「ナツ、レイヴェル!!大丈夫か!?」
「おう!無傷だ!!」
「あい!」
「こちらも大丈夫ですわ!!」
と、いつものノリで挨拶するナツとぱっと見何かされた様子はないレイヴェル。
よかった。ナツはきっちり間に合ったらしい。
「ナツさんがいなかったら危なかったです」
「クラスメイトを人質に取られちゃいまして…」
小猫ちゃんとギャー助も見た限り無事そうだ!!
それにしても人質か。ひでぇことしやがる…!
「そっちはどうしたの?」
一年女子に抱き抱えられているハッピーが言う。
まあ、見た目は可愛い?猫だからなコイツ。人質に取られた子を落ち着かせるためにぬいぐるみがわりになってるらしい。
「今会長達が捕まえて冥界の魔王様達のとこに送ってる。……それにしても」
派手にやったなぁ。教室は半分吹き飛び、ところどころが未だに燃えて燻っている。
「かーっかっか。どうだ!すげえだろ!」
「いや褒めてないよナツ」
「まあ仕方ねえだろナツだし」
いつも仕事で色々壊すし。正直予想はしてた。
「そっちも大丈夫かい?」
その子は恐ろしげな体験をしたように呆然としながらハッピーを抱えてた。
「……変な格好をした人たちに、私捕まって…私を殺されたくなければレイヴェルさん達に着いて来いって……」
大丈夫?とハッピーに慰められながらポツリポツリと話す一年生女子。
「どうしようってなった時にこの猫ちゃんとピンク色の髪の人が助けてくれて…」
「来て早々、あの魔法使い達を殴り飛ばしましたの」
「そのあと特大のブレスで吹き飛ばしてました」
それがこの惨状と。まあいいやあとで直せば。会長とかもこれはしょうがないって言ってくれるさ。
「ありがとな、ナツ。お陰でレイヴェルや小猫ちゃん、ギャー助にこの子を助けられた」
「気にすんな。レイヴェルたちもギルドの仲間だろ」
「しかしこれで終わったなんてこたぁねえだろうよ」
と、教室の入り口をクラッシュで壊しながらギルダーツが歩いてくる。
いや、ドア使えよおっさん!?
「おっさん!!そういえば、今までどこに?」
「ギルダーツさんには私たちと一緒にイッセー君とドラグニル君が戦っていたところ以外をお願いしました」
と、会長。
まあ、ギルダーツのおっさんだしな。あの程度には苦戦しねえだろ。当たり前のように無傷だ。
「なんていうか本物の理不尽を見た」
「うん。アレはやばいね」
「…何したんだよおっさん」
「そんなに大したこたぁしてねえよ」
アレ見てみろよ兵藤。と、匙が指を指して た先にはクラッシュで崩壊したグラウンドと数えるのも億劫になるほどの魔法使いの姿。
「いやぁ加減はしたんだけどな?」
はっはっはと笑いながら悪りぃなと言ってくるギルダーツ。
「まあ、ギルダーツにしては加減したんじゃない?だって前なんて山を崩落させちゃったし」
と、ハッピー。あれか?前に新聞に載ってたあれこのおっさんがやったのか!?
「山を崩落って……」
「やっぱり強えなギルダーツ!!勝負だー!!!」
「また後でな」
と、言いながらナツを沈めるギルダーツ。相変わらず理不尽なおっさんだ。
「つまりあれか?あのオッサン手加減してこれなのか?」
「そもそも手加減してなかったら学校無くなってるよ」
マジかよ…。と戦慄しながらドン引きするシトリー眷属。
新鮮だなこんな反応。俺含めた妖精の尻尾の連中なら最終的に『まあギルダーツだし』ってなるからね。
「ていうかお前らもお前らで壊しすぎだろ!!」
「あとで直せばいいじゃねえか」
「……お前まで何言ってんだ兵藤」
「イッセーもナツと同じで仕事でよく色んなもの壊すしね」
「報酬減らされるから地味に痛いんだよなぁ」
「だったらやめろよ!!この5年で一体何があったんだお前!?」
「色々あったんだよ」
断じて色々壊すナツとかグレイとかエルザとか見てたら加減するのもバカらしくなったとかそんな理由じゃない。
「というかイッセーは昔からよく色々壊してたよ?」
と、ハッピー。
「えっそんなに俺色々やってたっけ?」
「昔ラクサスとよく喧嘩してた時に色々壊してたじゃない」
昔、バトルオブフェアリーテイルの事件をラクサスが起こす前。あいつとは事あるごとに喧嘩してた。
まあ、BoFTの一件の後、あいつも丸くなったのか突っかかってくることも無くなったから最近はそういうのないな。
と、そんな事を思い出してたらロスヴァイセさんやシトリー眷属のみんなからの視線が痛くなってきたからそろそろ話を戻そうか。
「魔法使いの規模思ったより大きかったですよね」
「ええ。しかもこの作戦に参加しているのが全員とは考えられません。これが全てではない、と考えるべきでしょう」
「コイツらがレイヴェルを狙ったってことは…」
「ええ。彼らが件の非正規のフェニックスの涙と繋がりがあるのは明白。そして…」
「背後に強大な力を持った何かがいる…」
英雄派、ヴァーリチーム、旧魔王派と言った大規模派閥が潰れたり、追放されたりで『禍の団』の主要なメンバーは消えたと思ってたんだけどな。
「ええ。これほどの数のはぐれ魔法使いが迎合しているとなるとその可能性が高いでしょう。レイヴェルさんとこちらの女子生徒はしばらく妖精の尻尾で待機してもらうことにします」
そうかウチのギルドへの直通の道はこの学校と俺の家しかないからな。それにアースランドのことは魔獣騒動の時その場にいた者と、グレモリー眷属、シトリー眷属にのみ知らされている情報だ。多分あの魔法使い達も知らねえ。現にナツやハッピーの情報をアイツらは何も知らなかった。
「なんでこの子までギルドに?」
「彼女の顔を覚えている魔法使いがいるかもしれないからですわね」
と、朱乃さんが言う。一年生の子には怖い思いをした記憶をそのままにして悪いが仕方ないか。
「ええ。魔法使いの目的であったレイヴェルさんの誘拐が失敗したわけですから何かしらの手を打ってくるはずです。駒王学園の生徒には全員秘密裏に護衛をつけますが…」
「この子は顔を覚えられてる分狙われやすいってことか……!」
全く。やってくれるぜ畜生。
「そして、敵の狙いであるレイヴェルさんをここに残すのも下策です。現実向こうに行くのにもここかイッセーくんの家のゲートを通らなくてはなりませんから向こうに待機してもらうのが一番でしょう」
「それに今オイラたちのギルドにはラクサスやミラみたいに強いメンバーがいるからね」
「守りは十分って言うか敵が可哀想になるレベルだよな」
「で、俺たちはどうすんだヨ?」
と、ギルダーツに沈められたナツが復活して問いかける。
「今、ロスヴァイセさんと桃と憐耶が残された魔法陣から敵の潜伏先を解析しています。それが終わり次第…」
「殴り込みですか?」
「ええ。イッセーくんとドラグニル君は何か怪我等はしていませんか?」
「俺もナツも無傷です」
「おう!仲間を、家族を狙って来たんだ。俺たちのギルドにケンカを売ったらどうなるか見せつけてやる」
「あい!」
「最近入ったばかりのわたくしに対してそこまで…本当にありがとうございます…」
と、レイヴェルが言う。でもさ、レイヴェルはわかってないんだよ。俺たちのギルドはそんな事気にしない。
「いつ入ったかなんて関係ねぇ。この紋章を刻んだらその瞬間からソイツは俺たちの家族だ」
「そして俺たちは仲間を、家族を傷つける奴を許しはしねぇ」
例え相手がが他のギルドであろうと。強大な力を持った闇ギルドであろうと。それが例え俺たちのギルドの何百倍もの規模を誇る帝国だろうと。それが変わることはない。