>>1「すべてのポケモントレーナーは孵化厳選をやめろ」   作:一宮 千歳

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エスパーという存在/アメもぐもぐ

「そういえばさ、エスパータイプ使ってるトレーナーって大体超能力使えるっぽいよね? ルバートはなんかそういうことできるの?」

 

アオイがそんな事を聞いてきた。

透視ができるのでその気になれば女の子の裸が見放題です。嘘、冗談だからその目をやめてくれ。冗談のセンスが最悪なのは謝るからさあ!

 

「俺自体はちょっとした予知夢ができるだけだな。任意で何か起こせるわけじゃない」

 

なんとなーく、覚えてないくらい前に夢に見た光景が実際に現実になる事がある。その時「ああ、夢で見た光景はこれだったんだ」となる程度のしょぼい能力。能力というレベルでもない。

 

「そーなんだ? ……能あるウォーグルは爪を隠すとかじゃなく?」

「いやマジでこれっぽっちも自分の意のままに操れる能力とかはない、マジでなんもない。母親はテレキネシス(モノや人を浮かせる力)、父親は…使ってるとこ見たことないけどパイロキネシス(火のないところで火をつける力)があるらしいけど。」

「なんかごめんね……」

 

アオイがしょんぼりしてしまった。いや、俺自身が無能力なことは別になんも気にしてないんだけどな。そもそも転生してポケモンと触れ合えるだけですげえ得した気分なんで、それ以上は望みすぎ? というか。

 

「ああ、エスパーの話で言うとな、ポケモンと話ができるやつがいたんだよ。

地元のジムでいつもめちゃくちゃ仏頂面の奴が実はしょっちゅうテレパシーでポケモンと楽しく話してるって聞いた時は『お前あの顔で楽しんでんだ……』ってなったな」

 

ポケモンと会話できるなんて楽しそうだよな。普段何考えてるかわかんないポケモンの考えてることがわかるんだぜ。

 

「ふーん」

「ちなみにそいつ女子、笑うと可愛いし笑ってなくても顔立ちはいい」

「その人の話詳しく聞かせてくださいお願いします え連絡先とかない? いや友達になれたら嬉しいなって思ってるだけで下心とかは全然ナイヨ」

「めちゃ食いつくじゃん、下心アリアリじゃん、読心とか出来なくてもわかるぞ」

 

食いつくかなと思って話振ったけどここまでかよ。

連絡先はねえけどもしホウエン行ったらに俺の知り合いって話してみな、多少は相手してくれると思うぜとは返した。

なんか土下座で感謝された。ウケる。

 

あと超能力は後天的に目覚める事もある、って話をしたら「私も透視できるようになるかな……いやテレパシーのほうが……」ってブツブツ言ってた。白い目で見ておいた。

 

----

 

俺の予知夢は大した能力じゃない、といいつつもこの予知夢で問題が一つあって、転生してから「ホウエン地方が異常気象に見舞われる」って夢を見たことがあることは気になっている。

 

原作ゲーム的に考えるとカイオーガグラードンのどちらか、あるいは両方が復活するフラグでしかないんだが、

俺の予知夢は「夢で見たからと言って確実に現実になるわけじゃない」。前世のイメージが勝手に膨らんだだけの、虚像という可能性もあるわけだ。

 

誰にも話さないのがいいのか、

誰かに話した方がいいのか。

 

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ニャオハとホゲータだが、けいけんアメSを3個ほどあげると一回目の進化が見られると思うぞ、と言うとアオイは複雑な表情を見せた。

 

「なーんかズルしてるって感じがちょっとしてさあ……」

「まあスターミーに引っ張られてるパワーレベリングだからな、ちょっとズル寄りなのは間違いない。けどアオイが『一緒にレベル上げたい』って言ったんだからな?」

「そうだけどー……」

 

まあ、テラレイドバトルでバトルしても経験値にはならず、けいけんアメという形で還元されている。

テラレイドバトルでの引率に不服があるようならけいけんアメは別に使わなくたっていい。使わないならこっちに欲しいくらいだけど、そこまでは言わない。

 

「まあ好きにしな。 さて、ニャオハは進化したいか?」

「ニャー……」

「よし、肯定とみなす。 ほれたーんとアメを食うが良い」

「ニ゛ャッ!?」

 

首を横に振るとか縦に振るとかでの感情表現はとっくに身につけてるので、ニャーとしか言わなかったのは多分に俺への甘えだろう。愛いやつめ……

 

けいけんアメをニャオハの鼻先に持っていくと、すんすんと嗅いだあとあむんと口に含む。そしてカラコロと小気味良い音を立てながら舐め始める。

一度に複数個はニャオハの口が小さくて入らないから、一つ舐め終わってから新たに与える必要がある。面倒臭いと取るか手ずから与えるチャンスが増えると思うかは人次第だ。俺は後者。

 

「どうだー? うまいかー?」

「むにゃ……にゃん!」

 

自分が与えた食べ物を喜んで食べてるとやっぱなんとも言えない幸福感があるよね。

 

「そうかそうか、まだまだたくさんあるからなー」

「に゛ゃ……」

 

……嫌そうな顔したな。まあ俺だって舐め終わってすぐ矢継ぎ早に与えるなんてことはする気はないので、時間をかけて全部食べてくれればいい。

さて、アオイの方を見るとホゲータと戯れてる。どうやらアオイは今はけいけんアメを与える気はないらしい。

 

「アメ、やらないんだな」

「うん。……なんていうの? 旅に出たてで身の丈に合わない力を得ちゃうんじゃないかーって思うと、ちょっと迷う」

「そうか。でも一度にたくさん与えると体の変化についてけなくてポケモンが混乱するから、いずれ上げるんならじわじわ与えていったほうがいいぞ?」

 

体と精神がいい感じにマッチするまで長いことかかってそれまで生活に支障が出る、なんて場合もある。ポケモンが自分の体に違和感を覚えて、何もないところで足を上げたり下げたり、妙にソワソワしたり、しょっちゅうへんな仕草をするのだ。よくない育成の例として映像で見ただけでもだいぶ気の毒になったので、あれはなるべく避けるべきだろう。

壁にぶつかった! 勝てない! あるだけ全部アメ投与! は多分だいぶポケモンに良くない。

 

「ええ!? 言ってよお!」

「だからアメ温存するって聞いて手遅れになる前に言ったんだが! 責められる覚えはないぞ」

「むー……」

 

まあご利用は計画的に。

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