虫食べる系配信者が退廃未来へタイムスリップ! 〜魔物化したゲテモノを食べて超絶バフで生き延びる〜   作:フーツラ

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水着配信と……

「おじいちゃん! またね〜!!」

 

「おう! また絶対に遊びに来いよ!!」

 

 ニコはパンダモンドのことをおじいちゃんと呼び、手を振る。パンダモンドは照れ臭そうにしながらも、それに応えた。

 

 結局俺達は多摩湖に二週間も滞在することになった。魔道具の修理はパンダモンド任せだから仕方がないが、故意に長引かせていた疑いまである。

 

 偏屈なドワーフだって、一人で暮らすのは寂しい。

 

 近くに人間の集落があれば交流もあったのだろうが、どうもその様子はない。もしかしたら、あのナメクジのモンスターに皆やられたのかもしれない……。

 

「ルーメン、早速使おうよ!」

 

「そうだな。見つかる前に使おう」

 

 ニコにせがまれたのはモンスター避けの魔道具だ。ランタンのような形をしたそれは、蓋の部分のボタンを押すと怪しく光軽く振動を始めた。

 

 空気中の魔素を吸い込んで、魔物の嫌がる波動を出すらしい。

 

 あの巨大ナメクジは子ナメクジに呼ばれて現れた。この魔物避けで子ナメクジを遠ざければ、親も現れないだろうというのがパンダモンドの言い分だ。

 

「あの変態ナメクジに見つからないことを祈ろう」

 

「主よ! デカいナメクジはキモいので無理です! あの野郎にエンカウントすることなく中野に帰れるよう、わぁを守り給え。アーメン!!」

 

 俺達は多摩湖に別れを告げ、中野の森に向かって歩き始めた。

 

 

#

 

 

 魔物避けの魔道具の効果か。はたまたニコの祈りが届いたのか。帰り道は驚くほどスムーズだった。

 

 モンスターに襲われることもない。道も分かっていたのでサクサク進む。

 

 俺達は往路の半分の時間で中野の森へ着こうとしていた。

 

「ルーメン! なんか顔がニヤけてる!!」

 

「……そんなことはない」

 

「絶対ぜーったいニヤけてる!!」

 

 ダークエルフ、アンスラの水着配信について考えていたらつい、顔が弛んでしまっていたようだ。気を付けねば。

 

 

 中野の森に足を踏み入れると相変わらずの魔素の濃度に身体が反応し、一瞬逆毛が立った。多摩湖の周辺も魔素が濃かったけれど、この中野の森は特別らしい。

 

 少し歩くと、木々の葉が急に揺れ出した。そしてビュン! と緑の風が通り過ぎて、アンスラが現れる。

 

「随分と遅かったのぉ。パンダモンドは元気じゃったか?」

 

 ゆったりとしたローブ姿のアンスラが、胸の下で手を組んで興味深そうに言った。俺はアクションカメラのアングルを調整する。配信スタートだ。

 

「あぁ、随分とニコのことを気に入ってな。終始ご機嫌だったよ。魔道具も全て直してくれた」

 

 

「おう、そうかそうか。ならよかった。早速じゃが、魔道具を……」

 

「その前に! 約束の姿になって貰おうか!!」

 

 チラリとスマホを確認すると、同時接続数がとんでもないことになっている。コメント欄もお祭り騒ぎだ。

 

 

 コメント:キタアアアー!! アンスラ様だ!!

 コメント:相変わらずの美貌!

 コメント:最近ロリコンドワーフばっかりだったからな。

 コメント:これは! 期待してもいいんですか!?

 コメント:ルーメン頼む! 上手いことやれ!!

 コメント:俺はニコとパンダモンドの絡み好きだったよ

 コメント:アンスラ様の水着配信!?!?

 コメント:えっ、今から水着になるの?

 コメント:もっといいカメラないの?

 コメント:ルーメン! もっと寄れ!

 

 

「かかか! せっかちな奴じゃのう。しかし、安心しろ。ちゃんと準備してある!」

 

 ──ビュン!! とアンスラの足元から緑の旋風が巻き起こり、その姿を隠す。それが収まると……。

 

 

 コメント:やっぱり白の水着!!

 コメント:褐色肌には白よ!!

 コメント:寄れ! ルーメンもっと寄れ!!

 コメント:生きててよかった……

 コメント:これはアンスラ様への投げ銭だから!!

 コメント:アンスラ様、最高ォォオオオ!!

 コメント:胸でけぇ

 コメント:ひろし、今すぐ戻れ! 母危篤!!

 コメント:……ひろし?

 コメント:誰だよ。ひろしって

 コメント:おーい、ひろしいるかー? 母危篤だってよー

 コメント:母さんがずっと呼んでる。早く戻って。ひろし

 コメント:えっ、何これ。

 

 

「うん? どうしたルーメン。顔色が悪いぞ? せっかくわしが水着になったのに不満かぇ?」

 

「……いや、なんでもない」

 

「ルーメン、貸して!」

 

 ニコが俺の手からスマホを奪い画面を凝視する。

 

「ねぇ、ルーメン。ひろしって誰?」

 

「ひろしは……」

 

 俺の名前だ。

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