誤字報告ありがとうございます。
次回、4巻部分&4章終了予定です。
ただ試験終わりなので、例によってあとがきに長々とした詳細がありますが、細かいところを気にしない方はスルーで。
8月13日の22時過ぎ。
時折騒がしく店前を通り過ぎていく生徒達をスルーしながら、僕は常連になりつつあったジャズ喫茶で休憩中の船員達の間で溶け込んでいる。
最後のディスカッションで話した際に、同じ牛グループだった吉田健太君がPC技能を持っている事がわかったので、即座に交渉・採用した。彼にいくらかの作業を投げる事ができた為、余裕ができたのだ。
……もっと早く知りたかった。
ともかくそうしてまったりしていたら、通知メールが届いていた。
確認した試験結果はそれなりに予想通り。
結果1は牛・竜・羊が3つ。
結果2は0。
結果3は鼠、虎、兎、蛇、馬、猿、鳥、猪が8つ。
結果4は犬が1つ。
Aクラス -200CP 600万PP
Bクラス 変動なし 600万PP
Cクラス +100CP 700万PP
Dクラス +100CP 800万PP
この結果とポイント増減からは龍園や櫛田の頑張り、そして誰かの奮闘が垣間見える。特に牛グループ以外で結果1を達成した竜と羊は、涙ぐましいとも言える根回しと努力を重ねて得た成果だろう。
そして予想はできていただろうに、それでも裏切りや出し抜こうとしてこなかった葛城と戸塚は、やはりこの騙し合い試験に向いてなさすぎた。一之瀬もそうだったが、信頼を得る選択は結果的に儲けにくい。
生徒会の一件から、葛城も一之瀬も真面目過ぎて要領が悪い場合があることにはなんとなく気づいていた。しかも参謀的ポジションの戸塚や神崎も本質的には真面目側。
真面目なのは美点でもあるんだけど、いつでも良い結果になるわけじゃないのだ。なんでも利用するずる賢さや我を通す図々しさが本人か参謀にあれば……早苗or龍園もどきが増えるだけだな。うちの学年の良心二人か周囲がそうなったら気が休まらない。想像するのも却下したい。
それにこっち方面の高い適正持ちはBクラスだとそれこそ早苗くらいしかないし、割り切ってダメージを減らす、もしくは肉を断たせて骨を断つやり方がまだ合っているだろう。
ただ今回の試験結果は相性が悪く奮わなかったが、先々まで考えると多数にとって良い選択になりそうだと僕は思う。
問題はクラスメイトの理解を得られるかが道を分けそうな点だ。同じクラスの一之瀬はまだしも、葛城は対抗派閥がどうとからしいので近いうちに手腕が試される機会が訪れるかもしれない。
ちなみに僕が所属した牛グループは、交渉や根回し以前の問題というかなんというか……最初から雰囲気が緩かったから、戸塚達Aクラス同士の諍いを仲裁した時点でこうなる下地ができてしまっていた。まぁ最初と最後含めて僕が仕切った影響も少しはあるかもだが、つくづく幸運なグループに入れられたものだ。おかげで100万貰える。
どちらでも良かったから特に心配していたわけでもないが、終わってみると好都合8割な希望的展開になった。
ポイントの支払いは9月らしいが、これにて船上特別試験は無事終了である。
頭から終わった試験のことを消し去り、かなりガラガラの喫茶店の光景に僕は目と耳を移す。
聞くともなしに心地良い音楽を聞いているといっそうジャズや知らない音楽に浸れて、想像上の世界を旅しているようである。まるで早苗に貸した本『船上のピアニスト』の主人公のごとく……。
なにせ国立の学校所有船なのに、実にバラエティに富んだ客層。
すぐ数えられるくらい少数とはいえ、ざっと見回すだけで多様な人種・種族が入り乱れていて見てるだけで楽しい。それに今は美しくも悲しげな曲になっているが、さっきまではその少ない客がノリノリになるくらいに盛り上がっていた。
歌手なのか自由に歌えるのかたまに音楽に合わせた美声を響かせていたラテンっぽいにーちゃん。どこかの担任のように、浴びるように酒を飲んでいる金髪のねーちゃん。タバコの煙で周囲を灰色にくすませる白人のピアニスト。この時間に来てハンバーガー食いだしたアルベルト。野武士みたいな雰囲気で夜の海を眺めるどこかの生徒。宙に浮かび胡座をかく、なんかドーナツみたいな縄?を背中にくっつけた神様。その近くに浮いているどこか懐かしい気がする白っぽい神様? ピシッと背筋を伸ばしハードボイルド感を漂わせるマスター。席を替わってピアノの前に座り、吟遊詩人のごとき弾き語りをしている早苗……って、早苗っ!!?
え? なんでいるの!? 思わず変な声が出そうになっちまっただろうが!
と、一瞬驚いたが、確か指名の件で遅まきながらクラスの要注意人物認定されたとかで、一之瀬や網倉・白波と同室にされたと言っていたのを思い出した。それならここに来ている事にも納得できる。そんな事態になったら、僕も放浪の旅に出るかもしれないからな。気持ちはわかる。
それにしても、早苗の演奏は相当なものだ。良い腕と声をしている。性格にそぐわない曲な気もするが、場の邪魔にならないこれこそまさに生きた音楽といったアドリブは歳に似合わぬ熟練を思わせる。微妙に孤独を感じさせる曲調にこそ違和感はあるが、一流との境界を分ける音楽に乗せられる情動も文句なしだ。
つくづく何をやっても上手くこなす奴である。人間関係と文系知識以外は。
ただ何度も言うが、あまり『普段』の早苗と合っていない感じの曲調なのは、やはり少し気になった。
そういうリクエストなのか、店との契約とかで演奏させてもらっている対価なのか、自分の持ち味を生かせるのがこれだと思ったのか、はたまた別の理由か。いや、人物を考えなければ耳に優しい演奏なのだけども。
少し考えて、僕は見なかったことにした。アルベルトと神様とは目があったので、手を振っておいたが。
「夢月さん? 他人のふりとは相変わらず連れませんねぇ」
まぁ僕が見なかったことにしても、あれだけの感知能力。演奏を終えると、即バレして絡まれてしまうんだけども。
「あんまりふざけたことをしていると。
―――お前をぶっ殺すゾ☆」
「普段の口調に合ってない唐突なバイオレンスしんちゃんヤメレ」
「……自分で言っててなんですが、よくわかりましたね」
「田舎とかで再放送を結構観てたからな」
いきなりネタ会話をふっかけられたが、僕や四方、高円寺など常識人枠じゃないイロモノなのでしかたない。こういう性格の幅が広い奴と付き合うのも何気に大変である。
しかし思ったけど、類は友を呼ぶという。つまり早苗や清隆のようなイロモノを呼んでいる元凶たる類友がいるということだ。それは愛里か櫛田か…あるいは一之瀬か。
愛里や櫛田はそうさせないからいいとして、では例えば一之瀬から避けられるようになったら、彼女が呼び寄せていた何人かの類友も僕の周囲から消えるのだろうか。
……ちょっと一之瀬にやりすぎたアレコレは早計だったかもしれない。許されるかわからないけど、次の機会まで覚えてたら一応謝っておこう。
「また何か変なことを考えてますね夢月さん」
「考えてないって。一之瀬に謝っとこうかなってだけだ」
「そこで一之瀬さんの名前が出てくるあたりでもうおかしいんですがそれは」
イロモノの考えはわからない。
だから逆に僕の常識的な感性もイロモノにはわからないのだろう。
「いや。自分がやった事で巡り巡って友達失くしたら寂しいだろ? だからちょっと思うことができて謝ろうって結論に至っただけだ」
「…………あの改変5才児の話題からどうしてそれに至るんですかね。夢月さんって、話すのに通訳必要とか言われたりしません?」
「ん、ああ。そういえば、無人島かどっかで一之瀬から言われたような……? でもそれだけだぞ」
あの時はなんでだっけ?
一之瀬がヒモを囲いそうってのは少し覚えているけど、黒歴史の印象が強くて流れが思い出せない。パラダイスにイロモノが乱入してきて……そんで、なんやかやで僕が恥ずかしい事言っちゃった感じだっけ。
……なんでそれで通訳がどうとか出てきたんだ?
「私は今、夢月さんがコミュ障な理由の深淵を覗いた気がしています。
悪い意味で敵は己の中にあり。会話、コミュニケーション、気遣い。夢月さんは“重要な時以外”これらをおろそかにしているからそんな事になるんですよ! 神奈子様がそう言ってます!」
「僕がコミュ障なわけないだろ。いい加減にしろ!」
「いい加減にするのは夢月さんなんですよねぇ」
「だいたい早苗は僕のこと言えないだろうが」
「私はこれでも用事がありますが、こんな時に一人きりで過ごしてるなんてコミュ障以外のナニモノでもないじゃないですか。もう少し付き合いを増やした方がいいのでは?」
余計なお世話だ。って言いたいけど、神様の名前を出されてるし耳に留めておくしかない。いつになく穏やかな早苗の返しに毒気を抜かれたというのもある。このくらいの反論に抑えておくべきだろう。
というか。
「てかお前、いつからか神様の名前を隠さなくなったな。うっかり名前呼んだら罰が当たるかもしれないからやめてくれよ。その名前って普通は隠されるようなものなんだろ?」
「さっき気軽に手を振っておいて今更過ぎるでしょう。それに夢月さんだけなら、神奈子様も諏訪子様も普通に接して欲しがると思いますよ」
≪そうね。早苗も嬉しがるし、落ち着いたら神社に参拝に来なさい。歓迎するわよ≫
「神奈子様! 余計なことは言わないでください!」
なんか胡座かいたまま神様がふよふよ来て茶々入れてきたんだけど……。
僕の勘は小さな神様と違って強大な神様っぽいと言ってるのに、その割には鷹揚というか器がでかいというか。いや、むしろ大手?だからか?
でもこうして一柱と一人を見ていると、信仰対象ってより早苗の家族みたいだな。
一言だけで手を振って、またふよふよ飛んでいった神様を見送り、何故か僕は友達の家族に挨拶された気分を味わっていた。
「……はぁ。早苗のところの神様って意外とフランクなんだな。僕の知り合いの神様もそうだから、わからなくはないけど」
「威厳を漂わせたほうがウケる時はそうするみたいです。夢月さんには……まぁ、色々ありましたからね」
色々とは、お供えやガチャの件だろうか。今思い出すと、敬意もクソもない俗まみれなことしかしてないが。ただ神様や早苗の言い方的にも、僕が礼を失している感じじゃないので特に意識しなくて良いだろう。
相手に合わせて対応を変える柔軟性は、流石早苗の仕える神様である。
案外、いつの間にか最初にして唯一の守矢信者になっていた愛里か、よく僕達(というか早苗)のフォローに走ってくれている四方になら、世間でイメージされる神様っぽい対応になるのかもしれない。
「―――来ましたね」
早苗が珍しく穏やかだったので、警戒心なくなんとなく世間話していたら、唐突にその時はやってきた。
口を開いた早苗が雰囲気だけはいつものまま後方に視線を移す。
僕もそちらに目を向けると、四方と愛里、高円寺の天文部が勢揃いしていた。試験が完全に終わったので、他のクラスの生徒と接触しても問題なくなったのだろう。
……なんか嫌な予感がしてきた。と思った瞬間、早苗が高らかに宣言しだす。
「これから夢月さんには! 天文部部長の座を賭けて私達と勝負してもらいますっ!!」
勝負? なに言い出したんだこの緑巫女は。それに信者になれ、じゃなくて部長の座?
欲しいならわざわざ勝負するまでもなく、いつでも譲るが?
部長なんて面倒くさいだけだと思ってたけど、誰かやりたい奴でも居たんだろうか?
僕はその思った数々の疑問を端的にまとめて口に出した。
「あー? なに言ってんだ?」
「東風谷。先走りすぎだ。旅行の締めくくりにはって付けなくちゃ夢月もわけわからないだろう」
「いや、四方。そんなん付いても何もわからないんだが」
「ご、ごめんね夢月君。早苗さんからどうしてもって頼まれちゃって」
「わかると思うけどねぇ。レディの余興に付き合うのも紳士の嗜みだよ夢月」
「……ああ。これが高円寺の言ってたやつか。
でも勝負ってなにするんだよ?」
四方までフォローせず突っ走ってくるので少し混乱したが、愛里と高円寺の言葉からようやく少し察する事ができた。
つーか、これはいつもの早苗の勝負したい病か。
今回は船上で店の中だし、荒っぽいことにはならなさそうだが……。
でも事態が呑み込めてくると、他の部員を巻き込んだ点と勝負の景品に少し違和感。もしかして考え方か発起人が違うのか?
高円寺と愛里はまずないとして、四方が乗り気っぽいのが引っかかる。そこから憶測を繋げていくと、早苗でなければ消去法で首謀者はまさかの四方?
「それは夢月さんが決めることです! 自分が勝てそうな勝負にするも良し、楽しさを優先するも良し。
ともかく、ライバルである夢月さんと決着をつけずに旅行を終えるのが私は嫌なので!」
「いつ早苗のライバルになったんだ僕は? てか、ここまで状況を整えておいて、方法は僕に丸投げかよ」
「こっちの人数のほうが圧倒的ですからね!」
「……あー。一応聞いとくが、勝負するまでもなく誰かに部長を譲るっていうのは」
「通りませんね。私は夢月さんと勝負すること自体が目的なので!」
「……」
疑問は置いといて、まったくもって勝手なことばかり言いやがる。早苗にはもう少し常識的な振る舞いをしてほしいものだ。
一旦視点を切り替えて、早苗に勝負を撤回させるのを諦めた僕は、空気的に無駄だと思いながら他の意見も聞いておく。
「はぁ。で、早苗以外の考えはどうなんだ?」
「俺はなにが来ようと問題ないぞ。できるだけ準備は万端にしてある」
「夢月がどう挑むかには僅かな興味があるねぇ。まぁ完璧な私なら何が来ても問題ないさ」
なんか本当に四方がこの面子を集めた感じがしてきたんだけど気のせいか? 準備とかやる気がありすぎなような? 高円寺や愛里すらも話に乗せてるし……。
早苗だけならもっと直接的になるのはこれまでからわかりきってるし、不確定要素や外堀を埋めて変幻自在な誘導を企てる清隆とも違うやり方。
挙げ句、この四方の短い返答や珍しい態度から察することのできるのは、仲間と協力し合って目的を達成しようとする少年漫画的な手法。これは僕が持つ四方のイメージと合致するのだ。更に早苗が妙に前に出ているのは、言い出しっぺの四方以上に乗り気になってしまったからだと仮定すれば一応説明がつく。
前から何度か四方に言われてはいたが、僕と勝負したいってのは本気だった? でも勝つ意味も負ける意味も見いだせなかった僕が逃げ続けたから、早苗をはじめ他の部員を動員して断りにくくした感じか。
だとしたら今回は断らずに本気で勝負を受け、きちんと僕の底を見せておくのが友達というものかもしれない。
それはそれとして、面倒かつ是が非でも勝つ理由はないとはいえ、ただで負けるのは悔しいので適度にボチボチと力を尽くさせてもらうが。
「……わ、わたしは…その、なんであれ旅行の最後の夜にみんなで集まれるのが楽しみで」
てか、関係ないけど愛里にマジで癒やされるわー。
自信に満ち、好戦的な他と比べ、明らかに異質な勝負の動機。
釣られて変な方向に思考が行っていた僕をいつも『幻想』に引き戻してくれる愛里。
それはまるで、新たな道筋を照らしているようである。
話を聞きながら内心でこっそりその道筋を形にしていると、金を使わないで済む豪華客船での打ち上げと勝負を繋げる案がふと頭に浮かんだ。そう視点を転換させてみれば、打ち上げの余興としてなら勝負も悪くないと思えてくる。みんなで集まるのが楽しいかはともかく、宴やそれに類するものは好きなのだ。
それと勝ち負けに特に意味がないなら、いっそ弾けちゃって押し流してしまおう。
ならば全員が気分良く終われる勝負法が良い。
う~ん。でもそんな勝負って何かあったっけ? と勝負に使えそうなモノはないか見回し……ピンときた。
『海の上のピアニスト』のあのシーンと、ここがどんな店かを思い出されて、頭の中で一つの答えが導き出されていったのだ。
僕は深く考える前に、それを提案してみる。
「じゃあ、音楽対決はどうだ? 勝敗はこの店にいる人達の反応で」
「それにしましょう! 夢月さんに借りた本でピアノにハマって練習しましたし!」
「……ふっ。では私はバイオリンにしよう。美しく偉大な私にはふさわしい楽器だ」
「…………ちょっと自信ないけど、俺はチェロかなぁ。中学の時に少しかじっただけだが」
「え、あの……わたし、楽器なんてできないよ? 歌も多分人並みだし、足を引っ張っちゃうんじゃ」
「愛里、それ普通だから。普通は経験ないものだからな?」
それは早苗が弾いてたピアノや、入店してから置きっぱなしだった楽器群(店のマスターに言えば、使わせてくれるらしい)を見て思いついたアイディアだ。簡単に言うと『海の上のピアニスト』に描かれていたピアノ対決を、数人用にアレンジしたものである。
言ってから、あまり音楽系の経験者はいないんじゃ? と思ったのに、当然のように愛里以外の3人は自信ありげ。早苗の歌や演奏はさっき聴いてたから知ってたけど、クリエイティブ分野などの評価が著しく低いこの学校でこれとか多芸すぎないかコイツら。これだから天才は……。
あと……気のせいかもだが、この流れを読まれていたような違和感もある。
特に提案してノータイムで、練習も互いの能力把握もしてないだろうに、トントン拍子に段取りを組んでいく部分。まるで想定していたうちの一つを詰めるかのような手際の良さには、かなりの本気度が漂ってないだろうか?
突発的だった清隆との勝負とも違う。
これも天才と対峙する感覚……?
まぁ本気かどうか以前に、まともに当たれば天才どもを相手にするのはかなり骨が折れそうではある。楽器など演奏できない僕はなおさら。
だが、それなら用意されたのと似た『別のステージ』で勝負すればいい。
天才特有の自負と勘違いしている部分を突けばそれができる。
ただこのままだと問題もある。
そう。本職のアイドルとはいえ、歌や踊りで売ってるわけじゃない愛里が向こうで浮くのは明白なのだ。
なので不安そうだったのにつけこみ、逸般人は逸般人同士、一般人は一般人同士のチーム分けを申し出ることで対処してみる。僕一人だと心細いし、声質の良い愛里が受けてくれたら嬉しいので万々歳だ。
「ところで、一応そっち4人が僕と対戦希望みたいだけど、どうしてもってわけじゃなかったら愛里は僕の方に来ないか? 勝ちを見据えられるほどの札はないから僕の結果に巻き込む事にはなるけど、足を引っ張るなんてことだけはなくなるぞ。
てか、むしろ僕が助けてほしいからこっち来て。お願い愛里」
「えっ! わたしが夢月君の助けに? で…でも、いいのかな?」
常人寄りなら、あちらの組について行くのは難しいと見た引き抜き。
それを受けて愛里は少し困惑気味に早苗と四方を見たが、おそらく意思を尊重する為にどちらに付いても大丈夫だと言うはず。僕としては頼もしい相棒になるので、唯一好戦的じゃない愛里はなんとか引き入れたいが、向こうからしてみれば必須というほどでは……ないと良いな。
ぶっちゃけ、なんとなく愛里には有利不利じゃなく、自分を必要とする度合いが大きい方を見抜いて付いてくれる印象があるので、正直に助けを求めてみただけである。
「私は構いませんよ。この勝負なら危ない事はありませんから、愛里さんも気にしないでくだささい」
「そうだな。考えてみれば、人数的に夢月の方にはもう一人追加するのがバランス良いか。
……うん。佐倉がいいなら夢月を助けてやってくれ。対戦相手が言うことじゃないかもしれないけどな」
「ほう……」
「早苗さん、四方君……それに高円寺君も。あ、ありがとう。夢月君はよろしくね」
「ああ、よろしく頼む。それとありがとな」
特定の者には甘い早苗と四方に後押しされ、高円寺はわからないが反対ではなさそうだ。それもあってか愛里はやはり僕を助ける選択をしてくれた。
まぁ向こうが戦力過多に見える為、自分がそれほど必要ないと感じた可能性もあるが、音楽分野なら同程度か僕が少し劣る程度の能力だと思われる。こっちの方が愛里も気楽にやれるだろう。
願わくば、宴の余興にほどよい緊張感になってくれれば幸いというものである。
試験結果と本編では出せなかった内容詳細。
子グループ 結果3 優待者はA。Cに+50CPと50万PP、Aに-50CP。
牛グループ 結果1 優待者はB。Cに150万PP、A・B・Dに200万PP(左京には100万)。
虎グループ 結果3 優待者はC。Dに+50CPと50万PP、Cに-50CP。
兎グループ 結果3 優待者はD。Bに+50CP(東風谷に50万PP)、Dに-50CP。
竜グループ 結果1 優待者はD。Bに150万PP、A・C・Dに200万PP(櫛田には100万)。
蛇グループ 結果3 優待者はB。Cに+50CP、Bに-50CP。
馬グループ 結果3 優待者はD。Bに+50CP(四方に50万PP)、Dに-50CP。
羊グループ 結果1 優待者はC。Bに150万PP、A・C・Dに200万PP。
猿グループ 結果3 優待者はB。Dに+50CP(高円寺に50万PP)、Bに-50CP。
鳥グループ 結果3 優待者はA。Dに+50CPと50万PP、Aに-50CP。
犬グループ 結果4 優待者はC。Cに+50CPと50万PP、Aに-50CP。
猪グループ 結果3 優待者はA。Dに+50CPと50万PP、Aに-50CP。
A -200CP(-200CP) 600万PP
B ±0CP(-100CP、+100CP) 600万PP
C +100CP(-50CP、+150CP) 700万PP
D +100CP(-100CP、+200CP) 800万PP
羊グループ、結果1。
PPの重要性を考えされられた上で、龍園や櫛田と細い縁ができた橋本が独自交渉した結果こぎつけた。何気にその過程で葛城・戸塚とはちょっとだけマシな関係性になっている。
犬グループ、結果4。
池から聞いた左京の真似をして優待者を名乗る山内マジックが発動。それを同グループで優待者だった金田が利用して指名を誘発させた為、結果4。
ちなみに偽の優待者を名乗っても山内にもDクラスにも恩恵はないが、そこには気づかなかった山内クオリティは流石にやりすぎ? これは焦っていた上に、無人島のアレで綾小路や堀北、櫛田を避けていたので、池・須藤以外の誰からも助言を受けられなかった事が大きかった。っていう裏が一応あったり。
結果3、8グループ(先に指名されてた3グループ以外)。
結果1にすると決まっていた3組を除き、龍園と櫛田が水面下で取り合った結果ほぼ痛み分けに。椎名は結局動かない選択√。
ただ何気に原作と違い軽井沢の件がなくなって時間のできた綾小路が、櫛田から法則を聞かされてさり気なく指名の後押しをしている。Cクラスを纏めている龍園に対抗できたのは、指名するタイミングを読み切っていた綾小路がそれとなく櫛田を操った為。
葛城は優待者の法則を割り出してはいたけど、信頼を取る選択。この決断にはクラスを纏めきれず、最後のひと押しがなくて決断できなかったという裏事情もあったり。
Bクラスは、最後に指名が連続した時点で反撃可能ではありましたが、一之瀬・四方が他クラスへの影響といくつかのリスクを説いて抑えた。こちらも葛城と同じく信頼を取った形。
※羊の結果1と犬の結果4は、左京の影響がそれなりにある独自設定なので詳しめです。
船上試験後各クラスCP。
※括弧内は無人島試験後のCP。
A 1014(1214)
B 980(980)
C 696(596)
D 420(320)
総評。
考えていた何人かとの人間関係はまぁ成功。されど試験自体は負け気味√達成。
……この微妙なCP差と独自展開を調整するのに、無人島からめっちゃ手間取ってたのは秘密。確認したつもりですが、もし間違ってる箇所があったらご指摘くれると助かります。
あと冒頭の吉田健太。
原作の学年末試験で、外村秀雄(博士)とタイピング技能で争った人物。
たまたま牛グループ所属だったので、物語外で左京と会話した際にPC技能がある事が判明。戸塚の口添えもあって臨時バイトで採用された。
オマケ。
今回の2つの特別試験、『天才』や『例外』で出した優秀な指導者以上の者(学んで確信を持てなくとも行動・変化できる者)は……まぁ原作読めばだいたい察せられる奴がほとんどで、ようキャ本編でも匂わせてるし、わざわざあげなくてもいっか。
基本的に左京はその者達を格上と判断している、とだけ言っておきます。