わせてる気がするのは気のせいか? じゃなければ友達とはいえ、なんで清隆が僕みたいな凡人に策略染みた事を仕掛けてくるんだよ。一度勝負したんだから、まともにやりあったら文武ともに相手にならないってわかって―――いや待て! だからこそか?

 飛躍してしまう仮説だが、清隆も僕と同じ転生者だったとすれば話は違ってくる。前が政治家や官僚なら、父親と老練さが逆じゃね? とはならず、そういうこともあるよね、と納得もできるからだ。

 このせいで明確には気づかなくとも、なんとなくで注意を向けてしまうモノなのかもしれない。すると今回も前回も清隆流の挨拶代わりという可能性が浮上してきた。

 

 なにせ僕自身という前例がある。何人かそういう奴が居ても、ありえなくはないはず。

 更にこれほどの才気を感じる清隆がキャットルーキーに出演していないのは、僕と同じイレギュラーだからだと考えると話が通る。他のイレギュラーっぽい高円寺や東風谷は実家の職業柄や性別などで登場できないかもだが、清隆は選手でなくても何らかのポジション、四方の友人役とかトムキャッツに入団する策を吹き込む無駄に怪しい人役とかで出そうなんだけどなぁ。……キャットルーキー開始前に表舞台から消えてなければ、だけども。

 地味にこっちもありそうに思えているあたり、僕が感じている彼の闇深さはなかなか底知れないのかもしれない。

 

 でももしかしてそうかもとは思えど、どこまで行っても確定はできないし、清隆に口を割らせるなど、僕から明かしてもほぼ不可能で意味もない。だからどうだって話だし……。

 なので、清隆が転生者じゃなかったり、万が一『そう』でも転生者同士が争う系の仕掛けとかがないことを祈るしかない。ホント、どの神様でもいいからマジで頼む。

 日が変わり、やっとこさ厄日が終わったというのに、僕は船上の月明かりの中でしばらく誰にも届かない祈りを送っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 そんなこんなで祈りを終えて切り替えると時間が経っており、気づいたら人の気配がほとんどなくなっていた。

 なんなら大人用のラストオーダーも終了し、ほとんどの施設が店じまいをしている午前2時過ぎ。

 

 思ったより遅くなった自室への帰り道にて、トイレの側で酔いつぶれて寝ている担任を発見した。色々見えちゃいけないものが見えてるのに、ここまで嬉しくない美人の寝姿は初めてである。現実とは非情なものだ。

 僕は少し考えて、ただスルーするのも矜持に反するのと、なにより邪魔だったので隅っこに引きずっていきつつ、肩らへんに筆ペンで張り紙をしておいた。

 

『地雷の口酒女ここに眠る。

 危険につき触れるべからず!』

 

 ヨシッ! これで安心安全だろう。

 いかに美人だろうと、こんな事が書かれた妖怪・口酒女(一字違い)として安置しておけば、うっかりガワで騙されてお持ち帰りしてしまう被害者は減るはずだ。船の平和はこうして保たれたのだ。いやぁ、良いことをした。

 当然のことながら、この善行に迷子放送なんてものに加担して僕を笑ってくれたことは関係ない。僕は一日一善を実行しただけである。

 

「待たせ……おい! チエ! どこいっ―――そこか!?」

 

 僕が正義のヒーローのごとき活動を終えて角を曲がった直後、どこか聞き覚えのある女性の声が担任の潰れている方から聞こえてきた。

 

「む?―――ブッ。なん、なんだこれは!? お、おい。起きろ。ぶふっ……!」

「んぁあ? サエちゃんうるさい~」

「おまっ、ぶはっ! チエ…お前、なにを貼り付けている? ふふふ…地雷。口酒女……ふ、ふはははは!」

「なによぉ、もう。笑い上戸?」

「か、肩、肩……ククッ」

「ん、なにこr―――っ!? はあ~~~~~~~っ!!?」

 

 もう夜も更け、ともすれば朝と言ってもいい時間だというのに、うるさい大人達である。少しずつ離れている僕にも、まだ笑い声と遅れて怒号のような叫びが聞こえてきた。高校生気分(いや、酒なら大学生気分か)もいい加減にしてほしいものだ。

 遠ざかる担任達の笑い声と怒り声は、僕に良き眠りをもたらしてくれそうだから、今回は大目に見るけども。

 

 

 

 

 

 翌朝、僕は引きつった顔の同室者や一之瀬達に包囲されながら朝食を取っていた。

 さっき担任がこんな事は左京君しかやらないだの、紙と筆跡が一致するだの、ストーカーチックな言いがかりを付けてきたので戸惑っているのだろう。でもすぐ半笑いの真嶋先生と茶柱先生が現れて引きずられていったので、僕の記憶からは速やかに消去された。そのまま食事を続行していたら、周囲の顔が引きつっていたのである。

 ただ僕にはなんのことだかわからないという態度を貫いていたので問題はない。いや、面倒事と見るや回れ右して自分だけ去って行った東風谷に意識を持っていかれて、どうでも良くなったが正しいか。

 

 ちなみに珍しく僕の食事に同席者が多数なのは、神崎達に引っ張ってこられたからだ。

 寝静まっていた自室に戻り、ベッドで寝ていた僕を最初に発見したのは、早起きだった神崎らしい。そこからしばらく僕を叩き起こそうとしていたようだが、午前3時近くまで起きていた僕を目覚めさせるには、最近遠慮の減少してきた四方が目覚めるまで待たねばならなかったとか、あの逃げ方をしておいて普通に自室に戻ってきて寝るなとか愚痴られた。

 それで昨日とは違うレストランで、食事を取りながら愚痴を聞かされていたというわけだ。担任といい、神崎といい、暇なことで羨ましい。他にやるべきことくらいあるだろうに。

 

「まったく小姑属性持ちの奴は難儀だな」

「な―――左京、お前……」

 

 一言にまとめて思ってることを小さくこぼすと、言葉を失った神崎の愚痴がようやく一段落した。そして朝食も終わる頃には、Bクラスの主要メンバーも集まってきており、そこで昨夜の猿グループの推測と馬グループの顛末に話が移る。

 話によると、どうやら猿グループにはBクラスの優待者と高円寺が居たとのことで、彼が試験を早く終わらせるためにさっさと指名した。というのが四方や一之瀬達の推測なようだ。

 それに対し、馬グループには四方が居たので、優待者だと当たりをつけていた南という生徒を指名してマイナスの低減を狙った結果が、この2グループ試験終了の顛末に繋がっているらしい。

 昨夜の連続した僕への連絡は、これに関する意見を求めてのことだったようだ。

 僕が端末の電源すら落としたことで一之瀬や神崎から怒られ、ほうれんそうを徹底するよう再び要請されたことで、そう察することができた。

 

「てか、気が向いたらほうれんそうもしっかりするかもしれない、って言ったんだからもういいじゃん。いつまで説教してくるんだよ」

「「……」」

「一之瀬、神崎。これは駄目だ。試験の話をした方がまだ建設的だ。言いたいことはわかるが、夢月はこういう奴だからな。あまりやると、また逃げられるぞ」

 

 また要請されている時、一之瀬に昨日のような僕の手や腕を狙う動きが見て取れたので、何度か軽くはたき落としたのはどうでもいいことだろう。僕に二度同じ手が通用すると思うな。忘れた恥を代償に僕は成長したのだ。

 そうした暗闘を経て、一旦諦めた一之瀬は四方のフォローもあり話題を試験に戻した。説教よりは話し合いの方がまだマシなので、僕も乗っておく。

 

「……左京君は、本当に高円寺君が当ててると思う?」

「そりゃやってれば、当ててるだろ。適当にやっても、あいつが総計2時間も観察したんだ。間違いがあるわけがない」

「まぁ、俺も確信を持って南が優待者だと言えるし、高円寺ならむしろ指名が遅かったとすら思うな」

「確かに。あの時間だったし、なんか面倒事を天秤にかけて、指名する事を選んだ感があるよな」

「あー。そうかもしれない。誰かに協力しろとか言われて鬱陶しくなった、なんてありそうだ」

 

 四方や東風谷は高円寺についてもフラットに見ているので、僕と近い印象になるのだろう。

 高円寺は清隆とは逆に基本プラス方面の判断基準も持っているが、例外もある。人や物事の美醜だ。あいつが面白い・美しいと思えば乗ってくれる事もあるし、つまらない・醜いと思えばどんな事をしても無駄だ。

 このように高円寺六助という男は、わかりにくいと見せかけて意外とわかりやすい行動原理なのだ。問題はそのラインが気分次第な点なのだが……。

 

「猿と馬はこれで終わったからいいとして、ここからの予測はどうなる? 状況が変わったことで龍園が動けばことだぞ」

「う~ん。龍園君はまだ動かないんじゃないかなぁ。あの感じだと、ギリギリまで最大限の利益を諦めない気がする」

「そうだな。CPを得ることよりPPを重視してるなら、今は根回しをしている段階だろう。現時点でできる予想は、できるだけ結果1のグループを増やして、できないならAやBを落とす、ってとこか。だから動くとすれば、最後の最後になるんじゃないかな」

「ってことになるなら、法則を解き明かすのにも力を入れてくるかもね」

 

 昨夜の櫛田の件もあるし、僕は龍園なら8割以上の確率で結果1にできる確信を持てたグループ以外を指名すると見ている。

 ただちょっと気になる単語が出たので聞いてみた。

 

「法則?」

「うん。優待者には選ばれる法則みたいなのがあるんじゃないかって神崎君や浜口君が」

「無人島試験では表向きのルールの他に、左京やDクラスの堀北が利用した裏ルールのような逆転の可能性を秘めたものが存在した。それなら、この試験にもそういった学校から明かされない法則があってもおかしくはないはずだ。そして今に当てはめると、試験の鍵は優待者だから優待者に選ばれる者には法則があるのではないか、と」

 

 何気にまたもや掘北さんの名前が出た。代わりに清隆の名前が出ないということは、清隆が祭り上げようとしてたのは堀北さんか? 知ってるはずの四方が伝えてないということは、偶然か確信を持てないのか?

……これだけじゃまだどうにもできないな。清隆に関しては置いておいて、今は話に集中しよう。

 

「僕達は左京君を含めたBクラスの3人に加え、四方君が見抜いたと思われるDクラスの南君という材料があります。これを元に、法則を解明することもできなくはないんじゃないでしょうか。説明では厳正なる調整と言っていましたし、必ず何らかの手が入っているはずです」

「へぇー! 観察して当てる以外にもあるんだな」

 

 試験に思考を戻し、神崎や続く新顔の説明に感心した。僕にはない着眼点だ。

 てか、考えてみれば、全てのグループ内に高確率で優待者を見破れる奴がいるとも限らなかった。これもまた、この学校特有の不可解な救済措置の一つなのかもしれない。それを元に法則が存在すると推理していくとは、やはり神崎を筆頭に頭の良い奴はそこそこいるのだろう。どうにも固そうな感じはするけども。

 ところで一之瀬が口に出した浜口君というのは誰だ? 神崎の後に補足情報を言った新顔か? メガネに見覚えがある気がするのでクラスメイトだとは思うが、無人島での金田っぽいポジだったらアレなので後で四方に聞いておこう。

 

 しかし法則か……。

 高円寺が指名したって情報が正しいなら、どこかで法則の存在を確信し全体の難易度が下がったのを理解して、サラッと出し抜いた線が頭をよぎった。あいつにこの試験は窮屈すぎるだろうし、無駄に拘束されるなんて嫌いそうだ。こっちの気持ちもわかる。

 だってこれは、僕が優待者じゃなければやろうとしていたことに近いのだ。それができる状況が揃っていて、あとひと押しを待っていたと考えられる。あんな変な時間だったのも、おそらくなにか不快になる要因とかがそのひと押しになったからだろう。気に入ることがあったなら、初日くらいは様子見しても不自然じゃなかった。

 

 僕だったら、気持ちよく寝てたのを起こされたとか、なんかやってるのを邪魔されたとかあったら、多分発作的に速攻で終わらせて自分を試験の外に置こうとする。そうすればこれ以上、その要因に関わらなくても良くなるからだ。

 僕と高円寺では事情は違っても、自分が優先順位の1番上なのは同じだと思う。そしてその下にクラス全体の利益(僕はクラスの上に、友達と借りある人が割り込むが)を置いているのも。

 何が言いたいかと言うと、高円寺はクラスの最大利益と不快要因の排除、他いくつかを天秤に乗せて、自分にとって指名をするのが一番“マシ”だと判断したのではなかろうか。

 

……まぁ、下手の考え休むに似たりと言うし、終わったことで人のことをいつもまでも考えるのはナンセンスか。今度会った時にでも話の種にするくらいで丁度いいだろう。

 適当に試験や高円寺についての思考を切り上げ、僕は人が集まっているこの場所から抜け出す機会を狙い澄ますのだった。

 





 一応補足。
 主人公が綾小路を転生者とか前が政治家・官僚だとか、本職スパイ・工作員とか推測してますが、当然のことながらそんな事実はありません。ただ、転生者の元社会人視点やメタ方面から見るとそう見える時がありません? 正直、私は父親が登場するまでの初期にちょっとだけそう見てた時期があったり。
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