「──────っっ!???!?」
目の前の空間が割れた。いや、正しくは爆発し、今現在私の目の前で燃えている。
炎は燃え盛る。留まること知らず辺り一体の森林に広がり周りは地獄絵図と化していた。
「──────。」
言葉は出ない。喉が声を発する事を許可しない。
家が、森が、山が、川が、大地が。
見知った私の景色が全て炎の海に飲み込まれてゆき変わろうとしている。
「助けてくれーーーーーーーぇぇえぇぇっっっっっ!!!!!!」
「お母さ゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛!゛!゛!゛!゛」
「いぎっ゛んごっ゛お゛」
隣に住んでいた中年の田中さんは全身が燃えダンスを踊るかのように暴れ狂っている。
一階に住んでいた男の子はドロドロに溶けていると分かるほど手遅れだった。
もう、形すら分からない""ナニカ""の塊は目の前で蠢く。
「............んぐっ!?」
吐瀉物が喉元までに来る。だが意地で飲み込む。
空は赫灼の様に燃え紅く染まっていた。
正に地獄絵図。普通の人間なら発狂しても可笑しく無い光景が目の前に広がっている。通常の火事など比にならぬ程の物だ。
私は気付けば走り出していた。何処に行くかも決まっていない、ただ逃げる為だけの生存本能。
「ハッ....ハッ....ハッ.......」
訳も分からずひたすら突き走る。
大通りに出た。その景色は変わらない。さっきの焼き増しの様な光景しか目に映らない。
まだ走る。走る。走る。
走って、火の燃え移っていない神社に付いた。そこそこ高い位置にあるため見渡す事が出来るだろう。
そこで、やっと自分が少し冷静になることが出来た。
「家、どうしよう........。」
少ない金で掻き集めたゲームや家具は全て無くなってしまった。その事実と非現実感が心を押し潰して来る。
「いや、一旦考えるのは後にしよう。」
そう言い聞かせて、階段を登ることにした。
☆☆☆
やっと登りきる事が出来た。ここまで走ってきた事もあり体力は既に尽きていた。
「ふう......」
一息付き、周りを見渡す。手入れはされていない神社だろうか。木は折れ社は黒ずんでいる。しかし供物は捧げられているみたいだ。
ある程度見終わったので崖の近くに行き、街の様子を伺う。
「これが、私の住んでいた街.....?」
酷い景色だ。もう、跡形もなく消え去っていた。都市部すらあの高層ビルの群れは倒れ伏しして爆弾の落ちた後の様になっている。これでは救援は無理だろう。時間がとてつもなく掛かるはずだ。
夜は長い。まだ深夜四時の出来事だった。